平成19年12月24日大臣会見概要(繰上げ閣議)

平成19年12月24日
11時10分〜11時34分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日閣議は、平成20年度予算が閣議了承されました。各閣僚からも色々な発言がありまして、財務大臣から平成20年度概算について、経済財政政策担当大臣から平成20年度一般会計歳入歳出概算について、総務大臣から平成20年度予算政府案の決定に当たってと、平成20年度機構・定員等の審査結果について、行政改革担当大臣から平成20年度における国家公務員の配置転換の内定状況についてと、色々と話題になっていました独立行政法人整理合理化計画について、各々発言がありました。それから、防衛大臣から弾道ミサイル防衛(SM−3)についてと、次期固定翼哨戒機の整備について、これは確か現用機P−3Cの後継機だと思いますが、平成20年度以降、P−1、65機を国産により取得するという報告がありました。順序が逆になりましたが、閣議の前に、行政改革推進本部がありまして、中期目標期間終了時の組織・業務の見直しの結論を平成19年度に得ることとされた独立行政法人の見直し及び独立行政法人整理合理化計画について報告があり、決定されました。閣議後の閣僚懇談会で、総理からC型肝炎の件について、20日の発表は司法行政という、いわゆる行政が決断しうる範囲、やはり国民の税金を使うわけだから説明する責任があるという範囲で発表したが、これでは患者さんの理解が得られないということで、司法行政を超えた決断、いわゆる政治決断として、党ともご相談の上、今回既に発表されていますような議員立法ということでやることになったという、経過の説明がありました。また、独立行政法人については何のためにやっているのかということを、我々は常に考えていかなければいけない。結論から言うと国民のためにやっているということであると。こういった説明がありました。

記者)

 来年度予算の編成が終わりましたが、文部科学省予算を総括して、所感・お考えをお聞かせ下さい。

大臣)

 既にご承知の通り、平成20年度の文部科学省予算は、5兆2,739億円、対前年度比33億円、0.1パーセントの増という内容です。具体的な内容は既に発表されていますが、特に、私どもとしては今年は教育再生の初年度といいますか、教育三法を受けてそれを具体化していく初年度ということで、子どもと向き合う時間の拡充を図るということに努力をしてきたわけですが、これについては、教職員定数では純増1,000人、また、社会人経験者を含む外部人材の活用ということで非常勤の7,000人の講師配置、また、学校支援地域本部事業の創設等を実現するとともに、メリハリのある教員給与体系を実現するために、副校長、主幹教諭等の処遇、及び、頑張る先生といいますか、部活動手当等の拡充を図ることとしております。加えて、大きなテーマであった新たな状況変化に対応した大学改革の推進ということで、国公私立大学を通じた支援や奨学金事業を拡充するということ。加えて、科学技術の振興による成長力の強化として、これは私はいつも科学技術をライフワークと申し上げておりますが、特に人材の育成を図るという観点から様々な便宜を盛り込み、また大臣折衝になったわが国初の研究成果であるiPS細胞の研究、特にこれを用いた再生医療への研究体制の強化も盛り込んだわけです。また、文化またスポーツ予算も可能な限り充実を図ったと考えています。予算状況は大変厳しい縛りがかかっていたわけですが、その中で、文部科学省としては最大限努力して、政策の実行に必要な予算を確保しました。予算が決まったわけですから、より効率的・効果的に執行するということに、これから努力したいと考えているところです。

記者)

 薬害の件について、先程おっしゃられた、総理が議員立法という形で全員一律救済という答えをお示しされましたが、それについての大臣の受け止めをお願いします。

大臣)

 今日経過の説明がありました。色々と検討がされてきた中でこういう方法をとると。これはまだ中身の詰めが残っていますから、総理からは可及的速やかにという指示をしてあるという表現をされていましたが、そういったものも最終的に見ないといけないと思っております。議員立法でやるというのは、三権分立の中でのひとつの政治の意思ですから、そういった意味では、私は賢明な判断を最終的にされたと受け止めています。よく政治決断という言葉が使われますが、例えば文部科学の行政について私が政治決断をすれば、何をやっても良いのか、何でもできるのかというと、これは少し違うのではないですか。やはり、立法府の意思というのは、またひとつの大きな意思だとも思いますし、憲法では国民の代表たる選挙で選ばれた議員により構成すると書いてあると思います。そういうことを考えれば、税金を執行することは、世論を代表している立法府の意思というものも非常に重い。そう考えて頂いたら良いのではないでしょうか。行政と司法それぞれの役割をしっかり守っていかなければいけないという中で、決断をされたことだと思います。

記者)

 予算の中でスクールソーシャルワーカーというのが盛り込まれております。これは財務省から逆提案というと変ですが、文部科学省からは具体的な要求は無く予算が付けられています。これについて、言って見れば財務省から逆に提案されると、文部科学省の立場として如何なものかなという気もするのですが。

大臣)

 私は、その予算が同じ趣旨であれば、そういう折衝は有り得るのだろうと思っています。今回のこの件についても、そういった受け止め方をして頂いたら良いのではないか、要するに、文部科学省として予算を要求するということだけではなくて、こちらの意図を理解して頂いた上での財務省の提案が、文部科学省として妥当なものであれば、それはそれで良いのではないかと私は考えます。

記者)

 教員の仕事のストレスといいますか、負担感について、中央教育審議会の議論にもありました。それを何とか軽減して、子どもと向き合う時間をということですが、改めて、教員のストレス、仕事の負担感について大臣のお考えをもう一度お伺いしたいのですが。

大臣)

 私は就任しましてから、そんなに多くの機会ではないですが、現場の方々の声も聞かせて頂きました。また40年ぶりに行われた勤務実態調査の結果を見たり、教員だけではなくて、保護者の方々とか、学校現場を知っている方々等の色々な声も聞かせて頂いたつもりです。そういう中で、やはり学校現場が大変忙しいということも聞かせて頂き、また、ひとつ身をもって感じたのは、これは表現が妥当かどうか分かりませんが、今の子どもは手がかかるということです。例えば少人数学級の話にしましても、私の時代は55人くらいでしたが、それから考えますと、何故今はこうでなければいけないのかという疑問は、かねがね正直持っていました。しかし、社会と環境が変わり、そして一つの大きなテーマとして、例えば今、家庭の教育力が落ちたと言われています。これも色々な原因があると思いますが、私の小さい頃というのは、兄弟が私を入れて4人ですが、その中で、ある種の良い意味での競争といいますか、切磋琢磨されて、そういった教育力があったのですが、少子化でそういうものも無くなっていると言われます。もちろんお母さんの責任ということも言われていますが、そういったことも考えれば、子どもの指導に従来よりも時間を割かなければいけないと。また最近、モンスターペアレントという問題もありますから、先生に非常にストレスのかかる部分も増えてきているのだろうなと。そういうことを考えれば、やはりそれを解消してあげなければいけない。そのためにはまず、忙しさを何とか解消して、子どもと向き合える時間をとにかく作ると。それは何度も申し上げましたが、子どもの変化が毎日きちんと分かれば、いじめの早期発見にもつながると思います。この定員の問題は、非常勤も含めて総合的に見ていかなければいけないと思いますが、そういったことが改善されればいいなと思っていますし、また改善されるように努力していきたい。一番最初の努力は、文部科学省だけでできることもあるわけですから、先般発表しました事務量の軽減については早急に実現していきたいと思っています。

記者)

 今、家庭の教育力の話がございました。で、改正教育基本法では教育の第一義的責任は家庭にあると書いてあります。その観点から、明日の閣議をやめて今日開くのではなく、今日の閣議を明日に繰り下げるのが家庭の教育的には良いと思うのですが、その点について大臣の所感をお願いします。

大臣)

 私はこの仕事に入る前から、正直言って休みも余り家にいなかった人間ですから、その質問に対して偉そうには言えないのですが、皆さんにも、実は今日ここへ来て最初に「休みにご苦労様です」と正直申し上げようかと思ったくらいです。今日は確かクリスマス・イブですよね。そういうこともありますが、年末も控えていますから、今日になったと思います。そのことについて私から、そうですねとも、いやそうではありません、これこれこういうことですからと申し上げるということも、何か少し困ったなと。私は設計事務所にいましたから、日曜に家にいると娘が何で今日はいるのと、いうようなこともありました。今年はもう終わってしまったわけですから、そういう意見もあるということも念頭に置かせて頂きたいと。来年もやっているとは全然限っていませんけど。

記者)

 今日の閣議の後に総理とITER(イーター)(国際熱核融合実験炉)の関係をお話しされたそうですが、どういう内容だったのですか。

大臣)

 これは今度、ITER(イーター)と関連する日中間の取決めを署名しますから、国会対策委員会の関係もありますのでまだ確定はしていませんが、場合によっては私が行くことになるかもしれないという内容です。きちんと決まれば、もちろん発表させて頂きます。総理も訪中されるわけですから、行っても邪魔にならないですか、という話をしました。

記者)

 予算の問題で、教員の事務の負担軽減ということがありましたが、結局教員定数の中で事務職員の配置というのはゼロになっています。事務の負担軽減というのを謳った割には全く予算に反映されなかったわけですが、その辺については如何でしょうか。

大臣)

 学校支援地域本部というのを新たに立ち上げまして、これはボランティアも配置するわけですし、そういった意味では、事務の負担を軽減するために、その本部が今後かなりの役割を果たして頂けると期待しています。

記者)

 ただボランティアの場合、子どもたちの守秘義務に関わるような事務作業や個人情報などは扱えないわけですから、純然たる行政処分に関しての負担は全く教師に残ったままということになると思うのです。財務省も説明のときに、ボランティアは事務はやらず、もう少し楽しいことをさせるのが学校支援地域本部の狙いであって、ペーパーワークみたいなもの、デスクワークみたいなものをするのではないとおっしゃっており、先程の大臣のお話とは全く意味合いが違うと思うのですが、如何でしょうか。

大臣)

 その辺の交通整理はある程度はなされていますし、今後もしなければいけないと思います。何が減らせられるかということも、例えば、国のものについてはモデル事業をやりすぎていないかとか、重なっているものがないかとか、そういうことを今整理していて、項目は既に整理しています。それからきちんとやってくということになると思いますが、都道府県とか、市町村とか、そういった部分も随分あるわけです。それを現実に今お願いをしていますから、まずその量を減らすと。それから、今回の我々の最大の苦労の一つは、行政改革推進法という、地方公務員を減らしていこうという流れの中で、しかし教育はとにかくしっかりとやっていかなければいけないということでした。結果的には、満足か不満足かといわれると、これから結果が出てくるわけですが、純増は一応1,000人ということで、非常勤講師は、どちらかというと党側の提案だと受け取って頂いて良いと思いますが、そういったこともありました。非常勤講師もこれから中身を精査してまいりますが、できるだけ戦力になって頂くというか、例えば1日1時間だけというような方ではなくて、半日くらいは頑張って頂ける方が来て頂いたら、例えば主幹教諭になったために、授業に少し携われなくなった部分を、そういう人たちがカバーすると、そういったことを考えていきたいと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)