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第1部   重要性を増す政府の研究活動
第2章  政府の研究活動の特徴
第3節  政府研究費の配分形態からみた研究活動の進め方
1  主要国政府の研究活動の進め方



(1) アメリカ

アメリカ政府は, 第1-2-24図 に示すように,政府研究機関に政府資金の約3割を支出し,残りの7割を大学,民間非営利研究機関及び産業部門に支出している。

このうち,政府研究機関以外への政府研究費の配分形態についてみると,大別して,1)特定の成果を要求しない助成費と,2)特定の成果を要求する委託費に分けられる。この配分形態をどのように使って研究活動を進めているかを,政府研究費の主な外部使用研究組織である大学と産業部門に分けて述べてみる。

アメリカの大学は,州立又は私立である。大学の研究費は,その74%(1977年度推定)を政府資金によっている。 第1-2-24図 で見るように,アメリカの大学は,教育所管省庁から一括して配分される研究費はなく,各省庁から支出される助成費及び委託費により研究活動を行っている。

大学への助成費は,大別すると,1)科学技術基盤の培養を図るため各省庁が特定の課題を定めずに分野を提示して公募し,研究者が申請する研究課題に対する助成費と,2)各省庁が設定した研究課題に,大学などが応募するものに対する助成と,3)これら研究課題に対する助成ではなく,研究に必要な施設,設備に対する助成の三つに分けられる。

第1-2-24図 アメリカの政府研究費の配分状況(1976年度)

これに対し,大学への研究委託は,政府が研究施設を設置し,研究費を負担の上,大学にその運営を委託する研究機関である連邦出資研究開発センターで主に行われており,その研究対象は原子力エネルギー研究及び航空宇宙研究が代表的なものである。

このようなアメリカの大学における研究活動の大きな特徴としては,これら助成費及び委託研究費への依存割合が大きいことから,1)大学間の政府研究費の獲得に関しての競争が激しいこと,2)政府の研究開発の動向,すなわち政府研究費の伸びの大小,研究開発の重点の変遷に大きな影響を受けること,3)社会経済からの要請に適応した研究開発課題を大学がいかに提起し,これに向って効率的な研究開発体制を組織していくかということが大学にとって重要となっていることが挙げられる。

一方,産業に対する政府の研究費の配分は,委託契約に基づいて行われ,助成費としての支出は行われていない。これは,政府研究費を民間に支出するのは,「政府利用の研究開発を買う」という基本姿勢によるためで,民間企業の研究開発能力を政府の行政目的のために大幅に活用していると言える。

委託研究の具体的方法は,各省庁に委ねられているが,種々の契約形態が整備されており,委託費を固定しておく方法から,原価に報償利益又は固定利益を加える方法などが,研究開発段階の違いに対応して使い分けられ,民間企業の研究活動に刺激を与え,所要の成果の取得と産業の技術開発水準の向上を図るよう配慮されている。

このことは,委託研究の成果である特許に関する政策においても示されている。アメリカの政府機関における特許政策の一般的態度は,1)政府研究費に基づく特許権を政府が所有し,研究契約者には当該特許権について非独占,無償の実施権を与えるか,あるいは,2)発明者が所有し,政府はその特許に基づく無償の実施権のみを取得するかを契約時に決めることになっている。もちろん,軍事機密分野,公衆衛生,福祉等公共的分野,政府施設の運営に必要な特許等は政府に帰属するが,受託研究者が所有する技術を基盤として新たに開発した技術等については,開発者が特許権又は独占的実施権を取得することができる。また,政府の所有となる場合でも,実用化のための民間投資を喚起させるなどの理由がある場合には,独占的実施権を与えるなどの措置が執られ,政府資金に基づく民間企業の研究活動に刺激を与えている。しかしながら,大学への助成費等の変動と同様,宇宙開発費の大幅削減の場合にみられるように,政府の科学技術政策の変化に民間企業の研究活動が大きく左右される欠点を併せ持っていることも特徴として挙げられる。


(2) イギリス

イギリスにおいては,基礎研究についてはその大部分を教育科学省が担っており,応用研究,開発研究については,「顧客・請負人」原則の下に行っているので,これに沿って述べてみる。まず,基礎研究についての教育科学省の研究費の配分状況は, 第1-2-25図 のとおりである。同図に示すとおり,イギリスにおける基礎的な研究費は,大学,研究会議所属の研究機関(政府研究機関),民間非営利研究機関などに配分されている。このうち,主な実施機関である大学についてみると,イギリスの大学は私立であるが,経済協力開発機構の研究統計によれば,1975年度で,大学の研究費の約8割が政府資金となっている。この政府資金の大部分が大学補助金委員会の経常費助成と基礎研究の全体について計画し,調整している研究会議からの研究助成とから成っている。

一方,応用研究,開発研究については,1972年度以降「顧客・請負人」原則の下に,資金を配分し,研究開発を推進している。

顧客・請負人原則というのは,各省が顧客としての立場に立って各省の行政目的に結びついた応用研究,開発研究の研究課題を明示し,研究開発実施機関である所轄研究所,他省の研究所,大学及び民間企業等は,請負人の立場に立ってこれを引き受けるものである。

この原則のねらいは,1)社会経済からの要請をより的確に研究開発課題に反映させること(このため,産業省では研究開発の目標策定のために設けられた研究開発要件審議会に産業界の代表を含めている。),2)顧客としての各省と請負人としての実施機関との役割分担の明確化と密接な協力関係によって研究開発の推進方法の明確化と合理的な経費支出を図ること,3)各省の研究所間の相互協力を図ることなどである。

第1-2-25図 イギリスの政府の主な科学研究費の配分状況(1973年度)

政府機関外における研究開発の主な請負人は民間企業であり,政府研究費の産業への配分は,大別して次の四つに分けられる。

1) 国防研究など国の行うべき分野の研究開発のうち,民間企業の能力を活用する必要があるものについては,企業に委託し,研究成果そのものを政府が取得するものである。国防研究は,1973年度で,産業への政府資金の約7割を占めている。
2) 産業構造上あるいは国民経済上からみて重要な産業の振興を図るため,その産業の技術開発を国が援助するものである。これには,主なものとして航空機産業及び電子計算機産業に対する助成が挙げられる。航空機開発は,大規模な資金を要し,かつ,開発に成功するまで長期にわたるため,商業的成功の段階での政府資金の返済を条件に政府が資金を投入するものであり,原則として経費の50%を政府が支出する。実際には,航空機産業へ支出される政府研究費の大部分を占めるコンコルド及びRB-211の研究開発計画の場合は,全開発費を政府が負担した。電子計算機産業に対しては,商業的成功を回収の条件として新しい電算機シリーズ開発のための助成費が交付されている。
3) 中小企業,研究規模の小さい業種においても研究活動が実施できるよう,産業界の共同研究のため,業種単位で設立されている研究組合に対し,補助金を交付するものである。研究組合は,特に非鉄金属,造船,繊維,ゴムなどの業種にとっては,使用研究費のうち研究組合で使用する割合が約15%とその役割が大きい。研究組合に対する政府資金の配分も,1972年度以降は研究助成から委託研究へ切り換わっている。
4) このほか,産業部門への開発委託に関する組織として英国研究開発公社がある。ここでは,政府の研究資金に基づく大学,研究機関,民間企業の研究による発明のうち,機密扱いされていないものを一括して所管し,これと民間の発明で十分に開発利用されていないものとを企業に移転させ,成功時の返済を条件として委託開発費を交付する活動を行っている。現在は,特許使用料等の収入があるため,政府研究費は配分されていない。

以上のように,イギリスにおける政府研究費の配分をみると,基礎研究を主に行っている大学等に対しては,経常的助成費と競争的な研究助成費が支出されている。一方,応用研究,開発研究については,政府研究機関も含め,社会経済からの要請を強く反映させ,効率的な研究活動を推進させる目的で,委託研究制度が幅広く取り入れられていること,.成功時の返済を条件として重要産業に対し研究助成が行われていることが特徴となっている。


(3) 西ドイツ

西ドイツにおいては,政府研究機関以外に約9割の政府研究費が配分されており,その配分状況は, 第1-2-26図 に示すとおりである。

まず,大学についてみると,西ドイツの大学はすべて州立で,州政府が大学の研究費の大部分を負担し,これは経常的研究にあてられている。このほか,連邦政府と州政府からの一括補助金を受け,主として大学における基礎研究助成を行っているドイツ研究協会の研究助成がある。これには,研究者の申請に基づく研究課題に対する補助と,大学の申請に基づき・その大学の特別研究分野を指定して補助するものとがある。

第1-2-26図 西ドイツの政府研究費の配分状況(1975年度)

次に,西ドイツでは,民間非営利研究機関の規模と役割が大きく,かつ,これらの研究費の大部分を政府が負担していることに特色があるので,これについて述べてみる。主なものとしては,大規模研究所,マックスプランク協会,フラウンホーファ一協会がある。

大規模研究所は,大規模な施設,多数の異なる分野の研究者を必要とする原子力,宇宙,保健等の分野の研究の実施のために設立されたもので,政府の中期研究開発計画の中心的実施機関となっている。大規模研究所は,研究開発費の約9割を政府資金によっている。大規模研究所は,日本の特殊法人研究機関に近いと言えよう。

マックスプランク協会は,大学内では十分に行うことのできない研究領域の基礎研究を行っている。マックスプランク協会の研究費の約9割は,政府資金で,一括補助金として交付されている。

フラウンホーファ一協会は,大学やマックスプランク協会の基礎研究と産業との間のつなぎ役としての役割を果たすことを目的として,国又は産業の委託を受けた応用研究を行っている。その研究開発費の約7割が政府資金で,一括補助金と委託費とから成っている。

このように西ドイツにおいては,民間非営利研究機関への政府研究費の支出が大きいが,これと同じ程度の研究費が産業に対し支出され,これは大別して次の四つに分けられる。

1) 国防,原子力,宇宙,保健,環境保護など国のニーズに基づき推進される分野の研究開発に関して,民間企業の技術開発力を活用するために配分するものである。国防については委託,それ以外は補助金の形で資金を交付している。これらの研究開発(国防を除く)は,政府の中期研究開発計画により,政府研究機関,大学,民間非営利研究機関における研究と組み合わされて進められている。
2) 重要産業の振興を直接の目的とする資金の配分である。これには民間航空機産業への助成があり,利益が生じた場合の返還を条件として総開発資金の60%を補助している。1977年度は451億円(390百万マルク)の予算が計上されている。
3) 長期的にみて西ドイツの国際競争力を強化する必要がある電子部品,通信,情報,光学,計測,エネルギー,材料等の分野の技術革新の鍵となる技術の研究開発に対する補助金である。これは,企業が立案する研究開発プロジェクトに対して原則として経費の50%を補助している。
4) 中小企業の共同研究助成を目的とする補助金である。これは,ほとんどの中小企業が参加して設立されている約80の研究組合の連合体である産業共同研究協会に対する一括補助金である。この予算は,1977年度で60億円(51百万マルク)計上されている。

このように,西ドイツにおいては,産業研究助成のために大幅に補助金制度を取り入れているが,これには,航空機産業に対する助成などを除いて,返還義務が課されていない点や,研究開発により生まれた特許は,政府が公共目的のための使用権を持つこと及び助成額が50%を超えた場合は,有償で国内の他の企業に使用させることを義務づけた上で,企業に所有権を与える点に特色があり,産業の研究活動に刺激を与えている。

以上のように,西ドイツにおいては,基礎的な研究を担う大学及び民間非営利研究機関へは一括資金配分がなされ,一方,産業に対しては,補助金制度が大幅に取り入れられていること及び産業への補助にあたって,革新技術の開発を政府研究機関等との連携の下に計画的に進めていることが特徴である。


(4) フランス

フランスの政府資金の配分は,1975年度で,政府研究機関に4割,大学と産業に各3割となっており,民間非営利研究機関へは1%にすぎない。ここでは,大学と産業に分けて政府資金の配分について述べてみる。

フランスの大学は国立大学であり,1977年度予算によれば,その研究費の約70%(よ経常的研究費と研究施設・設備費である。また,25%は大学の研究者が行う基礎研究に対する研究助成費である。残りの5%は,社会経済の要請に適合した基礎・応用研究分野の研究課題が設定され,これに応じた大学に支出される研究助成費である。

このように,基礎的な研究段階を担う大学に対しては,イギリス,西ドイツと同様に,経常的経費を直接交付し,そのほかは研究課題ごとに助成費として資金配分を行い,大学の研究活動に動機付けを与えている。

一方,産業に対する政府研究費の配分は,大別して次の四つに区分して説明できる。

1) 国防,宇宙,通信等,行政目的に必要な研究開発で,これらは,全額政府出資の委託研究により行われている。委託研究により生じた特許は,一般に,研究実施者である企業が所有し,政府は無償の実施権を取得している。
2) 重要な産業部門の振興を目的として行われる大規模な研究開発で,民間航空機開発,電子計算機開発が挙げられる。 民間航空機開発は,イギリスの場合と同様に,商業的成功を回収の条件として,政府が研究開発費及び機体製作費に対し補助している。電子計算機開発については,国内電子計算機産業育成のために開発委託費及び補助金の交付が行われている。
3) 一般産業技術開発のための主なものとしては,研究助成と開発援助の制度がある。 研究助成は,基礎・応用研究に関する課題を提示し,公募により参加を求める共同活動等の五つの制度により,民間企業に対し研究費の50%(大学,研究機関は同100%)の補助を行うもので,1977年度は190億円(348百万フラン)の予算が計上されている。 開発援助は,企業の研究開発プロジェクトに対し開発費用の50%を補助し,開発成功時に補助金を返還させる制度である。1976年度の助成実績は,198億円(362百万フラン)で,その分野別内訳は, 第1-2-2表 のとおりである。
第1-2-2表 フランスの開発援助費の内訳(1976年度)


4) このほか,政府研究機関,大学における研究成果を実用化するため,企業に政府等の特許のあっせんを行い,あっせんを受けた企業に,商業的成功の段階での返還を条件として研究開発費の一部を助成するものがある。

以上のように,フランスの大学における研究費の配分形態をみると,競争的な研究費の割合が大きい。一方,産業についてみると,航空機,電子計算機開発では,成功時の返済を条件として助成が行われている。このほかの産業分野では,基礎・応用研究についての助成制度があることと,開発成功時に政府資金の回収を条件とする開発援助が幅広い分野を対象に行われていることが特徴である。


(5) 日本

1977(昭和52)年度の我が国の科学技術関係費は,8,710億円で,この配分状況は 第1-2-27図 のとおりである。同図に示すとおり,我が国の政府研究費は,国立試験研究機関等に2割弱,大学に5割,民間非営利研究機関(ほぼ特殊法人研究機関)に2割強,民間企業及び地方公共団体等への助成,委託が1割弱,その他わずかが行政費等へと配分されている。近年の傾向としては,原子力開発,宇宙開発等の大規模な研究開発が特殊法人研究機関を主体として活発に行われており,相対的に国立試験研究機関等への配分割合が低下している。

第1-2-27図 我が国の政府研究費の配分状況(1977年度)

大学への政府資金は,国立大学等へ直接配分される経費が約95%を占め,残りの5%は,研究者の申請する研究課題に対し,学術審議会の審査を経て交付する研究助成費である。国立大学の研究費のうちの経常的研究にあてられる経費と研究助成費との割合を比較すると,昭和47年度は,経常的研究費75対研究助成費25であったのに対し,52年度は,それぞれ70対30へと研究助成費の割合が増加している。経常的研究費は,研究者の自由な研究目的に使えるのに対し,研究助成費は,社会的及び学術的要請に基づいた競争関係が導入されている点が異なると言えるが,アメリカ,イギリス及びフランスに比べると,我が国の大学においては,西ドイツと同様,競争的な研究助成費の割合は小さくなっている。

国立試験研究機関等経費のうち研究に直接あてられる経費をみると,比較的基礎分野に属する研究を中心とする経常的研究費が約6割,経常研究とは別に社会経済からの要請にこたえて,緊急に実施する必要のあるもので,かつ,期限を定めて計画的に推進される特別研究が約3割,大型プロジェクト等大型の研究開発を総合的に推進する一環として研究機関で行う総合的研究開発が約1割となっている。

民間非営利研究機関への政府資金は,運営費にあてる補助金と研究活動にあてる出資金が大部分で,これらは政府が必要とする研究開発を能率的に行うために設立された特殊法人研究機関へ支出されている。そして,その政府資金の大部分は,原子力,宇宙,海洋等の特定分野において,政府の開発目標に沿ったプロジェクト研究を主として行っている機関に支出されている。

民間企業に対する政府資金の配分割合は,助成費と委託費がほぼ1対2の割合となっている。助成費の大部分を占めるものは,電子計算機産業振興のための助成費と重要技術開発への助成費である。

電子計算機産業振興のための助成は,世界の最先端にあるIBMの新機種に対抗し得る電子計算機の開発のために行われているもので,その技術的中核である超LSIの共同研究のために設立された研究組合に補助金を交付している。

重要技術研究開発の助成とは,未踏革新技術,省資源・省エネルギー技術,環境保全・安全対策技術など,民間が行う今後の我が国経済の発展の基盤を培うための重要な技術開発ブロジェクトであって,国がそれに要する費用の一部を交付することにより,その技術の開発が促進され,その成果が期待されるものに対して補助金を交付するものである。

また,これらは,補助金であるため,成果は企業保有となるが,開発費の助成を受けたもののうち環境保全・安全対策技術については,公開指示権が留保されている。更に,1)成果である試作品,特許権等による収益が生じたときは,その全部又は一部を国に納付する収益納付や,2)工業化試験,企業化開発が成功したときは,成果の程度,企業化する場合の難易等を考慮し,償還額を確定し,補助金を返還させる成功償還条件が付けられている。

以上が主な助成であるが,中小企業の技術水準の向上を図るための助成としては,公立試験研究機関における中小企業のニーズに適合した技術開発研究や中小企業自身が行う技術開発研究に対する補助がある。

次に,民間企業へ支出される委託研究費の主なものとしては,大型工業技術研究開発と新エネルギー技術開発がある。

大型工業技術研究開発は,国民経済上重要かつ緊急に必要とされる大型先端技術であって,その研究開発に多額の資金と長期の期間とを要し,かつ,多大の危険負担を伴うものについて国が所要資金を負担するものである。

現在,パターン情報処理システム,高温還元ガス利用による直接製鉄,航空機用ジェットエンジン,自動車総合管制技術などの10プロジェクトについて国立試験研究機関における研究の実施とともに,民間企業の研究開発能力を活用するため委託費が支出され,総合的な研究開発が推進されている。大型プロジェクトのうち半数の5プロジェクトについては,研究組合が組織化されており,組合に委託費が支出されている。

新エネルギー技術研究開発は,エネルギー資源に乏しく世界有数のエネルギー消費国である我が国が,エネルギーと環境の二つの問題を同時に解決するクリーンな新しいエネルギーである太陽,地熱,石炭,水素等の新エネルギーを実用化するための新技術開発である。このため,大型工業技術開発と同様,総合的な研究開発が推進されている。

委託研究の成果である特許等は,すべて国に帰属するが,特許実施については,特に弊害のない場合には,委託開発企業に優先的に利用させる等の配慮がとられている。

民間への委託研究については,以上のように政府から直接資金が支出されるもののほかに,宇宙開発事業団,動力炉・核燃料開発事業団等の民間非営利研究機関からの特定分野のプロジェクト研究に関する委託費が支出されている(総理府統計局「科学技術研究調査報告」で見ると1976年度87億円)。

また,国の保有する技術の民間への移転を目的とする開発委託としては,新技術開発事業団の研究成果移転事業がある。これは,国・公立試験研究機関,大学等の保有する特許権等のうち,企業化が著しく困難なもので,国民生活の向上に役立つ新技術,社会経済発展のため大きな効果が期待される新技術等に重点を置いて委託開発課題を選定し,成功したときの返済を条件として企業に開発費を交付し,委託開発を行っているものである。

このほか,地方公共団体に対しては,委託費より助成費の配分割合が多く,これは,主に農林水産試験研究機関に対する研究費補助である。


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