平成20年2月19日大臣会見概要

平成20年2月19日
9時8分〜9時22分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議は、通常の報告案件の他に、国民生活担当大臣から「交通事故死ゼロを目指す日」の実施について、明日が交通事故死ゼロを目指す日であるということで、先日報告しましたが、各省庁連携してそれぞれの分野でこの運動を盛り上げようという発言がございました。閣議後の閣僚懇談会では、総理から、閣僚間の色々な意味での自由な議論の場があって良いだろうということで、明日の昼から開始されますが、昼食会方式で月一度懇談会を設けるというお話がございました。それから、防衛大臣、国土交通大臣から今朝起こりましたイージス艦の事故の概要について報告がございました。

記者)

 大学生の学力不足について、推薦入試やAO入試に学力試験を導入することなどの検討が進められていますが、学生の学力をどう維持していくべきか、大臣のお考えをお聞かせ下さい。

大臣)

 大学全入時代がもう目の前に来ているわけでして、そういう中で高等教育機関、特に大学において学力をどう維持し、どう評価していくかは、今大変大きな話題だと思っております。先日のOECDの高等教育に関する評価という、非公式教育大臣会合の席でも、そういった話があったわけですが、現在、中央教育審議会(以下「中教審」)においてもご議論を頂いているところです。入試の問題につきましては、推薦入試やAO入試といった形式が非常に増えてきていますが、これらについても、ただ単にということではなくて、併せて学力テスト、例えばセンター試験をそのまま評価に使うとか、そういったことも多く行われているようです。いずれにしましても、各大学が入学者に対してしっかりと方針を持って臨んで頂くことが大事であり、また、人材養成に関してしっかりと目標を持って、カリキュラムを作って頂くことが大事であろうと。加えて、学力の評価について、卒業を認定する行為をしっかりとやって頂きたいと、従来からも各大学に要請しているところです。さらに、中教審の議論なり、また、グローバルな視点での様々な動きがあるわけですから、こういったことを適正に受け止めて、今後必要な対応をやっていきたい。当面は、先ほど申し上げましたような、各大学が入試においても、また学力評価においても、しっかりとやって頂くということが大事であろうと思っております。

記者)

 イージス艦のことですが、閣僚懇談会で総理や担当大臣から今後の対応について何か話があったかということと、大臣の受け止めをお願いします。

大臣)

 特に今後こうしろという指示とか、対応とか、そういう形ではなかったと思います。今捜査中ですから、これをしっかりとやるということであったと私は受け止めております。私が朝テレビで見た時は正直それほど事態が分かっているということではありませんでしたが、そのときの印象としては、大変なことが起こっているなというのが、正直な実感でございます。いずれにしましても、今は防衛省と海上保安庁がしっかりと対応しているわけですから、その捜査の行方を見守りたいと思っております。

記者)

 昨日の中央防災会議で、関西を中心に多くの文化財が、大きな地震が起きたときに倒壊の恐れがあるということが出ておりましたが、文化財を所管するお立場として今後の対応等、何かお考えですか。

大臣)

 今までのやり方で良いのかということを、私なりにもう一度事情をよく把握し直して、やるべきことがあれば早急に対応するということを考えてみたいと思っております。阪神・淡路大震災が起こった時、私自身はおりませんでしたが、家族は神戸でした。地震も大変ですが、実はそれ以降の火災というのは二日経っても三日経っても新たに起こるのです。私がサラリーマン時代に住んでおりました家から見ていますと、新たな火の手が上がってくるのです。そういうことを考えても、地震に対してどうするかということと同時に、重要文化財は木造建築が主体ですから、火災に対して今の状態のままで良いのか。例えばスプリンクラーを設置するとか、貯水槽を作るとか、色々な対応をしているわけですが、スプリンクラーは水道が止まったら何の役にも立たないわけですから、そういったことも含めて、このままでいいのか、どうすればいいのかを、きちんと準備しておきたいと思います。昨日の会議に出席しておられた閣僚の皆さんも、こんなに被害が起こるのかという思いは持たれたと私は受け止めておりますし、責任官庁である文部科学省からも、防災についてこういう状況になっているが、まだこういうことをやるべきだということを積極的に発信していきたいと思っております。そのために、昨日の会議でも、土岐先生にもプレゼンテーションをして頂いたわけですから、緊密に連絡を取って、また泉防災大臣とも、今朝も立ち話でもう少し私の方も勉強させて欲しいという話をしましたが、話をしていきたいと思っております。

記者)

 担当課に指示をするということですか。何か改めて、例えば有識者から意見を聞くとか、そういうお考えですか。

大臣)

 今まで私が知っている範囲の知識ではちょっと少ないなという印象を受けましたので、まずは省内でもう少し詳しく色々聞いてみたい。要するに出来ること、出来ないこと、例えば小学校の耐震のように、窓の外にブレスを組めば大丈夫ですよというわけにはいかないものだと思いますから、どういうやり方をやっているのか、また、どんなところに問題があるのかを、もう少し詳しく聞いてみたい、必要に応じて専門家の意見も聞いてみたいと思っております。私は必ずしも木造建築が専門ではありませんが、意外となかなか難しいだろうなと。釘を使っていない建物もたくさんあるわけですから、そういうものをどう耐震化するのか、そういうことも含めて、少し勉強してみたいと思っております。

記者)

 その関連ですが、仮に何らかの損壊なりが文化財に出てきた場合に、どういったデメリットがあるというか、どういったところが困るというふうにお考えでしょうか。

大臣)

 昨日は、京都の真下を走っている花折断層と、大阪の生駒断層の二つの断層が話題になりましたが、この地域は、重要文化財、国宝級だけでもかなり密集をしているわけですから、そういった意味で甚大な被害になると思います。また、京都の重要文化財密集地域は全体が世界遺産であるわけですし、今歴史とか伝統とか日本の国の文化とかを教育の場で教えていこうということを考えても、我が国の非常に貴重な遺産だと思います。また、我が国の文化の遺産であるといった意味においても、非常に重要なものだと思います。特に海外から来られた方にとっても、木造建築群であれだけ大規模の、すばらしい、洗練された建物が残っているところは、私はやはり日本にしかないと思っておりますから、国の遺産、国民の遺産、我が国の伝統と歴史の作り上げた、先人の作り上げた遺産を、国の責任としてしっかり守っていかなければいけないと私は考えております。

(了)

(大臣官房総務課広報室)