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第1部  柔軟性のある研究体制への指向
第1章  我が国の研究活動の特徴
第1節  最近の技術開発の特徴
1  複数の要請にこたえる技術開発の増加


社会経済の発展に伴って,その重要な基盤づくりの役割を果たしている科学技術においても,社会経済からの要請に対応していかなくてはならない。

かつて,国際競争力の強化のため大型化,省力化など生産コストの引き下げが技術の主要な目標であったが,時代とともに環境保全,省資源,省エネルギーなど内外からの新しい要請が加わっており,科学技術もこれらの要請にこたえていかなくてはならなくなってきている。

また,これらの新しい科学技術面での要請はかっての技術的要請に代替するものではなく,それらの要請をも同時に満たし,社会経済に受け入れられていかなくてはならないものである。

近年,内外情勢の変化に対応して新しい技術の開発目標に変化がみられ,昭和50年度科学技術白書でも,技術の目標が「昭和30年代後半の効率性第一主義」から「昭和40年代後半の効率性と環境保全・安全性・省資源との調和」へと変わりつつあることを指摘した。

今回は,やや視点を変え,個々の開発技術がどのような多様な要請に同時にこたえているかをみることとする。

昭和50年度白書でも述べたように技術の開発目標は,それぞれの必要に応じて多岐にわたっているが,本白書は50年度白書の分類を基本として「品質・性能向上」,「便利性・快適性」,「省力化」,「量産化」,「安全性」,「省資源」,「環境保全」及び「省エネルギー」の八つの技術目標を設定し,最近の技術開発例を「科学技術庁長官賞」 (注1) 及び「大河内賞」 (注2) を受賞した技術に絞り,それぞれの技術がどのような目標を有しているかを検討し,その結果を 第1-1-1図 に示した。

昭和40年以降48年までの9か年間の対象技術1件当たりの平均目標数は1.92であり,49年以降53年までの5か年間の平均目標数は2.34と2割以上も増加している。目標の変化は対象技術の開発期間及び受賞までの期間を考慮すれば,必ずしも石油危機以後の新たな情勢の変化に対応しているとはいえないが,社会経済からの多様な要請にこたえるために,技術の目標が多様化している傾向をうかがい知ることができよう。


注1)科学技術庁長官賞は,科学技術庁が毎年科学技術振興施策の一つとして実施している制度で,我が国の科学技術水準の向上に顕著な功績をあげた者を対象として表彰し,その功績を讃えるものである。その内訳は,1)科学技術功労者表彰,2)研究功績者表彰,3)創意工夫功労者表彰(創意工夫育成功労学校表彰を含む。)に分かれている。このなかで1)の科学技術功労者表彰は,(a)優れた国産技術の開発に貢献した研究者又は発明者の業績,(b)優れた国産技術の育成に貢献した者の業績,(c)科学技術の普及啓発又は発明の奨励に貢献した者の業績,(d)科学技術の振興施策の推進に貢献した業績に分けている。本白書では,1)の(a)の対象となった技術について分析した。


注2)大河内賞は,(財)大河内記念会が毎年大河内正敏博士の功績を記念して,科学技術の向上並びに産業の振興に資し,もって我が国経済・文化の進展に寄与することを目的に,生産工学,生産技術及び多量生産方式等の実施に関し,特に功績顕著なものに対して贈与される賞である。内訳は,1)大河内記念賞,3)大河内記念技術賞,3)大河内記念生産特賞,4)大河内記念生産賞の四つに分けられているが,本白書ではこれら四つの記念賞の対象となったすべての技術について分析した。

第1-1-1図技術の目標



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