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 第2章
  研究投資の動向
1  わが国における研究投資の概況
(2)  研究投資の組織別構成


研究の実行機関は,組織別に大別して「会社等」,「研究機関」,「大学等」の3部門(注)に分けることができる。

これらの機関数は第2-2表に示すとおりであつて,昭和39年度までは年々上昇していたが,昭和40年度は10,758と前年度に比べて691機関減少した。

第2-2表 研究実行機関数の推移


注)ここでいう「会社等」,「研究機関」,「大学等」の定義は,次のとおりである。

「会社等」とは,農林水産業,鉱業,建設業,製造業,運輸通信業,電気ガス水道業を営む資本金100万円以上(ただし,農林水産業は1,000万円以上。)の会社および事業を営む特殊法人である。

「研究機関」とは,自然科学に関する試験研究または調査研究を業務とする国,公,民営の研究機関であつて,日本原子力研究所,理化学研究所など特殊法人研究機関を含むものである。

「大学等」とは,大学の学部,大学付置研究所,短期大学,高等専門学校,国立工業教員養成所のうち自然科学に関する部門である。

これは主として昭和39年の後半から昭和40年にかけての景気の後退に大きく影響されて「会社等」における研究実施会社数が減少したことによるものであり,逆に「研究機関」では11,「大学等」では29増加している。

研究費増加率の推移は, 第2-5図 に示すとおり,昭和36年度を境として次第に減少する傾向を示している。これを組織別にみると,「大学等」では上昇する傾向にあるが,「研究機関」では伸び悩み,ウエイトのもつとも大きい「会社等」で減少傾向にあるので,全体としての増加率は減少するという結果となつている。昭和40年度における研究費は,「会社等」が2,524億円で全体の59%を占め,ついで「大学等」が1,050億円で25%,「研究機関」は684億円で16%となつている。

第2-5図 研究費対前年増加率の推移

前年度における研究費の構成が,「会社等」64%,「研究機関」16%,「大学等」19%であつたのに比較すると,昭和40年度は,「大学等」における研究費の割合が大幅に増加し,その分だけ「会社等」の研究費の割合が減少したという結果になつている。また「科学技術研究調査」速報によれば,昭和41年度における研究投資は「会社等」2,922億円,「研究機関」776億円,「大学等」1,189億円で,対前年度増加率をみると「研究機関」は13.4%とほぼ前年度なみ,「会社等」は15.8%とやや回復の兆しをみせ,「大学等」は13.1%と前年度に比べて著しく伸び悩んだが,その構成比はそれぞれ60%,16%,24%とほぼ前年同様である。この研究費の構成比をOECD主要加盟国と比較すると 第2-6図 のとおりで,使用額において「会社等」の割合がもつとも多いのは各国に共通した傾向であるが,カナダ,フランスでは「研究機関」の占めるウエイトが比較的大きいといえる。

第2-6図 研究費の組織別構成

また,一般に諸外国では,各組織間の研究費のやりとりが比較的活発であり,とくに,民間企業の研究費の政府負担は,かなり大きなものとなつている。アメリカ,イギリス,フランス等の諸国でこの傾向が著しく,とくに,アメリカにおいては,民間企業の研究費に対する政府負担額は,民間企業自身の負担額を上回るといつた状況である。さらに,国全体の研究費を公共負担(国,地方公共団体の負担)と民間負担に分けてみた場合,わが国では民間負担の割合が多く昭和40年度で69%を占めている。諸外国の状況をみると, 第2-7図 のとおりで,公共負担額が民間負担額を上回つているのは,アメリカ,イギリス,フランス,カナダの諸国であり,わが国は先進国のなかではもつとも公共負担の割合が低い。このような傾向は原子力,宇宙開発,国防等に力を入れている国ほど強く現われている。各国の研究費総額のうち,原子力,宇宙開発,国防関係研究費の占める割合は 第2-8図 に示すとおりであり,アメリカ63%,イギリス40%,フランス45%といずれも高い比率を示してる。わが国では,これらの点について集計された資料はなく,数%にすぎないものと推定されているが,原子力利用および宇宙開発は,現在わが国においても重点的にとりあげられており,今後これらの研究費は,次第に増加していくものと考えられる。

第2-7図 研究費の公共負担割合

第2-8図 総研究費のなかに占める原子力,宇宙,国防関係研究費の割合

研究投資は一般の投資に比べてリスクが大きく,また,近年研究開発の規模がますます大型化する傾向にあることを考えた場合,個々の企業における研究費を増加させることは次第に困難となつてくるものと考えられ,研究費に対する公共負担の増加がいつそう強く望まれる状況にあるといえよう。


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