ここからサイトの主なメニューです

事務次官会見概要(8月10日)

平成21年8月10日
14時05分から14時30分
文部科学省 記者会見室
教育、科学技術・学術

キーワード

全国学力・学習状況調査、「もんじゅ」の運転再開、就学援助制度、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査、高校無償化、幼児教育無償化

次官)
今日の事務次官等会議では、一般案件が2件、政令案が10件でしたが、文部科学省関係はありません。

記者)
先週、昨年の全国学力テスト分析結果が発表されました。親の収入が高いほど子どもの学力が高いという、経済力の格差が学力の格差に結びついているのではないかと受け止められるような結果が出ました。衆議院選挙で教育費負担の軽減が争点の一つとなっているさなかで、このような格差の存在が明らかになるような発表がありましたので、これを受けて今後の政策に生かすとか、概算要求に反映させるなどのお考えはありますか。

次官)
8月4日にお茶の水女子大学が公表した調査・分析によると、年収が高い世帯や学校外の教育支出が多い世帯の子どもほど、正答率が高くなる傾向があるということが出ています。そういった点は我々としても充分認識する必要があると思いますが、一方で、親の子どもへの接し方や行動も学力と関係しており、さらに言えば先生の教え方や、子どもたちの学ぶ意欲等も学力には関係してくると思います。このように、子どもの教育に影響を与える要因は様々であり、いろんな要因が相互に関係していると思っています。必ずしも家庭の経済力の差だけが学力差の原因であるということではないと思います。ただ、統計的にそのようなデータが出ていることについては、我々もよく認識する必要があると思います。親の所得など家庭の経済状況によって就学機会が奪われることのないようにしなければいけませんし、学校教育法では、「経済的理由により就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。」と規定されていますので、まずは市町村が就学援助の実施義務を持っているということです。また、「教育再生懇談会第四次報告」や、「教育安心社会の実現に関する懇談会報告」では、自治体の財政力に左右されずに就学援助を支給できるよう、国として財政支援の在り方について検討することの必要性が示されたところです。これらの提言を受けて、省内に「児童生徒の修学支援に関する検討会議」という有識者で構成する会議を設置し、義務教育段階での就学援助の在り方についても実態を把握した上で、今後1年かけて検討していくところです。平成22年度概算要求については、現在、省内で検討・調整を行っているところですが、就学援助に係る国庫補助についても必要な予算が確保できるよう、これから鋭意検討を進めたいと思っています。

記者)
一部報道で「もんじゅ」の運転が再開され、今週中にも地元に意向を伝えるとの報道がありましたが、実際文部科学省の中でそのような予定はあるのでしょうか。

次官)
「もんじゅ」については、改修工事も終わったわけですが、その後いくつかの技術的なトラブルもあり、運転再開にまでは至っていません。また、耐震補強も行う必要があります。今、耐震安全性の問題も含めて検討していますが、できるだけ早く目途をつけて運転再開の時期を決めて、地元へもお話しをして、ご了解を得て進められればと考えており、現在諸般の問題を検討中というところです。

記者)
就学援助の件ですが、概算要求で国庫補助を増やしていくという方向性ということでいいんでしょうか。

次官)
その辺も含めて、実態をよく把握した上で、概算要求の額については決定したいと思っています。

記者)
実態の把握をしてからということは、この後調査して概算要求に間に合うのですか。

次官)
今までのデータもありますので、全体を整理して、概算要求をするに当たっては、裏付けとなる根拠が必要ですから、その辺はしっかりと押さえておきたいという趣旨です。

記者)
裏付けというのは、どこのどういうデータを指しておっしゃっているのでしょうか。

次官)
文部科学省の中でも、先ほどのお茶の水女子大学にお願いしたデータなどもありますし、その他のデータもありますので、全体として担当局課で整理をしていただくというふうに考えています。

記者)
それは、どちらかというと学力調査のことではなく、就学援助制度の現状ということを把握した上で、その制度の不備を補っていくという意味ではないのですか。

次官)
今問題になっているのは、家庭の経済力の格差の問題で就学機会がなくなってはいけない、教育の機会均等を確保しないといけないという観点で考えているわけです。ですから、学力調査でもそういった要素を考慮に入れないといけないと思いますが、一番大事なことは、義務教育の段階、高校教育の段階で子どもたちがしっかり教育を受けられるように、国としての必要な支援を考えなければいけないと思っています。

記者)
お茶の水女子大学の調査は、小学校6年生を対象としていたので、まず義務教育段階の話であるということが前提だということと、就学機会がないわけではなく、学力の格差につながっていて、その後の格差を生んでいくという観点での報告だったと思うのですが、経済力の格差によって学ぶ機会がなくなるのではなく、経済力の格差が学力の格差になって、その先の人生の格差につながるという観点ではないかと思うのですがいかがでしょうか。

次官)
小学校の調査に戻れば、データ上、親の経済力の格差が点数の格差になっているということは、一つの事実としてしっかり受け止める必要があると思います。他方で学力差というのは経済力だけで決まるかといえば必ずしもそうではなく、他のいろんな要因もあります。端的にいえば、少し経済的に厳しい家庭の子どもたちの学力を上げていくためにどうしたらいいのかということについては、いろんなことを考えて、いろんな手を打っていかなければいけないのではないかと思います。

記者)
いろんな手が何なのかということを伺いたかったのですが、答えが就学援助だということだったので今の質問だったわけですが、具体的に収入が少ない世帯の子どもたちの学力を上げていくための対策はどのように考えておられるのでしょうか。

次官)
親が生活保護を受ける要保護者、要保護に準ずる程度に困窮している準要保護者についての就学援助は、きちんとやっていかなければいけないと思っています。準要保護者については、財源は地方が持っているわけであり、地方にしっかりやってもらわないといけないと思いますが、困窮度の高い要保護者については国庫補助の対象になっていますので、その部分については引き続いて責任を持って実施しなければいけないのではないかと思っています。

記者)
経済的に厳しい家庭の子どもに対しての金銭的なことというのは一つありますが、学力を上げるというのは恐らく教育内容の話や取組の問題の話になってくると思いますが、低所得世帯に対しての学力向上という教育的意味での何か施策としての考えはありますか。

次官)
これは何か一つやればいいということではないと思います。教室の中での活動は先生に期待するところが大きいと思いますが、そういう教室の中での活動もありますし、勉強するということについて親の理解も非常に重要です。親が子どもにどう働きかけるか、親が子どもとの関係でどういった行動をとるかということが子どもの学力に影響するというのが、今回のお茶の水女子大学の結果からも出ています。そういったことを総合的に取り組んでいかないと1人1人の子どもの学力向上にはつながらないのではないでしょうか。

記者)
問題行動調査で不登校が12万人と、昨年より少し減っていますが、かなりの数が維持されてしまっている状態です。この点について何かありますでしょうか。

次官)
数は確かに少し減ったようですが、小学生、中学生合わせて12万人と、数自体は非常に多いので心配すべき状況だと思います。不登校の子どもたちに学校に戻ってもらうために、これまでもスクールカウンセラーを活用したり、昨年度からはスクールソーシャルワーカーを活用して、家庭との関係について働きかけていただいて、教育相談体制の充実に努めてきているわけであり、それは、今後もしっかりやっていかなければいけないと思います。それから、この問題は、学校と家庭と地域が連携協力して対応していくことも重要ですので、そういった面での連携協力づくりも非常に重要なのではないでしょうか。総じて学校内外の関係者がよく連携協力をして、そういった子どもたちの教育相談の中身の充実などに努めていって、各都道府県でそういった取組をしていただく必要があるわけですが、文部科学省としても、しっかり支援していくことが重要だと思います。

記者)
スクールカウンセラー、学校内外の関係者の教育相談の中身の充実というのは、これまでも積み重ねられてきたことだと思いますし、不登校自体は最近起きてきた問題ではないですが、学校に行かない子どもということに関しては、例えばフリースクールなどの受皿を積極的に評価する面もあったり、逆に学校の努力がもっと必要だという面があったり、いろいろな考えがありますが、次官ご自身はどう思っておられますか。

次官)
不登校になるということは個人にとっては不幸だと思います。子どもたちの世界というのは学校あっての子どもたちの世界ではないかと思います。子どもの頃は、もちろん家庭で家族と暮らすという大事な生活はありますが、子どもたちにとって学校というのは、友達を作り、勉強し、将来のことを考えるという面で非常に重要だと思います。不登校になる理由はいろいろあると思いますが、結果として子どもたちにとって大事なコミュニティーである学校に行けないということは、残念であり不幸だと思います。未来を作る子どもたちが健全に学校生活を送れるように、学校、先生方、不登校を抱える保護者、また、地域社会は学校との関わりで非常に重要な役割を持っているわけですから、その人たちが一緒になって不登校の子どもたちの数を少なくするように、少しでも、できる限りの努力をしていかなければいけないのではないでしょうか。今は少子化ということになっていますが、とりわけ、そういう中で多くの子どもたちが学校に行けない状態になっているということは、改善していかなくてはいけないのではないかと思います。

記者)
同じ調査の中で、高校生の中退の話も出てきており、初めて経済的な理由という子どもたちの背景を調査されて、奨学金を受けている子どもの割合、授業料免除を受けている子どもの割合が1割と3割だったということで、文部科学省の担当者の会見の中では、そういう子どもたちが、もう少し利用していれば中退せずに済んだかもしれないので、これから取組を進めたいとおっしゃっていますが、この件に関して次官はどのような感想をお持ちですか。

次官)
高校生というのは、子どもの世界から社会に出て行く非常に大事なプロセスのように思いますが、親の経済的な理由で中退せざる得ないということは本当に残念なことだと思います。高校生の時期というのは自分と社会との関係を考える時期ですので、将来あんなことをしよう、こんなことをしよう、こうなりたい、ああなりたいということを本気で考える時期ですから、そういう時期に学校を中退せざるを得ないということは、できるものなら避けなければいけないと思います。したがって奨学金事業にしろ授業料免除にしろ、そういった仕組みを使って勉学を続けられるのであれば是非そうしていただきたいと思います。そういう意味からすると、奨学金事業にしても、授業料免除にしても、できるだけ充実できるように都道府県も文部科学省も協力しながら努力しなければいけないのではないかと思います。

記者)
高校の授業料の問題では、無償化を民主党が掲げて、一方で自民党が幼児教育ということで、両方とも無償化の話が出てきており、これは所得の高い人に対してもそのようにするべきなのかどうかということと、授業料減免等はそうですが、奨学金制度に関してもある程度収入に応じた施策ということも考えられるわけで、全部丸ごと無償化ということと、低所得層に対しての支援と、どちらがどうなのかということに関してはどうお考えでしょうか。

次官)
私どものこれまでの政策は、各家庭の経済実態なども考えて必要な支援策、予算措置をしてきたと思います。これは一つの政策、考え方として大事な点だと思っています。一方で所得にかかわらず、全て無償化、免除をするという考え方もあります。その背景となる考え方は私は詳しくは存じませんが、将来を担う子どもたちに、できるだけ安心して教育を受けさせるという考え方がそこにあるのかもしれません。これまでの教育行政では財源にも一定の限りもありますので、できるだけ経済的に困窮する人たちにプライオリティーを当てて、そこを支援していくという考え方がいいのではないかということでやってきたということだと思います。

記者)
学力調査の発表の日程が今年も決まりました。政党によっては全員調査は必要ないのではないかというマニフェストを掲げているところもありますし、予算という意味では60億円近い予算が全員調査であればかかってしまうわけですが、悉皆調査の必要性に関してはどのようにお考えですか。

次官)
これまでも、文部科学省としては悉皆調査をして、国のレベルではそのデータを基にして国全体の教育の在り方などに生かしたり、県レベルは県レベルで、市レベルは市レベルで、学校レベルは学校レベルで、それぞれ結果としてのデータを、それぞれの指導方法の改善、学力を具体的に上げていくための対策等々に生かそうということでやってきています。教育振興基本計画の中にも継続して全国学力調査をやっていくという方針もありますので、この計画を変えない限り続けていくべきだと思っています。少なくとも現行の教育振興基本計画の間は、しっかりやっていかなければいけないのではないかと思います。

記者)
次官がよくおっしゃる財源の問題、エビデンス(根拠)ベースの問題から考えると、3年間やってそれなりのデータが蓄積されたという見方もあると思いますが、4年、5年、6年とエビデンスをとり続けていくべきだというお考えでしょうか。

次官)
そう思っています。もちろん毎年、私どもも学習効果が上がっていくわけですので、結果としてのデータをどういう側面から分析するか、どういう観点で着目して得られた結果から、将来の資料に役立つものを引き出すかは、毎年考えながらやっていますので、同じことだけを毎年繰り返しているわけではなく、やる以上はできる限り新しい分析的視点できちんとやっていくべきだと思います。

 (了)

※本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。

お問合せ先

大臣官房総務課広報室

-- 登録:平成21年以前 --