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平成16年5月7日大臣会見の概要

平成16年5月7日
9時57分〜10時13分
文部科学省記者会見室

一般案件
マレーシア国駐箚特命全権大使今井正に交付すべき信任状及び前任特命全権大使小西正樹の解任状につき認証を仰ぐことについて(決定)
(外務省)
◎国会提出案件
衆議院議員井上和雄(民主)提出厚生労働省等における監修料還流の実状に関する質問に対する答弁書について
(厚生労働省)
参議院議員畑野君枝(共)提出最低賃金額の引上げと最低賃金審議会委員の公正な任命等に関する質問に対する答弁書について
(同上)
公布(法律)
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律(決定)
商品取引所法の一部を改正する法律(決定)
特定商取引に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律(決定)
労働審判法(決定)
私立学校法の一部を改正する法律(決定)

◎政令
都市再生緊急整備地域を定める政令の一部を改正する政令(決定)
(都市再生本部)
人事

配付
労働力調査報告
(総務省)
消費者物価指数
(同上)
家計調査報告
(同上)

大臣)
 本日の閣議では、当省関係の案件等はございませんでしたが、私からAPEC(エイペック)第3回教育大臣会合への出席についての報告をいたしました。29日から30日の二日間、チリのサンチャゴで「来るべき時代に求められる能力」をメインテーマに各加盟国・地域の取組や課題と展望、今後の行動計画について活発な意見交換がございました。日本における理数科教育の取組について、田中耕一さんの話なども例に出しながら説明を行いました。また、我が国の英語教育や情報通信技術を活用した教育、教育制度改革についても議論しましたが、特に日本の国立大学の法人化の報告に非常に関心を持っていました。日本の英語教育について、総合的な学習の時間などで約半分の小学校が何らかの形で英語教育に取り組んでいるという実態を説明いたしましたが、韓国、中国をはじめ大部分の国が、すでに小学校段階で英語教育を導入しております。韓国、中国では小学校三年から英語教育に取り組んでおり、特に韓国は公共放送も活用しているようで、担当大臣の説明によると、小学校段階から英語教育を行うと非常に教育効果があり、例えば、外国人に対してしり込みしていた子どもたちが、積極的に接するようになったという報告もございました。日本としては大いに研究をする必要がある課題だと思います。共同声明も採択いたしました。APEC(エイペック)教育大臣会合は、これまで5年に一度の開催でしたが、各国の教育改革が急速に進んでいることから2年に1回開催したらどうだという提案もございまして検討することとなりました。各国とも教育の重要性について認識しており、日本の教育に対する関心も非常に高いということを大いに感じて帰ってきたところです。また、チリのインスルサ副大統領とお会いし、日本も参加している天文観測事業であるアルマ計画について話をいたしました。それから、今回のAPEC(エイペック)教育大臣会合の議長をされたビタル教育大臣とは、日本とチリの教育に関する二国間協力の件や日本の国際協力機構(JICA)(ジャイカ)とチリの国際協力庁(AGCI)が協同して行う第三国への支援を、今後は教育分野でも進めていこうという話もございました。それから、サンチャゴにある日本人学校を訪問しました。小中学生併せて49名の少人数の学校ですが、皆さん大変明るく元気で礼儀正しくきちんとしておりました。日本から派遣されている先生も非常に熱心に指導されており、少人数できめ細かな指導を受けることができて、ある意味で非常に恵まれた環境だと思いました。

記者)
 先日、指導力不足教員の人事管理に関する調査結果が公表され、481人が指導力不足と認定されておりますが、学校教育の信頼という観点からも非常に重要な問題かと思いますけれども、大臣の見解と今後の対応についてお願いいたします。

大臣)
 指導力不足と認定された教員は、平成14年度には289人であったのが、15年度は481人と非常に増加してきております。これは指導力不足の教員に対する人事管理の仕組みがきちんと運用され始めたということです。指導力不足の教員をきちんと調査して指導や研修を行い、現場復帰するのにふさわしくない教員は教育現場から去ってもらうという人事管理システムについて、47都道府県と13政令指定都市の教育委員会計60を対象に運用状況を調査したところ、平成15年の4月1日までに23の教育委員会が実施済みで、今年の4月1日までにさらに29の教育委員会が実施しております。人事管理システムは構築はしているが、実際の認定を今後実施するという教育委員会が8となっております。52の教育委員会でこの人事管理システムが動き出したことによって、指導力不足の教員数が増加したのだと思います。12年度から15年度までの4年間での指導力不足教員の認定者総数は、のべ984人となっており、うち約4分の1の248人が現場復帰し、転任が3人、退職が204人、分限処分による免職が8人、降任が2人、休職が31人となっております。今後の課題として、私から特に指示をしたのは、教員としての適性をきちんと把握する採用のシステムが実施されているかどうかということでございます。特に指導力不足の教員の比率の高い都道府県や市の採用システムに問題がないか、もう一度足元を見つめ直す必要があるのではないかなと思っております。少人数教育や習熟度別教育など少しでも先生を増やしたいという要請がある中で、指導力不足の教員の存在は大問題です。今後は、指導力不足が改善されない教員は現場から去っていただいて、フレッシュで力のある先生に現場に入っていただくことを考えなければならないと思います。全体で481人ですから、全国に散らばれば比較的少ないと感じる数字かもしれませんが、481人もの優秀な先生がいたら何ができるかということを考えると、大変な教育的損失です。採用、あるいは養成段階からきちんと対応できるような仕組みにする必要があると思っております。

記者)
 東京慈恵医科大学の補助金の不正経理問題ですが、本来なら返還すべき補助金を不正に流用していたということで、大学では返還等を申し出ているようですけれども、これに対する見解と対応についてお願いします。

大臣)
 補助金が国民の税金だという意識がいかに希薄かということで極めて遺憾なことだと思っております。これまでも科学研究費補助金でこのような不正経理がおきておりまして、補助対象からはずすという厳しい対応をしております。これも同じようなケースではないかと思います。今回は私学助成の特別補助ですが、慈恵医科大学の場合は以前にも同様の不正があったと聞いております。大学は、確かにそれなりの立派な成果をあげて評価を受けていることは承知しておりますが、このような不正が何度も行われるということは、管理運営体制に非常に問題があるということであり、こういう大学はしばらく補助金の対象からはずすくらいの厳しい措置が必要ではないかと思っています。事実関係を明確にして、厳正に対処したいと思います。

記者)
 東北文化学園大学に担当官が調査に行ってその報告があったと思いますが、現在の調査状況をお聞かせください。

大臣)
 4月27日に担当官6名を現地調査に派遣しました。その結果、関係者から事情を直接聴取をして、会計書類に関する二重帳簿の現物の確認をしております。それから設置認可申請書類に記載された寄付について、明らかに虚偽であるものが含まれることが確認できたということです。寄付をしたとされる本人や前理事長、監査法人、学校法人関係者に直接あたっております。大学の設置認可に関わる極めて重要な問題でありますので、引き続き徹底した調査を行い、その結果を踏まえて厳正に対処せざるを得ないと思っております。

記者)
 オウム真理教の三女の入学の件についてどのようにお考えでしょうか。

大臣)
 大学が入学を結局認めたということですが、大学側は他の学生への影響などいろいろと考えられたと思います。個人の学ぶ権利は大事にしてあげなければいけないものであり、そういう意味で裁判所も判断されたと思います。いろいろな影響はあると思いますが、裁判所もそう判断したわけでありますし、それを受けて、大学が対応されたことを尊重したいと思います。

(了)


(大臣官房総務課広報室)

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