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第1部   科学技術発展の回顧と新たな課題
第2章  社会開発分野における技術革新への期待
第2節  社会開発分野における技術革新達成の条件


前節においては,1)社会開発分野では科学技術以外の政策の役割が大きいが,部面を極限すれば科学技術の役割が大きくなる分野があること,2)科学技術の成果を手段として活用するか否かは科学技術以外の政策のあり方に大きく左右されること,を指摘するとともに,若干の具体例を取り上げ,科学技術の役割の位置付け,研究開発の動向及び当該分野の特性に着目した留意事項を述べた。

そこで,次のステップとして,社会開発分野において科学技術の寄与の拡大を図るための条件を述べる。

社会開発分野における科学技術といっても多種多様のものが含まれており,その振興を図るためには,二つの異なる範ちゅうに分けて対応する必要がある。その1は,科学技術知識の拡大がすぐに実用に結びつくもので,前節のケース・スタディの例を引くと,地震予知,医学的リハビリテーション,食品添加物の安全基準がこれに含まれる。その2は,科学技術知識の拡大が機器やシステムの開発を通じてはじめて実用に結びつくもので,新交通システム,リハビリテーションのための補装具などがこれに含まれる。

前者は,主として国立試験研究機関,大学など公的機関が担当すべき分野であり,その推進策としては,科学技術会議の「国民生活に密着した研究開発目標に関する意見」(昭和51年2月)に述べられているように,特に,1)基礎科学の充実,2)総合的アプローチの推進,3)民間研究機関の育成及び活用,4)研究支援部門の充実,5)国際協力の推進が重要である。

後者は,公的部門における技術革新の促進という点で国の役割は大きいが,機器やシステム開発自体は,我が国の研究者の1/2強を有し,産業技術の開発に実績を持つ民間企業の参加と産業技術の移転(トランスファー)なしには目的を達成できない分野であり,その推進策も,上述の一般的方策に加えて,民間企業の参加を促進するためのダイナミックな方策が必要である。

このような観点から,本節においては,民間企業の参加を促進し,社会開発分野において,技術革新を引き起こす条件を探るため,まず,産業活動分野の技術革新の達成要因を主としてケース・スタディ 注1) の成果を基に検討し,これを手がかりとして,社会開発分野の技術革新のあい路とその解決のため留意すべき事項を示すこととする。


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