平成24年10月2日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他
就任の感想等、高校無償化、エネルギー戦略、いじめ問題、尖閣諸島問題
平成24年10月2日(火曜日)に行われた、田中眞紀子文部科学大臣の定例記者会見の映像です。
平成24年10月2日田中眞紀子文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)
大臣)
24時間たったでしょうか、着任してから。総理からですね、全閣僚に対していろいろなアドバイスやら御注意やら、閣僚懇になった時に、いろいろ御指導もあったりしまして、新しい第三次の内閣発足に対して、改めて緊張感を持って、少しでも良い仕事ができるように、頑張らなければというふうに思っております。
記者)
本日、職員を前に挨拶をなさったと思いますけれども、実際に一緒に働く職員たちの顔を御覧になって、どのような気持ちをお持ちになったでしょうか。
大臣)
皆さんすごくポジティブだなというふうに、目が悪いせいかもしれませんけれど、思っています。特に幹部の皆さんについては、将来幹部になられる方というのもおられるわけですけれど、文科省関係の係長等もいろいろな機会でレクチャーに来ていただいたり、私も役所に伺ったりとか、委員長をやっていたこともありますし、親しみを個人的にはすごく感じていますし、有り難い環境だなと思っています。ですから、やっぱりいい仕事をしなければいけないなという気持ちは、非常に強く持っています。
記者)
昨日の会見で、オリジナルのアイデアとして方向性を出せることがあるのではないかということを、ひそかに思っていることがあるというようなことをおっしゃっていました。具体的にお示しできることがあれば。
大臣)
いくつかありますけれども、国会の論戦などが始まってみますと、議員さんや一般生活者の視点というものが見えてきますので、そこで更にまた感じることもあるかと思いますが、たった一日たった現時点で、多分皆さんも想像なさっていることかと思いますが、高校の無償化に関連する問題で、これは私、当時文部科学委員長でしたけれども、大変良かったと思っていることです。人生の入り口と、それから出口の辺で、国家がしっかり責任を持っていれば、若い時に頑張ることもできるわけですしね。そういう意味でも教育の、高校無償化になるということは大変いいことだと思っていますが、例外として朝鮮人学校のことがあります。私、委員長の時に超党派の議員さん大勢来られて、メディアも来られましたが、学校視察しました。それまで思っていたことと、視察した時のことと、視察後、時間がたってみて、そしてその後外務委員長をさせていただいて、外務大臣の経験もトータルで考えた時に、やっぱり世界中の国々の朝鮮半島の人々との付き合い方とか、将来性とか、過去の問題、それぞれの立場でもって、当然違った見解を持っています。日本も日本ならではの歴史的経緯、現在の問題もたくさん分かっております。その中で見てみると、菅総理のお考えで審査をしているわけですが、審査は審査といって結構時間がかかってるんじゃないかなということは、私は外から見ておりましたので、そろそろ紋切り型の答弁をするのではなくて、政治的な判断をこの内閣がするという時期が来ているのではなかろうかということを思っておりますが、私一人ではフライングもできませんし、与野党でいろんな意見もあります。世間の、世界の目もあります。ですから、やっぱり野田総理の御判断、若しくは仰ぎながら決めていかなければいけないというふうに考えております。
記者)
今の件で、大臣としては朝鮮学校の生徒にも一緒に無償でやるべきだというお考えはお持ちだということでしょうか。
大臣)
ですから、やっぱり反対している方の意見、賛成している方の意見も、もう一回その立場になって良く伺って勘案しようというふうに思っていますが、まずは何といっても総理大臣の方向性というものを尊重しなければというふうには思っております。
記者)
今の無償化の件で、割と積極的な発言のように受け止めましたけれど、仮に適用した場合にですね、既に卒業生がいて、さかのぼって実施するのかどうかという問題もありますが、それについての御見解はいかがでしょうか。
大臣)
それらについてはもっと事務的にですね、過去のこと、係数的なことをしっかりと掌握をして、そしてそれも踏まえてどういう議論があるかということの客観的な判断、意見を聞きながらですね、進めていきたく存じます。
記者)
政府のエネルギー・環境戦略が大変矛盾しているという昨日の御発言に対して、前原国家戦略担当が、矛盾していると、原発の2030年に。そのことについての受け止めをお願いします。
大臣)
私は閣外におりまして、皆さんが発信なさることを中心にして判断をしておりました。前原大臣やら枝野大臣から久しく意見を伺うこともありませんでした。それが昨日までの段階ですね。したがって、また個人的にも良く伺ってみたり、なぜこういうふうなことで来ているのかということも検証してみないと、軽々には発言できないと思っています。特にエネルギー政策でも、文科省の所掌でなくなってきているところもありますので、その辺のことも慎重に良く見極めて、いろいろな意見も聞きながら、考えて発言していきたいというふうに思います。それは関心事ではありますよ、非常に個人的に。
記者)
今の件に関連してですね、エネルギー戦略の中で、原発は新設、増設しないと書いてある一方で、政府は着工済みのものは例外だとして、その大間原発の工事も再開しました。これについて、大臣はどのようにお考えになっているんでしょうか。
大臣)
エネルギー、個別のことについて、大間は別にもう御存じのとおりですね。40パーセント進捗してきているから、これは始めたいということだけれども、日本列島そのものがそもそも地震列島であるということと、それから地震についても100パーセント予知ができないという状態もあって、福島のあの被害もあったということと、他方、また原子力政策というか、原子力というものが医学の面なんかでですね、御存じのとおり放医研なんかでも活躍して大いに役立っていますしね、ですから別の分野での重要性というものは、冷静に客観的に見なければいけないと思っています。ですから、この規制委員会の方で、もっとこのことについてもやっていくんでしょうし、まず安全確認をしてということが大前提でありますから、安全確認ということについては異存がないですが、今後の日本全体のエネルギーを考えた場合に、エネルギー政策をどうやっていくのかと。今までの議論を、メディアを通じて外部から私自身も見ていた時には、どうも立場が違ったようなことを、昨日と言ったことを変えているようなことがあるのではなかろうかなというふうに感じていましたので、今度じかに聞いてみますよ、結論から言うと。そういうのが、この内閣の総合的な御判断であればですね、それを尊重するのかもしれないし、詳しく聞いてみないことには、今、軽々には発言できません。
記者)
3月末ぐらいからですね、毎週金曜日、官邸前で反原発を訴える市民の抗議行動が起きていますけれど、それについて大臣どう受け止めておられるかと、それに関連して、脱原発基本法が、中小野党の共同提出で衆議院に9月7日に提出され、それが閉会中審査になっている。その法案についての賛否をお願いします。
大臣)
賛否は、今はちょっと私の立場では申し上げられないんですけれども、まず金曜日のデモンストレーション、私は第一議員会館ですから大変良く聞こえます。そして音の問題だけではなくて、今の時代の変化、ネットの時代でもあるし、皆さんのような若い世代の方は御存じないでしょうけれど、私の学生時代にはやっぱり思想的な考えを持っている方たちが、学生運動、全学連とかやっていたわけですね。かなり激しいものでしたけど、今はやっぱりネットの時代で、国民の意識も相当変わってきているし、情報もたくさんあります。したがって、一般の方たちも本当に危険なもの、原発が危険であるということであれば、それだけ見て、あれだけ被害を見れば同じことがもう一回繰り返し起こっていいなんて言うわけないですよね、地球市民として。だから、ああいう行動を起こされるということは良く理解ができます。と同時に、時代が大きく推移していて、そういうことを政治家が無視して、国家が無視して、仕事は進められないんだということを再認識している次第です。ですけれども、違った目で、我々為政者は考えることも必要なのであって、危ないと言っているから、事故が起こるかもしれないままやめておきましょう、捨てちゃいましょうというほど、簡単ではないです。昨日も申し上げましたとおり、じゃあ新エネどうするのかと。どこから持ってくるのかということですよ。仙谷先生が今まで「蛍の光で勉強じゃないし、ろうそくで御飯食べるかな、そういうことになりますよ」ということを一時おっしゃっていましたけれど、それほど極端じゃなくてもですね、これだけエネルギーを消費している、文化生活を維持していくためにエネルギーは、今現在は2基しか稼動していませんので減っていますけれども、私がかつて19年前に担っていた長官時にはですね、原子力が日本のエネルギーの3割でしたよ。そういう状態からここまで経済成長してきて、我々が自然に思っているこの状態、同じく今後50年、100年後維持するためには、代替エネルギーが速やかに今すぐできあがって、ローコストでできるとはとても思えないからです。そのため、昨日申し上げたことの繰り返しです。CO2排出する化石燃料等ですね、もっとCO2が出ないように研究開発をするとか、他の水力発電・火力にしろ、その他いっぱいありますね。風力、火力、地力その他、いろいろなことを研究しなければいけないけど、それも時間とコストがかかるので、同時並行でやっていく、ただ原子力で一番の問題はごみの問題で、これが世界中頭を抱えているんです。この解決ができないでいたらば、どこも引き受けないじゃないですか。これはどこの県も、じゃああなたのところへ六カ所村からごみ持って行きますよ、外国からイギリス・フランスから入ってくる核のごみを受け入れますか、と言ったら手を挙げないじゃないですか。手を挙げないのが普通なんですよね、一般市民生活からしてみると。だから、原子力を今のような状態で、ごみの問題を片付けられない状態で、どんどん使っていくということは無理があると、それは世界中の認識。しかも、日本はこのような地震国で、ああいうことが起こったりする、そういうことを考えれば、それは数を少なく、小さく交渉をする方がベターなことは間違いない。ですから、デモンストレーションをする方たちの気持ちも分かるんですが、違う知恵を我々は働かせて、フル稼働してですね、この生活が維持できるように、世界にも貢献できるようにしなければいけないと、簡単なことではないと思っています。やりがいがあるかもしれません。
記者)
関連するんですけれども、そうするとエネルギー・環境戦略については、閣内でされていること、大臣としては見直しを求めていきたいというような考えなんでしょうか。
大臣)
当省が、所掌事項ではありませんからね、今。ですから、規制委員会を中心にして、担当官庁、大臣、役所の皆様、学者の方、専門家がですね、意見を交わしていただくことをしっかり見守っていきたいというふうに思っております。関心事項ではあります。
記者)
日中関係についてお伺いしたいのですが、今、日中の間で尖閣のことを巡って大変関係が悪化しています。政治だけではなく文化や交流など、いろんな影響が出ています。大臣は、この現状をどのように打開すればいいのか、そして文部科学大臣として今後どのようなことに取り組んでいかれるのでしょうか。
大臣)
やっぱり、認識の違いに基づく紛争というのは世界中であります。歴史上も、過去もあったし、残念ながら将来も起こりうることですよね。それを解決するために、どれだけのエネルギー、知恵を出すかということなんです。それが外交であって、間違っても武力による解決をしないように、外交力、言葉によって人間同士のふれあいの中でもって違った価値観、違った認識あるもの同士が平行線でいかないで、どこかで解決をする何かを作り出す努力をしなきゃいけない。しかし、それは外務省マターですから、私は今、外務大臣ではありません。ただし、文部科学省に引き寄せて申し上げるならば、そういう、私が申し上げたようなことが可能になるような人間をつくる文部科学、それは私、可能だと思いますよね。そういうことを、海底資源がどうかとか、お互いに正確なものか分かっているか知りませんけれど、そういう探査もできるかもしれないし。だから人なんです、要は人間、目に見えない心でありますとか、目に見えない頭であるとかですね、特に心の問題とか努力とかですね、パワーですよ。そういうものを、そういう人間を一人でも多く日本で使えるように、その発信をできて、人の言うこと違ったことも聞くことも、許容力のある人間をつくると、それが文部科学省の役目の大きな一つであると思っています。
記者)
いじめ問題についてお伺いします。文科省の緊急調査で、4月から9月までに小・中・高などで把握したいじめの件数が、75,000件となりました。いじめ問題については深刻だと思われますが、この数字の受け止めとですね、具体的にどのように今後いじめをなくしていくために対応していくお考えでしょうか。
大臣)
恐るべき数字というように思っていますが、それが本当に全てであるのかというのも、最低限かもしれませんね。もっと実はと言ったら、あるのかもしれないので、大変な恐るべき数字だというふうに思います。解決策というのは、いろいろな対症療法もあるでしょうし、制度的な締め付けもできるでしょうし、でもそういうことではなくて、最終的にはいじめている方もいじめられている方も、それを乗り越えて生きていけるような、死に直面したりとかそういうことではなくて、生きていけるような社会・制度・仕組みを作るかということだと思います。もちろん、平野大臣も昨日ずっとおっしゃっていましたし、日本人も一人一人がですね、何とかしなきゃって皆思っているんですよ。そういう話を私は何遍も電話や人からも、大臣になる前から聞いていますし、心を痛めていますが、心痛めているだけではなくて政治家なわけですから、どうするかというと、策があるということでは努力なさっていることも聞いておりますけれど、その発見をして早くに解決に導くとかですね、いろいろなことがあるということだけれど、何度も言いますが、私はやっぱり人の多様性を認められる人間を、日本はつくらなければいけないと思います。何か相手に興味がありすぎるというのは、言ってみれば金太郎あめで、同じような枠ではめてですね、同調圧力だという言葉があるそうだけれども、圧力ではなく、日本社会が息苦しいというのは、大人になっても均質で似たようなものであることの安心感がある。そのことは他の違ったものに対して適用力がないんですよ。だから、社会人になっても子どもの時にも、違ったものに対して非常に異様な感情を持って、いじめてみたり、いじめられる方もたまったものじゃない。その子は本当は天才かもしれないですからね。アートの天才かもしれないし。分からないじゃないですか。自分と違うものを人が持っているということは大変なすばらしいことだから褒めて、それは頑張ってもらえばいいんですけれど、自分と違うものを持っていると変な興味をもって潰そうとするとか、陰湿に。そんなことは、やろうとする人にとっても健全なことじゃないんですね、御家族も学校も。だから制度でもって、制度とするとですよ、学校はもっと早期に発見をしなければいけないとか、教育委員会はこうあるべきだと言って、ベストだというものは私はないと思います。その時ベストであったって、また他の時に違うことが起こるじゃないですか。人間の社会、あらゆる意味で、どこでもそれがあるんですよ。宗教戦争だって、結局、違うものを認めたくないわけじゃないですか。放っておけないんですよ。それはそれですばらしいと思えばいいんだけれど、思えないと。その分、自分のアドバンテージはこれですと言うようなものがあったら、その人はその人と違う、DNAは将来も違うんですから、そう思うことが楽に生きられるんです、一回しかない人生を。だから、制度として結論を申しますと、作ることは必要です。放置していいとも思いませんし、学校の体質改善も必要だし、教育委員会も必要だけど、やっぱり国として、今、申し上げたような人づくり、このために何ができるかと。もう一つ、またこれ誤解されてはいけないんですけれど、私はたまたま地元というか新潟県内で、そういう不登校児、いろんな理由がありますよね、御両親に離婚があったりとかですね、生活苦だとか、そう恵まれていない人がむしろ世の中多いかもしれないし。そういう不登校児の方たちが、生き生きとだと思うんだけれど、国会見学に来られることがあるんですけれども、先生も生き生きとしているわけですよ、先生はかつて不登校児だとは思わないんだけれども、御父兄も地域社会でですね、ああいう変わった格好、茶髪だとか入れ墨みたいなのを書いたり、ミニスカート履いたりですね、何か都会だったら男の子やれやれと、場所によっては、ああ進んでいるなと思ったり、おしゃれと思うかもしれないけど、地域社会なんかで見るとびっくりしちゃうわけですよ。家族だって、穴があったら入りたいでしょうけれど。そういう人たちが、学校をドロップアウトしても、自分でそういう仲間と一緒に学校へ行って勉強して、国会見学まで来るんですよ。卒業してからこの人たちどうするんですかと聞いたら、突然、モヒカン頭刈っちゃって、工場で働くとか、そういう結構普通に、普通が何だか分かりませんけれど、そういうふうになるんですと。女の子も看護士の資格取るわと。一時そういう格好し終わっちゃったら、飽きちゃうんですかね。そういうところもシェルターとは申しませんけれど、やっぱり受け入れるような社会にしていかないと、これだけ価値観も多様化していろんな情報が入って来る中で、孤独で孤立していくっていうことは、目に見えないものを大事にしていかないとならないのに、極端から極端に走っちゃうと、一回しかない人生もったいないですから、そういうふうなものもですね、何か今伺っていたら学習指導要領の特例としてですね、そういうふうな学校をつくることも認めてきていると、文科省も進化したもんだなあと思ってさっきちょっと言ったんですけれども、必要じゃないでしょうかね。人は変わるんですから、80年も生きる間でですよ、長い目でやっぱり見ないといけないので。それと、罪を犯して人を殺(あや)めたらどういうことになるかというのを、私はアメリカの学校で見たことがあります。私の行っていた学校ではないが、他で見たことがあるんですが、お母さんが刑務所に中学生くらいの子たちと行って、見せる州もあるんです。小学生に、実際にお葬式ってこういうものだとか、それからお産の現場ではないけれども、赤ちゃんがどうやって産まれてきて、どうやってこんな皆が受け入れられているかと、人間はすごいスピードで大きくなっていくんだということを、子どもの時に体験させるところを見たことがあります。ああ人間ってこうなんだっていうことを、本でぴらぴらと読んでいるんじゃなくて、テレビで見ているんじゃなくて、それを現場に行って、そういう罪を犯した人たちを見ていて、麻薬の人もいるわけですよね、それを見たときに、ああこれはかなわんなと早く気がつくのか、ああなりたいと、あそこに入りたいと思う人もいるかもしれないですけれど、まずいないでしょう、そういう人は。そういう現物教育をですね、子どもの時にお勉強だけではなくて、させるということはマイナスではないと思います。
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