萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年10月18日)

令和元年10月18日(金曜日)
教育、科学技術・学術、スポーツ、文化

キーワード

「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」の閣議決定、インターネット上の海賊版対策に関する関係閣僚打合せ、米国提案による国際宇宙探査への日本の参画を決定、「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果、IOCがマラソン及び競歩のコースを札幌に移すよう提案があった件

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年10月18日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年10月18日)

令和元年10月18日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 私から今日は、ちょっと多いんですけれども冒頭4件ございます。まず本日、公立義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部を改正する法律案が閣議決定をされました。学校における働き方改革は、まさに特効薬のない総力戦が必要であり、「上限ガイドライン」の策定、業務の役割分担・適正化、教職員定数の改善や外部人材の確保などの取組を総合的に進めてこそ、成果が上がるものであると認識しております。本法律案は、こうした総合的な取組の一環として、本年1月の中教審の答申を踏まえて、上限ガイドラインを法的根拠のある「指針」へ格上げすること、休日の「まとめ取り」の推進のため、一年単位の変形労働時間制を地方公共団体の判断により条例で選択的に導入できるようにすることを内容とするものであります。今後、国会において法案についてしっかりと説明を行い、ご審議をいただき、速やかに成立させていただけるように努力をしてまいりたいと思います。
 次に、本日閣議後に、官房長官室におきまして関係閣僚が集まり、インターネット上の海賊版対策に関しての打合せを行いました。打合せでは、インターネット上の海賊版に関して、「総合的な対策メニュー」及び「工程表」に基づき、政府一丸となって対応していくことを、閣僚間で確認をしました。私からは、著作権教育や海賊版サイトの検索結果からの削除・表示抑制の推進など直ちに実施するものとされた施策を着実に進めるとともに、侵害コンテンツのダウンロード違法化及びリーチサイト対策のための法整備に向けた検討を、国民の皆様の声を伺いながら丁寧に進めていくことを申し上げました。法整備に向けましては、現在、国民の皆様の懸念事項等を把握するためのパブリックコメントを実施をしているところであり、引き続き、国民の皆様方から忌憚のない意見をお待ちしております。文科省としては、パブリックコメントやその後の関係者・有識者を交えた検討等を通じて、深刻な海賊版被害への実行的な対策を講じることと、国民の正当な情報収集等に萎縮を生じさせないことという2つの要請のバランスをしっかりと並び立つように、適切な要件設定等を模索してまいりたいと思います。
 次に、本日、安倍総理を本部長とする「宇宙開発戦略本部」が開催されまして、米国提案による国際宇宙探査に日本として参画することを決定をいたしました。決定に際し、総理からは、「火星なども視野に入れ、月を周回する宇宙ステーションの整備や、月面での有人探査などを目指す米国の新たな挑戦に、強い絆で結ばれた同盟国として、「きぼう」や「こうのとり」で培ってきた我が国の強みを活かして参画する」との発言がございました。文科省として、当面の協力取組として、ゲートウェイの生命維持技術の提供や、物資・燃料の補給、月面データの提供、月面移動手段の開発が考えられることを、宇宙政策委員会に報告してまいりましたが、これら4つの協力項目が参画方針に盛り込まれました。総理からの御指示を踏まえて、文科省としては、協力内容の具体化を含め、しっかりと対応してまいりたいと思います。
 最後に、昨日、平成30年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公表しました。調査結果においては、いじめの積極的な認知の取組等により、いじめの認知件数が増加する一方で、暴力行為の発生件数、小・中学校における不登校児童生徒数の増加や、児童生徒の自殺が増加するなど、引き続き、大きな課題があると思っております。文科省としては、今般の調査結果を踏まえ、こうした生徒指導上の諸課題に適切に対処するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実などの取り組みの一層の促進を図ってまいります。私からは以上です。

記者)
 本日、閣議で決定されました給特法の件なんですけれども、現場の教職員の方々からは反対の声も上がっております。どのようにお考えでしょうか。

大臣)
 先ほど御説明申し上げましたように、この法律案は、学校における働き方改革の総合的な取組の一環として、教職の魅力を高め、専門職である教師でなければできないことに教師が集中できるように子供たちに対して効果的な教育活動が行うことができるようにするためのものです。そのため、本法律案の内容を御理解いただき、今国会において成立させていただけるように野党の皆さんにもですね、国会審議を通じて丁寧に説明をしてまいりたいと思います。

記者)
 労働時間の上限などが、現場で徹底されていない現段階で制度変更がされることに対して、非常に根強い反対があるようですけれども、その点に関してはどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 繰り返し「上限ガイドライン」を設定するということを申し上げてまいりました。先ほどの冒頭説明しましたように、そのことを各都道府県、市町村、それぞれ条例で定めていただくことによって、その効果はしっかり発揮できると思います。ようは心配されている方はですね、結局上限がなければこの法律によって更に労働時間が増えるんじゃないかということを危惧しているわけで、それではこの法改正の意味がなくなるわけでありますから決してそういうことのないようにですね、しっかりとした制度設計をしてまいりたいというふうに思っています。

記者)
 給特法改正の件で関連して質問させていただきます。変形労働時間制の導入で、これは自治体が条例を定めて導入することになると思うんですけど、ちょっといろいろ取材をしていくとですね、法律が想定していないような極端なやり方を導入してしまう可能性とか、あるいはそもそも地方公務員というのは変形労働時間制が適用されていないので、自治体が条例を定める時にそういうノウハウというものがそもそもないので、結構大変なんじゃないかというようなところがあるんですけど、そういう具体的にこういう運用例をするというようなところを文科省として説明していくというようなところというのは考えていらっしゃるんでしょうか。

大臣)
 まず都道府県のですね、教育委員会は、今回新しい初めての取組ですから、それは我々としてもガイドラインをきちんと明確にして、条例設定に御努力いただくことになると思いますけど、冒頭お話になったとんでもないような条件が付いたんでは何の意味もないと思いますので、その辺は丁寧にですね、まず国会での審議でいろんな御意見がおありになるでしょうから、それをしっかり包含して成立したのちにですね、各都道府県の皆さんにも説明をさせていただいて、条例を設定するにあたっての言うならばガイドラインについても明確にしていきたいと思いますので、そのようなご不安は払拭できるように努力をしてまいりたいというように思っています。

記者)
 ガイドラインを作るということですか。

大臣)
 というか、そう皆さんが思うほど都道府県が能力がないと私は思ってませんけれど、しかし初めてのことですから、念のため都道府県が不安があるということであれば、それに対してきちんとお答えができるQアンドAも含めてですね、丁寧な対応をしていきたいと思っています。

記者)
 先ほど宇宙関連で米国のアルテミス計画に日本政府として正式に参加するということを表明すると言われました。そのことを含めて受け止めとですね、もう既に概算要求などでゲートウェイに参加することに関して要求はしていると思うんですけど、今後、補正も含めて何か予算を含めた取組というのがあれば教えてください。

大臣)
 まずアメリカのゲートウェイ構想に参画をする、今回、月探査を共に行うとういうのは、日本が目指す科学技術立国として、日本ならではの様々な研究の成果を発揮できる素晴らしい場になるんだろうというふうに私は期待をしております。ただ当然その費用がかかるわけですから、今、御指摘がありましたように令和2年度の概算要求、既に行っておりますが、今後、具体的な協力内容を米国とも協議をして、その中で見積りをしっかりして、やりたいことはいろいろありますけど、あまり背伸びをしてですね、これは財政がおかしくなるようなことがあってはいけないと思いますから、日本ならではの日本だからこそできることをきちんとチョイスしながらですね、その限られた財源の中でしっかり結果が出せるように頑張っていきたいと思っています。

記者)
 話題変わりまして、東京五輪、パラリンピックの関係で質問させていただきます。昨日も組織委員会から説明がありましたが、IOCの計画案として競歩やマラソンの札幌開催案というものが発表されたわけなんですけれども、この時期の会場変更を含めた大幅な変更については、各界で波紋というか戸惑いの声も聞こえているわけですが、大臣としての受け止めとですね、国として、文科省として何かできることがあるのかという、そこら辺のお考えをお聞かせください。

大臣)
 まずですね、私も東京選出の議員ですし、またついこの間までは組織委員会の理事として様々な準備を共に汗してきた自負がありますから、東京でマラソンや競歩ができないということは、ちょっと残念だというイメージがあります。ただ、先日のドーハでの世界陸上の様子を見てですね、非常に優秀な選手たちが、半分近くも途中棄権をするマラソン競技ですとか、あるいは救急車が複数駆けつける競歩のあの状況を見て選手のことを考えると、IOCが真剣にこのことを検討したことの気持ちはよく理解できます。それで東京はですね、道路の遮熱舗装ですとか、ミストですとか、いうならば科学でしっかりそれをサポートしようという努力はしてきましたので、私はそれは一定程度効果があるんだと思いますけれども、一緒に考えなければいけないのは、沿道のお客様も熱中症などで倒れる可能性があるわけです。道路を封鎖した中でそういう患者さんが出たときに、この東京でどうやってその患者を救急車で運ぶかなんていうことを考えればですね、いろんな意味でアスリートファーストのみならず、それを楽しみにしている沿道の観客の皆様のことも考えなければいけないということで、IOCも悩みに悩んで提案をしてきたんだと思います。最終的には、今月末のIOCと組織委員会等との調整委員会の中で方向が決まると思いますから、現段階ではあくまでIOCが提案したというところだと思いますけれども、私としてはその結果をですね、尊重したいなと思っています。文科省して何ができるかと言われれば、もし正式に場所が変わるということになって北海道なり札幌なりが、文科省に何らかの協力要請があればですね、いかなることもできることは全てしっかり対応して差し上げたいなと思っています。

記者)
 関連なんですけれども、IOCの方は、当然アスリートファーストということで大臣おっしゃったようにそういった観点からの提案なんだと思います。一方で選手の方からはですね、多少戸惑いであるとか、あるいは選手側の声が聞かれない形でですね、提案がなされたということがあろうかと思うんですが、その辺アスリートファーストの観点から見て今回の一連の動きというのは、大臣の方でどういうふうな受け止めになってらっしゃいますか。

大臣)
 正直申し上げて、1年を切った段階でコースが変わるというのは、選手の皆さんにとって戸惑いもあると思いますし、また、東京と札幌ではいろんな意味で気候も湿度も違いますから、本当は東京の方が得意だという選手もいたんだと思います。特に今回の場合は、東京でオリンピックの選考会をやっているわけですから、東京の高い湿度の中でスローペースでレースを進めた方が有利だと思っていた選手にとっては、ちょっと環境も変わったりするので、そこは気の毒な部分もあるんですけれど、私はいつの時代も選手たちはですね、与えられた環境の中で最高のパフォーマンスをしていただけると思うので、逆に言えば、1年を切ってと私は冒頭申し上げましたけれども、まだ数か月あるわけですからしっかり調整をしていただいて、それぞれ日本選手のみならず各国の皆さんが、もし北海道でということであれば、爽やかな北の大地でいい走りをしていただいたらよろしいんじゃないかなと思っています。

記者)
 給特法の話に戻るんですけれども、変形労働制に入るとしたらかなり厳格な時間管理が求められると思うんですけれども、現状、タイムカードもないというような学校が多数の中で、その辺についての不安なりサポートの面で何かあるでしょうか。

大臣)
 学校の先生というのは、タイムカードで労働内容、労働時間を計るというのは非常に難しい職業であって、あるいは時期によって早く出てきたり、遅くまで残っていただくことも今までもきっとあったと思うんですけれど、その辺は前回もちょっとご報告しましたけれども、法律のみならずですね、ICTなどの活用によって、やっぱり事務作業をできるだけ確実性を上げて時間を圧縮して、そして教員本来の業務に集中できるような環境というのをしっかり作っていきたいなと思っています。今回ルールを作るときに条例や規則などで根拠付けをきちんといたしますので、その条例できちんとしたルールの中で各学校が運営をしていただけるようにすればですね、必ずしもタイムカードで計らなくてもきちんとできるんじゃないかと思っています。もちろん運用面でいろんな不安があるとすればそれに必要なものは整えていきたいなと思っています。

記者)
 タイムカードじゃない場合、どうやって労働管理を管理するんですか。

大臣)
 法案の詳細についてはですね、また事務方から説明をさせますけれど、タイムカードじゃなかったらどうやるんだと言われれば、それはそれぞれ皆さん、今の段階でも何時に出てきたかというは、例えば自分で記録を残すこともできると思いますから、そこは校長先生を中心にですね、人事管理、今までもやってきているので、タイムカードがなければ学校の人事管理ができないというご批判にはあたらないと私は思いますけど。

記者)
 今のに関連しまして、労働時間の上限についてなんですけれども、先ほども指摘があったように上限の管理というか、が厳格ではない中での導入に対して不安の声が上がっていると、どのようにしてですね、その上限設定というものを広めていくといいますか、現在しっかりとある程度の一定の時間で働く、上限をどのように有効性を高めていくかというお考えはありますでしょうか。

大臣)
 国としてはガイドラインを示しますけれども、ガイドラインではあやふやなところがどうしても出てくるので、ここは条例に落としてもらって、各都道府県の条例の中に書き込みをしていただくことで明確になると思っています。条例で規則を根拠付けることによって、この問題は私は解決ができると思っていますので、ようは先ほどもご指摘がありましたけれども、都道府県の条例を作るにあたって、それが国が今理想としている思いをですね、ちゃんと共有していただくような条例になるように、間違いのないようにしっかりアドバイスをしていきたいなと思っています。

(了)

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