平成19年12月20日大臣会見概要(臨時閣議)

平成19年12月20日
9時34分〜9時58分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 今日の臨時閣議は、財務大臣から、平成19年度補正予算について取りまとめを終えたということ、それから平成20年度予算財務省原案については今後折衝を通じて調整してまいりたいということ、それから平成20年度税制改正の大綱についてと、平成20年度予算における一般会計公債発行額について説明がありました。臨時閣議後の閣僚懇談会では、総理から、こういう経済情勢や税収等を含めたお話だと思いますが、予算編成において、皆さん我慢して頂いてという発言をされておりましたが、ご協力頂いて感謝すると。それから、歳出は若干増えていますが、これは地方に配慮をした結果であると言うこと。また、国債の発行を抑えることができた。もちろん、これは9.8兆円という特別会計からの繰り入れもあります。また、国債発行残高が148パーセントから147パーセントに若干ですが増えなくてすんだということのご報告がありました。今後は、先日発表されました国民会議があるわけですが、特に福祉部門において、国民がどういう姿、よく言われる高福祉・高負担とか、そういう国民の声をよく聞いて、今後の社会保障のあり方を考えていきたいという発言もありました。国債発行の依存率が30.7パーセントから30.5パーセントになりました。これについても一時は4割を超えていたわけですから、そういう面では随分努力をしてきたという評価ができるのではないかとの財務大臣の発言がありました。また経済産業大臣からは、税制を含め、中小企業の事業所税について配慮をしたと。これは地方政策の一環だと考えて頂きたいと言うことです。また総務大臣からは、地方交付税ついて約4,000億円増額すると。2,500億円が市町村、1,500億円が県という発言もありました。

記者)

 文教予算と科学技術予算それぞれについて、評価と復活折衝のポイントを教えて下さい。

大臣)

 財務省原案では、文部科学省一般会計総額は5兆2,669億円という事で、詳細については、昼くらいに当初内示と聞いていますが、対前年度比37億円の減という事になっています。今後の復活折衝におきまして、要求しているものについて、予算の確保という最大限の努力をしていくという所存です。まだ詳細が出てきておりませんので、出てきた段階で再度精査をしたいと思っております。内々に聞こえてきているところからすれば、例えば今日、私はライフサイエンス委員会に出席しますが、そういった予算が十分になっているかどうかということも踏まえて、望みたいと思っております。こういったものが、ひとつのオールジャパンの体制を作っていくために頑張らなければいけないというところになろうかと思っております。

記者)

 財務省が、文部科学省側からは当初の要求はなかった、スクールソーシャルワーカーに予算をつけたのですが、これについて、大臣のご感想をお伺いしたいのですが。

会計課長)

 スクールソーシャルワーカーの件につきましては、昼頃当初内示となっていますので、今の時点ではまだ内容をこちらから申し上げることはありません。

記者)

 予算の全体的な話ですが、結果的に社会保障費がどんどん伸びているわけです。色々なところで色々抑制されていますが、来年度には、国庫負担2分の1という状況も控えている中で、結局、社会保障費の伸びに対して、他のところとの調整というのは限界に来ているのかなと思うのですが、予算のそもそもの組み方について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

大臣)

 予算というのは、もちろん政策があるわけです。それに対して歳入がある。歳入というのは基本税収ですよね。で、この税収をどのように確保していくかということについての、今一番大きな議論というのは、消費税だと私は思っています。今年の経済情勢の中で、総理は、今年はまだ上げる環境にないということで、別に上げなければいけないとか、上げなくてもいいとかおっしゃっていないわけですが、こういった事も、税制改正の議論の中でしっかりとしていかなければいけないわけです。国庫負担2分の1については、税制改正も含めて、税源を確保しながらという事を従来からいってこられたと私は理解しています。そういった全体像で理解していかなければいけない。ただ、歳入と歳出のバランスを現状の中でとっていくと、足りない分は国債で補っていくということだけでは確かに今ご指摘のように、社会保障費、少子高齢化、こういった時代を迎えて、現実には今後はやっていけないのだろうと、これは私の個人的な意見ですが、思っております。そういう中で、国民会議が提案をされたわけでありまして、社会保障の問題というのは、国民全体にかかわる問題ですから、政治家としての私の従来からの主張ですが、与野党を越えて、そして全国民が一体となって、将来の日本の為にどういう社会保障制度を作っていくかという事は大事な問題であると私は思います。少なくとも、私は選挙においてもそういった主張をしてまいりましたし、総理が国民会議を設置をしようという事を呼びかけられたという事は、大変良いことだと評価をしております。

記者)

 関連になりますが、少子高齢化という話もありましたが、社会保障の一方で、教育をどのように少子化に対してきちんと実現していくのかという部分が当然出てくると思うのですが、その部分の幅広い議論が必要だとお考えですか。

大臣)

 もちろん、教育についての所管官庁は文部科学省ですが、国民一般に広く関心も深い、また、議論に参加をして頂かなければいけない問題だと思っております。中央教育審議会にしても教育再生会議にしても、色々なところでそういった意味で議論が行われていると私は理解しています。そういった理解を踏まえて、所管官庁である文部科学省が政策を立案し、各ご議論を踏まえて実施をしていくという意味では、広い範囲の議論、要は文部科学省だけでやっているという事ではないと理解しております。

記者)

 科学技術振興費について、昨年の1.1パーセントに比べて、0.6パーセントと低い原案だったのですが、これについてはどうお考えですか。

大臣)

 もう少し欲しかったなというのが正直な感想です。科学技術振興費といいますか、科学技術予算の6割強を持っている文部科学省でありますし、基礎研究は特にそうでありますから。ただ、冒頭申し上げましたように、厳しい情勢で各費用が抑えられている中で、1.1パーセントという事を科学技術振興費のひとつのルールとして決めているわけです。そこから、毎年の経済情勢に応じて政策的にどういうものを乗せていくかという作業だと思うのです。ただ、今お話にありました数字は、補正予算まで含みますと、合計で2.4パーセントですか。

会計課長)

 政府全体の科学技術振興費の当初内示では0.6パーセントですが、まだ当初内示段階ですので、今後、中味を精査して、文部科学省のみならず、各省色々と復活折衝等に取り組むということで、まだ確定した数字ではありません。

大臣)

 全体の数字としていくらになるかというのは、つかんでいません。今のは文部科学省だけの思いでありました。

記者)

 政府全体で1.1パーセントくらいまでは、今年もいけそうかなという感じですか。

大臣)

 それは岸田科学技術政策担当大臣に聞いてもらった方が良いと思います。でも、約束ですからいかなければいけないと思います。それよりもっと積まなければいけないと去年まで頑張ってきたわけですから。

記者)

 教員の定数増の問題のあおりを受けてというか、他の部分の予算に影響が出たのではないかという声もあるのですが、全体として影響があったとお思いですか。

大臣)

 当初なかなか決まらなかったという意味では、他に影響があったと言えば言えますが、そのことによって、最終的な仕上がりとして大きく影響を受けたとは余り考えておりません。

記者)

 京都大学のiPS細胞の研究との関連で再生医療の件で、昨日の財務省原案の説明で伺ったところですと、再生医療実現化プロジェクトという名目で、来年度15億円を要求していたが、原案では10億円という数字になったと。それについては、どういうふうに評価をしていますか。

大臣)

 これも先程、会計課長がお話ししたように、内々折衝状況というのは聞いていますが、今日の昼すぎに内示という事です。その前提で言えば、先程もご質問頂きましたように、これはこれからの折衝の中で、必要なものを獲得していきたいと思っております。オールジャパンでやると言っているのですから、理解は得られると思っております。

記者)

 昨日、独立行政法人の問題が決着しましたが、一連のことを振り返っての大臣の所感をお願いできますでしょうか。

大臣)

 渡辺行政改革担当大臣との会談後は、報道各社に真摯にお答えをしたつもりです。ただ単に減らせば良いとか、廃止すれば良いという事ではなくて、これは何のためにやるのか、どうすればいいのか、しかし、やはり行政改革という観点から、厳しく見るべきところは見ていかなければいけない。それも大臣同士という事は、霞ヶ関のある意味、外から見た目でしっかりと検証しようというのが前提だと思っています。その中で、昨日、私は時間がなくて申し訳なかったのですが、担当審議官から説明させ、資料にあるような形で決着を見たわけです。感想は、これからはある意味の不断の見直しはしなければいけないし、それから一つ一つの組織ができるだけ効率化・スリム化するといった努力も続けていかなければいけないと思っております。ややもすれば、いくつ減ったとか、そういう議論になるのは私はいささかどうかなと、そういうものではないだろうと思っています。それと、文部科学省は抱えている法人が多いですよね。JAXA(ジャクサ)(宇宙航空研究開発機構)も宇宙3機関を一緒にしていますから、非常に大きくなっています。そういう意味では、そこにまた何か統合させるとかというのは、かえってコンプライアンスが取れなくなるという事もご理解を頂きたい。何を守るとか、守らないとかいうことではありません。日本原子力研究開発機構が4,700人、理化学研究所が3,500人ですか。むしろ、大きすぎるのではないかという感じもします。ですから、そういった意味では、組織のスリム化というのはやらなければいけないと思います。繰り返しますが、何のためにこの法人があるのか。国が関与する必要がある。民間ではできない。こういった原則がしっかりと守られていることが大事であろうと思います。その上において各組織、給料も含めて、国民に説明できないというような事になっていないか、スリム化については、それぞれが厳しく精査していくという事であろうと思います。

記者)

 海洋研究開発機構と防災科学技術研究所の統合ですが、やっている内容からして、どのくらい合理性があるとお考えなのでしょうか。

大臣)

 海洋研究開発機構というのは、例えば、地殻の変動とか、そういった意味で地震予知に役立てる。この前トラブルを起こしました深海ドリリング船がまさにそうです。それから、色々なブイを沈めるとか、これは宇宙とも関係してきますが、例えば、私が先日出張しました南アフリカでは、地上と海と空という、全体を連携でやっている、その中でも海洋と地震とは非常に大きく関係するような研究をしております。防災科学技術研究所との統合は、そういった意味では、非常に近いところにいると考えられます。前からも、色々とできる部分はあるかなというのは、昨日もご質問頂いたそうですが、独法の改革という話が出てきて以来、これは、できたら分けてやったほうが良いとの論理もあるかとは思うのですが、対処当初から、色々なデータを揃えていったところ、官房長官から提示があった訳です。ここは今の官邸の決断という事でお受けをしようと決断したと理解して頂きたいと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)