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平成16年8月24日大臣会見の概要

平成16年8月24日
11時6分〜11時27分
文部科学省記者会見室

◎一般案件

国際組織犯罪等対策推進本部の改組について(決定)
(内閣官房)

「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定」第2条に基づく施設及び区域の共同使用及び追加提供について(決定)
(防衛庁)

航空業務に関する日本国とウズベキスタン共和国との間の協定の承認について(決定)
(外務省)

平成16年度一般会計予備費使用について(決定)
(財務省)

ケニア国駐箚特命全権大使宮村 智外3名に交付すべき信任状及び前任特命全権大使浅見 眞外3名の解任状につき認証を仰ぐことについて(決定)
(外務省)

恩赦について(決定)
(内閣官房)


◎国会提出案件

衆議院議員今野東(民主)提出激甚災害の指定に至るまでの期間の短縮に関する質問に対する答弁書について
(内閣府本府)

衆議院議員阿部知子(社民)提出「米軍家族住宅」に関する質問に対する答弁書について
(防衛庁)

衆議院議員照屋寛徳(社民)提出基地従業員の労務管理に関する質問に対する答弁書について
(同上)

参議院議員櫻井充(民主)提出国立大学法人化後の問題点に関する質問に対する答弁書について
(文部科学省)

衆議院議員佐藤謙一郎(民主)提出桜木町駅前会員制競輪場外車券発売施設の設置計画に関する質問に対する答弁書について
(経済産業省)

衆議院議員近藤昭一(民主)提出国土交通省中部地方整備局管内の一級河川における河川法第16条及び第16条の2に係る河川整備基本方針・河川整備計画策定状況と流域委員会等の設置に関する質問に対する答弁書について
(国土交通省)


◎公布(条約)

航空業務に関する日本国とウズベキスタン共和国との間の協定(決定)


◎政令

道路交通法の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(決定)
(警察庁)

道路交通法施行令の一部を改正する政令(決定)
(同上)

自衛隊法施行令の一部を改正する政令(決定)
(防衛庁)

商品取引所法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(決定)
(経済産業・農林水産省)

商品取引所法施行令の一部を改正する政令(決定)
(同上)

特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(決定)
(経済産業省)

特定商取引に関する法律施行令及び割賦販売法施行令の一部を改正する政令(決定)
(同上)

港則法施行令の一部を改正する政令(決定)
(国土交通省)


◎人事


大臣)
 本日の閣議におきまして、文化審議会文化功労者選考分科会の委員の任命と国立大学法人茨城大学長の任命について御了解をいただきました。それから「第28回オリンピック競技大会の出席について」の御報告をさせていただきました。私はちょうど開会式と柔道の野村選手と谷選手が金メダルを獲得するところを見ることができまして、大いに感動いたしました。あれで、はずみがついたといわれておりますが、現時点のメダル数からしても、過去最高の数に達することは間違いない状況でございますし、金メダルもあと一個で東京オリンピックと並ぶということです。閣議後総理に、国民の皆さんが盛り上がってるので、さらにスポーツ振興にしっかり取り組んでいきたいということをお話いたしました。科学的なトレーニングを行うための国立スポーツ科学センターの研究の効果も非常に大きかったということで、基礎を大事にして科学的に研究をしてがんばればここまで競技力が向上するというお話をさせていただきました。
 閣僚懇談会においては、私から義務教育費国庫負担制度に関しての発言をさせていただきました。義務教育費国庫負担制度が、義務教育の機会均等・水準維持・無償制という憲法の要請を受けて、義務教育の根幹を支えてきた非常に大きな役割について説明をさせていただきました。そしてこれについては、いわゆる「三大臣合意」に基づき平成18年度末までに所要の検討を行うということになっておりますので、それを踏まえて教育論できちんと議論をする必要があるということも申し上げました。そして、この議論に関して東京都の石原知事が提案しているように、政府と知事会を含めた地方団体との協議の場を設ける必要があると考えており、その場に私も加えていただきたいということをお願いいたしました。義務教育の根幹を守るという重要な役割を果たしてきたこの制度を、今回、全国知事会議が提言されたように廃止の方向で検討するには、相当な議論をした上で考えていかなければならないし、この制度が果たしてきた役割を考えた時に、義務教育の在り方の議論なしに前に進むわけにはいかないということも申し上げました。官房長官は、今日、総理に正式に提言がされることになっているので、それを踏まえながら検討したいということでありました。私としては、全国知事会議において、この制度をめぐって教育論を戦わされたということは非常に意義のあることだと受け止めておりますが、しかし、その結論をみると、中学校だけ国庫負担制度を廃止して税源移譲をするという話になっている。義務教育は小中学校から成り立っておりますから、まず中学校だけというのは、どうも税源移譲の数字の3兆円に対して、中学校の部分の8,500億円がちょうど適当であるというような、そういう安易な数字合わせでこれが決められたというように思えてなりません。これは、ぜひ、そういうことではなくて、一般財源化することによりどういう問題が生じるのかというようなこともしっかり議論をしていただかなければならないと思っております。納税者、タックスペイアーに決めさせたらいいじゃないかという意見がありますが、まさにその必要もあると思います。財源が豊かなところとそうではない自治体によって、教育条件に格差がでるのではないかという国民の不安にどう応えるか。この制度が義務教育の機会均等・水準の維持を保障するものなのに、その保障を廃止しようとしているわけですから、それにきちんと応えるだけの考えが知事会側にあるのか。こういったことについて議論を戦わさなければいけないと思っております。私は一般討論会のような場で国民にわかりやすい形で義務教育の財政はいかにあるべきかという議論をしなければならないと思っております。東京都の石原知事は、こういったことにも非常に熱心でありまして、都知事から私に文部科学省の基本的な認識を求めたいという質問書がまいりました。それに対して署名入りの文書で回答をいたしましたところ、その回答書が知事会にコピーで出回ったそうでありまして、「文部科学大臣ごときの文書を出して権威付けするとは何だ」とか、「地方に任せると優秀な人材が確保できないおそれがあるとはけしからん。腹が立つ。」というようなことを言われた知事もあったそうです。どういわれようとかまいませんが、しかし、現実にそういった懸念があることも事実ですから、やはり、そういったことについてはきちんと議論をして、国民の皆さんに安心してもらえる形をとらなければいけない。全国津々浦々同じ条件で教育を受けられるといっているのに、その条件に格差がでる懸念がある以上は、私としては所管大臣としてそれを看過すわけにはいきません。国と地方の役割、それはしっかりと考えていきたい。総額裁量制も今年度導入されたばかりですので、十分ご理解いただいていない面もあるのかもしれません。しかし、この総額裁量制でもってさえしても、まだ国に伺いを立てなければでならない制度だとおっしゃる知事がいらっしゃる。こういう誤解をきちんと解きながら、義務教育の重要性について議論させていただきたい。先進国のほとんどが義務教育に対し国がきちんと責任を持って財源措置しているという事実もきちんと明らかにしていく必要があると思っております。先般、ある知事から、私は全国知事会議事務局の提案に賛成するけれども、この問題は総務大臣と財務大臣だけで決めるのではなく、教育の重要性から考えて文部科学大臣もその議論の中にきちんと加わって方向付けをしてくださいということを念を押されました。そのことを実は、今朝、総務大臣と財務大臣にお話ししましたら、それはそうだとおっしゃっていただきました。そのような場を、ぜひ設けてもらいたいと思っております。

記者)
 アテネオリンピックの件ですけれども、現在、金メダルを15個獲得しており、過去最多の東京五輪の16個まであと一つという状況ですが、まずこの数字についてのご感想と、メダルを獲得する競技が広がっていますが、今後の強化策についてのお考えをお聞かせください。

大臣)
 非常にうれしい成果でありまして、まずは選手の皆さんが、大変な努力をされてきた結果だと思っております。柔道の阿武教子選手は、いつも色紙に「努力は人を裏切らない」と書いているそうですが、まさにそういった結果だと思います。それと心と体のコンディションを最高の状態にもっていくことが、いかに大事かということを非常に感じました。それぞれ選手が含蓄のある感想を述べておられまして、国民に大きな夢と感動を与えてくれましたし、そうした先輩に続いて自分もオリンピック選手になって日の丸をあげようと思った少年少女たちがたくさんいたと思います。こういったことは、非常に意義があることだと思います。橋本聖子議員の聖子という名は、聖火にあやかったそうで、その夢を実現するために努力してオリンピック選手を目指し、それを実現させたたそうです。それと、それぞれの選手の郷里は大いに盛り上がり、一所懸命に応援していました。郷土愛というものが国を思う気持ち、国を愛する心につながっていく、これもまさにいい学習だと感じました。選手たちが郷里に帰ってきて、みんながそこでまた喜びを分かち合う、そういう効果も非常に大きい。JOC(日本オリンピック委員会)もうれしい悲鳴をあげておりまして、金メダルが二桁まで行くというのは夢のような話しぶりでした。金メダルをもう一個獲得すると東京オリンピックと同数になるということですので、この後もぜひがんばっていただけるとうれしいです。そういったことで、日本選手は大変な活躍をしておりますが、国立スポーツ科学センターにおける医・科学的なサポートによるトレーニングも顕著な効果を上げていると思います。北島選手をはじめとして、こういったことが非常に効果的であるということを示したと思います。これからの競技力強化の方向性を示唆していると思います。次の北京オリンピックに向けて相当な準備をして、さらにいい成績を上げられるようにがんばってもらいたいと思っております。

記者)
 今日の経済財政諮問会議に対する大臣の意気込みというか、所感をお聞かせください。

大臣)
 今日の経済財政諮問会議に出席をいたします。かねてから竹中経済財政政策担当大臣に、ぜひ、教育のそもそも論をきちんと説明させていただかないと、この問題に方向付けができないということを強く申し入れてきたわけであります。今日の経済財政諮問会議では、まず義務教育の基本的な考え方について私から述べさせていただき、その後議論が行われる予定と聞いております。三位一体改革、そして地方の自由度を高める地方分権は非常に大事なことだと思っております。私自身、地方議会の出身ですので、そういう思いを非常に強く持っておりますし、地方でやれることはできるだけ地方に移管すべきだと考えております。これが小泉内閣の改革の理念ですし、ましてや自治体の首長が東京まで来て中央省庁のお役所回りをしなくては、何一つ実現しないというのは本来おかしいことです。地方が自由にやれるのが本来の在り方だということは申し上げてきました。ただ、義務教育はどうあるべきで、国がどこまで責任を持つかという議論はきちんとしておかなければなりません。教育を進める上で、地方が自主財源を持つことはいいけども、財源が足りなくなったから教育については我慢をしてもらって切り捨てるということはあってはならないことですから、義務教育の財政的な保障は国が持つべきだと思います。制度上の保障の仕組みを完全になくしてしまうことが、国民、あるいは教育を進める上で本当にいいことなのかどうなのか。これはむしろ国民の方々にも問いたいと思います。廃止すべきであるといわれる知事の方々にも、そういった議論をきちんとしていただかなければならないと思います。私は義務教育の根幹は、国が責任を持つべきだと思っております。欧米諸国をみても、例えば、ドイツの連邦制度においては、地方分権をすすめたことによって、教育の地域格差、教育力の低下が生じ、国による教育投資をどうするかということを検討しています。また、教育について州にすべてを任せたアメリカ合衆国では、教育条件の地域格差がでているそうです。アメリカ合衆国は、州の財源として教育税のようなものがありますが、教育税の安い州に住んでいる住民の中の富裕な家庭では、子供を教育税が高く教育条件のよいところへいかせて教育を受けさせるといったことが起きているそうです。やはり教育を所管する大臣としては、そういったことを非常に心配してしまいます。義務教育費を使途を限定しない地方交付税に変えていくことが、本当にいいことなのかどうか。日本は特に、人づくりを国家百年の大計として、それを保障する制度を築き上げてきたのに、地方分権の名のもとに廃止すべきかどうか。教育の根幹を支えてきたこのような考え方と地方分権の整合性をどういうふうにとっていくのかをきちんと議論していかなければなりません。数合わせだけで決められる問題ではありませんから、このことはきちんと経済財政諮問会議で、基本的な考え方を申し上げたいと思っております。また、今日がそういった議論のスタートであって、これで議論はおしまいということでは困ります。「三大臣合意」というのがあるわけですから、18年度末までに三大臣でこの方向付けを、さらに検討していくべきです。三大臣だけではなく、経済財政諮問会議の議員の方たちとも引き続いて協議する場を設けていただきたい思います。そのことを今日の経済財政諮問会議の場で申し上げてきたいと思っております。

記者)
 閣僚懇談会での大臣の発言に対して、麻生総務大臣からは何か発言はありましたでしょうか。

大臣)
 麻生総務大臣は、閣僚懇談会の場では何もおっしゃいませんでしたが、懇談会後に教育論による議論は行うべきだとおっしゃっていただきました。それから、厚生労働大臣、農林水産大臣、国土交通大臣から、自分たちも同じように協議をする場が必要であると考えており、その協議に加わりたいという発言がありました。

記者)
 総理のほうからは、何か御発言はありましたでしょうか。

大臣)
 総理は特にありませんでした。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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