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第3部  政府の施策
第2章  政府機関などにおける研究活動
4  多分野の協力による研究開発の推進
(4)  海洋開発


近代科学技術の発展により,海洋に莫大に賦存する資源及びエネルギー並びに広大な空間の開発利用が可能となってきた。

すなわち,海洋には,食生活上重要な生物資源をはじめとして,ウラン,重水等の海水資源及び石油,天然ガス,マンガン団塊等の海底資源が莫大に賦存するほか,波,温度差等の海洋に蓄えられた巨大な自然エネルギー及び広大な空間が存在しており,その開発利用が推進されている。

これらの資源・エネルギー・空間は,国土が狭く,かつ資源に乏しい我が国にとって極めて貴重な資産であり,その開発利用は国民の福祉の増進及び社会経済の発展にとって重要な役割を果たすものである。

この海洋の重要性については,世界的に強く認識され,新しい海洋の開発利用に対応した国際的な秩序を形成すべく,1973年以来第3次国連海洋法会議が開催されている。同会議では,領海の幅員,200海里経済水域,大陸棚,深海海底資源,科学調査,海洋汚染等広範囲にわたる問題が審議され,未だ最終的な合意をみていないものの,既に,領海12海里及び200海里漁業水域については容認されるに至っている。海洋国家である我が国としても,こうした国際的動向に対応して,これらを設定したが,引き続き適切な対処を図り,積極的な海洋の開発利用を強力に推進する必要がある。


(1) 総合的な海洋開発の推進

政府においては,以上のような認識の下に,各般の海洋開発施策を進めている。これらの施策は,まず,関係省庁がそれぞれの行政目的に即して推進しているが,海洋開発に関する基本的かつ総合的事項については,内閣総理大臣の諮問機関である海洋開発審議会で調査審議を行うこととなっている。

同審議会は,昭和48年10月,我が国の海洋開発推進の基本的構想及び基本的方策について答申を行い,また,51年12月,合同部会(開発部会及び科学技術部会)報告書をとりまとめた。

更に,新海洋秩序時代に対応し,我が国として,海洋開発の長期的展望とそのための具体的施策を改めて検討することの要請が増してきたため,53年2月には第2号諮問「長期的展望にたつ海洋開発の基本的構想及び推進方策について」が同審議会に対し出され,現在これを審議中である。


(2) 海洋科学技術の推進

海洋科学技術の研究開発については,関係省庁で構成する海洋科学技術開発推進連絡会議の策定した海洋開発のための科学技術に関する開発計画(実行計画)に沿って関係省庁により進められている。同会議は,前述の海洋開発審議会の答申に即し,昭和49年2月,第2次実行計画を策定し,毎年その見直しを行っているが,この計画における重要プロジェクトとして,海洋探究に関するものとしては沿岸海域の総合調査研究,日本周辺海域の総合調査研究,大洋域の総合調査研究及び調査研究機器技術・情報管理技術の開発の4プロジェクト,技術開発に関するものとしては海洋生物資源開発システムの開発,海洋鉱物資源開発システムの開発,海洋構造物の建造技術の開発,海洋環境保全に関するシステム的調査研究及び技術開発,深海調査システム及び機器の開発,海中作業システム及び機器の開発の6プロジェクトを挙げている。

政府における海洋科学技術開発の推進状況を見ると,まず,海洋探究に関するものとしては,日本沿岸海域を対象とした5万分の1及び1万分の1の沿岸の海の基本図(海底地形図,海底地質構造図),2万5千分の1の沿岸海域基礎調査図(沿岸海域土地条件図及び沿岸海域地形図)及び日本周辺大陸棚を対象とした20万分の1の大陸棚の海の基本図の作成が進められており,昭和53年度には,沿岸の海の基本図(海底地形図,海底地質構造図,地磁気金力図及び重力異常図)は北海道西岸及び対馬海域など,沿岸海域基礎調査図は富山湾,伊予難など,大陸棚の海の基本図は沖縄周辺などについて行われた。また,オホーツク海など重要海域及び黒潮を対象としてその水塊特性,海洋生産物生産機構などについて研究が進められている。

これらのほか,地質調査専用船「白嶺丸」による日本周辺大陸棚の海底地質の総合研究,中部太平洋における深海調査など多数の海域における各種の調査研究が進められ,また,レーザによる海中情報伝送システムの研究開発,沿岸波浪観測のための新しい波高計の開発,広範囲の海洋調査を可能とする海洋遠隔探査技術の開発などが行われた。

海洋生物資源開発システムに関するものとしては,栽培漁業技術開発などの資源培養技術開発,おきあみ,深海魚などの未利用資源開発及び漁場造成技術開発などが行われた。

海洋鉱物資源開発システムに関するものとしては,マンガン団塊の賦存状況を航行しながら自動的に計測できる高速度テレビ・システムの開発を行うとともに,新たに深海底鉱物資源探査専用船の建造が進められている。また,海底石油・天然ガスについて,水深300m以深の海底油田の開発のための海底石油生産システムの開発及び大深度石油掘削船の自動位置保持装置の開発が行われている。

海洋構造物の建造技術に関しては,各種浮遊・固定式海洋構造物等の構造設計に関する研究,構造材料及び防蝕に関する研究,大型浮遊式海洋構造物係留及び曳航に関する研究などが進められている。

海洋環境保全に関するシステム的調査研究及び技術開発については,瀬戸内海,伊勢湾,東京湾の汚染実態及び汚染機構の調査研究,海洋汚染が海洋生物に及ぼす影響の研究,工場排水処理技術の開発,油濁防止技術の開発などが行われた。

このほか,沿岸防災の研究,沿岸スペースの利用計画手法の研究など各般の研究が進められている。

深海調査システム及び機器に関しては,深度6,000mまで潜航可能な潜水調査船の調査研究の中間段階として深度2,000mまで潜水可能な潜水調査船システムの研究開発が進められている。

海中作業システム及び機器に関しては,飽和潜水の方法を利用した潜水作業システムの開発が進められており,シートピア計画の成果を踏まえて,深度100mまでの潜水作業システムの実用化研究,深度800mまでの潜水作業システムの研究開発及び動物実験による高圧生理学研究が行われた。

以上のプロジェクトのほか,海水淡水化の大型実験装置や温度差発電に関する研究開発が進められている。

また,我が国の海洋科学技術開発の推進を図るため,その中核的機関として,昭和46年10月,海洋科学技術センターが設立され,官・民協力の下で運営されている。

同センターでは,前述の深海潜水調査船の研究開発,潜水作業技術の研究開発のほか,大型波力発電装置「海明」による実海域実験等をはじめとする海洋工学,潜水技術,海洋環境保全技術などに関する総合的試験研究を行っている。また,水深500mまでの潜水を模擬しうる潜水シミュレータ,深度15,600mまでの高圧下での試験が可能な高圧実験水槽などの共同施設の整備,運用,潜水技術者の研修などを実施している。

第3-2-15表 に我が国の海洋開発関係予算を, 第3-2-16表 に主要国の海洋開発関連予算を示す。

第3-2-15表 昭和53年度海洋開発関連経費の概要(一般会計)

第3-2-16表 主要国の海洋開発関連予算の推移


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