萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年10月2日)

令和2年10月2日(金曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

本年度における修学旅行の実施について、改正著作権法の施行(リーチサイト規制等)、令和3年度概算要求、日本学術会議の新会員推薦と任命について、大学入試改革、杉田水脈議員の発言について、オンライン教育に関する2大臣との面会、教育のICT化

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和2年10月2日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和2年10月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見

令和2年10月2日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 おはようございます。
 冒頭、私から2件ございます。小中学校、また、高等学校も含めてですけども、修学旅行の実施について、かねてよりお願いをしてまいりましたけれども、10月1日からGo Toトラベル事業で東京都の発着の旅行も対象とされ、全国の修学旅行で活用が可能となりました。つきましては、改めて、修学旅行の教育的意味や児童生徒の心情等を踏まえ、感染の拡大防止策を適切に講じた上でではありますけれども、ぜひ実施をしていただきたいと考えております。もし、既に一旦中止を決めたという場合においても、改めて実施を検討したり、その際、3月末日まで含めて実施を検討したりするよう最大限の配慮をお願いしたいと思います。また、当初の計画通りの実施が難しい場合にあっても、例えば、近距離での実施ですとか旅行日程を短縮するなど、実施方法を変更するなどして、できるだけ実施していただく工夫をお願いしたいと考えています。この旨、本日付で事務連絡を発出させていただく予定です。また、宿泊施設の確保に当たっては、例えば、東京代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターや、全国各地に27か所の国立青少年教育施設を文科省としては所管をしておりますので、こういった施設を積極的に利用していただきたいと思います。新型コロナウイルス感染症の影響下でも安全・安心な旅行となるよう、一般社団法人日本旅行業協会が国内修学旅行の手引きを作成したり、Go Toトラベル事業に参加する旅行業者等を対策を打ったりしております。修学旅行は子供たちにとってかけがえのない思い出であり、教育効果の高い活動でありますので、その実施について、保護者や教職員など関係の皆さんのご理解・ご協力をいただきたいと考えております。
 もう1点ですが、先の通常国会で成立した著作権法改正のうち、リーチサイト規制等に関する部分が昨日から施行されました。リーチサイト規制では、ユーザーを侵害コンテンツに誘導する悪質なリーチサイトの運営行為やリーチアプリの提供行為、そうした場での侵害コンテンツへのリンクを提供する行為等を規制することとしております。本改正により、多数存在しているリーチサイトを直接規制することが可能となり、ユーザーの海賊版へのアクセスを大きく減少させることができるものと考えています。実際に、昨日の施行までの間に多くのリーチサイトと思われるサイトが閉鎖をしており、早速、相当程度の抑止効果が出ているものと考えています。また、施行後も運営を継続するリーチサイトに対しては、CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構)及び不正商品対策協議会が関係各所とも連携しながら法的措置を行うべく対応を進めていると聞いております。文科省としても、引き続き、本改正の周知を図りつつ、海賊版の拡散防止のために厳格な対応を行っていきたいと考えております。なお、侵害コンテンツのダウンロード違法化については、来年1月に施行することとされており、文科省としても、施行までの間、引き続き、普及啓発・教育をしっかりと進めてまいりたいと考えております。私からは以上です。

記者)
 幹事社から2問、質問させてください。1問目ですが、一昨日、概算要求がまとまりましたが、その受止めと文科省として特に力を入れている点を教えてください。

大臣)
 一昨日、9月30日に、財務省に令和3年度の概算要求書を提出をしました。今回の概算要求においては、総額5兆9,118億円、対前年度6,058億円増額の要求を行っております。もちろん、全てに注力をしたいと思っていますが、例を挙げるとすると、少人数指導体制やGIGAスクールにおける学びの充実など、令和時代の学校のスタンダードの実現や、デジタル技術を活用した高等教育の高度化、東京オリンピック・パラリンピック競技大会等の成功に向けた対応、文化芸術活動の継続・発展などの支援、研究力向上に向けた若手研究者への重点的な支援等に必要な経費を要求しているところです。文科省としては、「新たな日常」、「人生100年時代」や「Society5.0」を見据えながら、日本を誰にでもチャンスがあふれる国へと変えていくための「未来への投資」として、必要な予算をしっかり確保できるよう、財務当局との折衝に全力で取り組んでまいりたいと思います。

記者)
 2問目なんですが、昨日、日本学術会議の新会員として、会議側が推薦した候補のうち6人が総理から任命されなかったことについて、学問の自由の侵害ではないかと批判もありますが、これについて、大臣のご所感をお願いします。

大臣)
 日本学術会議の会員につきましては、内閣総理大臣が任命することとされておりまして、所管外につき、私からのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

記者)
 学問の自由の侵害ではないかという部分についてはいかがでしょうか。

大臣)
 今申し上げたとおり、日本学術会議の会員については、内閣総理大臣が任命することとされており、所管外につき、私からのお答えは差し控えたいと思っております。

記者)
 大学入試改革について、一昨日行われた検討会議の中でですね、年内に予定された取りまとめが年明け以降、最大で来年の夏までと、延ばされることになったんですけれども、これについての大臣のご所感をお願いできますか。

大臣)
 大学入試のあり方に関する検討会議の検討スケジュールについては、当初、年内ということでキックオフをしたのですけれども、ご案内のとおり、その後、コロナが、感染が拡大をしてですね、会議そのものができない、あるいは集まれないという事態もございました。コロナ後のですね、ウィズコロナ、ポストコロナの大学入試のあり方についても、この際、議論をするべきだということで一つ考えが変わりました。もう一つは、来年1月に実施される大学入学の共通テストの実施状況をですね、せっかく新しいテストになりますので、この結論を、この状況を踏まえた上での結論を出すべきだという、この2つの視点から今後の会議の進め方について多くの意見が出されました。一昨日行われた検討会議においては、こうしたこれまでの委員の意見を踏まえて、座長より、年明け以降、第1回大学入学の共通テストなど、令和3年度大学入試の実施状況も踏まえつつ、更に議論を行うとの説明がなされたところでございます。新型コロナウイルス感染症拡大という、昨年、年内という目途を設定した時点では想定できなかった状況に直面していることも踏まえ、委員の皆さんでよく検討していただいた結果と受け止めており、引き続き、より良い提言に向けてご議論を続けていただきたいと思っています。

記者)
 この問題について、大臣は、再三、大学がそれぞれアドミッションポリシーを持って、入試についてはですね、考えればよくて、国にあまり頼るべきではないんじゃないかというご所感を述べられておりますけども。仮に、そういうふうに高大接続改革を見直すにしてもですね、結局、これは非常に政治的にもセンシティブな問題だと思うので、国民の合意形成とか、受験生も含めた納得感というのをどういうふうに作っていくかというのが非常に課題になってくると思うんですが、これについて、どういうふうなところにポイントがあるとお考えでしょうか。

大臣)
 まずですね、私が再三大学の責任でっていう、あの、発信をしているつもりはなくて、皆さん方から、個人的にどう思うかと聞かれたので、例えば、現時点ではこういうことを考えられると申し上げてきたまででございまして。せっかく多くの委員の皆さんに議論してもらっていますので、繰り返し申し上げていますけれど、私がその結論付けや方向性をですね、あらかじめ決めるつもりはございませんので。あの、一つの考え方として、そういうその枠の中で色んなことができるはずなのに、どうしてこういう制度になってきたのかっていう、私自身が疑問を持っているということを皆さんに露呈をしたまでなので、そういう方向で会議が進んでいるんじゃないので、そのことはご理解いただきたいと思います。大学入試のあり方に関する検討会議では、全ての審議を公開にしております。また、受験の当事者である高校生を含む約40人からのヒアリングを実施してきました。一昨日の会議では、Webを通じた国民からの意見募集の結果に基づく議論を行ったところですが、この意見募集も約700件の様々なご意見をいただいております。現在、これに加えて、大学入試の詳しい実態を把握するとともに、全ての大学から意見を聞くための調査も実施しているところです。国民の皆さんが納得する制度にしていかなきゃならないというのはその通りでございまして、こうした多様な意見に十分耳を傾けることが重要であると考えておりまして、より良い提言に向けて、更に委員の皆さんと議論を続けていきたいと思っています。

記者)
 2点ほどお伺いします。まず、日本学術会議の件ですけども、所管外ということは重々承知の上でお伺いしますが、あの、教育、科学技術の分野を所管する大臣として、今回の人事についてご意見されたり、何か考えを述べられたりされた事実はございますでしょうか。

大臣)
 全くありません。

記者)
 もう一点、自民党の杉田水脈さんの女性は嘘つく発言についてお伺いします。ブログでご自身発言されたことを認められたので、事実として認定されていると思いますが、わいせつ教員の、被害撲滅・厳罰化を進められている、強く進められている萩生田大臣として、この発言については、やはり、子供、特に女性、女の子に対する、被害者への冒涜でもあるかなと、私は個人的に思ってますが、この発言について萩生田大臣の考えをお聞かせください。

大臣)
 まず、報道ベースでしか承知をしておりませんので、どういう経緯やどういう事実関係があったのかは私は承知をしておりません。また、党の部会というのは、自由な発言が保障されている場であって、例えば、議事録などと発言を照らし合わせて、何かですね、メディアの皆さんに説明するという性格のものではないというふうに思いますので。当初、本人は、そういうことは言ってないと。しかし、色々自分で同席していた人たちから聞いたら、それに類することを言っていた。したがって、お詫びと訂正をしたいということでありますので、その一連のプロセスについては理解したいと思うのですけれど、あの、極めて、今、私たちが進めようと思っているですね、女性の性被害などに対してしっかり配慮した世の中を作っていこうという点では、誤解を招く発言だなという感想を持っています。

記者)
 一部報道でも出ているんですけども、大臣、今日、河野大臣、平井大臣と面会されて、オンライン教育についてお話されるということが出ているんですが、今日はどんな議論をされるご予定なのかお聞かせください。

大臣)
 平井大臣が就任した当初からですね、文部科学省としても、デジタル化などでいろいろ進めたいことがあるのだけれども、しかし、これ、文部科学省だけでは解決できない課題があるので、省庁横断的に再対応してもらいたいっていうことがございました。そのことで、じゃあ1回会おうということになって今日の日になりましたので、平井さんや河野さんが何を提案してくるのかっていうのは、私はあらかじめ承知していませんけど、例えば、私の方からは、以前にもちょっと申し上げたように、せっかく年度末までに小中学生1人1台の端末整備が可能になったわけです。その先のデジタルを活用した日本の公教育ってどうあるべきかっていう、こういう未来図を書いていかなきゃならないのですけれど、例えば、CBTのお話も以前ちょっとしました。せっかく日本中でですね、みんな端末持っているんだったら、ある日のある時間にヨーイドンで同じ問題を解いてみるっていうのは、すごくエビデンスが分かりやすく、効果があると思うんですけど、現状の、残念なのですけれど、デジタル環境の中では、それをやるとですね、サーバーがオーバーワークしてしまって、残念ながらデータが取り切れないとか、あるいは問題の配信ができないという課題があるんだということを専門家の皆さんからご指摘をいただきました。図らずも、昨日ですか、証券取引所のシステムが動かなくなるってことがありましたので、こういったことも含めて、せっかく、末端の端末までは整備するんだけれども、それをどうやってオールジャパンで使っていくかっていうのは、これは、文科省と教育委員会だけで話し合うことじゃなくて、自治体がどういうサーバーを今後整備していくべきなのか、あるいは広域行政でクラウドをどう使っていくのか、こういったことは少し外からやっぱりアドバイスや設計をしてあげないと、相対だと、後ほどまた二重投資になったり、更なる課題が発生することがあると思いますので、こういうことを、ぜひ平井さんには、リーダーシップを発揮をして、日本全体を俯瞰して、新しいデジタル社会っていうのを作っていただくための設計図を書いてもらいたいなっていうことを要望しようと思っています。

記者)
 今の話とひょっとしたら関連するかもしれないんですが、教育のICT化に関しましてちょっと伺いたいなと思います。先日の中教審の小中分科会の方でですね、大体来年の答申に向けた議論がある程度姿が見えてきたんですけれども、その中で、教育のあるべき姿として、その、対面とオンラインとハイブリッドという表現が、これまでずっとありましたけれども、盛り込まれていると。その中で、オンラインをどう使っていくかというところなんですけれども、この間のコロナ禍においてはですね、特例的に家とつないでっていう形もありましたし、それから不登校支援という観点で言うと非常に有効だという意見もあります。一方で、その、通常時に、ご家庭と教室をつないでオンラインで行うっていうところに関しましてはちょっとよく分からなくて、そこが知りたいんですけれども、大臣として、そういうものを認めていくというお考えがあるのか、どういう姿をイメージされておられるのかちょっと伺いたいなと思います。

大臣)
 なんとなく、新内閣になって、そういうその目の前で、デジタルでできることについて果敢にチャレンジしようっていう姿勢が見えることはですね、私は、それは歓迎したいと思うのですけれど、教育においては、やっぱりですね、対面や集団で対応することの大切さっていうのはあると思うのです。すなわち、コロナで学校に来れない状況で、せめて授業だけでも何とかカバーしようっていうところで、このオンラインの有効活用っていうのがクローズアップされました。これをもって学校教育の代替がされているということでは全くないと思います。やっぱり、学校へ来て、クラスの中でそれぞれ役割を担ったり、好きなことや嫌いなこと、得意なことや不得意なこともやっぱりやっていかなきゃならない。それが義務教育のいい点でもあると思います。給食のメニューを選ぶことができません。注文なんかできません。ですから、栄養価で計算された与えられたものを、皆さん同じものを食べているわけですから、そういうですね、集団活動で学ぶこともたくさんあるので、やっぱり、学校には来ていただくってことを前提にするべきだと、私は思っております。ただ、せっかくこういう環境が整備された後に、例えば、自宅学習で、例えば授業の振り返りができるようにしていくとか、こういったことは家に帰ってノートを開くのと同じように、デジタルでも可能になっていくわけですから、そうすると、こういう良い点っていうのもですね、今後は活用しやすくしていく必要があるんじゃないかと思います。せっかく、学校ではそういうツールを使っているのに、家に持って帰ると全く使えないっていうのではもったいないと思うので、そこは、社会全体でそういう社会を作っていくっていうことは、これからの課題だと思っているのですけど。何か、ややもすると、オンライン授業で全てが代替されるかのような合理的なことをおっしゃる方がいるんですけど、それはちょっと大きな間違いじゃないかなと思っていまして、あくまで子供たちにとってはツールだと思います。他方、義務教育が終わった後の高等学校や大学などは、少し、やっぱり、この時代の変化に合わせて、ある意味、許容していく範囲っていうのを入れて広げていくことは、決して私はやぶさかではないと思っていますけれど、義務教育段階でのオンラインの活用の在り方とその先のオンラインを活用した学びの在り方っていうのは、やや中身が違うと思っていますので、ここは、あんまりですね、わーっと勢いで行うことではなくて、やっぱり慎重に制度を作っていく必要があるのではないかなと思っています。それをちょっとかっこよくハイブリッドって言ってるんですけど、その両面のバランスについては、今後、また色んな議論が出てくると思うので、そこはしっかり、文科省としての考え方は伝えていきたいなと思っています。

記者)
 ちょっと補足させてください。今のお話ですと、その、義務教育段階においては慎重な検討が必要だというようなことかなと思うんですけれども、仮にその、平井大臣とか河野大臣からそういうご提案があった場合も同じようなことをおっしゃられるおつもりでしょうか。

大臣)
 必要性をしっかり申し上げていきたいと思いますし、例えば、今日の会議に臨んでみないとわかりませんけれど、日本の公教育の教科書って検定制度なので、十何種類も教科によってはあるわけですよね。そうすると、それをですね、択一的に国が責任を持って、そのオンラインに載せていくっていうのは現状のシステムでは難しいと思います。従って、やっぱり、学校毎ですとか自治体毎できめの細かい対応をしていかないと、いいオンラインを活用した授業というのはできないと思うので、私は、その点は両大臣に説明をしていくつもりでございます。オンラインに代替すれば全てが解決するというのは、これは、申し訳ないんですけど、学校教育、皆さんも、通信簿学校から貰ったと思いますけれども、通信簿って開くと、左と右にそれぞれ評価があって、今、オンラインで仮に代替できるとすれば、左の部分の評価であって、右の部分を通信簿でオンラインで代替するというのは難しいと思います。すなわち、学校教育というのは全部、インクルードのものだと私思っていますので、そこはぜひね、担当外の閣僚の皆さんにもしっかり説明をしていきたいなと思っています。

(了)

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