萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年10月25日)

令和元年10月25日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化、その他

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台風19号に伴う2019年度小学校教員資格認定試験第2次試験の中止及び第2次試験に代わる措置、公文書等における日本人の姓名のローマ字表記の関係省庁申合せ、台風19号で被災した川崎市市民ミュージアムの美術品等の救出等の支援、菅原経済産業大臣の辞任、愛知県があいちトリエンナーレに係る補助金の不交付決定に対し不服申出を行った件、グーグルが科学誌Natureで「量子超越」に関する論文を発表した件、ハンセン病に対する偏見や差別の解消のための適切な教育の実施、全日本テコンドー協会に関する報道の件、千葉県流山市いじめ対策調査会の前会長が流山市教育委員会の対応に問題があるという会見を行った件、野党が英語民間試験の入試活用延期法案を国会に提出した件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年10月25日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年10月25日)

令和元年10月25日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 私からは、冒頭3件ございます。まず、昨日、総合教育政策局から発表させていただきましたが、去る10月12日、13日に全国5会場で実施する予定だった小学校の教員の資格認定試験第2次試験について、台風の影響で受験者の安全を考慮し、全会場で実施を取り止めることにしました。その場合、「受験案内」では、災害等による中止の場合を含め、いかなる場合も再試験を行わないとしていたところですが、試験が年1回でありますし、受験者は教員を志し、既に1次試験に合格している方々であることで、学校現場にとって有為な人材を迎え入れるための重要な仕組みであることを考慮し、2次試験に変わる別の方法により能力を評価する特例的な措置をとることとし、昨日、受験予定者全員にお知らせをしたところです。これにより、合格者の質に低下を来すことなく試験を実施したいと考えております。なお、詳細については担当局にお伺いいただければと思います。
 2点目ですけれども、本日、公用文等における日本人名の姓名のローマ字表記に関して、申合せがなされました。この申合せは、政府が作成する公用文等において、特段の慣例がある場合を除き、「姓-名」の順に表記することのほか、姓と名を明確に区別させる必要がある場合には、姓を全て大文字にすること、実施の日は令和2年の1月1日とすることとされました。今後、この申合せに沿って、各府省庁において対応していただくことになります。
 それから、今般の台風被害を受け、文科省では、子供たちが一日でも早く日常を取り戻すことができるよう、被災地の教育委員会にリエゾンとして職員の派遣を行っているほか、被災した文化財の復旧のための助言を行うなど、被災地の支援に全力を尽くしているところです。この度、被害を受けた川崎市市民ミュージアムの美術品の救出等のため、一昨日、川崎市より技術的支援の要請がありました。文化庁は、被災の規模などを考慮し、同ミュージアムへの技術的支援の実施を決定し、昨日、独立行政法人国立文化財機構へ協力要請を行ったところです。今後、現地の状況を踏まえながら、国立文化財機構の下に置かれている文化遺産防災ネットワーク推進会議を通じて、国立博物館・美術館など文化財関係の複数の専門家を派遣して、救出等にかかる技術的支援を行ってまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 2点ございます。まず今朝のニュースですけれども、菅原経済産業大臣が辞表を提出いたしました。これについてですね、閣僚として大臣の御所見をお願いいたします。

大臣)
 先ほど閣議が終わって部屋に戻ったところでニュースで、報道で知りました。仲間の閣僚として残念な思いはいたしますけれども、自らの出処進退、自ら決めたんだと思いますので、それは重く受け止めたいと思います。

記者)
 次にあいちトレアンナーレの問題ですけれども、文化庁が補助金不交付を決めたことに対して愛知県が、昨日、不服申し立てを行いました。これについて大臣の御所見をお願いいたします。

大臣)
 昨日、あいちトリエンナーレに係る補助金の不交付決定に対して、愛知県から不服申出の書類が提出されたことは承知をしております。今後、文化庁において、適切に対応してまいりたいと思います。

記者)
 23日ですね、米国のグーグルが量子コンピュータに必要となる技術というか概念なんですけれども、古典コンピュータの性能を上回る量子超越性というのを実証したというのが発表になりました。それに関して大臣の所感とですね、遅れているとされている日本の取組みについての、今後加速していく何かお考えがあれば教えてください。

大臣)
 所感と言われましても、量子コンピュータというのはどういうものなのか、私は正直申し上げて現段階でよく分からないんですけれど、グーグルが23日にNature、科学誌の誌上で量子コンピュータが従来のコンピュータを計算能力を始めて超えることを実証したという論文を発表したというのは承知をしております。論文自体の評価は学術界の議論に委ねたいというふうに思いますが、「量子超越」は量子コンピュータの発展にとって、重要なマイルストーンになるものと認識しています。量子コンピュータをはじめとする量子技術は、経済や産業、安全保障を大きく転換させる可能性のある重要技術との認識の下、欧州、米国、中国の政府や企業を中心に、巨額の投資を通じて、研究開発や社会実装等の取組を急速に推進されています。我が国でもですね、量子技術を科学技術イノベーション政策上の重要技術の一つとして位置づけ、統合イノベーション戦略推進会議の下に有識者会議を設置して審議を進め、本年7月に「量子技術イノベーション戦略」を取りまとめをいたしました。この中では、我が国の強みや国際競争力を基に、「超電導の量子コンピュータ」や「量子暗号」をはじめとする重点技術課題と、量子AIなどの融合領域を設定し、研究開発等を強化するとともに、国際的に顔の見える拠点の形成や、量子技術に関わる人材育成・確保の強化など、総合的かつ包括的な政策方針を打ち出しています。今後、これらの重点技術課題等に関する技術ロードマップを作成して、年末までに最終報告を取りまとめる予定であり、これを踏まえて、文科省としても「量子飛躍フラックシッププログラム」をはじめ、量子技術イノベーションの強化に向けた研究開発や人材育成等の取組をこれからですけれども、積極的に推進してまいりたいと思っています。

記者)
 昨日ですね、超党派の国会議員でハンセン病の家族に最大で180万円を補償するということを確認し、法案は議員立法の形で来月にも成立する見通しということになりました。まず、決まったことについて、超党派の議員の中で確認がとれたことへの受け止めと、教育現場での啓発、啓蒙に取り組んでいくのが文科省の役割かと思うんですが、そこに向けた取組みをお願いします。

大臣)
 政府としては、控訴をしないと決めたときからですね、ハンセン病の患者さん御本人のみならず、御家族の皆さんが、大変に筆舌に耐え難い差別や偏見を受けてきた、そういったことに対してきちんと国の判断の誤りを認めて補償するということで、一定の方向を示されたことは、非常によかったというふうに思っています。今後、ハンセン病患者、また御家族の方々の理不尽な思いや大変に辛い思いをしてこられたということを受け止めながら、文科省としては、8月30日付けで各都道府県教育委員会や私立学校の担当部局等に対して、ハンセン病に対する偏見や差別の解消のための適切な教育の実施について、通知を発出しました。また、各種会議の場等を通じて、偏見や差別の解消に向けた教育・啓発への協力要請、情報提供を行うことや、独立行政法人教職員支援機構が実施する教員の研修の内容の一層の充実等も検討しております。今後、御家族の皆様との協議や、人権教育推進検討チームでの議論等を踏まえて、関係省庁と連携し、取組の一層の充実を図ってまいりたいと思っています。

記者)
 全日本テコンドー協会の件なんですけれども、理事の総辞職を提案する見通しであるということで、外部有識者の方々に新理事を選任するという方向性だということで報じられていますけれども、大臣として今回のこういった動きについて御所見があればお願いします。

大臣)
 ワイドショーなどで度々この問題は報道されていますが、報道の内容は承知をしていますけれども、団体の理事の選任や解任については、当該団体が適切に判断すべきことだと思いますので、特段私からコメントはございません。いずれにしましても、オリンピックまでもう1年を切っていますので、選手の皆さんが集中して強化活動に取り組むことができる環境を整えることが重要であって、協会の対応を注視してまいりたいと思います。

記者)
 今週の月曜日から報道されている千葉県流山市のいじめ問題について伺います。いじめ調査会の会長が会見を開いて重大事案と認定されながらも何年間もいじめが放置されていたということを明らかにされました。我々の取材でもこの件だけではなくて他の件でも同様な、学校が対応してくれないだとか、流山市が、教育委員会が全く対応してくれないという声が複数寄せられています。この件に関して学校や教育委員会の対応について大臣の受け止めがあれば、あと文科省として何か対応があれば教えてください。

大臣)
 御指摘の件について、流山市のいじめ対策調査会の前会長が、文科省内で記者会見をしてですね、いじめ防止対策推進法28条における重大事態の認定や調査について、流山市の教育委員会の対応に問題があるという訴えがあったことは承知をしております。文科省としては、事実関係の把握に努めるとともに被害生徒・保護者に寄り添いながら、適切に対応するよう、千葉県教育委員会を通じ、必要な助言を行ってまいりたいと思います。ここに限らず全国的にという御指摘がございましたので、法律制定後ですね、いじめの、いうならその認知件数が増えていますので、それをまた解決を速やかにやっていただかないと意味がないというふうに思います。私はそういう意味では、各市町村の教育委員会の果たす役割というのは大きなものがあると思いますので、いじめ事案が発生、確認ができた場合に学校と教育委員会がどう連携をして、どう問題の解決をするかはですね、様々な例を見ながらですね、できるだけ迅速な対応ができるような促しを各自治体にしていきたいなと思っています。

記者)
 流山市だけで3件くらいあるんですけれども、1件だけでしたらそういうこともあるのかもしれないなと思うんですけれども、同じような件が3件もあるというのはちょっと不自然だなと、そのことについてはどのように。

大臣)
 だからこそ前会長が辞めてしまって記者会見を開くような事態になったんだと思います。だから流山市の教育委員会のいうならば対応に問題があるんだろうと思いますのでよく確認してみたいと思います。

記者)
 昨日なんですけれども、立憲民主党、国民民主党、それから共産党の方でですね、大学入試センター法改正案で、英語の民間試験で見合わせを盛り込んだ法案を国会の方に提出ということなんですけれども、これについての大臣の受け止めをお願いします。

大臣)
 そのような動きがあったことは承知していますけれども、その取扱いについて我々文科省としてコメントする立場にございません。いずれにしましても、「大学入試英語成績提供システム」の2020年度からの導入に向けて、受験生や高校関係者の不安を解消するため、システムを運営する大学入試センターと連携して、一つ一つ課題の解決に努めてまいりたいと思います。

記者)
 冒頭のローマ字の関係なんですが、文科省や文化庁として民間にも同じような対応を呼びかけるような御予定はあるのかということと、それから民間ではクレジットカードも「名-姓」が定着していたり、非常に国際企業も「名-姓」の名前がすでに多いと思うんですが、大臣御自身としてこの語順について何かお考えというか所感のようなものがあれば教えてください。

大臣)
 直ちに企業や一般社会での表記にですね、これを影響を与えていこうということを別に考えているわけではありません。この時期に決定したのは、来年のオリンピックを控えてですね、特にオリンピックの電光掲示板は、「姓-名」でやっているんですけれど、一方、テレビ放送は「名-姓」の日本人だけやっているものですから、これは統一をしたいという思いがかねてからございまして、ここで政府の中で統一をしました。各省庁から所管の法人ですとか関係業界などには周知をしますけれども、しかしそれはそれぞれ、冒頭申し上げたように特別な影響がなければということを申し上げましたので、いじることで影響のある企業、業界団体の皆さんはそれぞれの判断でやっていただいてよろしいんじゃないかなと思います。

記者)
 大臣ご自身が姓名について、これまでどう使われきて、どう考えてらっしゃるかということがもしあれば。

大臣)
 何となく子供のときからMy name isで「名-姓」できましたので、そういう意味では、ちょっと違和感はありましたけれども、これからはそういう時代なのかなと思います。

(了)

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