萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年11月19日)

令和元年11月19日(火曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

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スーパーコンピュータ「富岳」試作機の「Green500」ランキング1位獲得、映画「カツベン」と文化庁とのタイアップ、大学入学共通テストにおける記述式問題に関する件、給特法改正法案に関する件、安倍総理大臣の在任期間が通算で憲政史上最長となった件、桜を見る会に関する件、新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議、「大学入試英語成績提供システム」の導入の延期に関する件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年11月19日(火曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年11月19日)

令和元年11月19日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から2点ございます。一つは、昨日、スーパーコンピュータ「富岳」の試作機が、消費電力あたりの計算性能を競う「Green500」という制度の中で、ランキングで1位を獲得したことが、富士通株式会社と理化学研究所によって発表されました。「富岳」はスーパーコンピュータ「京」の後継機として、令和3年から4年の共用開始を目指して開発が進められていますが、この「富岳」の技術について、世界トップの省エネ性能を持つことが実証されたものと認識しています。現在、科学技術力の発展と産業競争力の強化に不可欠な最先端インフラとして、「富岳」のようなスーパーコンピュータへのニーズは高まり続けており、米国、欧州、中国でも、開発が強力に推進されています。文部科学省としては、「富岳」の早期運用開始を目指し、開発を進めるとともに、健康医療や防災など様々な分野において、成果を最大化させるための取組を推進してまいりたいと思います。
 もう一点はですね、こちらにも掲示をさせていただきましたけれども、文化庁は、12月13日に公開予定の映画「カツベン」とのタイアップを行うこととしました。この映画では、福島県福島市の重要文化財である旧広瀬座を主なロケ地として、今からおよそ100年前に活躍した活動弁士を目指す青年を主人公に、日本映画の未来を夢見た人々の姿が描かれています。また、配給元の東映株式会社の協力により、文化財の活用促進への期待を込めたメッセージを掲載したポスターを作成し、全国の自治体や関係機関等に配布することとしております。今回のタイアップを通じて、日本全国において文化財の活用がより一層進むことを期待をしております。私からは以上です。

記者)
 2点あります。1点目はですね、先週末に野党が衆議院の方にですね、大学入学共通テストの国語、数学の記述式試験のですね、導入中止を求める法案を提出しましたけれども、それに関しての大臣の御考えをお聞かせください。もう1点はですね、安倍総理が、本日、首相在任通算期間がですね、最長とまりましたけれども、それに関しての大臣の受け止めをよろしくお願いします。

大臣)
 まず、野党の皆さんから、そのような法案が提出されたことは承知をしておりますが、文部科学省としてはその取扱いについてコメントする立場にございません。いずれにせよ、大学入学の共通テストについては記述式問題の採点を確実に行うことや受験者の自己採点を行ないやすくすることが課題となっており、引き続き大学入試センターと協力しながら必要な措置を講じ、円滑な実施に向けて万全を期してまいりたいと思います。
 総理が今日並んだんですね。安倍総理のリーダーシップの下、経済の再生、外交・安全保障の再構築、全世代型社会保障の実現に向けた取組、とりわけ文科省関連の政策で言えば、教育再生に向けた取組や教育の無償化・負担軽減など、一つ一つ課題に取り組んできた結果だと考えております。いずれにしろ、今後とも国民の皆さんと約束した項目について、一つ一つ丁寧に実行していきたいと思います。

記者)
 冒頭にありましたスパコンの件なんですけれども、今後ですね、スパコン自体が創薬や防災に役立つというのは、今までスーパーコンピュータでも言われていたんですけれども、今後Society5.0を実現する上でですね、AIだとかそういうものの活用が重要になってくると思うんですが、大臣はどういったところに期待されますでしょうか。

大臣)
 スーパーコンピューターはですね、創薬や防災など、様々な分野における最先端の研究基盤として、これまで多くの成果を生み出してきました。また、今後、Society5.0の実現に向け、AIやデータ科学が更に発展するためには、大規模なスーパーコンピュータが不可欠であり、「富岳」は、最先端のAI研究基盤としても、大きな役割を果たすものと期待をしています。このような成果の創出を一刻でも早く実現するため、「富岳」は早期の共用開始が必要と認識しており、大学のみならず産業界の利用者からの期待も大きいことから、共用開始時期の早期化に向けて、開発を加速してまいりたいと思っています。

記者)
 給特法の改正案に関してお伺いしたいんですけれども、審議入りしてから1週間という比較的短い期間で先週、委員会の方で可決いたしましたけれども、野党は一方で変形労働時間制に反対しているということで、大臣の御見解を、議論が深まったかどうか御見解をお伺いできればと思います。

大臣)
 現在、国会において給特法の改正案の御審議をいただいているところであり、先週、衆議院の文部科学委員会において御可決をいただきました。審議においては建設的な質疑が行われたところであり、改めて、学校における働き方改革の総力戦の取組の一環としてですね、また、本法案に対しする懸念の声にもしっかりと対応できるよう、省令や指針等を通じ丁寧な制度設計を図っていきたいと考えています。また、本法案をお認めいただいた場合、その実効性を高めるために、各地方公共団体において、同じ思いを共有して条例等の制定に取り組んでいただけるよう、全国の教育長や首長、また地方関係団体等が集まる会議など様々な場を活用して、今回の改正の趣旨や意義の周知徹底を図ってまいりたいと考えています。本法案についてご理解をいただき速やかに成立させていただけるようにですね、引き続き国会において丁寧な説明に尽くしてまいりたいと思います。

記者)
 現場の先生方からはですね、なかなか自分の意見が届いていないのではないかとかですね、一方で、国で議論が進んでいることも、なかなか周知されていないんじゃないかといったような意見もありますけれども、そこら辺の周知徹底ですとか、現場から意見を吸い上げるような取組というのは、これまでやってきたんでしょうか。

大臣)
 今の段階で現場の皆さんの声を汲み上げるというのは、これからですね、法律が出来上がって条例を作っていく上の段階ではですね、是非そういう仕組みを組み入れていきたいと、繰り返し委員会の中でも申し上げてきましたので、その段階で懸念の声については、しっかり答えていける準備をしていきたいなと思っています。一番の懸念はですね、1年単位の変形労働時間制を導入することによって、自分たちの労働時間がもっと長くなってしまうのではないかということを懸念している皆さんの声だというふうに承知をしておりますので、そこは繰り返し委員会の中でも申し上げているようにですね、学校への滞在時間をそもそも縮減をしてですね、働き方を見直していこうというのがこの法案の大きな趣旨でありますので、そのことは繰り返しになりますけれども管理をする側に徹底をしてまいって、実効性を高めていきたいと思っています。

記者)
 2点お尋ねします。まず1点目が、安倍総理の在職日数が憲政史上最長に並んだ件についてなんですが、政権が長く続くことについて、どんな課題があると思われますでしょうか。安倍政権が長く続くことでその次を担う人物には政権運営にあたりどのような難しさがあると思われますでしょうか。
 2点目が桜を見る会についてです。安倍総理から昨日も説明が続いていますが、詳細については多くのものが廃棄されていたりして事実関係を確認できない状況となっています。こうした事態についてどのように思われますでしょうか。

大臣)
 まず、長期政権の、いうなら課題といいますか、長期の政権を行なうことによって政策を継続的に前に進める利点や、あるいは外交上、人が変わらないわけですから、御案内のとおりですね、G7やG20で大きなリーダーシップを発揮をして、外交上ものを決める、いうならば、その決まったことに従うのではなくて、ルールメーカーとして日本はこの7年間振る舞いを続けてきたことは、大きな成果だというふうに私は思っております。他方、長く続けばですね、当然慣れもあるでしょうし、あるいは、いうならば緊張感の欠けたところもあって、そのことの一つが、今御指摘のあった問題にもつながっているんだと思います。長く続けることが目的で総理も頑張ってきたわけではないと思いますので、ここは気持ちを入れ替えてですね、しっかり日本国のリーダーとしてのその役割を果たしてもらいたいなと、そんなふうに思っております。
 桜の会については、長官が既に記者会見でも申し上げているように、長年の慣例で行ってきているものですけれども、その長年の慣例というのも長期政権の弊害の一つだという御指摘がたぶんあるんだと思います。様々なご意見があることを踏まえて、今後は招待基準の明確化や招待プロセスの透明化について検討を行い、予算や招待人数も含め全般的な見直しを幅広く意見を聞きながら行なうとされたものと承知をしております。

記者)
 話題が変わりまして新国立競技場の整備についてお伺いします。本日、関係閣僚会議でですね、菅官房長官から定められた工期、コストの範囲内で完了する見込みだという発言もあったところなんですけれども、一連の白紙撤回の紆余曲折あった中で、予定通り竣工となったということで、改めて文部科学大臣としての受け止めをお伺いしたいのと、大会後の後利用なんですけれども、おそらくは文部科学省が中心になって検討することになると思うんですが、今後のスケジュール感や方向性について大臣の御考えをお聞かせください。

大臣)
 本日の関係閣僚会議でJSCの方からですね、整備事業の進捗状況について、今月末に完成見込みとの説明がありました。続けて、私から、大会後の運営管理について、検討状況を報告させていただいたところでございます。まず受け止めから申し上げれば、ザハ案からですね、今の案に変えるということで大変な混乱があったんですけれど、結果的には、予算内できちんとした競技場が整備できたことは、誠に良かったというふうに受け止めております。他方、あのことがなければ、ラグビーワールドカップでも使えたのになという残念な思いがございまして、ほぼもう99パーセント完成してましたから、無理無理使えば使えたのかもしれませんけれども、まだ一般の公開をしていないということで大事をとりましたけれども、そのことはちょっと残念だったなと思っております。今後のことなんですけれど、基本的には、周辺の地域の整備と調和のとれた民間事業への移行を図るという関係閣僚会議の基本方針を踏まえて、マーケットサウンディング等により、民間事業者の意見を聞きながら、ビジネスプランの公募に向けた検討を行ってまいりました。その結果、ビジネスの専門的立場から、細部にわたる様々な御意見をいただいて、大変参考になったものの、詳細な競技場に係る図面等がないと、投資やリスクの十分な検討ができず、企業として最終的な判断ができないという意見を数多くいただいてまいりました。他方、間近に迫りました東京大会の警備上ですね、セキュリティの確保の観点から、現時点で詳細な図面等を開示することは極めて困難であることから、実際に開示可能となる大会後に、必要となる図面等を開示し、十分な検討を行ってもらった上で、再度、民間の意見を聞くこととしております。結果として2019年の途中からというふうに目途をしていた民間事業化のスキームを、2020年秋以降に構築をし、公募を行うこととなりますが、大会後の改修の方法等を調整することにより、従来からの2022年の後半以降の共用開始は可能であるというふうに思われておりまして、そのことは私から報告をしました。大会後の運営管理につきましては、スタジアムの持続的な運営を行うため、民間のノウハウを競技場運営にも反映させ、スポーツはもとより、コンサートなどでも積極的に活用し、コスト削減に努めることで、スタジアム全体の収益性を高めること、このことが関係閣僚会議の基本認識であります。今後は、文部科学省が中心となって、大会後の運営管理について検討を進めることになります。文科省としては、大会のレガシーとして、新国立競技場に日々人が集まり、国民に長く愛されるスタジアムになるように、引き続き丁寧に、民間事業者の提案や知見を集めて、関係者の意見も聞きながら、しっかり検討を進めてまいりたいと思います。

記者)
 関連してなんですけれども、今、収益性というお言葉とコンサートという話もあったんですが、その観点でいわゆる陸上トラックをですね、存続するかどうかという観点が、コンサートを開けるかどうかにも関わってくるという指摘もあったかと思うんですが、当初確認されていた球技専用とするという方向性が、現状では維持されているとお考えなのか、そこも含めて改めて検討するというということなのか確認させてください。

大臣)
 最終的にはサウンディングの中でですね、民間の方たちの意見を聞いた上で、最終方向は決めますけれど、基本的には球技専用スタジアムに改修するという方向性で、継続して検討を続けていきたいと思っています。

記者)
 大学入学共通テストの記述式の自己採点についてです。先週、大臣は記者会見で自己採点について問題点があれば、今後もう一度試行調査を実施するということも検討するというふうに御発言されておりました。ただ、今行なっております準備事業では、自己採点と本来の本当の採点の解離というものは調査していません。であれば、今までの2回の試行調査で3割のずれがあると、それについて問題点があると考えるかないと考えるかで、今後、試行調査をもう一回行うかどうかを考えなければならないと思うんですが、まず、この今3割のずれがある、大臣は問題点があるとお考えでしょうか。

大臣)
 国語の自己採点の一致率については、平成29年、30年度の施行調査において7割程度となりましたけれども、この結果を踏まえ、大学入試センターにおいては、正答の条件の意味や内容を分かりやすく整理して、高等学校に周知するなど、高等学校における指導の充実を促すこと等を通じて改善を図ってまいります。また、現在実施中の大学入学共通テストの準備事業を通じた一連のプロセスの検証、改善を通じて、採点基準の在り方の改善等も図られ、受験生にとって自己採点をしやすくなることにもつながると思っております。ご指摘のように、今回は自己採点をしないというシステムになっておりますけれども、これ大きな意味で一連のプロセスの確認をしていますし、また対象者が高校1年生ということもありますので、やや自己採点に視点をおいた準備事業ではないんですけれど、しかしこういった取り組みが本当に反映されるかどうかは、必要に応じて大学の入試センターと相談をして、まだ時間がありますのでそういう機会を設けることも否定はしません。

記者)
 高校に周知することは理解できるんですが、高校に周知した上で本当に自己採点とのずれというのが改善されたかどうかを見なければ、受験生は不安解消にはならないと思うんですけれど、つまり今のスケジュールでいきますと、今年度中に高校に周知しました、その上で次は本番を迎えることになります。これについては大臣はいかがお考えですか。

大臣)
 おっしゃるとおり、その間でもう一度検証をする必要があるんじゃないかと思っておりますので、その検証の仕方も含めて入試センターと相談したいと思います。

記者)
 共通テストに関連してなんですけれども、見送りになっている英語民間試験の検討準備グループ等ですね、意思決定に係る関係会議の議事録の公開が求められていると思うんですけれども、委員の了解を取ったりとか作業を進めているかと思うんですが、大臣が考えている目途というか、例えば11月中ですとか国会が終わるまでとか、どのくらいの目途で考えているか、進捗状況、それから同じく大臣の下で1年間にわたって在り方を含めて考える会議を設けるということですが、それの初回の日程ですとか人選ですとか、その辺の進捗状況を教えていただけますか。

大臣)
 人選は今進めておりまして、後段の質問からお答えすると、年内に第1回会議を開催したくその準備を進めているところです。それに合わせて当然、検証の資料等の開示等も進めなければならないので、これは事務方の方で、順次、国会でもお答えしてきましたけれども、元々非公開という条件で会議に出ていただいた方々の発言をどのように開示ができるかの了解をですね、お一人お一人丁寧に取っているところです。もう既にその作業が始まっておりまして、中にはちょっと海外にいらっしゃる方もいらっしゃるので、そういう意味では物理的な時間は必要になると思いますけれども、いずれにしても年内に第1回の会議をスタートすることに合わせて、それまでには全ての作業を準備を終わらせたいと思っておりますので、そういうスケジュール感で今進めています。

記者)
 国会というよりは、その1回目の会議までにという考えですか。

大臣)
 そうですね。別段、会期中に要件が整えばですね、それは開示する予定でいますし、また休会中であってもですね、委員会などに提出することは、全然やぶさかではありませんけれども、まず了解を取らなければならないので、その作業を今進めているという状況です。

(了)

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大臣官房総務課広報室