平成19年9月25日大臣会見概要

平成19年9月25日
10時30分〜10時45分
文部科学省記者会見室

大臣)

 今日の閣議は安倍総理もご出席になりまして、全員で安倍内閣の総辞職の署名をしました。安倍総理も少しお疲れの様子でしたが、自分の健康上の理由のために大勢の国民の皆さんにご迷惑をかけて、結果的に辞任表明時期その他、不手際があったので、国会の空白を作ってしまったことについて、大変残念に思い、また申し訳ないというお話がありまして、同時に、教育基本法を含めた日本の国としての土台作りは、ある程度のことはできたという自負もお持ちのご挨拶がありました。その後、一番年長である冬柴国土交通大臣が、大変ご懇篤な、行き届いた、安倍総理に対するねぎらいと、そして今後のご自愛を申し上げるご挨拶をされて、一同で閣議室から総理を拍手で送り出しました。それで私は文部科学大臣の任を解かれましたが、改造後の内閣も含めて、ちょうど一年間、報道各社には大変お世話になり、長かったと見るのか、短かったと見るのか、その間、報道各社の適切な報道によって、例えば、いじめ自殺が未然に防げたとか、文部科学省の行政が従来よりも国民によく理解して頂けたとか、色々な面でご協力を頂いたことに心から感謝を申し上げたいと思います。で、今日午後から首班指名が行われます。先程、公明党との間の政策協議も整いましたので、自公で衆議院では福田自民党総裁を総理大臣に指名すると。参議院は多分、小沢民主党代表が首班に指名されるでしょう。衆参の意見が異なった場合、憲法の規定に従って、両院協議を行った後、福田自民党総裁が総理大臣になると。そして、組閣が行われ、私はもう再任されるという望みはありませんので、新しい大臣が来られると思いますが、ようやく概算要求のところまでこぎつけましたので、是非この予算をしっかりと確保して、日本の将来への長期的投資である教育、またその教育によってつくり出される科学技術の基礎を築いて頂きたいと願っておりますし、新大臣が決まりましたら、そのような引き継ぎを申し上げたいと思っております。

記者)

 安部改造内閣から一ヶ月足らずですが、安倍内閣発足からは、文部科学大臣として一年間、文部科学行政を担当されてこられました。月並みですが、一年間で印象に残ったこと、次期文部科学大臣に是非引き継ぎたいことがありましたらお考えをお聞かせ下さい。

大臣)

 私自身がやったということではありませんが、やはり、教育を変えていくために、教育の憲法といわれる教育基本法が60年ぶりに改正されたということではないでしょうか。これは何十年にわたって諸先輩が努力をしてこられ、たまたま、その法案が通るという節目に私はいたというだけのことです。この法案が通ったときに、委員会にいる一回生の先生方が、こういう歴史的な場面に国会で立ち会えたことは、自分たちにも大変思い出に残ることだという話をしておられたのを、今でも覚えております。大きな方針が決まれば、それに従って、その次にくる法律を改正をして、そしてその改正した法律を実現するための予算を確保して、そしてその予算を使う人のやる気、意識を変えていくと。ここで初めて、教育再生というのは成り立つわけです。これは各社の事業においても同じことです。ですから、この事業を着実に引き継いで頂ける後任の文部科学大臣が来られることを確信致しております。私自身は従来の大臣と違い、随分勝手なことも言いましたし、文部科学省職員が期待しているというか、言いなりにはならなかった大臣ですから、随分やりにくかったと思いますが、職員も意識を少し変えて、頑張ってついて来てくれた事は、有難いことだったと思います。

記者)

 安倍教育改革の総括について、プラスの面、マイナスの面、双方であるようでしたらお願いします。

大臣)

 何事も、ある人はプラスだと思えば、ある人はそこはマイナスだと思うのです。特に、価値観が強く入ってくる分野においては、極めて無機質な自然科学の分野では真理はひとつしかないかも分かりませんが、人間の思考の中でどちらが正しいということは、政治家が演説しているだけであって、その人の価値観、人生観等によって違うわけですから、永久の真理というのはないわけです。だけど私は安倍総理と多くの点で価値観を共有しておりましたから、安倍内閣がやった教育再生というのは、道半ばで総理が退任されたということが一番の残念なことであって、方向としては決して間違っていないと。とかく政治というのは、明日の自己負担がいくらとか、今日の税金がどうなったとか、融資があるとかないとか、農家の価格交渉が行われるとかということで、票が動きがちなのですが、政治が本来やらねばならないのは、そういうことも大切ですが、やはり国家の土台作りみたいなことであり、安倍総理の理念、理念型政治から決別しろなんていうような社説もあったようですが、を私は評価をしたいと思いますけど。

記者)

 後任の大臣については、具体的にどういう人物が良いのかということと、もしそれがある場合に、今日の組閣の際に福田総裁に何かしらの助言というか、アドバイスをされるお考えがあるのか、教えて下さい。

大臣)

 聞かれたら、色々なことは言うということでしょう。幹事長としては、こういう話は、そういう質問があったときに答えては失格なんですよね。

記者)

 今の質問ですが、やはりここまで一年間、教育再生に携わってこられて、幹事長というお立場になられたのでしょうが、やはり大臣として、これをしっかりと引き継いでもらえる人がどういう人であるかという点については、是非コメント頂きたいのですが。

大臣)

 日本の改革の仕組みというのは、法律を変え、予算をつけ、意識を変えていくということですから、その仕組みを着実に進めていくためには、まず法律ももちろん理解しなければなりませんし、色々な理論というか、理屈も建前も分かっていなければならないのですが、建前だけでは社説は書けますが現実は動かせないのです。ですから、現実を動かしていくという人脈、説得力がある人がいないと、年末の予算は非常に取りにくいでしょうね。

記者)

 昨日の人事の中で、伊吹さんの幹事長就任が最も驚かれたという反応が多かったのですが、ご自身はどういうふうにお感じでしょうか。

大臣)

 これをやれといわれたら、党員でいる限りはやるというのが宿命だなと思っただけのことです。

記者)

 驚きはそんなになかったのですか。

大臣)

 驚きというものはありませんでした。今自民党は、参院選で負けた後色々なことがあり、非常に難しい時期ですから、やはりきちんと危機管理をして、チームとして隙を見せずに動いていくということが大切ではないのですか。そういうことを心がけてやりたいと思いますけど。

記者)

 安倍総理の挨拶の中で、教育改革の自負といったようなことがあったのでしょうか。

大臣)

 自負というのか、私の内閣の中で教育基本法の改正等を成し遂げることができ、というようなご挨拶があったということ。私がやったとはおっしゃってないです。ご発言に、閣僚の皆さんや国民にもご支持を得てというような文言がついていたと思いますが。

記者)

 党員として、やれと言われればやるのが宿命とおっしゃいましたが、文部科学大臣を道半ばで離れなくてはならないという点についてはどういうお考えでしょうか。

大臣)

 自分で自分のポストは決められませんから。自分の思いがあっても、組織の長が、こういう体制でやりたいということに対して、異ばかり唱えていたら、組織は成り立ちませんから。

記者)

 党に対しては、道半ばであるのに離れなければいけないという部分に対しては、何らかの発言をされたのでしょうか。

大臣)

 いや、それは党に対して言うことではないでしょう。ただ昨日の自民党4役の会見で、私はそういう思いをお伝えしたつもりです。
 皆さん、どうも一年間大変お世話になりました。これからもよろしくお願いします。

(了)

(大臣官房総務課広報室)