萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年11月1日)

令和元年11月1日(金曜日)
教育、文化

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「大学入試英語成績提供システム」の導入の延期、首里城で発生した火災に関する対応

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年11月1日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年11月1日)

令和元年11月1日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から「大学入試英語成績提供システム」に係る今後の方針についてをご報告をさせていただきます。私は、就任以来、試験を受ける高校生のことを一番に想いながら、英語民間試験活用のための「大学入試英語成績提供システム」の在り方について、これまでの進捗状況を冷静に分析しつつ、多くの方々の意見を伺いながら、慎重に検討を行ってまいりました。こうした中、先日は、私の不用意な発言で、高校生をはじめとする皆様に大変な御迷惑をおかけをしましたが、この間も更に多くの方々から御意見をいただくこととなり、より一層、現状の課題を浮き彫りにすることができました。文部科学省としては、大学入試センターを通じてということもあり、民間試験団体との連携調整が十分でなく、各大学の活用内容、民間試験の詳細事項等の情報提供不足等準備の遅れにつながることとなりました。ここまで準備を進めていただいた試験団体の皆様にもご迷惑をおかけをすることになりました。「大学入試英語成績提供システム」は、現時点において、経済的な状況や居住している地域に関わらず、等しく安心して試験を受けるられるような配慮など、文部科学大臣として、自信をもって受験生の皆さんにお薦めできるシステムにはなっていないと判断せざるを得ません。これ以上決断の時期を遅らせることは混乱を一層大きくしかねないため、ここに、来年度からの導入を見送り、延期することを決断をいたしました。私の耳にはこれまで頑張って英語の勉強をしてきた高校生の声も届いていますし、皆様にはご迷惑をおかけしてしまい申し訳ない気持ちです。最後に、私から言わなければならないことがあります。それは今後の話です。子供たちに英語4技能を身に付けさせることはこれからのグローバル社会に必ず必要です。それを入試でどのように評価していくのか、できるだけ公平で、アクセスしやすい仕組みはどのようなものなのか、新しい学習指導要領ではじめて実施をする令和6年度に実施される大学入試に向けて、私の下に検討会議を作って、今後、1年を目途に検討し、結論を出したいと思います。また、多面的・総合的に学力を評価しようとする高大接続改革を引き続き着実に進めてまいります。令和2年度から開始する「大学入学共通テスト」の記述式問題の導入など大学入試改革については、円滑な実施に向けて万全を期してまいりたいと思います。今回の件について、受験生をはじめとした高校生、保護者の皆さんに対する私の気持ちをメッセージとしてお伝えをしたいと思いますので朗読を許してください。
 文部科学大臣の萩生田光一です。皆様に、令和2年度の大学入試における民間英語試験活用のため、「大学入学英語成績提供システム」の導入を見送ることをお伝えします。大学入試における英語民間試験に向けて、今日まで熱心に勉強に取り組んでいる高校生も多いと思います。今回の決定でそうした皆様との約束を果たせなくなってしまったことを、大変申し訳なく思っております。英語民間試験を予定通り実施するかどうかに関しては、高校生をはじめ多くの皆様から、賛成・反対、様々な意見をいただいてきました。私としては、目標の大学に向けて英語試験の勉強を重ねている高校生の姿を思い浮かべながら、当初の予定通りのスケジュールで試験を実施するために、連日取り組んでまいりました。しかし、大変残念ですが、英語教育充実のために導入を予定してきた英語民間試験を、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、等しく安心して受けられるようにするためには、更なる時間が必要だと判断するに至りました。大学入試おける新たな英語試験については、新学習指導要領が適用される令和6年度に実施する試験から導入することとし、今後1年を目途に検討し、結論を出すこととします。皆様が安心して、受験に臨むことができる仕組みを構築していくことを改めてお約束を申し上げます。今回、文部科学省としてシステムの導入見送りを決めましたが、高校生にとって読む・聞く・話す・書くといった英語4技能をバランスよく身に付け、伸ばすことが大切なことは変わりありません。グローバル化が進展する中で、英語によるコミュニケーション能力を身に付けることは大変重要なことです。皆様にも、これからも日々の授業を大切にするとともに、それぞれの目標に向かって努力を積み重ねていただきたいと思います。私からは以上です。

記者)
 大臣はですね、30日の衆院文部科学委員会で円滑に向けて全力で取り組ませてほしいと、そう答弁されておられましたが、今回の決定に至るまで、いつ、いったいいつですね、どのような経緯で延期を決断されたんでしょうか。そしてもう一つですね、今回の事態には先ほども少しありましたけれども、ご自身のテレビでの発言が影響されたかと思うんですけれども、その点についての受け止めを改めてお願いいたします。

大臣)
 先ほども申し上げたところですけれども、この問題は就任以来ですね、試験を受ける高校生のことを一番に想いながらシステムの在り方について多くの方々の意見を伺って慎重な検討を行ってまいりました。その結果、現時点、11月1日の今日の時点において、経済的な状況や居住している地域にかかわらず、等しく安心して試験を受けられるような配慮など、私が就任の会見でも申し上げたとおり、自信をもって受験生の皆さんにお薦めできるシステムになっていないという判断をしたため、本日、延期を決断をしたところです。また、延期という決断に至るまで、私の考えは先ほど述べたとおりでありますけれども、私の発言が直接原因をしたということではありません。

記者)
 大臣、先ほどおっしゃったように就任以来からですね、必ずしもお薦めできる形になっていないというお話をされていましたが、就任までの間の議論もあった中で、ここのタイミングで延期を決定したということの問題は、導入に向けた議論が不十分だったのか、それとも導入が決まってからの手続きが不十分だったのか、どこに問題があるというふうにお考えでしょうか。

大臣)
 いずれも問題があったと私は申し上げざる得ないと思います。私は就任以来、この問題については、自信をもって受験生の皆さんに提供できるシステムかどうか、自分なりに多くの皆さんの声を聞いて勉強してみますということをこの場でお約束をしました。第一段階として、9月30日で切って、まずはこれを使う学校がどのくらいあるのか、使われる学部がどのくらいあるのかということで、まず目標とする学校についての限定をしました。そして、今日が民間の団体や企業の皆さんから試験会場の提示をお示しいただく期限になっておりますけれども、今日の時点で自分が受けようと思っている試験が自分の県のどこで、いつ、どの会場で行われるかを、もちろん詳細を提示していただいた団体の方もいらっしゃいますけれども、全体を通じて現段階でそのことを確定することはできない、こういう状況にありましたので、システム上、いうならば運営上、様々な点で足らざるところがあったと言わざる得ないと思っています。

記者)
 足らざるところという部分に関してなんですけれども、大学が、結局、公表するのが遅かった、団体がいろんな実施場所の公表をするのが遅かったという部分もあると思うんですが、文科省としてそこの調整の部分における責任というのはどういうふうにお考えでしょうか。

大臣)
 大きな点として、文部科学省と大学入試センターを通じて民間試験の実施団体との連携・調整が十分できなかったという点は、当然、文科省の中にも責任があると思います。このため、大学入試センターと実施団体との協定書の締結の完了が9月までずれ込みました。各大学における民間試験の活用状況や、実施会場や日程に関する情報の公表が結果的に遅れることとなり、また、経済的な状況や居住地域にかかわらず、等しく安心して試験を受けられるような配慮が現段階で残念ですけれども必ずしも十分ではありませんでした。とりわけ高校生、受験生の皆さんに不安を与えている状況は、解消されていないという、こういう判断に至ったところです。

記者)
 最後1点ですが、冒頭でも一部ありましたが、自身の御発言、いわゆる身の丈を巡る発言において、御心配をおかけしたというお話がありましたけれども、先ほど影響は今回の決断にないというお話もあった一方で、世論的にですね、地方の学生であったり経済的な困難家庭においては、反発が高まったと思います。そういった意味では合意形成を難しくするきっかけになったのではないかなというふうに思うんですが、ご自身の発言とその責任についてはどういうふうにお考えでしょうか。

大臣)
 これは繰り返し申し上げてきた通りでありまして、不用意な発言をもって受験生の皆さんに不安を与えたのは事実であり、お詫びをして撤回をしたところです。

記者)
 身の丈発言の関係なんですけれども、この発言というのはですね、まさにこの制度の本当のことを言い合っているのではないか、そういったことをおっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。大臣は今、いろんな経済的な問題などから延期をするというふうに発表されましたけれども、身の丈入試というふうになっていないかどうか、そのあたりは今はどう思われてますでしょうか。

大臣)
 そのことだけではなくてですね、全体的にやっぱり不備があるということは認めざる得ないと思います。従って、延期をし、その課題について、あるいは検証もきちんと行ってですね、今後どういった点を改善すれば皆さんが限りなく平等に試験が受けれる環境ができるかどうか、こういった点に注力をしてまいりたいと思っています。

記者)
 あと1点、実施団体のですね、影響というのは非常に大きいと思います。今後、例えば保証も含めてですね、いろいろな問題点が出てくると思うんですけれども、対応について考えていることがあれば教えていただけますか。

大臣)
 試験の実施団体からの訴訟提起の可能性については、コメントをする立場にはありませんけれども、これまでですね、来年度の実施に向けて懸命に準備を進めていただいた各試験団体に対してはですね、今回の判断について文科省として丁寧に説明をしてまいりたいと思っています。

記者)
 英語の4技能を入試で図る件についは、そもそも大学入試センターがテストを作るべきではないかという意見もあったんですが、今回の決断は、民間試験を使うことは継続すると、そこは間違いないんでしょうか。

大臣)
 そのことも含めて抜本的にですね、見直しをしてまいりたいと思います。今日までこのシステムに協力をいただいた団体の皆さんと、今後、更にどういう協力関係が構築できるのか、そういったことも見極めていかなくてはならないと思いますし、また、いわゆる協定という形で団体と大学センターでお話をしてきましたけれども、いうならば契約行為といいますかね、委託事業じゃないものですから、例えば繰り返し申し上げてきた減額要求なども、こちらからお願いをするという形しかどうしてもとれません。何か問題があったときに指示や、あるいは命令を出すようなことは仕組み上できないことになっていますので、そうなると継続的な運営が難しくなる心配もあるんじゃないか、こんなことも私の判断に至った要因の一つです。

記者)
 判断としては、民間試験の活用が前提になっているわけではないということでよろしいんですか。

大臣)
 今日まで一緒に取り組んでいただいた民間試験団体の皆さんとは、引き続き、信頼関係をもって前に進めていきたいと思いますけれども、仕組みも含めて抜本的に、また原因も含めて全面的な見直しを図っていきたいと思っています。

記者)
 まず1点確認ですが、先ほど、令和6年度から新たな導入を目指すということですけれども、これは令和6年の1月に実施するテストでしょうか。それとも7年の1月に実施するテストでしょうか。

大臣)
 指導要領が変更された6年の試験から実施ができるようにしていきたいと思っています。6年度の。6年度。

記者)
 7年1月に受験生が受ける試験ということですね。それともう1点、今回の経済格差ですとか地域格差の問題というのは、前々からずっと指摘をされてきたことでした。どうして文科省として、今に至るまで対応というのができなかったとお考えでしょうか。

大臣)
 それは今まで省内でもいろんな議論をしてきたんだと思います。私も先日の委員会の中でもですね、何らかの支援策を講じたいということを申し上げました。すなわち、予算的な措置が伴うものに関しては、やっぱり年度をまたいで議論をしなければならないこともあります。それから逆算すると時間がもう足りないということになったわけですけれど、残念ながら具体的にですね、例えば、試験会場が明確に分かればそこまでの交通手段として交通困難者がいるというようなことも明確に分かったと思うですけれど、そこにたどり着けなかったということが全ての要因だったと思います。

記者)
 構造的にはいかがですか。今回の試験は、もともと教育再生実行会議から始まった話ですけれども、そうったところで考えられたものがだんだん下りてくる中でなかなか文科省として改善ができなかったということはないでしょうか。

大臣)
 これも委員会の中で、私、自ら例示を示しましたけれども、例えば現段階で提示をされている自分が居住地域のすぐ近くで試験を受けたいと思って準備をしている学生さんが、複数の学校を受験をしなくては多分ならないんだろうと思います。1校だけで合格ができればそれはそれにこしたことはないですけれども、複数の学校を受けた時に、そのA、Bという学校は今考えている試験で対応できても、Cという学校が違うシステムを使わなきゃならないということになれば、そのシステムを選択しなくてはなりません。結果として、自分の居住地の近くで試験が受けれると思った方にも新たな負担が強いられるという構造上の欠陥が、私自身見えてまいりましたので、こういったことも含めてですね、抜本的に見直しをしてまいりたいと思います。この4技能が大切だということを教育再生会議も含め、全て皆さん、向いている方向は同じだと思います。どうやって平等な試験で大学入試の中で活用できるかに配慮が足らない点があったと思いますので、ここは一定の時間をかけてしっかり仕組みを作り直していきたいと思っております。

記者)
 経済的な格差の対処で、常に実施団体の方に減免措置を求めてきたと思うんですけれども、実施団体にしてみれば、減免した分というのは、結果的には全体の受験料に跳ね返らせるという仕組みしか取れないと思うんですが、そこに早い段階から公的な補助というのを考えなかったのはどうしてでしょうか。

大臣)
 制度を作る過程については、私、残念ながら参画していないので、そこの補助の話があったかどうかは現段階では分かりませんけれども、いずれにしてもですね、団体の皆様にはお願いをするという立場でしかないということに大きな問題があろうというふうに思います。また団体側も、これ民間企業、あるいは民間の団体でありますから、当然のことながらかかる経費やあるいは営利というものも考えなきゃならない、そういう意味では構造上ですね、やっぱりただ単に減額を団体の皆さんにお願いするだけでは解決をしないという、こういう判断に至りました。当然のことながら、公的補助も含めて、今後検討は深めていきたいと思いますけれども、今回までの段階の中では間に合わなかったというのが正直なところです。

記者)
 今日からID登録が始まるということになっていると思うんですが、ここについてはストップなりなんなりの対処をとられたんでしょうか。

大臣)
 IDにつきましては、受付を停止をしました。発行はいたしません。

記者)
 それはどのように連絡がいくんでしょうか。

大臣)
 事務的に連絡をしました。

記者)
 はい。

大臣)
 事務的に連絡をしてあります。

記者)
 すいません。同じような質問になってしまったら申し訳ないのですが、先ほど1年を目途に検討しなおすということでしたけれども、これは実施時期を検討されるのか、それともどのように4技能を測るのかを検討されるのか、どちらなんでしょうか。

大臣)
 実施時期につきましては、先ほど申し上げましたように、2026年度を目途に実施をしたいと思います。失礼しました。令和6年度に実施をしたいと思います。この1年間はですね、何故こういう状況になったのか検証をしっかりして、そしてこの間、様々なお声を頂きました。どうしたら、例えば交通困難地域の人たちが受験をしやすくすることができるのか、あるいは経済的に厳しい状況にある人たちがチャレンジがしやすい環境が作れるのか、こういったものも含めて、全ての問題点を洗いざらいにしてしっかりと制度の再構築を図っていきたいと思います。そのためには必要に応じて予算を要求することも出てくるかもしれません。こんなことも含めると年度をまたいで1年間、是非検討に時間を頂きたいと思っております。

記者)
 判断に至った経緯についてなんですけれども、大臣も当初から自信を持ってお薦めすることができないと、大臣の思いとしてもですね、難しさを公言されていたと思うんですけれども、延期をすることによる弊害というのもあったかと思います。改めてその判断が難しかったところ、何故決断が難しかったのかという点を教えてください。

大臣)
 これ、4年前から積み上げをしてきた制度でありますし、既に実施を公表しておりました。また、私の就任以降ですね、大学の皆さんにも期限を切って、活用するかいないかの判断を求めたりもしてきました。繰り返し申し上げてきましたけれども、不安払拭のメニューをですね、一つ一つ潰していくことによって、何とか予定どおりの実施ができないかという努力をしてまいりました。まだ時間を頂ければ、引き続き解決できる課題もあると思います。しかし、今日、11月を超えてですね、今日の時点で受験生の立場に立った時に、自分が受けようと思っている試験が、今日の段階でもどの市の、どの場所で、いつ試験が行われるのかも分からないまんま準備を続けるというのは、私は限界があるんじゃないかと思いました。もちろん止めることによって、延期をすることによって、新たな混乱が生じるという危惧も思いをめぐらせてまいりましたけれども、しかしそれよりもここで決断をして、一度立ち止まってですね、そしてシステムをもう1回見直していく、皆さんから評価をされる、理解をされる、そういうものに作り直していくことの混乱の方が優位だという、こんな判断に至った次第です。

記者)
 令和6年度から実施を目指すということですけれども、新しい試験がですね、どういったことが重要になってくると思われますか。円滑なその試験の実施を行うために。

大臣)
 試験会場ですね、いわゆる団体任せにしたという点も反省しなくてはならないと思います。やはり国が制度を変えて試験を実施するんだとすれば、その団体の皆さんがですね、地縁のない都道府県などを訪ねて、お宅のこの建物を貸してくれませんかというやりとりをすることを前提に、この試験をしようということに、私、やっぱり無理があったと思います。大学入試の国が制度を変える試験ですから、文部科学省の責任で会場を確保をきちんとした上でですね、この民間の皆さんの様々な知見というものを使っていくことができれば、こういうトラブルはなかったんじゃないかという反省をしておりますので、まずはその身近で受験生の皆さんがきちんと試験が受けれるという環境を作っていきたいと思います。もう1点はやっぱり経済的なことで厳しい環境にある方もいらっしゃると思います。その人たちが、給付型の奨学金のことを委員会でも申し上げました。申し上げながらもですね、私自身も辛い思いがありました。試験を受ける段階で、厳しい環境にあるのに、入学すればそれを補填するというのでは解決ができないと思います。こういったものも含めて財政的な支援もしてですね、チャレンジをする環境は平等に作っていくということに腐心をしていきたいと思っています。

記者)
 まず先ほどの決断に至った経緯の部分なんですけれども、29日のですね、直近の閣議後会見でも、あとその後の30日ですかね、委員会でも大臣は文科大臣として実施する方針を変えないというようなお話をされていました。それが、そこからわずかな期間で一転してこういう決断に、延期という、見送りという決断に至ったということには、総理だとか、総理を含めた官邸の意向が強く働いているんじゃないかという見方もあります。その点についてはまずどうでしょう。

大臣)
 本件の最終判断は、文部科学省、文部科学大臣として私が行いました。もちろん大きな課題ですから官邸にも報告はさせていただきましたけれども、最終的な決定は私の方でさせていただいた次第です。

記者)
 あくまで大臣の主導でということになりますか。

大臣)
 はい。

記者)
 大臣の就任前から、ずっと前からこの制度というのは作り上げられてきて、2016年の3月の段階ではですね、大学入試センターが自前で4技能の試験をやるというような話もあった、それがその後、今のような形になっている。歴代大臣も、担当者もたくさんの方が関わっていると思うんですが、今まで進めてきてここで転じることになった、方針を変えることになった、その責任というのはどこにあるというふうに今、思ってらっしゃいますでしょうか。

大臣)
 これは過去を振り返って、どの時点でどの判断に誤りがあった、間違いがあったということをここで私が申し上げることで、何の生産性もないと思います。いずれにしましてもですね、4年間という時間があったにも関わらず、今日まできちんと試験ができる環境を作り上げることができなかった、これは一にも二にも我々、文部科学省の責任だというふうに思ってますので、歴代、それぞれのお立場で御苦労された大臣やあるいは職員の皆さんの苦労は敬意を表したいと思いますけれども、この決断で我々がこれから先の責任を負うことで結果を出していきたいと思っています。

記者)
 冒頭でも記述式問題について触れられましたけれども、記述式に関しても、また採点の公平性とか、自己採点の難しさというのが懸念が上がっていると思います。改めて予定どおりに実施されるのか、また今回の件を機に、真摯に懸念に耳を傾けられるお考えがあるのか、いかがでしょうか。

大臣)
 記述式問題について、先ほど触れさせていただきました。これらについても様々な懸念があることは承知をしておりますけれども、これは実施までの間にですね、責任を持って解決をしてまいりたいと思っています。

記者)
 昨日の首里城焼失でですね、文科省の職員の方が調査に入られてというのもあると思います。その中身と復元、再建に向けて、長官も決意を示しておられますけれども、文科省としてどのように関われるか、関わられるかお伺いしたい。

大臣)
 世界遺産の構成資産であり、国指定史跡でもある首里城跡において、復元された正殿・北殿・南殿など7箇所が焼失したことは、大変残念に思っています。現在、火災の原因については、引き続き調査中です。防火設備等については、消火器や放水銃は整備されていたと報告を受けていますが、スプリンクラーは設置をされていなかったと伺っております。具体的な詳細については確認を続けたいと思います。文部科学省では、昨日、文化庁の文化財調査官4名を現地に派遣したほか、各都道府県の文化財部局に対して、復元建物も含めた文化財の防火管理等の点検・確認の依頼を発出したところでございます。今後は、消防庁など関係省庁とも連携し、文化財の被害状況を把握し、必要な対応をしてまいりたいというように思います。いずれにしても、これは沖縄県民のみならず日本国民にとって、極めて重要な史跡だったと思いますので、県の皆さんの方針に寄り添って、文部科学省、あるいは文化庁としてできることは、最大限、一緒に取り組んでいきたいと思っています。

記者)
 最後に英語試験のことで確認させてください。令和6年度から新しい、を目途に新しい試験を始めたいということですけれども、この英語4技能の評価の試験、これは今、目指してきたですね、民間の英語試験の活用以外の形になる、全く新しいものになる可能性もあるという理解でよろしかったでしょうか。

大臣)
 現段階でその予断をもってどういう仕組みでいくということを決定しているわけではありません。今まで何故、これがうまく構築ができなかったのか、今後どういうふうにしたらより良い試験制度に変えていくのかをよく検討した上で進めてまいりたいと思います。

(了)

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