平成20年2月1日大臣会見概要

平成20年2月1日
9時57分〜10時19分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議は、通常の報告案件の他に、総務大臣、経済産業大臣から原子力の防災業務に関する行政評価・監視について発言がございました。また、外務大臣からケニア人国内避難民に対する緊急無償資金協力、これは国連世界食糧計画とユニセフ(国連児童基金)に対して約412万ドルの緊急無償資金協力を行うという報告がございました。閣議後の閣僚懇談会では、国家公安委員長から東ティモール国際平和協力隊へ派遣中の警察職員の帰国について報告がございました。また、例の中国製の食品の問題について、昨日、関係閣僚会議と局長会議が開かれたわけですが、ちょっと手違いがあり文部科学省は呼ばれませんでしたので、文部科学省の取り組みについて報告させて頂いたところです。なお本日の閣議で、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案、いわゆる標準法の改正につきまして閣議決定が行われたところです。ご案内のように、昨年末の予算編成時に千人の定員増を決定したわけですが、新たに主幹教諭を配置するということで、その負担を軽減をするために、教職員を加配できるという内容です。これは予算に関連しますから、年度内成立ということで、最大限努力していきたいと思っております。

記者)

 文部科学省では学校給食における食品の安全確保について一層の徹底を図るよう通知を出していますが、学校給食の安全性はどのように確保されているのでしょうか。また今後の取り組みについてもお聞かせ下さい。

大臣)

 従来より、学校給食会や都道府県教育委員会等を通じて、当然子どもたちの給食ですので、食品の安全をしっかりと管理するように指導しているところです。今回こういうことが起こったわけですから、一昨日、まず学校給食用食品の安全性の確保に万全の注意を払うようにということで、緊急に事務連絡を都道府県教育委員会等に発出しました。ただそのときには、まだ全部の製品が分かっていなかったものですから、昨日、輸入リストが厚生労働省から出されましたので、再度、これは昨夜プレス発表をしたと聞いておりますが、そのリストに基づいて調査を行うように指示をし、過去3ヶ月の間に使用した例、それから何らかの問題があったかどうかを2月4日までに報告をして欲しいという依頼をしております。なお、これは昨日行われた局長会議で一応確認されていることですが、1番目が調査、2番目が原因究明、3番目が再発の防止ということでして、再発の防止については、再度内部でもう一度検討して通知を出したいと思っております。一義的には、こういうことが分かったわけですから、何よりもまず、新たな被害を出さないということが一番大事だろうと思いますから、文部科学省としては、そうならないための手立てを早急に講じたとご理解頂きたいと思います。今後は関係府省とよく連絡を取りながら、対応していきたいと思っております。

記者)

 本日までに学校給食で該当するようなものを扱ったというケースがどれだけあるか、報告はどのように上がっているのですか。

大臣)

 まだ全部ではありませんが、今まで分かっている範囲では、全部で31校・園が扱ったという例が報告されております。内訳は茨城県の幼稚園1園、小学校10校、中学校3校、山口県の小学校6校、中学校1校、神奈川県の小学校10校です。それ以外でも、学校給食会から得た情報で学校数はまだ分かりませんが、27県で中国製冷凍食品を取り扱っていたという報告を受けております。4日までに数字としては報告を頂けると思っております。今までのところ、今回の問題によって何らかの被害が出たという報告は届いておりません。なお、これは文部科学省ということではありませんが、今日の厚生労働大臣の発言では、保健所に届け出があった件が65件という報告でございました。それに加えて、被害にあわれて病院へ行かれたという、既に報告があります10人、そこまでは今の段階でつかめていると。ただ、これは各省早急にやっていますが、全てにおいて原因がきっちりと解明されているという状況ではないと思います。例えば私の地元である兵庫県高砂市では保健所には実は報告されていないのです。高砂市民病院から警察に届け出があって、県警を通じて警視庁に連絡がいき、ジェイティフードの本社がある品川区に連絡がいったというルートでして、保健所への届出数が兵庫県はゼロなのです。こういったことも含めて、きっちりと状況を把握するように、これからよく連絡を取っていこうと、そういう話もしていたところです。

記者)

 明日から日本教職員組合(以下「日教組」)の教育研究全国集会が始まりますが、全体集会の会場使用の契約をしていたグランドプリンスホテル新高輪(以下「プリンスホテル」)が契約を破棄し会場を貸せないと。それに対して日教組が裁判所に仮処分を申請したところ、東京高裁は日教組の訴えを認めて、再度貸すようにという決定をしているのですが、今のところプリンスホテルは裁判所の意見に従わず、貸さないという意向を示しているのですが、この件について大臣のご所感とかございますか。

大臣)

 これは民民という言い方が正しいのかどうか分かりませんが、その中で行われている契約行為ですから、私の方からこれについてどうのこうのと言うことは適当でないと思います。

記者)

 プリンスホテルが裁判所の決定に従わないということについてはどうでしょう。

大臣)

 その企業が企業としての判断としてやられていることですから、これを私がどうのこうの言うことも差し控えさせて頂きたいと思います。

記者)

 教育再生会議が昨日いわゆる最終報告をまとめて、フォローアップのための後継組織というものを提言しているのですが、教育再生会議の委員に聞きましても、どういう組織を想定するのかが分からないと、イメージしてないと繰り返しておりまして、大臣としてはどのような組織が有り得て、かつ、妥当だとお考えですか。

大臣)

 もちろんこの教育再生会議が、我々と全然関係ないと言うことではないわけですから、そういった意味では、今後どうしたら良いかというようなお話は、官房長官とさせて頂いております。しかくあくまで、これは官邸の下に設置される会議であるという位置付けですから、最終的には今、官房長官の方で色々と人選等を進められていると。文部科学省からはこういう方々はどうだとか、そういうことはしています。官房長官も記者会見でお答えになっておりますように、名前も実はまだ決まっていないという状況ですが、一つは教育再生会議から出ております提言について、きっちりとフォローアップして欲しいと。昨日の報告書の中にもチェックリストがあったと思いますが、要するに今までの提言が、どういうふうに今後、実効あるものになっていくのかといったこともございます。それから、例えば総理が30万人の留学生の計画というものを施政方針で打ち出されました。当然文部科学省も今、中央教育審議会(以下「中教審」)のワーキンググループで意見を頂くことにしておりますが、そういった大きな意味では、留学生という範囲にとどまらず、国際化といったような問題をどう取り扱うか、こんなことをやるのが良いのではないかとか、幼児教育をもう少しやったらどうかというふうな話はしております。しかし、何を取り扱うかも、最終的に今決まっているということはありません。ただ組織として一つ今申し上げられるのは、従来よりは規模を縮小して、その代わり、入り口を広げてというよりも今まで随分色々な問題をやってきたわけですから、先程も言いましたように国際化という問題とかいうような、それに加えてなおという問題を扱う会合になってくるのではないかなと。今の段階で、そのくらいのことは申し上げて良いのではないかと思いますが。

記者)

 そうしますと、大臣がおっしゃいましたように、チェックリストはかなり広範囲で、かなり重たいテーマもいくつか含んでいるのですが、どちらかというと、それをまずある程度絞って、何から手をつけていくかというのを考えるというふうになるのでしょうか。

大臣)

 あのリストの中だけではありませんが、今お話ししていますのは、先程から申し上げていますように、国際化みたいなことをひとつのテーマにしようとか、そういったことは言えると思います。で、チェックリストについては、これは私見ですが、少し交通整理が要ると思うのです。すぐ手を付けられるもの、まだ少し時間がかかるもの、それから教育再生会議の報告書の中でも断定的に言い切っているものとか検討するものとか、色々な表現がありますから、そういうことを仕分けしてやっていく必要があるのではないかと思います。今浮かぶのは、例えば6・3・3制とか、学校制度そのものに関わる問題があります。これは色々な意見は出ていますが、まだまだ多くの意見を集めないと、世の中にも余り方向性ははっきり出ていないわけですから、そういったものも含めて仕分けして、そしていつの段階で何をやっていくのかということをまず最初にやらないと、なかなか難しいのではないかなという感じは持っております。

記者)

 これまでの教育再生会議を振り返って、文部科学省にとっての教育再生会議の位置付けというか、存在というか、どういうものだったと思われますか。

大臣)

 文部科学省は従来から中教審というものを持っておりまして、ある意味そこで様々な議論をして頂いております。中教審の答申というのは、これまでの教育政策にとってやはり重いものであることは変わりはないわけです。ただし、中教審というのはどちらかというと、専門家というと教育再生会議に失礼かもしれませんが、色々な分野の幅広い、教育に関するご意見を頂くための専門家という位置付けだと思うのです。で、教育再生会議というのは、そういった意味では、中教審よりも人数が少なくても幅広く、何かに限らないで自由に意見を言って頂くという会合だったと思っております。これまでも一次とか二次とか報告を頂いておりますが、その中で、これではまだ不十分だと言われるかも知れませんが、それをしっかりと取り上げて、中教審の議論に反映をさせて頂いている部分もありますし、既に免許更新制とか、もう法律になって実現をされているものもあります。そういったことを一度きちんと交通整理をして、昨日の報告書の後ろの方にもある程度これまで実現したことを整理されておりましたが、その上で今後きちんとやっていくということではないかと思っております。

記者)

 ギョーザの問題で、今後も外国で生産されたもの、冷凍されたものを学校給食で出すということは想定されていることだと思うのですが、今後特に注意を払っていきたい点というのは何かございますか。

大臣)

 この辺は、要するに再発をさせないためにどうするかということになってくると思うのです。例えば今回のことに関して言うならば、外務大臣とは閣議の時は常に隣に座っていますから、今日も二人で話をしていたのですが、昨日、中国の何外務次官補が来られまして、遺憾の意とお見舞いを表明され、それから業務停止と輸出禁止という措置を既に講じたと、また原因究明もきちんとやるということを言われているようです。私は閣議では農林水産大臣と外務大臣に挟まれていますから、農林水産大臣に生はどうなのと聞いたのですが、結構水際で色々検査をしているのですが、製品になったものとか冷凍食品についてどうあるかということも、これから少し議論をしなければいけないということはあると思います。ただこれは、関係閣僚会議でも議論になってくるでしょうし、時間は急がなければいけないと思いますが、当面は注意をして、そして今後どうするかという検討は、厚生労働省を中心にと言いますか、食品安全という面では岸田大臣になるわけで、まさに今やろうとしている消費者の視点に立ってということになるわけですから、そのことはしっかりとやっていかなければいけないと思います。当面は、そこのところはやはり、しっかり管理をしていく必要はあろうかと思います。政府も今回は早く動くと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)