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平成26年(2014年)10月12日付 インターナショナル・ニューヨークタイムズ紙の記事について

平成26年10月31日(金曜日)

 平成26年(2014年)10月12日のインターナショナル・ニューヨークタイムズ紙において、日本の教育戦略が分裂しているとの批判記事が掲載されました。記事では、「日本はナショナリズムとコスモポリタニズムを同時に信奉しており、教育政策立案者たちの不明瞭な姿勢を助長している。彼らは、彼ら自身が『愛国的』と呼ぶ主義にのっとって教科書を改訂し、その過程でアジアの近隣諸国を遠ざけている」としていますが、それは全く事実と異なっています。

 我が国は、ナショナリズムを助長するのではなく、グローバル社会に適応するための人材の教育に大きく舵(かじ)を切って取り組んでいます。その改革のポイントは次の3つです。すなわち、英語教育、大学の国際化、そして日本人としてのアイデンティティの確立のための伝統、文化及び歴史の教育です。

 具体的には、小学校5年生から行っている外国語活動を小学校3年生からのスタートに前倒しを行い、併せてその後の中学校・高等学校における英語教育のレベルアップを図っていく考えです。

 大学入学試験も、英語教育では「読む」・「聞く」・「書く」・「話す」の四技能が必修とされているにも関わらず、毎年50万人以上が全国一斉に受験する我が国の大学入試センター試験は、その中のほとんどが「読む」能力中心の試験となっており、「聞く」はごく一部、「書く」・「話す」はほぼ除外されています。

 このため、中学校・高等学校の6年間の英語教育を受けているにも関わらず、英語を話せない日本人が多いのは、日本の学校教育のやり方に問題があることに起因しています。このことから、英語教育をより早期に開始するだけでなく、四技能のバランスのとれた試験を、大学入学試験でも導入する方向で改革を進めています。

 同時にグローバル社会で活躍できる人材養成のため、高校・大学の国際化に力を入れていくこととしています。日本国内の37大学に対してバックアップ支援を行うことにより、これから10年後に世界大学ランキングのベスト100に10校のランクインを具体的な目標として日本の大学の国際化支援を行っていきたいと考えています。

 これまで、海外に留学生を日本から沢山送り出してきましたが、残念ながら、ピークの2004年の8万3千人から、2011年には6万人程度に減少しています。特に、米国への留学生はピークの1999年の5万人程度から2011年には4割の2万人程度になっています。このような内向き指向を改善するため、グローバル化に向け日本政府が支援することにより、2020年には海外への留学生を現在の6万人から12万人に倍増したいと考えています。また、海外から日本への留学生についても、2020年までに現在の14万人から30万人に倍増する計画です。

 その際に、日本の学生は海外で日本のことを語れないとの経験者の声が沢山出ていますが、真のグローバル人材として活躍するためには、日本人としてのアイデンティティである日本の伝統、文化、歴史を学ばなければ、世界の中で議論もできませんし、日本人としてのアイデンディディも確立できません。残念ながら、日本の若者はこのような状況に遭遇することが多くなっています。

 これは、日本の個々の学生の問題ではなく、日本の教育において、日本の伝統、文化、歴史をしっかりと教えてこなかった日本の学校教育の問題であるととらえています。各国・各民族には、当然相違があります。しかし、多様な価値観を持つ国際社会の中で、それらを認めながら生きていくためには、日本の価値観をしっかりと教えることで、他国の価値観を尊重する姿勢を持たせなければなりません。そうでなければ、伝統、歴史、文化の違いを語れません。

 インターナショナル・ニューヨークタイムズ紙では、「ナショナリズム」との言葉を使って批判していますが、日本の伝統、文化、歴史を教えることは、「ナショナリズム」との言葉に当てはまらないと考えます。なぜなら、日本のアイデンティティを教えることは他国、特に近隣諸国を侮蔑、蔑視する教育ではないからです。日本古来の価値観としては、世界に先駆けて7世紀に聖徳太子が17条憲法を制定していましたが、その根本は「和の精神」です。

 2011年の東日本大震災の被災者のその後の行動が象徴するように、日本人の精神の根底には、「絆(きずな)」、「思いやり」、「和の精神」があることは世界の人達にも認識していただいていると考えています。

 つまり、日本の伝統、文化、歴史を学校教育で教えることは、「ナショナリズム」との表現に当てはまらないものです。我が国が古来の伝統、文化、歴史を大切にすることと、国際社会で共生することは、相矛盾せず、逆に、日本への理解を深める教育をすることがグローバル化した世界で日本人が活躍するために重要であると認識しています。

 21世紀の国際社会において日本及び日本人が果たすべき役割は、日本古来から培ってきた「和の精神」、「おもてなしの精神」です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックでは、是非、それを世界の人達に見てもらう、そのような教育をすることによって、より広く、日本の教育の方向性が世界の人達に共有性をもってもらえる改革を進めていきたいと考えています。

文部科学大臣 下村博文
平成26年10月31日

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-- 登録:平成26年11月 --