平成20年1月8日大臣会見概要(初閣議)

平成20年1月8日
10時31分〜10時53分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 明けましておめでとうございます。庁舎も新しくなり、雰囲気が違うのですが、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。今日の閣議は、一般の報告案件がありました。その後の閣僚懇談会で総理から、正月早々、環境大臣にツバルまで行って頂いたが、ツバルという国が沈むということのみならず、実は地球全体が気候変動の脅威に冒されているということを自覚して、これから我々の問題としてもしっかりやっていきたいという発言がありました。また、外務大臣からタンザニア、財務大臣からインド・ベトナムの出張について発言があり、私からも中国の出張について発言させて頂いたところです。また官房長官から、年度内に予算成立を期すということで、これから頑張っていこうという趣旨の発言がありました。国会を乗り切るためにも各閣僚は発言に要注意という注意も頂いたところです。

記者)

 高等学校卒業程度認定試験の採点ミスの件ですが、追加合格が3年間で80人にのぼったということと、まだ連絡つかない人がいるということですが、この件についてご所感をお願いします。

大臣)

 この採点ミスにつきましては、受験者の方々に不安を与え、また、社会的にも混乱を招き、改めて私からも心よりお詫びを申し上げたいと思います。ご指摘のありました、まだ連絡がついていない方が8名いらっしゃるわけですが、あらゆる方法を通じて、これはもう本当にどんなことをしてもというと語弊があるかもしれませんが、力を尽くして連絡がつくようにしたいと今考えているところです。私が報告を受けたのは12月26日の夕方だったと記憶していますが、それ以降、何よりも大事なことは、本来ならば受験ができたのにもかかわらず、実は認定試験不合格となっていた方々に対して、きちんと受験ができるようにということを最重点に取り組むよう指示していまして、現在のところ、連絡がついていない8名以外の方は何らかの形で連絡はついていますので、この8名についても、そのことを念頭に置きながら、これからも努力していきたいと思っています。

記者)

 杉並区立和田中学校が、塾と連携した取り組みを計画していたのですが、東京都教育委員会が再考を求めました。この件について、どのように思われますか。

大臣)

 この件についてはメディアを通じて知ったところです。これは和田中学校の地域本部が実施することですから、各地域がそういう努力をされることについては、その中身は別にしまして、積極的に評価してあげなければいけないと思います。ただ、義務教育における機会の均等性といった問題、また、公共施設を使用されるときのルールの問題などについて、これはもちろん法令の問題も若干あるかと思いますが、そういった問題も含めてお互いによく話し合って問題解決して頂きたい。東京都教育委員会が指摘されている疑義を杉並区としても、これは校長先生もそのように言っていると聞いていますが、しっかりと話して頂いて、お互いが誤解のないように進めて頂く必要があるのではないかと考えています。

記者)

 ニセ学位の調査で、ニセ学位を基準として採用・昇進した大学教授が4人もいたことが分かったのですが、この件に関してはどうお考えでしょうか。

大臣)

 真正な学位と紛らわしい呼称等の問題については、昨年7月から9月にかけて調査をして、この結果がまとまりましたので、先月27日に発表しました。また大分大学については、自ら公表をしているということです。このようなことが教育の機関で行われていることは大変遺憾なことだと思いますし、また、高等教育の信頼が損なわれるという点で非常に問題があると考えています。昨年の調査を通じて問題意識が各大学に投げられたわけですから、そういった意味では調査した意味もあったと考えていますし、今後各大学でこういった問題が起きないように、厳正に対応して頂く必要があると考えています。

記者)

 このニセ学位を持っていることが分かった教授らの実名や大学名を公表する意思は今後あるのでしょうか。

大臣)

 今回の調査は、公表しないことを前提としていますので、そういった意味では、公表しないと言ってお願いしたものを文部科学省から公表するということはできないと思います。何よりも大事なことは、大学というのはある意味、やはり自治、それから自主的に何かをやるということが大変大事ですから、そういったことも含め、大学自身がしっかりと対応して頂きたいと思っています。

記者)

 調査対象期間が平成16年から18年の3年間に限定されている理由を教えて頂きたいのですが。まず3年間だけということなのでしょうか。

担当課)

 3年間に限定した理由につきましては、例えば私学とか小さな大学もありますので、事務負担が大変だということで、とりあえず3年に絞って調査したということです。

記者)

 私の取材では、3年間の期間の前にニセ学位を利用した疑いのある教授を複数把握しているのですが、こういった教授たちに対してはどういう対応を今後はされていく予定でしょうか。

担当課)

 先ほど大臣がご説明申し上げたとおり、各大学で自主的にご判断頂くということです。

記者)

 新庁舎に移られたご感想を改めてお願いします。

大臣)

 率直な感想を申し上げますと、新しいところに移ったのだから、もう少し広々としているのかなと思いましたら、意外と狭いなと。私はご案内のように建築の設計をして参りました。オフィスも随分設計してきたのですが、これは霞ヶ関だけかもしれませんが、日本の執務環境は必ずしもまだ良くないなというのを実感しました。どこのフロアに行っても狭いなというのが正直な実感です。ただ、新しいところへ移って、綺麗になったわけですから、昨日の幹部への新年の挨拶でも申し上げましたが、気持ちも新たにこれから仕事に臨んで欲しいと思っています。思いつきで18階から4階まで回ったので、いきなり現れてびっくりされたところもあったようですが、文部科学省は随分多くの職員が働いているんだなというのも正直な実感です。この上に私が乗っているかということを思いますと、若干、改めてこの仕事の重さというものを感じました。

記者)

 先程の和田中学校の件ですが、地域本部であるとか、コミュニティスクール的なもので、どこまで学校に対して権限委譲できるのかという問題も今後出てくると思うのですが、いわゆる塾という、こういう公立塾的なものではなくて、その辺との兼ね合いみたいなものを大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣)

 例えば和田中学校の地域本部が、ある意味NPO的な役割を果たしているということであれば、これはまたひとつの考え方だと思います。ただ、学校教育と直接結びついたひとつの支援の在り方ということになりますと、先程申し上げましたような、公共施設を使う際のある種のルールとか、民間企業とどう関わっていくかとかいうことについては、一定のルールが要るだろうと思います。何でもできるということになってしまえば、多少問題があります。ただし、そのことを判断するのは、確かにこれは杉並区もおっしゃっていますが、地方分権のうちの、どういったことを区が判断するのか、どういったことを都が判断するのか、国が何に責任を持つのか、こういったことをしっかりと考えていかなければいけないと思います。文部科学省としては、教育課程における様々な問題、学習指導要領であるとか、施設整備等をする中での基本的なルールであるとか、そういったことに対して一定の責任をしっかりと果たしていかなければいけないということがあると思いますが、地域においては、ノンルールにならない範囲で、できる限り努力して頂くという、そういった試みを、我々も受け入れられるというか、そういうことでありたいと私個人としては思っています。

記者)

 和田中学校の地域本部そのものが、ある意味学校に対する安価な労働力的な提供という視点がどうも強いような気がしてならないのですが、コミュニティスクールも、運営されている方々も含めて、やはり学校に対して住民の意思を反映したいとか、要するにもっと学校に対して住民がものを言いたいというものがあってこそのコミュニティスクールではないかと思うのです。そうなってくると当然こういうせめぎ合いというものが今後も出てくると思うのですが、大臣はどのように思われますか。

大臣)

 全く問題意識は同じだと思います。コミュニティスクールの法律ができたとき、私は副大臣でした。当時の担当課長とも実は随分議論しました。こんなのが本当に動くのかと。例えば、教育委員会が委員を任命するわけです。その委員が任命者たる教育委員会に対してものを言う訳ですから、どういうものの言い方をするのか。そういった仕組み上の問題も含めて議論しました。ただ、地域が学校に対して色々な意見を反映する場所が用意されているという意味では、私は評価したい。何でもそうですが、制度をある目的を持って実際に作っても、なかなかそのとおりに働くかどうかは、一つ一つの状況は変わるわけですから、その辺は当然よく見ていかなければいけない部分だろうと思います。で、やはりその辺も一義的には、設置者たる地方自治体がしっかりとして頂きたいと思いますし、また、去年は法律改正もし、教育委員会も、今度は保護者も入るというような形になっているわけですから、そういったことも含めて、しっかりとやって頂きたいと思います。

記者)

 義務教育の機会均等ということをおっしゃっていましたが、和田中学校がやろうとしていることは、その義務教育の機会均等を阻害するとお考えになりますか、それとも阻害はしないとお考えになりますか。

大臣)

 これはもう少し様子を見させて頂きたいと思います。安価とは言いながら授業料を取るというお話も聞こえてきていますが、なかなか負担ができない家庭に対しては、きちんとそういった負担を考えるということも今検討されているようですから、制度全体が見えてきた段階で、そういったことが担保されているかどうかということは、見ていかなければいけない。ただ文部科学省としては、これは東京都教育委員会も同じだと思いますが、機会均等にならないということにしないで下さいということは、きちんと言っていかなければいけないだろうと思います。

記者)

 機会均等にするといっても、それは実際、何かしらのお金を払わなければいけないわけですから、ああいう形でやるとどうみてもならないと思うのですが、それは如何ですか。

大臣)

 その辺の工夫はどういうふうに出てくるのか、大体どういう制度設計になっているのかについて、詳細までは把握していませんから、お答えはできないのですが、当初話を聞いたときには、私もそういうことが起こらないようにしなければいけないだろうというふうには思いました。それに対して、所得の低い家庭に対しては補助を考えるというようなことが今報道されてますが、まだ詳細を把握しているわけではありませんので、少しその様子を見てからお答えさせて頂きたいと思います。

記者)

 教科書検定の沖縄戦集団自決の訂正申請を巡って、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会がかなり評価する見解を出した後に、沖縄に持ち帰って検討した結果、やはり検定意見の撤回等の実現を引き続き求めていくということになったそうですが、これに関する受け止めと、沖縄側に今回の教科用図書検定調査審議会(以下「検定審議会」)日本史小委員会の報告が内容を含めて、きちんと伝わっているというふうにお考えなのかどうかについて、お願いします。

大臣)

 実行委員会の件については、私はまだ報道を通じてしか知りません。文部科学省にもまだ来ていません。ですから「あれ、初めとちょっと話が違うな」という気はしないではありません。これは正直な気持ちです。当初80点というふうに言って頂いたにもかかわらず、何故こんなことになったのかなという気持ちはありますが、これもこれからの話になるのだろうと思っています。いずれにしましても、年末の記者会見の時にお答えしましたように、経緯等も検定審議会の委員の先生方にご努力を頂いて、ご説明頂いたわけですから、沖縄県民の皆さんには、ご理解をして頂きたいというのが、率直な私の今の気持ちです。

記者)

 今現在、その趣旨がきちんと伝わっているというふうにお感じですか。

大臣)

 そこのところはまだ正確には把握できていない状況です。沖縄県の国会議員とも、まだ何ら連絡が取れていません。お正月の間でしたので皆走り回っていまして、私も久しぶりに地元でじっくり新年会を回っていました。これからだと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)