平成21年3月3日(火曜日)
10時36分~11時09分
文部科学省 記者会見室
教育、文化
旧東京中央郵便局、ブラジル人学校等大臣視察
大臣)
本日の閣議は、特に報告することはありません。
記者)
昨日、鳩山総務大臣が東京駅前の旧東京中央郵便局を視察なさったときに、重要文化財級の価値がある建物の一部を壊したのは国の恥と発言しました。河村官房長官も、残せるものならばと、保存すべきという考えを示しています。また、文化庁も何度か、重文級であることは伝えていたとのことですが、この件について大臣はどのようにお考えかお聞かせ願います。さらに、日本郵政株式会社に対して、建物の価値を再度伝える必要性や、その予定があるかについても教えていただければと思います。
大臣)
この件については、東京中央郵便局局舎が、重要文化財としての指定を検討する価値があるということは、私どもも申してきたわけですし、価値については、学術的にも証明されていると思っていますが、しかしながら、あくまで所有者の同意が必要でして、今までの経緯の中では同意が得られていないものですから、例えば、そのための調査ということも、今までには行われていません。仮に、所有者である日本郵政が、再開発計画の内容を変更して、文化財としての保存活用を図る方針をとり、重文の指定について同意が得られるものであれば、私どもとしては重要文化財指定について、今後調査等、手続きを進めていく用意はあるわけです。現在のところ、あくまで所有者の同意がないということで、具体的に進められない状況です。私個人としても、もしできれば残していきたいという気持ちは鳩山総務大臣あるいは河村官房長官と同じでして、今朝も三者で話合いをして、その確認はさせていただいたわけですが、今までの経緯あるいは経済的な問題も大きいわけですから、そういったことも含めて、また改めて協議をしようということで、三者の会談は終わりました。
記者)
三者のお話というのは、どんな話があったのですか。
大臣)
今までの経緯の確認とか、現状で何ができるかといったことを、また、それだけの価値があるものであれば、できれば残していきたいというような話をしました。
記者)
日本郵政側とは、大臣としては何かやりとりをする考えというのはありますか。
大臣)
今のところはないです。先ほどの質問に、この価値を伝えるつもりかということですが、十分にそれは承知していると思うのです。今までの経緯の中でも、我が省の担当者から、そのことは伝えてあると思いますし、建築的にも価値があるというのは十分承知をしているはずだと思います。また、日本郵政の方で歴史検討委員会というものをやった中でも、そういう意見はずいぶん出ていたということを聞いていますので、改めて、こちらから伝えるということはありません。
記者)
すでに建物の一部の工事に着手しているようですが。
大臣)
アスベスト工事ということで私どもも聞いていましたが、建物の壁に穴が空いていたり、相当解体のような状況で進められて、鳩山総務大臣も非常に残念な思いだということを言っていますので、どういう経緯でそういうふうになったのか、当然、今の計画を進めてきた一環なのかなと思っていますが、いずれにしても、その状況を見ると、早く何らかの結論を出した方がいいなという気がします。
記者)
手をつけてしまった現状でも、まだ重文指定は可能なのでしょうか。
大臣)
今の状況がはっきりしていませんので、その判断は、また別にしなければいけないと思います。
記者)
総務省は経済性を心配していて、日本郵政は自分たちが判断をするその同意というものがあって、文部科学省というのは文化継承という一点においての立場というのが、同意があるなしに、その点についてはいかがでしょうか。
大臣)
重文として価値があるということであれば、当然、残しておきたいということです。今、我々としてもその立場にいます。ただ、あくまで指定には同意が前提だということになりますので、一方的にできないわけです。今後については、今回のことを通じて、法的な改正とか、より保存ができるようなことは検討しなければならないなと、私自身は思っていまして、特に、今まではどちらかというと、本当に古い神社仏閣が対象でしたが、今後は明治以降のそういった建物が対象として出てきますから、再開発とぶつかりあうようなところがあると思うのです。ですから今後、そういうときのために、どういう法的な措置が必要なのか、あるいは財政的な仕組み等といったことも今後は検討していかなければならないなと感じていますので、それは今後の課題として検討していきたいと思います。
記者)
世界最古の木造建築物法隆寺があそこにあったら、守らなくてはいけないというのは、非常に分かりやすいのですが、局舎は近代建築で、非常に時代が近くその価値が分かりにくいところですが、純粋に建物の価値を、文部科学省として見解をお示しになるというのは…。
大臣)
ですから、指定に向けての調査ということも、所有者の同意がないと勝手にはできませんので、一応、そういう検討の価値があるということは、今までの建築業界なり、あるいは学者等の話から、私どももそういう価値があるなとは思っていますので、そういう立場です。
記者)
慣習的に同意を求めてきたと文部科学大臣がおっしゃると、これまでは壊れていくのを見ているしかなかったということになると思うのですが、ただ今回、総務省の方から判断を投げられた状態で、伝統的なものを守る主務官庁でありながら、というような印象を受け、少し不思議なのですが。
大臣)
今回の件は今までもかなり経緯があって、この価値については話をしてきた、その結果なのです。こういうことが起こって言ったわけではなくて、計画の段階から文化庁としてはずっとかなり、例えば残すためには、今の法律の範囲内でこういうことができる、できないとか、残す場合には、基本的には全部残して、その上に建てる工法とか、そういうことも提案をしてきたのです。だけど結果的には、日本郵政として、事業的には合わない、採算もなかなか予定通りにいかないということで拒否をされた、そういう経緯がありますから。
記者)
採算を文部科学大臣として危惧されているということですか。
大臣)
違います。それは日本郵政側がです。我々は指定できれば指定したいということで、それを全部拒否されてきたわけです。
記者)
総務大臣との話で、文部科学省側の見解を出すということになった、その見解というのはどんな内容になっていますか。
大臣)
そこは今までと同じです。ただ、残すことができれば残したいというのは、我々の立場としてもありますから。
記者)
文部科学省がこれまで示してきて、先の国会ではさらに踏み込んで、高塩文化庁次長が答弁されていますが、延長に見解はあるという理解でよろしいですか。
大臣)
そうです。過去においても同じ見解で話をしてきたと思います。今回新たに、鳩山総務大臣が投げかけたことから始まったのではなくて、この問題については、かなり検討をして、日本郵政とも話をしてきた結果ということです。
記者)
今のところ、日本郵政側に会って話をする予定はないということですが、現時点で、同意が得られない状況が続いていて、何らかのその状況打開がないと、考えを変えてくれないかななどと思っているだけでは、なかなか進まないのではないかと思うのですが、いつまでに何をしたいというお考えは。
大臣)
現時点では、何ができるかというのは難しいところでして、今回の三者の話合いでは、今後協議しましょうということでした。
記者)
例えば、総務大臣が窓口になってとか、それとも、日本郵政側が考えを変えてくれるのをひたすら待つということですか。
大臣)
いえ、まだ具体的に何ができるかということの結論が出ていませんから、今後協議して決めて、アクションを起こす可能性はあるかもしれませんが、今のところはないということです。
記者)
文部科学省としての見解はペーパーで出す予定はありますか。
大臣)
いえ。もう、常に言っていますから。
記者)
昨日、静岡県のブラジル人学校等を視察したと思うのですが、御感想やこれからの方針等のお考えをお願いします。
大臣)
ブラジル人学校の問題は、今回の大変深刻な不況の中で、授業料を払えなくて学校へ通えない子どもが増えているということで、特に、私の地元が一番数が多いということで、そういう意味では象徴的な地域でして、私も今までブラジル人学校は訪問したことがなかったですし、昨日国会日程に空きができたので、早速行ってきました。一つ目は、浜松カトリック協会内に設置された「コミュニティキッズ教室」で、緊急対策として今年2月から教会で教室を開いたということで、学校へ行けなくなった子どもを集めて、我が省が緊急対策として打ち出したものを活用して、40人ぐらいのブラジル人等の子どもを預かり、日本語や母国語等を教えているということでして、教会という一つの場をそういう形で提供して、やっていただいているということは、非常にありがたいことであり、私どもとしても、一つ成果が上がっているなという感じを受けました。もう一つの「ブラジル人学校エスコーラ・アレグリア・デ・サベール」については、昨年は440名ぐらい生徒がいたのですが、今年は240名で、約200名ぐらい生徒が減っているということで、何とか色々な支援をお願いしたいということでした。今後経営的にも学校自体が厳しくなるということですから、各種学校の指定をぜひ取る、という学校の方向性もあって、それに対しては、指定の認可基準を緩和して、学校側が申請してもらえれば色々な支援ができるわけでして、その方向をお話ししましたが、ただ一つ課題があったのは、その学校がこれから申請すると、指定が来年4月になってしまうということで、途中で認可してもらえないかというのが一番強い要望でした。それはまた県と相談して、検討していきたいということです。いずれにしても、厳しさを改めて実感しましたし、来なくなった子どもたちの状況を聞きまして、把握する範囲の中では、3割ぐらいは本国へ帰って、1、2割は日本の公立学校へ、あと3、4割は、やはり何もしていないでいるというような状況ですから、何とか多くの子どもたちが就学できるような方向で検討していかなければならないということを、今回改めて感じて、また今後、検討していきたいと思います。
記者)
定額給付金についてですが、昨日、麻生総理が受け取りますと発言されました。これまでの発言では、さもしい等色々あって、ぶれたとか、迷走したという指摘もあったのですが、そのことについてどう受け止められているかということと、今朝の閣議では、内閣として受け取るということを話されたのでしょうか。
大臣)
総理が昨日そういう発言があったということで、今朝の閣議の中でも、そのことを改めて我々に報告がありました。総理としては、当初は定額減税からの経緯とか、そういう中で、生活支援ということが大きな目的であった。それから経済状況が変わる中で、この給付金が今決まろうとしている段階、そういう時点で今の状況を考えると、もう一つの新たな目的である消費拡大という点を、今は重視することが大事であるということであって、本人としてはぶれたりということではなくて、最終的に決まったときに判断するというような言い方だったと思いますが、いよいよ具体的に決まる段階ですので、今の状況を判断して、自分は使うようにしたということです。決してぶれているわけではなくて、今までも、その状況で判断するということで、そういう時期が来たので判断し、もらうということを決めたということです。党としては、具体的にそういう方向で、皆さんももらって消費にという方向だと思うのですね。ただ最終的には、これはあくまで強制ではありませんのでという、個人の判断でという報告がありました。総理として、色々なこの厳しい状況の変化の中で、最終的に、また、この関連法案が上がるという状況の中で、慎重に判断されたのだと受け止めています。
記者)
大臣御自身は、受け取りになるというお考えに、お変わりはありませんか。
大臣)
ありません。
記者)
総理の説明はぶれていないということであったにしろ、国民の目から見ると、説明が色々変わっているように受け取られているという事実についてはいかがでしょうか。
大臣)
なかなか説明が伝わっていないなということで、大きな流れの中で判断したのだろうと思いますので、その時々の色々な状況という中で総理の発言というのは、当然重たいのですが、言葉だけが先行してしまったような状況があるのではないかなと思っていますので、総理にはまた、今後の発言はより慎重にしていただく。その都度その都度、あまり発言をしなくてもいいのではないかと、私もそうですが、聞かれれば、今日と明日は違ったりするかもしれませんし。ですから、その辺は気をつけなくてはと、閣僚としては思っていますが、ぶれたということではない。実際、本心としては色々ぶれますよね、我々の中では心が動きますから。だからそういうのが端々に出てきた。だけど最終決定は、そこでされたわけではない。そういうのは、誰もがあることだと思っていますし、しかし、総理は特にそういったところは、強く意識して発言していかないと、国民に誤って伝わる可能性があるなというのは、御自身も考えていただければなという気持ちはあります。私ども閣僚もそうでしょうけどね。なかなかその辺は、皆さん方にうまく聞かれると、時々そういうものが出てしまう時もありますよ。
記者)
東京中央郵便局の件ですが、先ほど、協議を続けるから、特段大きな行動は予定していないということですが、かんぽの宿の場合は、ひとまず待っても急になくならないわけですが、局舎の場合は着々と崩れていっているのですが、これに対しても、やはり行動はなさらないのでしょうか。
大臣)
行動しないということではなくて、今は決まっていないということです。総務大臣も昨日、直接現地の状況を見られてきたわけで、それを踏まえて、随時協議をしていこうということですから、今のところは具体的には決まっていないということです。
記者)
大臣は視察する考えはありますでしょうか。
大臣)
今のところはないです。
記者)
具体的にまだ決まっていないということですが、実際に総務大臣は発言や視察をして、このような注目を集める状態になっています。イニシアチブを、本来文部科学省が取るべきだと、総務省に取られたような形になっているのですが、この事態についてはどうでしょうか。
大臣)
ただ、今までもずっとその話はしてきましたし、我々としては同意が得られればいつでもやれるということですから。その一点が一番重要な点であって、勝手に指定はできませんから。我々としてはできる範囲というのは決まってくると思うのです。そういう価値があると我々は見ていますし、日本郵政が指定を前提にしたら、すぐに調査に入って、いつでも指定の手続きは取ることはできますということは言っていますから。
記者)
その一点は、相手の判断によるというのではなくて、文部科学省として行動するということは。
大臣)
もうしていますから。話を何回もしていますし。今しても、相手がだめだということですから。
記者)
今回、鳩山総務大臣がこのような行動をしなければ、おそらく着々と進んでいたのではないかなという印象は受けるのですが。
大臣)
そのとおりです。前々大臣からの話で、そういう判断をしていますから、手続き上は、もう、一つの結論が出たということになっているでしょうから。
記者)
手続き上、結論が出たので、文部科学省としてはいたしかたがない状態だと。
大臣)
前大臣がそういう判断をしましたし、例えば新しい何かがあって、価値が違うのだとか、そういうことがあれば別ですが、我々は価値は認めようという検討をする用意があるわけですから。あとは所有者の判断でしょうから、それを覆すには何がいいかは、別の意味で考えなければならないですが、例えば、世論とかそういうものもあるでしょうし、いずれにしても、今の時点で同じ行動をする必要はないと思っていますので、ただ新たな何かが、この時点で見いだせれば、それは行動をしていきたいと思います。
記者)
鳩山総務大臣の行動は、新たに見直すきっかけにはなり得ますか。
大臣)
それは過去の経緯と同じ内容だと思うのです。新しいことではないと思います。あのような意見もあったにもかかわらず、結果的にこうなったわけですから。日本郵政でも、歴史検討会ということで、散々価値があるという話合いの中で、あのような結論を出したわけですから。残念なことは残念です。今回は要は、経済的理由によって重文が指定されないということですから、制度的に色々な検討の余地があると思います。今後、近代建築もそういう対象になってくる時代に、例えば再開発とかで、利害というか経済的な理由だけで判断されるというのはやはり問題がありますから。今の範囲内では、それを覆す、例えば国が全部補助するとか、なかなかそこは簡単ではないわけです。できれば指定をしたいという気持ちはありますので、今それは何ができるかということですね。
記者)
大臣がお出かけになって指定をしたい気持ちがあるとおっしゃるだけで、国民は分かるわけで、では次に日本郵政はどう言うのかなと、あちらに耳を澄ませて初めて、同意がないことを知ることになると思うのです。そういうことを総務大臣は色々な立場でしていて、文部科学大臣はどうなさるのだろうと、国民が見ている状況だと思うのですが。
大臣)
もう言っていますから。同意が得られれば重文に指定する用意があると。
記者)
行動して発言するという点においてはいかがでしょうか。
大臣)
それは検討してみますが、やはり新たな何かがないと、今まで散々、前大臣もそういう話合いをやってきたわけですから。去年のそういうときに報道がどうされたのか分かりませんが、皆さん方がどういうふうに思ったのか。そういう報道がされたのかどうかっていうことも含めてですね。
記者)
昨日、工事が進んでいる状態を見て、改めて視察をしてみようというきっかけには。要は、今までは、あれだけの穴が空いたりというのは、想定になかったわけですね、大臣の中では。
大臣)
それは、もう、一つ結論が出た話で来ているわけですから。だから、穴が空いていようが空いていまいが、それは大変残念なことですよ。我々が把握していたのと少し違って、報道ではつい最近から解体工事が始まりそうだというのもあって、だから、そのつもりでいましたけど、それは何だという感じもあります。それをストップすることが、何かできるのか、そういうことも含めて協議しないといけないっていうことです。それは一番強いのは、世論の高まりも、一つ大きなことだと思いますし、ただ今までの経緯、手続きで、これだけ議論があった中で、一つの結論が出ていますから、それをどう、今の段階で白紙に戻せるかというと、かなり難しいと思うのですね。
記者)
では、世論の動向を見極めて、日本郵政側に文部科学大臣として、とりあえず工事を止めてくださいという要請をするお考えはありますか。基本的には難しいとしても。
大臣)
今朝、三者で色々話をした結果、何ができるかというのは、お互いにこれから協議しようということですから、今のところはまだありません。今のところはね。
(了)
※本概要は、発言内容を変更しない範囲で読み易く修正しています。
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