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第1部   重要性を増す政府の研究活動
第2章  政府の研究活動の特徴
第3節  政府研究費の配分形態からみた研究活動の進め方
2  政府研究費の配分形態からみた特徴


欧米主要国と我が国の政府研究費の配分形態から政府の研究開発の進め方をみると,研究開発目的の差,あるいは研究活動の量的・質的拡大に伴う大学,民間企業等研究実施組織の能力の相違等により各国ごとにそれぞれ特徴がある。

1) 基礎分野の研究を担う大学については,アメリカのように研究資金獲得のため厳しい競争条件がある国に対し,イギリス,フランス,西ドイツのように経常的研究費が国から支出され,これを助成する研究費が学識経験者から成る組織により調節的に配分されている国がある。
2) 一方,産業界に対する政府研究資金の支出は,アメリカ,イギリス,フランス,西ドイツとも国防を目的とするものがかなりあるが,これらは主に,契約研究によって資金配分され,政府が必要な研究成果を買うという姿勢が基本となっている。この際に,特許取扱い等の契約条件により,研究開発活動への刺激や民間産業技術水準の向上を図っている。航空機のうち,民間航空機については,この原則からはずれ,政府資金の回収を前提として資金援助する方式をイギリス,フランス及び西ドイツがとっている。こうした助成は,電子計算機開発等についてもみられる。また,中小企業の技術開発援助は,イギリス,西ドイツで研究組合を育成し,これに対し行われている。
3) イギリスでは,研究者に目的意識を持たせるため,産業界に対してばかりでなく,政府研究機関についても委託研究に準じた制度を取り入れている。また,西ドイツでは,大学等の研究と産業の研究開発をつなぐものとして民間非営利研究機関が重要な役割を果たしている。

我が国においては,大学に対しては,経常的研究費を中心としつつ,目的研究費である研究助成費を支出し,どちらかといえばイギリス及びフランスに近い方式をとっているが,研究助成費の割合は小さくなっている。

国立試験研究機関については,主として実用に結びつく基礎研究,応用研究を担うものであり,研究費中では,経常的研究費がプロジェクト研究費より多い。

産業への政府資金の配分形態からみると,政府の必要とする研究成果を取得する目的で行う委託研究と,産業で行われている研究開発に対する助成に分けられ,我が国の場合,委託研究は国防等の政策目的の違いにより,その配分額は極めて少ない。産業に対する助成は,各国とも特定分野に限られ,その配分方式の面では,我が国とイギリス,西ドイツ,フランスの主要な方式とは似たものである。

本節までの政府研究費を主にした種々の分析からみると,政府が推進している研究開発分野としては,1)国防,エネルギー,食糧等の国家的安全,安定に関する分野,2)一国の技術開発力の源泉となる基礎的,先導的,基盤的な分野,3)市場機構に頼れない保健,安全,環境,運輸,通信等の社会開発分野,4)企業の開発能力の低い産業分野,5)企業の自己負担を軽減し,研究活動に活力を与え,産業構造の高度化,国際競争力の強化を図る重要産業分野が挙げられる。また,民間への資金配分形態のうち,政府がその成果を必要とする分野については,主として開発段階を対象に,民間に研究を委託するという形を取っている。一方,本来,企業自ら行うべき産業技術への助成については,分野を限っており,規模の大きいものについては,研究開発成功時の政府資金の返済等の条件を付け,政府資金の効率的な活用を図っている。

以上は,各国とも共通的な施策と言えるが,これらの重点化はそれぞれの国の置かれている状況により大きく異なっている。我が国は,政府研究費の支出動向からみれば,基礎研究及び応用研究の推進を中心とする基礎的な科学研究促進に重点を置いたものと言える。こうした動向は,成長経済の下,市場機構を活用し,最も効率的な方法で進められてきた民間の研究活動の基盤面を形成してきたものと言えよう。この我が国の特徴は,国防を中心とする国の目的達成のために民間の技術力を活用,動員する必要があったアメリカ,イギリス,フランス及び西ドイツの各国,及び民間航空機開発の助成にみられるように,大型の政府研究投資により重要産業の技術開発力の強化を図っているイギリス,フランス及び西ドイツと比較すると産業への政府資金の支出面で際立った差となって表れていることが特徴である。


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