ここからサイトの主なメニューです
前(節)へ  次(節)へ
第3部   部門別に見た技術の動向
第2章  鉱業
  金属鉱業
3  選鉱


今日の選鉱方法がすべて浮遊選鉱を中心に発達してきたことは 表3.14 に示すとおりで,これを1日処理量50トン以上の機械選鉱場についてみると,その90%以上の鉱山が浮遊選鉱を採用している。

戦後,鉱山の復興にともなう,生産増大により選鉱場の設備の拡充は目ざましく,昭和25年にくらべると,5割近い増設が行われている。しかし,技術的には浮遊選鉱において,操業面でユニット・セルの考え方が発達した程度で飛躍的な進歩は行われていない。このため,浮遊選鉱は在来のままにして,これに付随する補助手段の向上に重点が置かれ,分級機やミルの改良,自動計量器の採用,重液選鉱の実施等が積極的に進められてきた,その結果,工数,電力等の原単位も 表3.14 に示すとおり大巾に減少している。

戦後広く普及した浮遊選鉱機

重液選鉱については選鉱能率の向上という点から,浮遊選鉱の予備手段として盛んに用いられ,今日では主要鉱山の大部分が採用している。これにより同一設備で選鉱能力が増加するほか,ボール・ミル給鉱の減少により摩鉱以上の経費が節約されるという利点がある。全泥優先浮遊選鉱法は戦前からすでに一部の鉱山で採用されていたが,戦後になって,ほとんどの鉱山がこれを採用するようになった。この方法の普及によって,従来回収されなかった随伴有価鉱物の回収が広く行われるようになった。とくに銅鉱山における随伴亜鉛鉱の回収が盛んになった。また,この方法は精鉱品位の向上,工程の単純化という点でもいちじるしい効果をもたらした。

表3.14 主要選鉱,青化製錬場の最近の推移

また,最近インパクト・クラッシャが小規模選鉱場向きとして設備される傾向にあるが,これはエネルギの転換がきわめて有効に行われるため,処理能力の割に設備費が安価であること,破砕能力も優れていることなどによりコスト低下に有効と思われる。また,従来のポール・ミルに代るものとしてトリコン・ミルがあるが,これも過粉砕による無駄なエネルギの使用を防止するということで採用されている。

以上,最近の選鉱技術における特色をのべたが,戦後わが国独自の技術で解決したものに磁硫鉄鉱の選鉱がある。磁硫鉄鉱については製鉄原料として利用するために脱銅処理を行う必要があり,まず磁力選鉱と浮遊選鉱により銅分を除去するものである。これにより国内の未利用資源の有効利用が可能になったことは,わが国技術の誇りとして注目に値する。

なお,選鉱作業においては対象鉱物の性状を確実に把握する必要があるが,この点で分析技術の進歩が大きな影響をおよぼしている。ゲルマニウムやチタンが回収されはじめたものもその1例であり,また,迅速分析が可能になったことも,選鉱作業の合理化にいちじるしい効果をおよぼしている。

最後に,将来の問題として1)わが国に多く存在する複雑鉱いわゆる黒鉱のもっとも経済的な処理をどうするか,2)有価金属の完全分離による採集率の向上を期するための技術的処理をどうするか,3)製錬技術の改革にともなう精鉱品位の向上の要求をどう解決するか,4)計測管理,自動制御などの技術をどういう風にとりいれるか,など種々あるが,これらの新技術の工業化を早急に検討するとともに,あわせて鉱物学などの基礎部門の研究を積極的に行う必要がある。


前(節)へ  次(節)へ

ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ