平成19年10月5日大臣会見概要

平成19年10月5日
9時23分〜9時45分
参議院 議員食堂

大臣)

 本日の閣議は、国民の保護に関する基本指針の変更等一般案件3件、また国会提出案件19件、政令3件、あと人事の報告がございました。その後、地域再生のための新たな戦略の策定ということで、総理及び関係閣僚から発言がありました。この新たな戦略というのは、地方再生担当大臣が中心に、地方の再生に向けて取りまとめ作業を行うわけでありますが、従来ありました地域活性化関係の4つの本部、都市再生本部、構造改革特別区域推進本部、地域再生本部、中心市街地域活性化本部を一元化するとともに、事務局も一体化して新たに地域再生をはかるというものでございます。それぞれ関係閣僚から発言があったということでございます。

記者)

 教科書検定に関して、公明党の太田代表が集団自決について、新たな調査研究機関の設置などを検討するよう提案されていますが、その件について如何お考えでしょうか。

大臣)

 これは、総理も官房長官もおっしゃっていたのですが、私もまだ具体的に、どういうイメージを考えておられるかということを、つぶさにお聞きをしているという状況ではないわけでありますが、いずれにしましても、どんな歴史にしろ、我が国の歴史というものをしっかりと研究をしていくということは大事であるというのが一般認識でございます。その上に立って、今回言われていることが、どういう形で実現するのが良いのかということは、今後、先方のお考えも聞きながら、検討する部分もあろうかと思いますけれども、現時点で申し上げられることは、やはりこれは、沖縄だけではなくて、まだまだ資料をそろえなければいけないということもあろうかと思いますから、歴史をしっかり研究していくというのは大事であるというのが、現在の私の認識であると申し上げたいと思います。

記者)

 大相撲に関して、武蔵川部屋の部屋付き親方が、ちゃんこ番の男性に傷害を負わせたということで、また新たに出てきましたが、大臣の所感をお願いします。

大臣)

 昨日、財団法人日本相撲協会(以下「相撲協会」)に確認したところ、武蔵川部屋の部屋付きの親方である山分親方が元力士に暴行を加え、傷害容疑で9月26日に書類送検されたという報告を受けました。このような事件が起こったということは、大変遺憾に思っておりまして、相撲協会に対しては、更に詳細な事実関係の調査・報告を求めていこうと考えております。

記者)

 先週、大臣が相撲協会に対して行政指導という形で指示しましたが、その後の相撲協会の対応を見て、どう思われますか。

大臣)

 スピーディーに対応されていると思っております。単に当事者から一方的なヒアリングを行うというのではなくて、周辺からも色々と事情を聞くなどの調査をしていると聞いていますが、大事なことは、相撲協会がきちんと国民に対して説明をするということだと思っております。同時に、先般の指摘事項の中にあるとおり、今後、相撲協会において、徹底的に実態を解明するとともに、再発を防止するために何をやるかという、力士養成の在り方についての議論がしっかりとなされていかなければいけないと思います。そのためにも、こちらも指導事項にあるとおり、難しいところもあるかと思いますが、過去に起こったさまざまな事案についても、できる限り調査して頂くということも大事だと思っております。

記者)

 昨日の衆議院本会議で、社民党の照屋寛徳氏からの沖縄条項についての質問で、大臣のご答弁は、慎重に検討するとおっしゃられていましたが、これは条項を設けることを検討するという前向きな姿勢なのでしょうか。

大臣)

 条項については、答弁の中でも申し上げましたように、あの戦争では、実は大変多くの方々が亡くなられております。長崎、広島の原爆もあったわけですから、特定地域にそういう条項を設けるというものが、はたして検定になじむのかどうか、いささか疑問があると思っております。ただ、そういうご意見もありますから、前向きに検討するということではないと思いますが、それを受けて何ができるかということは検討させて頂きたいと思っております。

記者)

 関連ですが、最近しきりに政治介入があってはいけないということが言われておりますが、基本的なことですが、政治介入というのは、大臣はどのように定義されますか。

大臣)

 検定制度というのは、中立、公平、公正という原則があります。それから、専門的、学術的見地から検討して頂くということでありますから、そういった意味において、特定の歴史観とか、そういったものを時の政府なり、時のある考えの勢力、政党かもしれませんが、そういったものが検定に対して、考え方を言うことは構いません。これは政治的自由というのはあると思います。ですが、例えば、検定のあり方について、私がこの検定はどうだとか、ああだとか、申し上げることは、ある意味での政治介入という判断をしています。

記者)

 昨日、民主党が国会決議案をまとめまして、検定結果の審議会での再検討と、検定手続きの見直しという内容ですが、それについてどう思われますか。

大臣)

 検定の再検討というのは、幅広い意味では、従来から申し上げているように、例えば教科書の会社から申請があれば、今の法的手続きの中にもあるわけですから、再検討させて頂くということになるでしょう。これはむしろ、民主党がどういう意味でおっしゃっているのでしょうか。民主党が言っている再検討というのは、要するに撤回をしてやり直せということなのですか。

記者)

 撤回ということではないのですが、記述に疑義が生じている。おかしいから、もう一度検討してという。

大臣)

 ですから、幅広い意味で、全てもう一切検討はしませんとか、訂正申請が出ても受け付けないとは言っていないわけですから、それは中身によって再検討ということも有り得ると。ただ、何もしないで再検討ということは、これは一応正式な手続きに則って行われておりますから、それこそ私がそれを再度検討しろということは、先程ご質問がありました政治介入になると思いますので避けたいと思っております。

記者)

 出版社から訂正申請があった場合に、その対応について適切に対応するように検討したいとおっしゃっていますが、教科書検定の規則上、県等が求めている元の文案の回復というのは、可能なのでしょうか。

大臣)

 訂正申請については教科用図書検定規則(以下「検定規則」)第13条第1項と2項がありまして、第1項、第2項のどこに抵触するのかによって、今即座にご返事はちょっと難しいのではないかという気がします。要するに、例えば第2項に「学習を進める上に支障となる記載」というのがあります。それに当たるかどうかという判断というのは、大変難しいと思います。ですから、そういったことも含めて、今の段階で予断をもって断定することは差し控えさせて頂きたいと思っております。

記者)

 教科書検定で昨日、新しい歴史教科書をつくる会が、もう既に政府介入しているのではないかといったようなことで、撤回をすることをやめてほしいという申し出をされたと思うのですが、「既に政治介入しているのではないか」という意見に関してどうお考えですか。

大臣)

 これは民間の教科書会社がもし訂正申請を出されるとしたら、まだ出すということを正式におっしゃっておりませんが、それは文部科学省が出せとか、そういうことを申し上げてあるわけではありませんから、文部科学省が政治介入に屈したということではないと思いますが。

記者)

 独立行政法人科学技術振興機構(以下「JST」)が、委託開発事業の開発費を不正流用されて、民事訴訟では勝訴しているのですが、8千万円が返還されていないという事態になっています。JSTは今後、審査方法を変更するようですが、当時は書面だけの審査で1億5千万円もの契約を結んでいたと。で、国費の支出の在り方について大臣のお考えと、この件についての刑事告訴などお考えかどうかを教えて下さい。

大臣)

 これは申し訳ないのですが、少し時間を頂きたいと思います。私も今日の朝、そういうことがあったということを報告を受けました。早稲田大学の松本元教授の事件がありまして、あのことについては私も非常に、詳細についても承知いたしております。やはり研究費が正確に使われるということが当然のことでありますし、もう少し精査をして、そのことについてお答えをさせて頂きたい。しかし第一義的には、JST自身が、問題が無かったかということについて、少し私も関係者からしっかり聞いてみたいと思っております。今の段階では、私にそれ以上の情報がありませんから、発言を控えさせて頂ければと思います。

記者)

 相撲の件で、力士が死亡した方の問題で、今日にも処分という話ですが、今の段階で大臣として処分がどうあるべきとお考えですか。

大臣)

 処分がどうあるべきかというのは、これはまず今日午後1時から開催されると聞いております相撲協会の理事会において、きっちりと協議をされることが第一義的には大事だと思っております。ただ大事なことは、なぜそういう処分になったのか、どういう経緯でそうしたのかということを、相撲協会として、社会的にきっちりと国民に対して説明をして頂く必要があろうかと思います。その上で、それが不十分であれば、こういうことについてちゃんと説明をしなさいという指導をするのが、監督官庁としての現在の私の考え方であります。処分が決まった後には、御報告にお越し頂けるのではないでしょうか。

記者)

 それは本日ですか。

大臣)

 まだ正式な申し入れはありませんので分かりません。

記者)

 報告が来た場合には、大臣ご自身がお会いになりますか。

大臣)

 これは時間帯にもよりますが、会えるようでしたら、もちろんお会いします。この件については私は別に逃げるつもりはありません。ただ、松浪副大臣が、ある面で内容も良く分かっておりますから、そういう意味では私が不在でも十分な対応ができると思います。もちろん私の責任で報告を聞くつもりですが。

記者)

 松浪副大臣が会う可能性があると。

大臣)

 あります。本会議中に来られたりしましたら、結果的にそうなります。

記者)

 相撲の件で武蔵川部屋の方の話ですが、これはまだ事実解明中だと思いますが、時津風親方のケースとちょっと違って、弟子に暴行している兄弟子に暴行をしたという事案のようなのです。この件については、どういうふうにお考えになっていますか。

大臣)

 これも冒頭申し上げましたように、もう少し詳しく相撲協会より事実関係を聞いてみないと何とも申し上げられません。ただこれは誤解しないで頂きたいのですが、その状況は理解できるという部分があるとしても、やはり結果的に行き過ぎていたことがないかということを、きっちりと見てみないといけないと思います。

記者)

 教科書検定の関係でもう一度確認なのですが、大臣のお考えは、検定意見の撤回は無理だが、復活に向けて真摯に対応していくというお考えですか。

大臣)

 従来から申し上げておりますように、民間の教科書会社が訂正申請を出されれば、そのときには、文部科学省としては手続きに則って、多分検定規則第13条第1項、第2項の訂正申請になると思いますが、その中身をとにかく見て、ただ、私がいつも申し上げておりますのは、これが適当、適当でないという判断は、もう一度検定審議会にお願いすることになろうかと思います。そこに、ある意味の、これが正しいとか、正しくないという意見を付すことは、先程からお話が出てます政治的介入になると考えますので、多分そういう手続きになろうかと思います。

(了)

(大臣官房総務課広報室)