ここからサイトの主なメニューです

事務次官会見概要(6月25日)

平成21年6月25日
14時14分から14時40分
文部科学省 記者会見室
教育

キーワード

国立大学法人運営費交付金, 奨学金,教育安心社会の実現に関する懇談会,高等教育の無償化

次官)
今日の事務次官等会議ですが、政令案が1件ありましたが、当省関係のものではありません。以上です。

記者)
23日に閣議決定された「骨太の方針09」で、国立大学への交付金1%削減方針が継続されたことを受けて、国立大学協会が24日、これを遺憾とする所見を発表しました。国立大学協会側は、全国の国立大学の予算余剰金3,000億円が「埋蔵金」とみなされることに強く反発しており、「今後の概算要求、予算編成に向け、財政当局から更なる歳出削減を迫られる恐れがある」という危惧も示しています。こうした所見に対する次官の感想と今後の文部科学省としての対応をお伺いします。 

次官)
23日に閣議決定された、いわゆる「骨太の方針2009」において、来年度予算については引き続き「基本方針2006」等を踏まえて、無駄の排除など歳出改革を継続することとされています。国立大学法人運営費交付金については、「基本方針2006」において、各年度の予算額を名目値で対前年度比1%減とすることとされており、年々減少している状況です。各国立大学法人においては、人件費をはじめとする経費節減や外部資金獲得などに懸命に努力をしており、運営費交付金の削減に対応していますが、大学からは、このような対応が困難な状況になりつつあるという声が出ているところです。こういったことを背景として国立大学協会としては24日に所見を公表したと思っています。それから、国立大学法人の積立金等については、3,000億円といわれていますが、その過半の1,555億円は現金が残らない会計上の観念的な利益ということが言えると思っています。これ以外の1,446億円は各国立大学法人において計画的に使用するために自己努力により創り出した利益といえるわけであり、いわゆる目的積立金などがそれに当たります。いずれも「埋蔵金」ではありません。国立大学全体としては、運営費交付金の削減等により、経営は厳しさを増しているものと認識しています。文部科学省としては、引き続き、国立大学が安定的、継続的に教育研究を実施していけるよう、来年度概算要求においても必要な運営費交付金の確保に努めていきたいと考えています。

記者)
概算要求で、必要な予算確保に努めていきたいということですが、具体的には方針が示された後にどんなふうに戦っていくのでしょうか。

次官)
「基本方針2009」を踏まえて、シーリングが確定し、シーリングに基づき具体的な概算要求作業に入っていきます。その中で国立大学の運営費交付金について、どのような22年度概算要求を行っていくのかということを考えていくことになると思っています。

記者)
高校の奨学金事業について、日本学生支援機構が高校奨学金事業を都道府県に移管して行っているわけですが、毎日新聞の調査で、24都府県で、04年度まで学生支援機構がやっていたときは認めていた民間などの奨学金との併願が禁止されているという実態があることが分かったのですが、次官はどのように受け止めておられるかということと、このようなばらついた対応状況を何かしら是正していく必要があると思うのですが如何でしょうか。

次官)
6月9日の報道で、高校奨学金の併用禁止が24都道府県で見られるという記事があったと記憶しています。高校奨学金事業は、従来、日本学生支援機構で実施していたものを都道府県に移管しています。高校奨学金事業の具体的な内容については、各都道府県において定められているところであり、他の奨学金との併用の可否についても基本的に各都道府県が判断するところだと思います。文部科学省としては、各県の状況について把握するとともに、その内容を都道府県に対して情報提供してきたところです。昨年の9月時点での調査では、都道府県の行う高校奨学金事業と他の公益法人等との併用を可としている自治体が27で、不可としている自治体が20であったと把握しています。今非常に厳しい経済状況にあり、経済的理由によって修学困難な高校生がこれまでより増加していくことが見込まれるため、平成21年度補正予算において、すべての都道府県で実施している高校奨学金事業などについて、国からの新たな交付金によって、対象者の増加に対応するための基金を各都道府県に設置するという形で、緊急支援を行うこととしています。この緊急支援については、他の奨学金との併用を可とすることや、学力基準の緩和などにより対象者数が増加した場合にも、支援の対象となるものです。高校生の修学支援のために各都道府県において、本交付金が大いに活用されることを期待しています。6月15日に、各都道府県の担当者に対して、この交付金の説明会を開催したところであり、その際にこの趣旨についても説明したところです。私どもとしては、今後とも、高校生が経済的な理由によって修学を断念するということにならないように、各都道府県における適切な奨学金事業が実施されるように支援をしていきたいと思っています。

記者)
都道府県毎にばらつきがあるわけですが、担当者に説明会で説明したとのことですが、そういう状況は是正して併用は認めてくださいという指導、という位置づけではないということでしょうか。

次官)
今回の補正予算において措置した国からの新しい交付金について、その交付金を基に各県で基金を作っていただくわけですが、その基金の運用についての説明とご理解いただければと思います。

記者)
併用を認めない理由は、多重債務になってしまうのが困るという考えだったり、財源を考えればなるべく多くの人に支給したいという考えがあると思います。それは都道府県が決めることですが、国としては財源さえあれば、なるべく認めるべきであるというお考えでしょうか。

次官)
高校の奨学金事業をどういう趣旨で実施するかということを考えたときに、例えば、限られた奨学金を活用して、多くの人に利用できるようにしてもらいたいという事情が濃いところもあると思いますし、一方で非常に経済的に修学が困難な方に多くの奨学金を受け取ってもらおうというところに力点を置く県もあろうかと思います。そこは各都道府県の判断があると思いますが、国として補正予算などを通じて心がけているのは、奨学金全体のパイを増やしていこうということですので、その中で、それぞれの県が適切な奨学金事業を実施していただけるように考えていただければと思っています。

記者)
生活困窮家庭がこれくらい増えていくという試算や、奨学金をこれくらい増やしていかなければいけないという文部科学省としての試算はあるのでしょうか。

次官)
私どもとしては、高校生の奨学金事業については、これまでの実績や家計急変などの事情を考えながら授業料減免と併せて、本当に修学困難な方が、出来るだけ多く奨学金を受けられるようにするということを考えて、全体のパイを増やすということを今回心がけました。

記者)
日本の奨学金は返済を求められるという点で厳しいという意見もあり、給付型の奨学金を導入してはという話も出てきていますが、どのようにお考えでしょうか。

次官)
義務教育は当然ですが、高等学校や大学についても修学機会を経済的な理由等によって奪われることがないようにしたいというのが基本的な考え方です。今、大臣の下に「教育安心社会実現のための懇談会」を設置し、教育費の負担の在り方について省として検討していますが、その中の一つの大きな課題が奨学金の問題です。この他に授業料減免をどうするか、あるいは義務教育段階においては就学援助の在り方をどうするかといったことをテーマとして議論していただいています。奨学金については日本の場合貸与制が原則ですが、国によっては給付型の奨学金が行われている国もあります。我が国全体の公財政支出、家計負担の軽減の観点から奨学金事業の在り方は、これからの大きな政策課題だと思っています。今直ちに給付型を導入できるかどうかを即答できないのは大変恐縮ですが、修学機会を、希望する子ども達に出来るだけ与えたいという観点から奨学金の問題については重視をして引き続き検討していきたいと思っています。

記者)
「教育安心社会実現のための懇談会」の中で家計負担の在り方を見直すという話が出ていると思いますが、その話が通るとすると、給付型の奨学金であっても、一つのセーフティーネットだと思いますが、根本的に家計負担を変えるということにはならないのではないかと思いますが、学費の無償化、運営費交付金の話も含めて、もっと踏み込む可能性、もしくは選択肢についてどのようにお考えでしょうか。

次官)
今議論しているのは、教育再生懇談会でも人生前半の社会保障ということが言われたわけですが、社会に巣立つまでの間、日本では義務教育期間は家計の負担は比較的少ないかもしれませんが、幼児教育段階、高等学校段階、大学段階での家計負担は大きいということが指摘されています。ですから各学校段階に応じた家計負担の在り方を議論するのが大きな流れとしてあります。それからもう一つの考え方としては、家計負担の軽減には色々なやり方があります。幼児教育については私学助成と就園奨励費という2つのやり方がありますが、それらを併せて幼児教育の無償化ということが大きな課題になっています。また、義務教育段階でいえば子ども達の格差是正、機会均等という観点から就学援助という制度を導入して家計負担の軽減に努めています。高等学校、大学では授業料減免と奨学金、それから私学を中心に機関補助として私学助成というやり方を組み合わせながらやっています。そういった色々な政策手段をどのように案配していくのかということと、それが全体として家計負担軽減にどう繋がっていくのかということを考えなければいけないと思います。その場合、国際的に見て日本の家計負担の水準が適切なのか、人生全体の中で公財政支出が各年齢に応じてどのようになされればいいのか、あるいは人によって収入等に差があるわけですので格差の是正にどのように貢献するのか、いくつかの観点があると思っています。いずれにしても政策手段と政策目的を組み合わせながら、全体として家計負担の軽減、教育に対する公財政支出の充実が図られるようにしていきたいというのが今の私どもの議論の方向です。もちろん財源に限りがありますので、財源の問題がやがては突き当たる問題にはなりますが、まず、教育における家計負担の軽減、公財政負担の在り方をどう考えるのかということをきちんと整理をしていくことが今は大事なことだと思っています。

記者)
京都教育大学の事件に関して、処分保留になった6人に対して、当面退学にはせず停学で指導を続けるということだったのですが、今回の事件について、大学側の処分についてどういう在り方が求められると思われますか。

次官)
6月22日に、逮捕された学生6人が処分保留で釈放されたと聞いています。文部科学省としては教員養成を使命とする国立大学においてこういう不祥事が二度と起きてはならないと考えており、大学に対して厳しい対応も求めるとともに、被害者のケアに万全を期すようにお願いしているところです。特に大学においては、本件に対する対応を検証し再発防止策等について取りまとめるよう求めているところです。現在6人の学生は無期停学という処分になっているわけですが、大学からは今後の処分については今検討していると聞いています。

記者)
国力と成長力のことを考えれば、特に有力大学において、進学する生徒の親の収入に格差が反映されているという事実を考えると、給付型の奨学金では回復されないのではないかという気がするのですが、大学の無償化を考えたときに来たるべき税制改正の論議の前に、国際人権規約の漸進的な高等教育の無償化ということを、今ここで声を上げて議論を呼び起こす必要があるのではないかと思うのですが、文部科学省としては如何でしょうか。

次官)
国際人権規約について、高等教育の無償化というところは、我が国は留保しています。高等教育における授業料の問題については2つあり、1つには、国立大学と私立大学の間で授業料に差があるということがあります。2つには、近年、国立大学の授業料の伸びが上がっているのではないかという指摘があります。こういう中で国立大学、私立大学の授業料をどう考えるのかということは、子どもを大学に通わせる親にとっても重要な関心事だと思います。現実には各私立大学、国立大学には経営ということがありますので、どのくらいの授業料の設定がいいのかというのは、それぞれ考えていくべきことだと思いますが、問題はこれだけユニバーサル化した現代の高等教育において、学ぶ意欲のある子どもが大学に入学し、学習出来るようにすることが基本にあるべきだと思っています。例えば、授業料後払い方式という国がありますが、そういう方法もあれば、授業料そのものを減額したり免除したりという方法もあると思います。さらには、授業料を引き下げるという方法もあります。国全体の高等教育に対する公財政支出がどうあるべきかということと、家計負担の実情と機会均等を逸しないやり方は何かということを考えながら、この問題については非常に大きな政策課題として大臣の下で検討会を作って検討しています。ただ最終的には財源の問題に突き当たりますので、そのことも睨みながら国全体の税制改正、財政の状況を見ながら考えていきたいと思っています。

記者)
財源以外には留保を解除する障害はないということでしょうか。

次官)
高等教育は全ての人が恩恵に浴しているわけではありません。大学だけに限ると半分くらいの方ということになりますので、そういった問題や、無償化が実現できるかという現実の状況を考えたときに、国際人権規約においては我が方として今のところ留保しているということです。

 

                                      (了)

お問合せ先

大臣官房総務課広報室

-- 登録:平成21年以前 --