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第1部   重要性を増す政府の研究活動
第3章  重要性を増す政府の研究活動

前章で分析した我が国の政府研究費の目的別動向等を要約すると,

1) 科学研究促進のための支出割合が大きいこと,
2) 原子力開発については,西欧主要国と同様,積極的推進を図っていること,
3) 宇宙開発は,1970年代に入り,政府支出が増加し,政府の研究活動の主要項目となっていること,
4) 開発途上国に対する研究協力への支出が必ずしも高い水準とは言えないこと,
5) 国防研究費が少ないこと,
6) 民間への資金移転が少ないこと,
7) 研究開発の計画化の動きがみられること

等の特徴を挙げることができる。

こうした特徴は,市場機構に基づき,民間主導型により経済発展を遂げた我が国において,民間産業部門の研究開発は,政府からの委託費,補助金の交付により推進されているものもあるが,主として民間自身が所要資金を調達して推進されてきたのに対して,政府は,基礎的・基盤的分野の研究開発を中心として,原子力開発,宇宙開発,農林水産関係研究開発など市場機構の下では民間が行うことができない分野の研究開発を主として推進するという資金分担の状況を示すものである。これは,欧米主要国において,政府が国防,宇宙に関する研究開発のため,また,航空機開発等のためかなりの資金を民間に支出し,この結果,研究集約的分野の産業技術において官民の結び付きがみられるのと著しい対照をなしている。

我が国では,このような官民分担による研究活動が国全体の科学技術水準を向上させ,科学技術の進歩が社会経済の発展を支える要因となったのであるが,こうした研究活動は,経済の発展によるパイの拡大が最大の課題であった時代において,そして,そのための高度成長を可能とした内外環境の下において効果を発揮できたのである。しかし,世界経済の構造変化,資源有限性の高まり,国民意識の変化等内外条件が大きく変容する中にあっては,研究活動に対する要請は変化しており,これに伴って,政府においても,民間においても,従来の長所は長所として生かしつつ,時代の要請に的確に対応し,大きな成果が期待できる研究活動を進めることが必要となっている。

本章では,時代の要請に対応する政府の研究活動について検討することとする。まず,研究活動を取り巻く内外条件の変化について検討し,今日,我が国の研究活動,特に政府の研究活動に求められている社会経済からの要請を明らかにする。次いで,これらの要請に対応して,政府は,どのような研究活動を行っているか,政府の研究活動の課題は何かについて検討する。


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