平成19年10月19日大臣会見概要

平成19年10月19日
9時23分〜9時37分
衆議院 議員食堂

大臣)

 本日の閣議は、通常の一般案件、国会提出案件などにつきましてご説明がありました。閣議後、年金記録問題に関する関係閣僚会議が開催されまして、厚生労働大臣、総務大臣より年金問題の進捗状況についてご報告があり、付き合わせの作業は概ね順調に進んでいるということでした。なお、文部科学省は私学共済を抱えておりますので、そういった点から、今後国民に通知をするような段階のときに協力をして頂きたいということを承りました。両省ともこの作業に人手が不足しているようでございまして、関係各省はより一層協力をしてほしいということがありました。総理からは、適宜、国民に向けてそういった情報を発信する、これは厚生労働大臣が月に一回は報告をするということもおっしゃっておりますが、そういったことをきちんとやるようにというお話がございました。今後のスケジュールについては、また順次調整するということでありました。

記者)

 教科書検定問題ですが、教科書執筆者が訂正申請の記述内容について、集団自決の日本軍の強制を明記することを検討していますが、こうした申請が実際に出てきたときに、どのように対応されるかということと、その後、教科書会社からの訂正申請とか、問い合わせというのがありますでしょうか。

大臣)

 内容の話については、そういった報道があることは承知をしておりますが、具体的にお聞きをしているわけではありません。いずれにいたしましても、この内容の問題については、提出されてきた状況で判断をすることではありますが、やはり教科用図書検定調査審議会の委員の先生方の意見を聞くということになろうかと考えております。またその後の、日程やどういう書類が必要か、といった手続きの相談については、今回の検定に係る発行者5社すべてからあったと報告を受けております。

記者)

 大臣のまさに地元でいらっしゃる兵庫県の加古川で、小学生がああいう被害にあわれました。今回の事件はもちろん家の前の話で、学校内の話ではないのですが、こういう事件が起きて、具体的に何か指示をされたりしていることはございますでしょうか。

大臣)

 この事件がどういう事件だったのかは今捜査中です。実は昨日、別の会合で市長とお会いしましたので、市で色々な対策を講じられることについて、お手伝いすることがあれば、単に文部科学省だけではないかもしれませんが、何でも遠慮なく言ってくださいという話をしました。学校の中とか、通学路とかいうことは、文部科学省としてどういう対策を取っているのか、という話になるわけですが、まさにそれだけでは不十分だということです。これは文部科学省がどうするということではなくて、やはり地域が一体となってこの問題に取り組んでいかなければいけないということを、私自身も改めて感じました。それから、これは地元の方から聞いた話ですが、PTAか何かの集会で、こういう犯罪が起こらない教育といいますか、こういう犯人を作らない教育をしなければいけないという保護者の声があったという報告を頂きました。今、道徳を徳育にするとか、いじめの問題とか、色々な問題があるわけですが、学校教育の中で、人間としての基本的なところについて、どうやって取り組んでいくかということを、検討はしています。学校についての問題については、スクールガードとか、色々実施していますが、そういうことだけではなくて、再度、色々考えていかなければいけないだろうなと、これは一部感想ですが、思いました。

記者)

 その犯人が現在も捕まっていない状態の中で、学校側に対して何らかの指示というのは、文部科学省としては出していらっしゃいますか。

大臣)

 これは文部科学省から直接出すというより、やはり市、県の問題であろうと思います。これは何も責任を逃げるということではありません。私は市に対して、子どもが怖がっていると思いますし、それから保護者が非常に心配をされていると思いますから、そういったことに対してきちんと対応して下さい、と申し上げました。市の教育委員会なり、県の教育委員会なりがきちんと対応すると思います。そういう中で必要なことがあれば、文部科学省からもお話をするということになろうかと思いますし、お手伝いもできるところはしようということだと思います。

記者)

 23日に教育再生会議が再開されるのですが、大臣としては、その教育再生会議をどういう存在と位置づけて関わっていくのか、その辺りを教えて下さい。

大臣)

 多分それは、中央教育審議会(以下「中教審」)との関連も含めてということだろうと思いますが、教育再生会議が設置されたときの状況、また目的というものを考えれば、より広範な方々から自由な発想で意見を頂くというのが基本だと承知を致しております。既に第1次、第2次報告を出されており、第1次、第2次報告でまとまりにくかったこと、教育バウチャーの問題等を、これから審議される、また、第1次、第2次のフォローアップという性格も持つというふうに聞いております。いずれにしましても、この議論を見守りながら、当然最終的に何らかのものがまとまれば、それを教育の現場に具体的にどうやって移していくかというのは、ものによってはまた中教審にお諮りをすることもありましょうし、諮らなくてもこれはやれるというものもあるかもしれませんし、暫くはそういう状況で見守っていきたいと思っております。

記者)

 教育再生会議の検討課題のひとつとして、義務教育でも飛び入学というのが検討課題に上りそうだということなのですが。

大臣)

 ここは少し議論を聞いてみなければ分からないです。義務教育でそういうことをやるのかということですが、今、私はこれについて確信的な回答はありません。従来、飛び入学については、義務教育ではあまり議論をされなかったことでありますし、委員の方々がどういうことを議論されるのか、また、教育再生会議だけではなくて、色々な方がどういう意見を持っておられるか、その辺も聞いてみたいと思います。今までやっていたのも、そんなにうまくいっているというふうには承知していないのですが。あまり希望する学生がいないとか、そういう話も聞こえてきますし、今はそれだけしかお答えができません。

記者)

 昨日、脳科学研究に関する科学技術・学術審議会への諮問がありました。日頃から、科学技術振興が私のライフワークとおっしゃっている大臣としては、脳科学に関する期待が色々あったと思うのですが、大臣は日本の脳科学研究がどうあって欲しいという期待をお持ちでしょうか。

大臣)

 基本的には日本の脳科学のレベルは世界でトップレベルだと認識をしております。この前、STSフォーラム出席のため京都へ行きました時に、ドイツの教育研究大臣と話をしたのですが、ドイツの関心は実は脳科学だったのです。で、今度ドイツもアルツハイマーの研究所をつくるので、日本と一緒に何か色々やりたいというようなこともおっしゃっていました。ポイントはやはり、これから少子高齢化が進んだときに、様々な医療の問題等にも非常に貢献できる可能性を持っている。で、例えば子どものいじめとか、子どもがキレるという現象に関する研究について、心とは言わないのでしょうが、心の領域に近いところまで、実際にいこうとしてる。「どういう脳の働きでやる気がおきるのか」とか、そういうことは色々な意味で、これからの医療とか、教育にも役に立つ。これは生命倫理と関係しますから、慎重にやらなければいけない分野だとは思っていますが、そういった面では色々な答申が頂ければ、今回少しそういうことも含んだことになると思いますので、期待しています。答申は少し時間がかかると思いますが。

(了)

(大臣官房総務課広報室)