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下村博文文部科学大臣記者会見録(平成27年5月12日)

平成27年5月12日(火曜日)
教育、科学技術・学術、文化、その他

キーワード

多田栄介博士のITER機構副機構長(各極調整担当)就任、夜間中学校、デジタル教科書、財務省の示した歳出削減案(国立大学授業料引き上げ、公立小中学校教職員数削減)、油井宇宙飛行士搭乗のソユーズ宇宙船、「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録

下村博文文部科学大臣記者会見映像版

平成27年5月12日(火曜日)に行われた、下村博文文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

平成27年5月12日下村博文文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

下村博文文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、1件あります。
 多田栄介(ただ えいすけ)博士のITER機構の副機構長の就任についてであります。
 核融合エネルギーの実現に向けて世界7極の協力の下、フランスにおいてITERの建設が進められているところであります。
 3月5日にフランスのベルナール・ビゴ博士が新機構長に就任し、現在、新体制の人選が進められてきたところでありますが、この度、5月1日付で多田栄介博士が各極調整担当の副機構長に任命されました。
 多田博士は、これまでITER計画における日本の実施機関の代表を務めるなど長年にわたりITER計画の推進に携わり、核融合に関する十分な能力と経験を有していることから、副機構長としてプロジェクトを主導し、計画の成功に貢献できるのではないかと確信をしているところであります。
 我が国としては、引き続きITER計画を全力で推進するよう対応してまいりたいと思います。
 以上です。

記者)
 夜間中学について2点あります。
 先週公表されました夜間中学についての調査で、昨年5月時点で8都府県31校という結果が出ました。超党派の議員連盟が、各都道府県に最低でも1校を開設する方向で活動をしております。文科省としての今後の対応方針をお願いします。
 もう一点は、生徒のうち8割が外国人という結果が出ました。この点の受け止めをお願いします。

大臣)
 御指摘のように、今回の実態調査の結果では、全国で8都府県31校の夜間中学において約1,800人が在籍をしており、その約8割が外国籍であることもあり、夜間中学の設置に対するニーズの表れとして、一つは、夜間中学未設置の道県において、その設置を求める要望が多く出されていること、二つ目に、ボランティア等により運営される自主夜間中学や識字教室に通っている生徒が相当数存在していること、三つ目として、その中には不登校等により十分な教育を受けないまま中学を卒業している、いわゆる「形式卒業者」も含まれているということが明らかになりました。
 文科省としては、今回の調査結果や議員連盟の動向も踏まえつつ、各県に少なくとも1校の設置を目指すという方針のもと、予算事業の実施等を通じまして、未設置道県における検討を促進してまいりたいと考えております。
 また、いわゆる「形式卒業者」の扱いも含めた夜間中学の入学要件等の明確化を図るなど、夜間中学に入学・在学しやすい環境づくりも併せて取り組んでまいりたいと思います。
 また、外国籍の人が8割ということでありますが、これは夜間中学は当初、戦後の混乱期に昼間就労等を余儀なくされた学齢生徒への義務教育の機会提供を目的としていたわけでありますが、これらの方々の高齢化が進む一方、グローバル化の進展によって、母国での義務教育が未修了の外国人等の入学者が増加してきた結果、現在のような在籍状況になってきたと考えております。
 そもそも小・中学校段階の教育は、各個人の能力を伸ばしつつ、社会において自立的に生きる基礎を培うものであり、国際人権規約においても、全ての者にその機会を与えることが求められているところであります。
 このため、昼間に授業を行う通常の義務教育諸学校においても、学齢の外国人を日本人と同様、無償で受け入れており、教育課程を修了する上で必要な日本語の習得も含めて適切な対応を行っているところでもあります。
 文科省としては、国際人権規約等を踏まえれば、学齢を超過した外国人であっても母国での義務教育が未修了である場合には、できる限り同様の機会を確保していくことが必要であると考えており、夜間中学はそのために重要な役割を果たしていくものと認識をしております。

記者)
 今日の午後に、「デジタル教科書」についての検討会が開かれると聞いておりますが、既にデジタル教材の方はかなり普及が進んできていて、1人1台も目指して、政府としても取り組まれていると思うのですけれども、検定教科書自体を、主たる教材である教科書をデジタル化するということについて、現場にはいろいろな声があって、教科書自体は別に紙のままでもいいのではないかとか、本丸をちゃんとやらなければ駄目だという声もあったりすると思うのですけれども、今後その検討の状況と、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣)
 いわゆる「デジタル教科書」をはじめとして、教育におけるICTの活用の推進は、子供たちの学習への興味・関心を高め、分かりやすい授業や子供たちの主体的な学びを実現する上で有益であると考えております。
 一方で、いわゆる「デジタル教科書」を教科書検定を経た学校教育法における教科用図書として位置付けた上で、学校現場に導入するに当たっては、例えば教科書検定や教科書無償制度など既存制度との関係をどのように考えるか、児童生徒の教育面だけでなく健康面も含めた効果・影響及びそれらに対する配慮をどうするか、また、学校や家庭におけるネットワーク環境や、実際に指導に当たる教員に対する研修や支援の在り方をどうするかといった様々な観点から、同時に検討を行うことが必要であると考えます。
 このため、今般、専門的な検討を行うための有識者会議を設置したところであり、御指摘のように今日の午後に、第1回会議が開催される予定となっております。
 今後この有識者会議において、お尋ねのような点も含めて様々な課題について御議論をいただき、およそ1年半をめどに今後の方向性について一定の取りまとめをお願いしたいと考えているところであります。

記者)
 昨日の財政制度等審議会で、国立大学の授業料を私立大学並みに引き上げて、その上で低所得者層に奨学金に回すべきという提案が出ましたけれども、それについて大臣の御見解をお聞かせください。

大臣)
 基本的には、諸外国、特にヨーロッパは無償の国が多い中で、できるだけ教育負担をかけないようにしていくことは必要なことだと思います。
 財源問題の中で、例えば大学に通っている低所得者層の人たちに対する支援を更に厚くするために、例えば所得の高い家庭の子供に対しては、その分、授業料を上げて、それをシフトするということは、一つの考え方だと思いますが、基本的にはできるだけ負担を増やさないで、低所得者層に対する財政支援をどうしていくかということを考えていくべきだと思いますので、財源はその自己完結型の中でというよりは、ほかのところから確保するということを、文部科学省としては是非考えるべきだと思います。

記者)
 関連して、昨日の財政制度等審議会では、教職員の数についても議題に上がりまして、2024年度までに4万2,000人ほど減らせば国負担を780億円削れるという試算も示されたと。これについて大臣の受け止め、文科省として教職員について、どのように考えていらっしゃるのか、改めて教えてください。

大臣)
 これは新聞報道によれば、吉川会長が「財政が厳しい中、ただ『先生の総数を減らすな』というだけの議論はおかしい」と話したということでありまして、この指摘についてはそのとおりだと思います。
 しかし、工場の製造業のようなところとはわけが違って、子供の数が減るから学校の先生の数もその分、相当数減らすというようなことは、これは机上の空論でありまして、一方で学校現場の状況をよく財政制度等審議会も把握をされる必要があると思うのです。
 そのために、我々も明確な反論を早急にまとめていきたいと思いますが、学校現場はOECD諸国の中でも最も教員が多忙な感じで、世界の中でも一人一人の子供と向き合う時間をほかの仕事にとられて、残業時間も多いという状況があります。
 それから、昔に比べて非常に教育現場が高度化・複雑化している中で、子供の発達障害等が増えているということもありますし、それから、そもそも教育が多様化している中で、例えば「アクティブ・ラーニング」等は一斉授業で、教師が一クラス40人の子供を教えるということについては、なじまないと、より少人数の中でそれぞれの「アクティブ・ラーニング」等、新たな教育をするということを考えると、つまり何十年前の教育形態をそのまま、これからも続けられるという状況ではないわけですから、単純に子供の数が減ったから、その分教員の数を減らすということにはならないわけでありまして、是非そういう視点から、つまり、児童生徒数の減少のみに着目するのではなくて、学校現場を取り巻く課題が複雑困難化している実態、それから今申し上げたように、「アクティブ・ラーニング」の推進、これはこれからの日本社会の発展のために必要な教育の在り方でありまして、こういうことをきちっと議論をした上で、財政制度等審議会の方々に対しては、単純に教員の数を減らしても済むという話ではないということについては、よく理解をしてもらいたいと思いますし、またそういうような説明も積極的に発信をしていきたいと思います。

記者)
 油井さんのISSへの飛行なのですが、ロシアの通信社によると7月に延期ではないかという話が出ていますが、この点について大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

大臣)
 先日もちょっとお話ししましたが、油井宇宙飛行士が搭乗予定のソユーズ宇宙船の打ち上げ時などへの影響については、現在ロシアにおいて精査中であり、延期等の連絡は受けてはおりません。
 明日5月13日に、ロシアにおいて今回の不具合に係る原因究明の状況について報告が出される見込みとなっております。この報告を踏まえ、我が国を含むISS計画参加各国の協議によって、最終的な方針が決定される予定でありまして、引き続き情報収集に努めるとともに、参加各国との調整を進めてまいりたいと考えております。

記者)
 世界遺産のことで質問したいのですが、明治日本の産業革命遺産ということで、1850年代から1910年と年限を切った形の登録となっていると思うのです。
 それで、過去の世界文化遺産登録を見ますと、アウシュビッツの強制収容所ですとか、奴隷労働があった鉱山都市とか、リバプールも奴隷貿易が行われていたということも含まれているのですけれども、そういった日本の近代の産業を考える上で、やはり日清・日露戦争とか、植民地支配、強制連行なども含めて、やはり日本の近代と深く関係していると思うのですけれども、この年限を切って、しかも九州・山口県が多いということで、その地域との絡みも、やはり朝鮮半島や中国と非常に関係が深いわけですけれども、そこの負の部分を、なぜそのことを申請内容に含んでいないのかということ、これは安倍政権の歴史認識ともかかわってくると思うのですが、大臣はどのようにお考えなのか、お聞かせください。

大臣)
 それはコンセプトの問題で、全ての世界遺産においてトータル的ということではなくて、今回御指摘の案件は、「明治日本の産業革命遺産」という位置付けなわけですね。ですから当然、1910年ぐらいまでが一つのめどで、第二次世界大戦の期間も入れるということになると、これはコンセプトも違ってくるわけです。
 ですから、あくまでもそういう負の遺産を避けるとかいうことではなくて、もともとのコンセプトが、明治日本の産業革命によって、それ以前の江戸時代から日本の近代工業化社会の中で、明治のときの産業遺産がどんな役割を果たしたかと、そういう視点からの遺産群を残そうということですから、別に負の部分を、つまり1945年前後の、例えば徴用の問題等のことをおっしゃっているかと思いますが、それを別に避けたとかカットしたということではなくて、もともと時代が違うということで、その明治産業遺産のときの、その遺産の後、1945年前後の8か月徴用等があって、それが韓国等から異議があるということでありますが、これは私も、前もちょっと申し上げたと思うのですけれども、韓国の前文化大臣に、この話は申し上げました。関係諸国に対して丁寧に説明をしながら、別にそれを隠蔽するとか隠すということではなくて、そもそもその時代の位置付けが違うということと同時に丁寧な説明をすることによって、韓国と関係国からも理解が得られるようなことを、政府としても更に努力をしていきたいと思います。

記者)
 1910年というのは、ちょうど日韓併合の年でもあるわけですけれども、まだ明治年間なわけですね。そこで切った理由と、それから昨日、日韓議連でこのことが議論になったと思うのですが、この件についてどのような報告を大臣は受けていらっしゃるのかということを伺いたいのですが。

大臣)
 繰り返すように、これは「明治の日本の産業革命遺産」という位置付けですから、そういうコンセプトであって、御指摘のような点を避けるために1910年で切ったということではまずないということについては、是非御理解いただきたいと思います。
 それから、日韓議員連盟の話でありますが、両国の議員連盟の合同幹事会において、世界遺産を含む様々な事項について意見交換が行われたということは承知しておりますが、議連同士の議論に関し、政府としてコメントすることについては、差し控えをするべきだと思います。
 その上で、あえて申し上げるならば、日本政府としては本件遺産はあくまでも、繰り返すようでありますが、1850年代から1910年までの産業遺産として顕著な普遍的価値に着目して推薦したものであるということであります。
 いずれにしても、この本件遺産のそのような価値が理解されるとともに、世界遺産として登録すべきとのイコモス勧告が、もうされたわけでありますから、そのイコモス勧告どおりの決定が世界遺産委員会においてなされることを期待をしております。

(了)

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大臣官房総務課広報室

-- 登録:平成27年05月 --