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  各論
§7  水産業
I  近代化の問題点
1.  生産および利用


現在,漁業の生産者の構成は1,000余の会社経営体,10,000余の共同経営体等,220,000余の零細な個人経営体からなり,漁場もおおむね,その区分にしたがつて遠洋,沖合,沿岸(含内水面)の3者にわかれるが,最近各漁場における資源の減少,国際的制約(北洋さけ,ます,かに漁業,底曳網漁業,南氷洋捕鯨業等)などのため,水産資源の確保はむずかしくなつてきている。とくに沿岸漁業は,最も就業者が多く,生産性も著しく低いため,過剰就業構造に対する抜本的対策を講じないかぎり,その発展をのぞむことはもちろん,現状の維持さえも困難な状態にある。

図7-1 沿岸,沖合,遠洋漁業別漁獲量の推移

このような状態にもかかわらず,生産面では,漁船能力の増強,漁業技術の進歩,漁業用資材機器の改善,新漁場の開発などに関する科学技術の進歩・発展により,その自然的人為的諸制約を克服し,ここ数年間,毎年25万トン〜30万トンの漁獲量の増加をつづけている。

この間,沿岸漁業による伸びは停滞気味で,漁獲量の伸びは,ほとんど沖合および遠洋漁業によつてもたらされた。( 図7-1参照 )

次に,利用面では,最近,生鮮,冷凍のままで利用されるものは漸減し,加工食品としての利用が著しくのび,しかも処理加工技術の進歩によつて漁獲物の( 図7-2参照 )完全利用化も著しく進んできている。

図7-2 漁獲物利用配分の変化

国民所得の増加にともない,その食生活の内容が蛋白質の摂取に重点がおかれるようになり,それも植物蛋白質から動物性蛋白質へと移行するにしたがい,蛋白質食糧源としての魚介類の需要は急増してきた。

国民所得倍増計画でも,昭和45年度の水産物総需要量および生産量をそれぞれ873万トン(昭和31〜33年平均の約1.5倍),740万トン(同じく約1.3倍)と推定しているように需要量は供給可能な量を大幅に上廻つている。

この需要と供給の不均衡をなくするためには,なによりも「漁獲量の増大」の方向をとらねばならない。今後,漁場の遠隔化による漁船の大型化,人件費の上昇による設備の合理化,近代化が進み,漁獲努力はますます増大することが予想される。したがつて,今後における漁獲量の増大は,近代的な装備をもつ,資本漁業がその原動力となつて,1)沖合漁業とくに遠洋漁業の開発,2)未開発資源の開発,新漁場の開発,3)養殖の開発などにもとめることとなろう。しかし,水産資源の生産基盤については,いまだ解明されない分野が多く,漁業生産上の大きな障害となつている。漁獲量増大を図るための主な技術的課題をあげればつぎのとおりである。

(a)生産性向上のため,対象魚族の生物学的研究の促進や工学的手法の積極的導入によつて,魚群探索,漁獲に関する技術を高度化し,作業の能率化をはかること。
(b)沖合および遠洋漁場の国際的制約問題については,広域にわたる洋上調査を基盤とした水産資源の的確な把握をおこない科学的根拠にもとずいた対外的に確固たる主張をなしうる態勢を確立すること。
(c)沿岸漁業における資源の維持涵養をはかるため,増養殖技術の高度化,漁場の人工造成技術の開発などにより,魚族の育成につとめること。
(d)水産物の多様性,季節性,生産の不安定性と変質性(腐敗性)という欠点を補うため,輸送,貯蔵,処理加工に関する技術の改善,改良によつて,利用価値の増進をはかること。

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