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第1部   重要性を増す政府の研究活動
第3章  重要性を増す政府の研究活動
第1節  研究活動を取り巻く内外条件の変化
3  民間企業の企業活動の停滞と今後の方向


我が国は,積極的な設備投資により,重化学工業化の道を歩み,高い技術水準とスケールメリットにより,高品質かつ市場競争力の強い製品を生産する能力を身につけ,重化学工業製品を中心として商品輸出は急増した( 第1-3-6図 )。

このような輸出競争力強化の推進力となったのは,積極的な設備投資であるが,この設備投資は,近年,企業環境の悪化に伴い落ち込んでいる。 第1-3-7図 は,産業の研究活動の大部分を占める製造業を取り上げ,企業業績,設備投資の状況をみたものである。

同図に示すように,企業活動の基盤をなす収益状況は,売上高営業利益率,売上高経常利益率とも,石油危機を境とする落ち込みは大きく,昭和52年度においても,企業収益の悪化傾向が続いており,世界の主要国と比べても,回復が遅れている。また,かっては,新製法に基づく設備投資,新設備から生産される新製品,新製品による市場の拡大と,拡大再生産を続けた設備投資も,石油危機以降,実質的に見ると著しく低下し,停滞傾向が続いている。民間設備投資の回復は,単に短期的な景気回復だけでなく,中期的な供給力,国際競争力にも関係し,その回復が安定成長を支えるものと言えるので重要である。

第1-3-6図 我が国の商品輸出状況

第1-3-7図 民間企業の利益率及び設備投資の推移

そこで,このような設備投資の停滞の中で,現在,企業の持つ設備の技術水準は,国際的にみてどの程度にあるのであろうか。 第1-3-8図の(1) は,経済企画庁が行った民間企業の主力設備の技術的水準に関するアンケート調査の結果である。

同図に示すように,造船を筆頭に,自動車,化学は,国際的にみて主力設備の新鋭度が高いものの割合が大きく,鉄鋼,電気機械がこれに続いている。また,一般機械,精密機械は,国際的にみて普通と判断されているが,製造業全体でみると,現有設備の新鋭度は高いと考えられる。

このような調査結果からは,生産技術的な面から,企業環境の悪化が直ちに企業活動の回復に重大な悪影響を及ぼすことは無いと考えられる。しかし,貿易依存度の高い我が国としては,今後とも,国際競争力強化のため絶え間ない努力が不可欠であり,現有設備が陳腐化する前に,いかに早く新たな設備投資を誘発するだけの新技術を開発し,コストの低減や生産性の向上,更には,高付加価値製品の創造を行い,国際競争力の強化を図ることができるかどうかが企業活動の発展のポイントになる。

第1-3-8図の(2) は,企業が今後最重点を置く経営方針について調査したものである。

同図に示すように,今後,最重点を置くものは,ニーズにあった新製品,新技術の開発で,これに高付加価値の新製品,新技術の開発と回答した割合を加えると,約4割の企業が,新たな技術開発を経営方針の最重点としており,企業においても,新技術開発を最も重要視している。

以上のように,国際経済において新たな発展を遂げる手段としての技術開

第1-3-8図 主力設備の水準と今後の経営方針(昭和52年末) (1)国際的にみた主力設備の新鋭度の判断(製造業) (2)今後最重点を置く経営方針(製造業)

発力にかける期待は,企業において大きい。

企業収益の回復が十分でない中で,今後,技術開発力,特に,多額の資金を要し,危険負担の大きい研究集約的分野の技術開発力をいかに強化していくかが問題であり,強力な研究活動が必要となっている。


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