平成19年11月13日大臣会見概要

平成19年11月13日
9時42分〜10時6分
文部科学省 記者会見室

大臣)

 本日の閣議は、通常の報告案件の後、総理から、会計検査院検査報告の活用について、政府における無駄を徹底して排除するように取り組んでいく必要があるという発言がございまして、これを受けて財務大臣から、平成18年度決算会計報告の活用について発言がありました。また農林水産大臣から、去る11月10日、京都に出向き、「安心で質の高い暮らし」に向けた食品の信頼回復のための施策について、地域の消費者・生活者の皆さんから生の声をうかがってきたという報告がございました。閣議後の閣僚懇談会で、官房長官から、昨日行われた政府与党首脳会議の中で、景気に対する心配があると。株価とか、為替レートとか、こういったものの動きを注視しながら、今後景気対策というものをよく考えていかなければいけないという発言が党より出たという発言がございまして、これを受けて総理から、この景気の問題について、経済財政政策担当大臣を中心に情報収集をしっかりやり、官房長官と連携を取って、その結果、俊敏な対応をすると。各閣僚は協力をして欲しい。こういったやりとりがございました。
 それから私から「学校現場の負担軽減プロジェクトチーム(以下「プロジェクトチーム」)の設置」について報告させて頂きます。お手元にプレス発表資料をお出ししております。福田内閣が掲げております「信頼できる公教育の確立」を実行するためには、優れた教員の確保が重要ですが、そのためには、ただ教員を確保するということではなくて、不適格な教員には毅然とした態度で対応する。また、頑張っている教員の支援をする。これは総理もおっしゃっておりますし、私も所信表明をはじめ従来言ってきたことですが、そういった体制を取って、教員が子どもと向き合う時間を拡充する。そのために、これから年末予算に向けて、教員の定員増を要求しております。ただ、それだけではなくて、40年ぶりの教員勤務実態調査の結果、直接の教育活動以外の事務作業等々の仕事が非常に増えていると言われていることを受け、こういった作業の、教員の負担軽減も大事なテーマであります。従来から、私からも担当部局にそのことを精査するように指示してきたわけですが、今回、関係団体にお願いし、文部科学省にプロジェクトチームを作って、学校現場の負担となっている業務の見直しについて、集中的に検討することとしました。今後のスケジュールは、年末の予算に向けての様々な作業にも関係しますから、できるだけ急いで、スピード感をもってやならければいけないと考えておりまして、早ければ今月中にも具体的な対応策のとりまとめを行い、お示しをしたいと考えております。今後より一層、学校の負担軽減のために、文部科学省も積極的に取り組んで参りたいと思っております。プロジェクトチームでは、設置趣旨を踏まえ、検討事項について、今後積極的に議論をして頂きたいと考えております。

記者)

 このプロジェクトチームの設立というのは、今何故この時期にという感じを、印象として持つのですが、実はもっと前にできる話ではないかと思うのですが、どういう経緯なのでしょうか。

大臣)

 従来からあった問題ですから、もっと前にということも理解できると思います。やはりこの時期に、教育課程部会「審議のまとめ」も示され、今、意見公募をかけているわけですが、そういったことも全て踏まえ、色々な状況が出揃ったと言っていいのではないかと。もちろん、予算に向けて色々なことを考えていく中で、色々と指摘がされていまして、そういったことを考えたときに、一つの大きな要素として、この問題があるということです。実は従来から、2・3週間前だと思いますが、色々な検討はしていましたが、ただ単に、こちらからヒアリングをかけるということだけではなくて、メンバーの皆さんから直接意見を聴取しながら、一緒にやることが大事であろうと判断し、確かに非常に逼迫したスケジュールですが、こういうチームを立ち上げることにしたと、ご理解を頂ければと思います。

記者)

 具体的な人選というのは、もうお進みなのですか。

大臣)

 これは全国連合小学校長会等、各団体から推薦を頂いてメンバーを構成すると考えています。推薦はまだ全部出揃っていません。近々にということでお願いをしております。

記者)

 そうしますと、発足の目処と申しますか、実際に稼動し始めるのはいつ頃になりますか。

初等中等教育企画課長)

 先週の末に各団体にお願いしておりまして、まもなく全体としてのメンバーも出揃うということで考えております。

大臣)

 ですから、これは私の想像ですが、今週末に1回目が開催できればと思いますが、もし無理であれば、先方の都合もあるでしょうから、来週早々には開催したいと。そして、全体のスケジュールを見ながら、月末もしくは来月の初めくらいには取りまとめを行いたい。既にある程度、これまでもヒアリングをかけたりしておりますので、そういうものも示しながら、ご議論を頂くということになろうかと思います。

記者)

 定数増というのは、本来、こういった合理化を行った上で要求するようなものではないかという考え方もできると思うのですが、その辺に関してはどのようにお考えでしょうか。

大臣)

 おっしゃるとおりだと思います。これから詰めていく上の作業として、大雑把に設計をするということは今までも検討していたと思いますが、より確実に検討していく。また、定数増だけではなく、いわゆるメリハリのある給与体系を作るという作業もありますから、そういったことを全体的に含めて、この作業で、より確実なものにしていきたいと思っております。

記者)

 事務作業に使う時間なり、量なりで、何割ぐらいの軽減をお願いしたいとお思いですか。

大臣)

 それは検討してみないと分からないです。もちろん、可能な限り無駄なところは排すると。それから、以前から申し上げておりますが、ただ単に事務作業を減らすということだけではなくて、その減らした事務作業であっても、今まで教員にお願いをしていた部分を、例えばボランティアとか、学校支援本部にお願いをするということも考えております。

記者)

 検討事項に文部科学省が行う調査統計の削減と各種照会事務等の精選というのがあるのですが、実際に文部科学省が行っている調査で、大臣がご覧になって、こことここが重なっているのではないかとか、ここをもっとより簡略化できるのではないかとか、具体的に何かありますか。

大臣)

 具体的には、正直私の頭の中に今申し上げられるものはありません。ただ、そういうものもあるだろうということは、強く担当部局に話をしておりますので、当然作業をしていると思っております。

記者)

 高校日本史教科書で、先日、第一学習社からも訂正申請が提出されました。ここは検定意見はついてなかったのですが、6社8点一応揃ったということで、今後の見通し、日程、特に専門家の意見聴取がどのような形で行われるのか、そういった点が分かればお願いします。

大臣)

 すでに11月2日にご報告しましたように、今回の件につきましては、教科用図書検定調査審議会(以下「検定審議会」)の委員の先生方の意見を聞くということを既にお願いしております。提出された6社8点全てについて同じ扱いでお願いをしたいと思っております。ただ、これも何度もお話ししていますが、静かな環境の中で、学術的、専門的に審議をして頂きたいと思っておりますので、スケジュール、また審議の方法等につきまして、現時点で報告することは差し控えさせて頂きたいと考えております。ただ、スケジュールにつきましては、来春の教科書の供給に間に合わなければいけないということもありますから、検定審議会がお決め頂くことではありますが、全体のことを考えれば、やはり年内には結論を出さなければいけないのかなと思っております。

記者)

 先週、関東学院大のラグビー部員が大麻の使用により現行犯逮捕ということで、これまでも大学運動部の不正、不祥事というのが色々な形でもって出ていますが、文部科学省として、大学への指導とか事情聴取などを行うようなお考えはございますか。

大臣)

 今回のことに関して言うならば、これは関東ラグビー協会が、実質的な指導を行っておられると承知をしております。今年度内の出場を自粛される。また、監督に対しても3ヶ月指導の自粛をするといった処置がなされたようでございます。大学は非常に自治というものが守られていなければいけない、これは主に教育の問題だと思いますが、そういった組織です。今回の場合は警察も入って逮捕者も出ているわけですから、文部科学省が直接事情聴取することは考えておりません。ただ、大学のスポーツというのは、スポーツの質の向上なり指導者の育成ということに対しても、非常に重要な役割がありますから、各大学は例え部活動であっても、しっかりと運営して頂きたいと思っております。第一義的には、文部科学省が指導するとか事情聴取するとかいうことではないと思っておりますが、何らかの必要性があれば、しなければいけないときもあるかもしれません。ただ、今の段階でそういうことは考えておりません。

記者)

 プロジェクトチームの話で、事務作業が削減できたことでできた時間を、具体的に教員には何に使って欲しいとお考えですか。

大臣)

 この事務作業の軽減というのは、もちろん全体的な仕事を効率的に行うという意味でも必要ですが、文部科学省が今目指しているのは、教員が子どもに向き合う時間を拡充する。要は、教育の質の向上、また規範意識をより一層持ってもらうためには、教員がもっと子どもと接する時間を増やしていく必要があろうと思います。官房長官も同じような事をおっしゃっていたような気がするのですが、昔は多くの子どもに対して、こうだと言えば皆がはいと聞くような、そういう環境にあったのかもしれませんが、最近は、一人ひとりに教えないとなかなか難しいという、そういった家庭教育の低下といったこともあろうかと思います。もしそうでなければ、少人数学級はいらないわけです。私の世代は55人で教育を受けましたから。そういったことも含めて、教育基本法や教育三法の改正、またその中の国会での議論等を考えますと、これは何度も繰り返して申し上げておりますが、子どもと接する時間、向き合う時間というものが必要であろうと。そのことによって、もちろんそれだけではできないわけですが、冒頭申し上げました定数増とか、また非常勤講師の活用とか、ボランティアとか、色々なメニューを考えておりますが、それが全体として相まって、そういった時間を確保できる。そのことが子どもの教育の向上、学力の向上、それから規範意識の向上等に結びつくと考えております。

記者)

 このプロジェクトチームの設置によって、文部科学省が定数増をあきらめたのではないかとか、そういうことを一番現場の方々は心配するのではないかと。それについて大臣はどう思われますか。

大臣)

 定数増については、断じてあきらめるということはありません。今日の新聞を見ますと、財政制度等審議会でもまた厳しいことが言われております。そういった中で、財政再建という国の大きな一つの課題で、それから行政改革という、これは基本方針2006の中でやっていくわけですから、当然厳しい声があることは承知しております。その声の中に、多くの無駄なことをやっているのではないかという意見があることも事実です。文部科学省としては、それに対して、真摯に答えていかなければいけないと思います。「そんなことはありません」と言うことは簡単ですが、やはりやれる努力をした上で、それでも必要なものは必要だということで、堂々と要求していくという姿勢だとご理解頂けたら良いかと思います。教員勤務実態調査でも、34時間くらいの残業というのが出ていますね。教師の残業は、どこからどこまでというのが非常に難しいですね。昨日も、あるよく知っている先生が来られて、ここからここまでが残業だというのは、非常に難しいよという話を、率直にされていました。確かにそういう職種だとは思いますが、どう見ても今、学校現場の先生方が本当に大変だという声がたくさんあります。その一方で、やらなくてもいいことをやっているのではないか、また、やらされているのではないかという声があるわけですから、今回のようなプロジェクトチームを設置して、そこもきちんと検討したいということです。

(了)

(大臣官房総務課広報室)