平成20年1月11日大臣会見概要

平成20年1月11日
9時55分〜10時7分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の閣議は、通常の報告案件の他、財務大臣及び総務大臣から平成20年度税制改正の要綱について、総務大臣からPFI事業に関する政策評価の結果について、また経済産業大臣からアラブ首長国連邦及びイタリア共和国出張の結果について各々発言がありました。なお、アラブ首長国連邦の件について付け加えて申し上げますと、文部科学省が関係している、先方の子弟を日本人学校へ受け入れるというプロジェクトが進んでおりまして、文部科学省としても今後とも積極的に進めていきたいと思っております。先方の子弟が子どもの頃から日本の子どもと一緒に遊んだり勉強したりすることが、両国の未来の関係を築く上において、大変重要なことであると思っておりますので、大いに協力をしたいと思っております。閣議後の閣僚懇談会では、国土交通大臣から平城遷都1300年を記念する取組みについて発言がありました。2010年に平城京に遷都されましてからちょうど1300年になるということで、文化庁におきまして、今、大極殿正殿の建設が進んでおり、1300年に併せて、何らかのイベントをやったらどうかという提案がありまして、今のところは、この周辺の回廊を国営公園事業として整備をするということが提案されておりますが、ただ単に作れば良いというものではなくて、作るからにはしっかりとしたものを作って頂きたいとお願いしております。我が方はあまり予算がありませんから、どちらかというと国土交通省に頑張って頂いて、文化庁としては、技術的な面とか、世界遺産の地域ですから勝手に掘るわけにもいきませんので、そういった点で協力したいと思っております。

記者)

 人工衛星「だいち」が不調で、地図が作れないということが報道されていますが、この件について如何でしょうか。

大臣)

 「だいち」は一昨年10月から定常運用を開始しております。今二つの問題点が指摘されておりまして、一つは高さの測量について、精度5メートル以下を目指していたわけですが、運用以来、色々調整しながらやっているところで、だいぶ改善されまして、今6メートルくらいまでになっております。これについては、ある意味想定内の部分でもありますから、今後なお調整をかけて、当初の目指しておりました性能が得られるように改良を加えていきたい。現在高さを調整をしていく作業を加えておりまして、私も実は人工衛星というのは完全に引力だけで飛んでいるのかと思っていたら、あの辺は700キロくらいで非常に薄い大気がまだあるそうでして、放っておくとだんだん落ちてくるところを修正をしながら飛んでいるということで、その傾向がだいぶ分かってきたわけですから、調整は可能であろうと。こういうことというのはやってみなければ分からないところもありますが、そういう前提の下で、今後より精度を高める努力をしていきたいと思っております。それからもう一点は、画像について当初の想定以上にノイズが入ると。通常のIT技術は皆そうですが、得られた映像を圧縮して送って、これをまた元に戻すという作業をするわけですが、この作業において、少し完全な映像が得られないという問題があります。これは想定内と言って良いのか、想定外と言って良いのか、非常に微妙なところがあります。思ったよりも大きなノイズ、ずれが出ているということで、今、圧縮技術、また圧縮したものをもう一度拡大するという技術のソフトを早急に新たに開発しております。当面、先ほどの件も含めまして、年度内くらいをひとつの目処にして調整していきたいと考えております。この問題が、いわゆる宇宙という、ある種特殊とはいいませんが、通常の状況でない空間だから起こったことなのか、それとも単なる圧縮技術といった問題なのかということを、もう少し詳しく報告を求めておりまして、そういったことも含めて、今後の見通しをしっかりと立てていきたいと思っております。まだあきらめたわけではありません。

記者)

 本日午後より、OECD非公式教育大臣会合が開かれると思うのですが、これの意義づけと、あと抱負と申しますか、どのような形で臨まれるのでしょうか。

大臣)

 この会議は、高等教育についての各国での役割なり、また評価をどういうふうに取り組んでいるか、加えてOECDでは、前回のアテネでの会合の中で提案されましたいわゆる高等教育版のPISAといったようなものもお考えのようでして、そういったことの意義づけというのもあると思います。色々な国がどのような形で評価に取り組んでおられるか、また、高等教育機関のその国における役割をどういうふうに考えておられるかということを、色々直接意見を聞いたり、議論をすることによって、今後我が国における高等教育機関のあり方、また評価の仕方、我が国では評価は割と新しいと認識しておりますが、そういった意味で、今後の高等教育の政策を進めていく上で意義があると考えております。

記者)

 今日、新テロ法案が参議院で否決されて、それで衆議院で3分の2以上の賛成で再可決という形になっていますが、こういう形で決着される見通しになったことについての受け止めをお願いします。

大臣)

 受け止めといいますか、政府としては、我が国が国際社会において、この役割というものを継続したいという状況の中で、現在の国会の状況がこういうことであることから起こったと思っております。審議に入った当初では、そうは言いながら、ご理解は頂けるのではないかということも、我々も考えてきたわけですが、これは個人もそうですし、各党もそうですし、皆さんそれなりの考え、また立場がありますから、その結果、2回国会を延長してここまで来たという状況であります。その状況の中で政府与党としてどういう判断をするかというのが、今日の対応であろうと思います。憲法59条で、こういった場合の処理の仕方がきっちりと規定されているわけですから、法律上我々は必要であるということを考えている以上、粛々とこの採決に臨むということであろうと思います。民主党のことについては、民主党にお聞き頂いたら良いのではないかと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)