平成19年9月28日大臣会見概要

平成19年9月28日
9時56分〜10時22分
文部科学省記者会見室

大臣)

 本日の閣議は、障害者の権利に関する条約の署名につきまして報告がございました。また、種苗法施行令及び国立大学法人法施行令の一部を改正する政令につきまして報告がございました。そして私から、国立大学法人の人事について報告をさせて頂きました。その他、総務大臣から労働力の調査結果、消費者物価指数及び家計調査の結果、また厚生労働大臣から平成19年8月の有効求人倍率、及び、共同募金運動に対するご協力、また財務大臣から日本政策投資銀行、国際協力銀行及び国民生活金融公庫の人事について報告がございました。いずれも、それを了承したところでございます。また閣議後の閣僚懇談会では、総理から、この内閣は国民にできるだけ接近をする内閣ということにしたいという発言がございまして、全国津々浦々という表現を使われておりましたが、出かけていって国民にできるだけ接触をする。色々な意味で国民と対話をするということに心がけてほしい、という発言がございました。また官房長官から、福田メールマガジンをこれからも発行するので、協力を願いたいという発言がございました。その方法について、若干の意見交換がありました。

記者)

 政治資金規正法の件ですが、先日の自民党と公明党の連立合意の中で、政治資金収支報告書に、1円以上の全ての支出に領収証の添付を義務付けるということで合意がされました。公開の仕方など、これからの議論ですが、改めて大臣のお考えをお願いします。

大臣)

 自公の合意というのは、実は私は、文部科学大臣就任前に、連立政権の合意をまとめる作業の下支えをしておりましたから、よく承知をいたしております。国民の皆さんから、できるだけ政治資金の透明度を高める、という要望があるわけでございますから、それにお答えをするために、自公で協議をして、そのような結果になったわけでございます。自民党内におきましても、色々な意見があるところでございますが、大事なことは、自民党がどうだ、公明党はどうだ、与党がどうだ、ということもありますが、その合意の中にも書いてありますように、政党間でよく話し合って、これは政治の共通の話でございますから、与野党を超えて、各党を超えて、合意が得られるように努力をするということが大事であろうと思っております。公開の仕方等については今後議論をしたいと思いますが、政治活動の自由というものを、ある程度担保するためにも、しっかりと、そのことをどうやったら担保ができるかということも含め、国民の皆さんに説明責任を果たせるという体制を、どうやって作っていくかということだろうと思います。これは総理が総裁選の中でもおっしゃっていたことであります。アメリカ、イギリス等でも、立法府の中にそういった機関を置いて、独立した形の中で正しく政治資金を処理をされているかをチェックをするシステムもあることでございますから、今後どういう形にするのが良いのかを、先程も申し上げましたように、各党間でよく話し合って決めていくということになろうかと思います。

記者)

 大相撲の時津風部屋の宿舎で、当時17歳の力士が、今年6月に亡くなられるという話がありました。色々な報道がありますが、稽古の名を借りて暴行のようなこともやっていたのではないかという報道もあり、ビール瓶で殴ったという親方の証言もあるという話もありますが、この力士が急死した問題について、大臣のお考えを伺いたいというのと、財団法人日本相撲協会(以下「相撲協会」)に対して文部科学省(以下「文科省」)は何か対応する予定があるのかをお伺いします。

大臣)

 現在、相撲協会において事実関係の把握に努めており、文科省としても報告を求めているところです。昨日27日においては、伊勢ノ海親方が時津風親方より電話で再度事情聴取をしたこと、時津風親方が相撲協会理事会及び師匠会において現状を報告するとともに謝罪をしたこと、及び、相撲協会の理事会において、今後の再発防止策について検討を行うために、相撲協会内部に力士の指導に関する検討委員会を設置することを決定したことについて報告を受けております。現在、相撲協会において、そういった自浄努力をされており、また内部で、より詳細な調査をされているということでありまして、そのことを逐一文科省は報告を受けたいと思っているわけでありますが、私の感想として、こういう事件が起こるということは、これは大変遺憾でありますし、まず、こういうことが起こらないような再発防止策をしっかりと協会内部で作って頂きたいと思っております。相撲協会は、公益法人事業として力士の養成を行っているわけですから、文科省は事業の状況をきちんと監督していく必要があり、状況を見ながらですが、いずれ近いうちに、文科省から要請をしてお越し頂く必要もあるかなと考えております。

記者)

 それは相撲協会の方を、文科省に呼んで、事実関係を含めてお話を聞きたいということですか。

大臣)

 もうしばらく状況を見たいと思いますが、そういうことです。私の率直な印象としては、こういうときは相撲協会も大変だと思いますから、お越し頂くかどうか、その必要をしっかりと見極めて、事態が少し収束した段階で呼ぶということが適当かと思います。

記者)

 死亡から3ヶ月経っているのですが、この3ヶ月間内、相撲協会は何もしなかったということも問題になっているわけです。文科省としてはこの3ヶ月間、何かしたのですか。

大臣)

 この事実については、私は即座にお答えできませんので、事務方に回答させます。

総務課長)

 これについては特段の対応をしていません。9月26日の報道の後、事実関係の把握を指示しました。

記者)

 するとこの3ヶ月間、相撲協会が放置をしていたという状況で、さらにこの後、様子を見てから、関係者に話を聞くという措置をされるのですか。

大臣)

 すぐに呼ぶべきではないかというご意見もあろうかと思いますが、まずは、事実関係を把握するよう、現在鋭意努めているところであります。

記者)

 あくまでも相撲協会の報告を待つということですか。

大臣)

 報告を待つのではなく、こちらからも相撲協会に働きかけ、毎日のように逐一情報を収集しているところでございます。見てるだけということではないと、ご理解を頂きたいと思います。

記者)

 それは具体的には電話で報告を受けているということですか。

大臣)

 今の段階では電話で報告を受けているということであります。

記者)

 確認ですが、呼ぶ対象には、時津風親方も入りうるということで宜しいですか。

大臣)

 それは状況次第だと思います。今捜査も行われているようでありますから、その辺の判断は今の段階で断定的に申し上げることは、いかがかと思います。

記者)

 初報の段階で、一番最初に17歳の力士が亡くなったときに、暴行疑惑という話が出てたと思うのですが、それを今まで全く対応をしていないというのは、おかしな話だと思うのですが。要するに、疑惑の段階等で、監督責任として何かしら話が出てきていれば、調べるべきなのではないかと思うのですが。

担当課)

 その時点では、事件性がないということも併せて報道されておりましたので、特段対応することは無いと判断しました。

記者)

 公表がされてから相撲協会には問い合わせをされているのですか。

大臣)

 9月26日の報道後、文科省より確認したところ、6月27日に時津風親方が遺族に謝罪をしたこと、28日に愛知県犬山署が新潟大学病院での行政解剖の結果、死因の特定は困難だが多発外傷によるショック死の可能性がある主旨を公表をされたこと、また、29日には時津風親方が伊勢ノ海親方に「正当な稽古であって暴力では無かった」という旨を報告されたこと、このような報告を受けたということです。

記者)

 現在、相撲協会として独自に調査をする方針は考えていないというようなことを言われている状況の中で、更に報告を待つ、もしくは逐一聞くという形を取られるのでしょうか。

大臣)

 先程申し上げましたとおり、報告を待つのではなく、進捗状況は逐一聞いているわけです。それからもうひとつの要素としては、捜査の手も入っておりますから、そういったことも含めて、総合的に判断する必要があるのではないでしょうか。

記者)

 捜査機関に任せるだけでよろしいのですか。

大臣)

 文科省としては監督官庁として、事件性を捜査するということではなくて、正しい指導が行われていたかどうかをしっかりと見ていく必要があるわけです。ですから、今後、そういった点で、関係者とよく協議をし、てまいりたいと思います。

記者)

 先程大臣は、近いうちに文科省から要請して、報告に来て頂く必要があるとおっしゃっていましたが、そういうことで宜しいですね。

大臣)

 断定したわけではありませんが、そういうことも選択肢として考えながら、対応していきたいと思っております。

記者)

 他にもこういう事案がないかとか、監督官庁としてチェックされるとか、そういうことはお考えですか。

大臣)

 それも必要かもしれません。力士の養成というものがきちんと行われているのかということについては、当然文科省としても、しっかりと相撲協会より報告をさせないといけないと思います。

記者)

 この件に限らず、昨年来、日本相撲協会を巡って、運営の在り方を含めて、大変批判が出ておりますが、相撲協会、特に公益法人としての在り方について、どのようにお考えですか。

大臣)

 相撲協会というのは相撲協会の責任で運営しておられます。ただ、これは公益法人でありますから、事業の内容や経費の処理などについて、民法第67条に基づき主務官庁がしっかりと監督するということは、必要であろうと思います。同時に、相撲というのはスポーツでありますから、そういった意味でも、健全な運営をされていくよう、文科省が指導監督できる部分については、的確に指導していくということが必要ではないでしょうか。

記者)

 現在の相撲協会への大臣の率直な印象で結構なのですが、運営のされ方は、何らかの問題があるとお考えですか、それともきちんと運営されているというお考えですか。

大臣)

 いや、きちんと運営されているとは思わないですね。率直に、しっかりしてほしいという印象ですね。これはテレビで見た話でありますが、体質も非常に古いようですから、制度そのものも今のままでいいのかという問題もあると思います。ただ、第一義的には相撲協会自身が自浄能力を発揮して頂かなくてはならない事案だと思いますので、主務官庁がしっかりと責任を果たすということも大事だと思いますが、何でもかんでも口を出すというのは問題だと思います。そのため、相撲協会が一義的に取り組むべき問題と、そして公益法人として文部科学省が指導すべき問題は、きちんと分けて考えていかなければいけないと思います。

記者)

 今回のケースは相撲協会という話ではあると思いますが、今日本で問題になっている、いわゆるいじめの問題、伝統なのか、因習なのか、そういった要素をからんでいるからこそ、我々記者もお伺いしているのです。そういった観点からは、どういうことを相撲協会に求められますか。

大臣)

 やはり二度とこういうことが起こらないように、再発防止策をしっかり構築すべしということは、文科省より申し上げなければいけないと思います。やはりこれは日本の長い伝統の中で培われたスポーツでありますから、相撲協会としても、守っていきたい伝統なりルールなりというものもあると思いますす。ただしそれが、このような問題につながるということであれば、こういうふうに防止していくんだということを、しっかりと相撲協会で策定して頂かなければいけないと思います。中で起こっていることをつぶさに知っているわけではありませんが、まず相撲協会としての自浄というものを、しっかりやって頂きたいということを、私は申し上げたいと思います。

記者)

 建設会社から受けとった資金の件ですが、今後同様のケースがないか精査するということでしたが、作業の進み具合を教えてください。

大臣)

 ありませんでしたと報告をして、そしてまたあったと言われないように、今一生懸命精査をしております。現在までのところはありません。なお、まだ時間をかけて慎重に、別に逃げるつもりはありませんが、精査をしたいと思っております。同様のケースについては、例えば2003年度、2005年度等も、一応考えられるケースについてはチェックをいたしましたが、ございません。

記者)

 昨日ミャンマーのデモの取材中に日本人が殺害されました。この件についてのお考えを伺わせて下さい。

大臣)

 事実関係も次第に明らかになっているようでございます。APFと契約されているフリーのジャーナリストの方と聞いておりますが、大変痛ましいことだと思っております。ミャンマーは今国際社会に対して、少し政権の在り方というものを考えなければいけないのではないかと思いますね。これを内政問題と見るのか、外交問題と見るのかは色々な考えがあるでしょうが、やはり日本としては世界の国々と協調しながら、ミャンマーの今の状況が一日も早く平定をして、そして国民の安全が守られ、在住の日本人もいらっしゃるわけでありますから。日本人がいるからということだけではありませんが、平静になるようにそれぞれ協力をしながら、努力をしていくということになると思います。ただし、あのような発砲事件があって、そして日本人のみならず、死傷者が出たということは大変遺憾なことだと思っています。

(了)

(大臣官房総務課広報室)