萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年10月11日)

令和元年10月11日(金曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

吉野 彰氏のノーベル化学賞の受賞、台風第19号に備えた文部科学省の対応、亀岡副大臣及び佐々木大臣政務官の神戸市教育委員会への派遣、神戸市立東須磨小学校における複数教師による暴力行為等の事案、若手研究者支援の重要性、靖国参拝

萩生田光一文部科学大臣記者会見映像版

令和元年10月11日(金曜日)に行われた、萩生田光一文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和元年10月11日)

令和元年10月11日萩生田光一文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

萩生田光一文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私からは3件あります。本日の閣議において、吉野 彰旭化成株式会社名誉フェローのノーベル化学賞受賞について報告しました。今回の受賞は、日本人研究者が高い研究水準を有することを改めて世界に示すものであるとともに、国民にとって大きな誇りと励みになるものです。私としては、国民を代表して心からお祝いを申し上げるとともに、これまでの吉野先生の素晴らしい研究業績に敬意を表します。なお、今回の受賞理由となった「リチウムイオン電池の開発」によって、携帯電話やノートパソコンなどのモバイル機器の普及につながったと承知しており、基礎研究の成果が社会的な課題の解決や新産業の創出につながった代表例と高く評価をしております。一方で、教育現場では、これらICT機器の利活用の状況は、世界から大きく後塵を拝しており、日本人の素晴らしい研究成果の恩恵を子供たちが受けれるように学校のICT環境の整備促進も重要と考えております。文科省としては、引き続き若手研究者の育成や多様で独創的な研究への支援、産官学連携によるオープンイノベーションの推進など、研究の振興を図っていく所存です。
 強い勢力を持った台風19号が接近し、明日と明後日にかけて大荒れの天気になるという予報が気象庁から出ております。台風19号に備え、文科省では、10月8日に災害情報連絡室を立ち上げ、迅速に情報収集する体制を整えるとともに、台風15号での経験から得られた教訓も活かし、台風に備えて事前に準備が必要な対策について、10月9日付けで各都道府県の教育委員会に周知をしております。台風の影響が見込まれる地域の学校設置者におかれましては、子供たちの安全確保に万全を期すようにお願いいたします。また、被害が発生した場合には、2次災害の防止のための措置を適切に行うようにお願いしたいと思います。
 10月15日の火曜日、亀岡副大臣及び佐々木大臣政務官を神戸市の教育委員会に派遣をし、今般、報道されている神戸市立の公立小学校における複数の教師による暴力行為等について、神戸市教育委員会教育長等から報告を求めることを予定しております。神戸市教育委員会から本事案の状況の聞き取りをしっかり行い、児童への心のケアも含めて、児童への教育に支障が生じることがないように、必要な指導・助言を行ってまいりたいと思います。私からは以上です。

記者)
 ノーベル賞なんですけれども、2年連続で日本人の方が受賞するという快挙になりましたが、改めてご所感をお願いいたします。

大臣)
 御指摘のとおり、吉野先生の受賞によりまして、21世紀以降、我が国の自然科学系3分野のノーベル賞受賞者は18人となり、米国に次いで世界第2位です。これは、科学技術こそ我が国の発展の基礎であると定め、長きにわたって国を挙げて、基礎研究から応用研究に至るまで、人材育成・研究環境の整備、研究費の助成など、幅広い科学技術・学術政策に強力に推進してきた成果の賜物であると考えています。文科省としては、引き続き、科学技術基本計画や今年4月に取りまとめた研究「人材」「資金」「環境」改革を大学改革と一体的に実行する「研究力向上改革2019」に基づく支援等に取り組んでまいります。また、今回の吉野先生は、民間の旭化成という企業の中で研究を続けられてまいりました。今、私が申し上げたのは、国として研究所や大学への支援がもっぱらなんですけれども、民間の優良な企業の研究などのしやすい環境づくりというのも、様々な支援というのが今後、必要になってくるんじゃないかと思います。こんなことも是非、参考にしながらですね、後に続く人たちをしっかり育てていきたいな、そんなふうに思っています。

記者)
 15日のですね、訪問の件で亀岡副大臣と佐々木政務官訪問の件ですが、教師同士のいじめが発覚しているということで、大臣の、現状ある情報の中での受け止めをお願いします。

大臣)
 児童に対して、いじめは絶対に許されないことを指導する立場であるにも関わらず、複数で暴力行為を繰り返していたということは、児童を預かる教師として言語道断であり、極めて遺憾だというふうに思っています。神戸の教育委員会では、まず児童生徒の心のケアなど適正な教育環境の確保に万全を期すとともにですね、このようなことが二度と起こらないように、徹底した事実関係の確認、効果的な再発防止策の検討、懲戒処分を含めた関係者への厳正な対処をしていただき、信頼の回復に努めてもらいたいと思っています。まずは、副大臣、政務官に現場に行っていただいて、事実関係、しっかり確認をしていきたいと思います。

記者)
 ノーベル賞の関連でですね、吉野氏がですね、会見で若手支援の重要性を言っていて、その中で「吉野基金」という話が出て、自由に使えるお金が重要であるというお話がありました。それに対してどうお考えであるかというのと文科省の取組を教えてください。

大臣)
 我が国が成長を続け、新たな価値を生み出していくためには、科学技術のイノベーションを担う独創性豊かな若手研究者の育成・確保は極めて重要です。「吉野基金」はですね、吉野先生の寄付を基に、日本化学会が若手研究者の研究助成を行っているものと承知しており、若手研究者の自立的な研究活動を支援する大変貴重な取組であると考えています。文科省としては、例えばですね、優秀な若手研究者が安定かつ自立したポストに就いて研究できる環境を実現できる「卓越研究員事業」や、国立大学における人事給与マネジメント改革の推進により、若手研究者のポストの確保を図るとともに、科研費について、「科研費若手支援プラン」の実行を通じ、研究者のキャリア形成に応じた支援の強化を図っており、引き続き、これらの取組をしっかりと進め、我が国の将来を担う若手研究者の育成・確保に努めてまいりたいと思っております。

記者)
 ノーベル賞に関して、今後、リチウムイオン電池や次世代電池について、支援を強化するような考えはありますか、また、そのリーダーとして吉野さんを起用する考えはありますか。

大臣)
 リチウムイオン蓄電池はですね、携帯電話等の身近な機器から小惑星探査機「はやぶさ2」でも使っています。幅広く使用されているほか、再生可能エネルギーや電気自動車の普及を支えており、極めて重要なエネルギーデバイスだと認識しています。今後、更なる再生可能エネルギーの普及拡大が見込まれる中、リチウムイオン蓄電池に加えて従来性能を大幅に上回る次世代蓄電池が必要だと思っています。このため、文科省においては、大容量化・低コスト化を実現する新しい蓄電池の研究開発に既に取り組んでおりまして、本年度中に総合科学技術・イノベーション会議において、策定予定の「革新的環境イノベーション戦略」も踏まえながら、引き続きしっかりと研究開発を推進してまいります。吉野先生にどういうお立場でお手伝いいただくかは、吉野先生のお考えもあると思うので、今後また、いろいろお話をしながら、もちろん大変な知見を持っていらっしゃる研究者ですから、国全体のですね、様々なご指導もいただきたい、個人的にはそう思っています。

記者)
 来週から靖国神社の秋の例大祭が始まりますけれども、大臣は今のところ参拝される御予定はありますでしょうか。

大臣)
 予定はございません。私は。

記者)
 参拝されないということでしょうか。

大臣)
 適切に判断します。

(了)

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大臣官房総務課広報室