平成19年10月23日大臣会見概要

平成19年10月23日
9時15分〜9時30分
参議院 議員食堂

大臣)

 本日の閣議は、国会提出案件、政令、人事、配付資料がございました。閣議後の閣僚懇談会で総理から、最近の防衛省と厚生労働省等の問題について触れられまして、各省ともこういうことが起こらないように、よく緊張感をもってしっかりやって欲しいという発言がございました。官房長官からも、文書管理等については、少し内閣官房の方でも何か新しいことをやらなければいけないのだろうか、そういったことも検討するという発言がございました。最後に総理から、そういうこともあるが、今日から始まる国会というのは、きちんと対応していこう、という話でございました。

記者)

 教科書検定問題ですが、教科書会社が今月中にも訂正申請の提出を予定しておりますが、訂正申請を受けて教科用図書検定調査審議会(以下「検定審議会」)を開催した場合に、検定審議会の透明性を高めるために具体的にどのような公開方法が良いか、お考えはありますでしょうか。

大臣)

 従来から、これまでの経緯を踏まえて、これからどうやって公開性を上げていくかということを色々と検討しなければいけない、と申し上げて参りました。ただ、これは今後のことでございまして、検定審議会の委員の先生方のご意見もお聞かせ頂いて、これからの検定審議会の在り方、平成14年においても公開性を上げるための努力をされているようでございますが、今回の訂正申請については、従来の手順に従って行う。ただし、審議が終わった段階で、どういうふうに説明をさせて頂くかということについて、私の一存では決められないと思いますので、検定審議会の委員の先生方の意見もお聞きをして、少しでも公開性を上げるように努力をしたいと考えております。

記者)

 今日、教育再生会議が再スタートしますが、安倍政権から福田政権に変わって、教育再生会議の位置づけについて、大臣の中でどのようにお考えになっているかということと、あと教育バウチャーとか、義務教育の6・3制の見直しとか、飛び級制度の件については検討課題に上がっていますが、個々の検討課題について、改めて大臣自身の今のご所見を伺えれば。

大臣)

 位置づけについては従来からも申し上げてきました。幅広いご議論を頂くということで、文部科学省はその意見を受けて、どういうふうにそれを実現をしていくのか。もちろん実現可能なものも、中にはなかなか難しいものもあるかもしれません。できるだけ幅広い、色々な意見が出てこないと、教育再生会議の意味がないと思います。今日は総理が冒頭にご発言されるということであります。これから第三次報告をまとめるというための会合であり、もう既に議論の論点というものが出されているわけですが、その様子をまずは見守りたい。
 バウチャーについては従来から申し上げているとおりでございます。義務教育においては、やはり教育の機会均等ということが大事でございますから、そういうことを基本的にクリアできるのかどうか。この点の課題がまだ解決していないと私は思っております。学校選択制の問題とバウチャーの問題と、少し意味が違うのだろうとは思っておりますが、特に義務教育においては、やはり機会均等ということをうまくクリアできれば、それは一つの選択肢であるかという気もいたします。
 6・3制の見直しについては、これから教育再生会議でご議論頂くということになっていますが、今までの経緯からしますと、そんなにダイナミックに今変える必要がないのではないか、というのが率直な私の感想でございます。ただ、色々モデル校をつくって特区でも実施しているようですから、そういった状況をもう少し見てみる必要があると思います。私としては、6・3・3・4制、義務教育で言えば6・3制ですが、こういうふうになった経緯を少し勉強してみたいと思います。今のところ、何故そうなったのかというクリアな説明を受けていませんので、少し勉強しないとはっきり答えられません。
 飛び入学は、私はそれほど否定的には考えていませんが、ただ現状の高校2年から大学への飛び入学はなかなか進んでいないです。これはやはり制度全体を少し考えないと、ただ単に飛んで入学したからといって、今度、受け手側である大学の方が追いついていないとか、様々な問題もあるようです。それをまた、小学校とか、いわゆる初等中等教育の段階で実施するということになれば、更に色々な議論が必要であろうと思います。ただ、そういう発想が出てくる理由があると思いますから、そういった理由について、例えば学習意欲が非常に強い児童生徒について、色々な機会を設けてあげるとかは、考えていかなければいけないのではないかと思っております。いずれにしましても、少し議論を見守りたいなというのが正直な今の気持ちです。

記者)

 今朝の新聞で、松浪健四郎副大臣に、入札妨害で逮捕された建築業組合から顧問料が渡っていたという報道があるのですが、それについては特段何か報告を受けたりとかしていますか。

大臣)

 申し訳ないのですが、まだ報告を受けておりません。これはいずれにしても、こういう報道がなされた以上、副大臣がきちんと対応されると思います。

記者)

 月周回衛星の「かぐや」が周回軌道に入り、また、今週末には月探査ワーキンググループが開催されますが、今後の有人、或いは無人の月探査についてと、あと国際協力についてお考えをお聞かせ下さい。

大臣)

 一般論として、宇宙というのは、非常に私は、子どもたちに夢を与えるという意味で、我が国が今後とも大事にしていかなければいけない分野だろうと思っております。月については、アメリカとロシアが少し先行していると承知をいたしておりますが、技術的な問題からすれば、我が国はその次ぐらいにいると。また国際協力についても、色々な意味で協力できる可能性も持っている。これからの宇宙というのは、国際協力が多くなると思います。競争もありますが、国際協力がないとできないものもあると思います。そういった意味でも、これからしっかりとやっていかなければいけないと思っております。皆さん「お月さん」とおっしゃるように、これは私の勝手な思いですが、月というのは地球から一番近い天体であり、そこに人工衛星を飛ばし、月がいったいどういうふうにできているのかとか、月の裏側がどうなっているのかとか、色々な意味で、わくわくするような知的好奇心を探求していくというのは、とてもすばらしいことだと思います。今後のスケジュールは、今週末に月探査ワーキンググループの報告書がとりまとめられ、それから計画部会で審議され、それから意見公募(パブリックコメント)を実施し、年内には最終報告を取りまとめる、そういう手順になっています。宇宙もこれからはパートナーシップでお互いに得意分野を皆出し合って実施していく時代に来たと思います。日本は様々な技術的な面、特にロボットの技術というのは、日本は非常に高いものがありますから、今度スペースシャトルに搭乗される土井宇宙飛行士は確かアームの操作をやると思いますが、そういった点で今後とも、国際協力の役割も果たせると思いますから、大いに頑張って欲しいと思います。

記者)

 加古川市で女児が殺害された事案ですが、その後、生徒たちがひとりになると怖いというような状況が生まれたりしているようです。当初文部科学省としては、いわゆる自治体に任せるというお話でしたが、今の段階で特に何かアドバイスとか、サポートを求められたりという点はありますか。

大臣)

 今は具体的には求められておりません。これは多分、県の教育委員会が対応していると思います。私も先日申し上げましたが、一番気になっているのは、子どもが恐怖心を持つ、それから保護者がそのことで非常に不安になっているという地域の状況です。先日も申し上げましたように、何も待っているわけではありません。何でも言って下さいと、それに対して必要なことはこちらでやりますということです。今は県の教育委員会より「子どもの心のケアのために」というパンフレットの送付が求められたので、県にお渡しし、保護者にお配りして、色々と対応をしているということであります。そういうことは、県もしっかりとやっていると思いますが、文部科学省としては、協力しますよということを言ってあげることが大事かなというふうに思います。

記者)

 この事件、非常に悲惨な事件なのですが、大臣としての受け止めはどういう思いでいらっしゃいますか。

大臣)

 この前も、校具の安全とか学校の安全とか、子どもたちの健康とかを担当しているスポーツ・青少年局にも言ったことなのですが、今、中央教育審議会でも実はこれをテーマにして議論を頂いているようですが、これは何も加古川だけの問題ではないわけでして、確かに学校内、通学路、子どもたちが日頃生活している、遊んでいるエリアという概念ではくくれるのですが、そこから外に出た場合に一体どうなるのか、家と子どもたちの行動範囲との隙間みたいなところについても、どうするのが一番良いのかというようなことを少し検討して欲しい、ということを指示しております。

(了)

(大臣官房総務課広報室)