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「イノベーション創出を支える情報基盤強化のための新技術開発」採択課題

課題名

課題概要

研究代表者

高機能高可用性情報ストレージ基盤技術の開発

 東日本大震災では多数の情報サーバが流失して、住基情報や医療情報が喪失し、既存ストレージシステムの災害に対する脆弱性が明らかとなった。これは、従来の可用化が拠点内の多重化(例えばRAID技術)によることが多く、津波や火災等による拠点自体の損壊あるいは長期間の電源喪失を想定していなかったためである。耐災害性を改善するためには、複数の拠点に地理的に分散して情報を保存するシステム構成を有すること、残存情報の再構成によって迅速にシステムを復旧できることが必要である。
 本研究開発の目的は次のとおりである。
・ストレージの分散化による情報の可用性の改善のために拠点の災害リスクを定量的に計算し、適応的に情報喪失を最小化できる新規な高可用性ストレージを開発することで、災害時の半数の機器が損壊した場合でも残存機器内の情報から90%超の情報を迅速に回復できる、しなやかなストレージ基盤技術を構築すること。
・平時には、同時並列化したデータ転送による高速・高機能性を実現し、高細精度映像のような昨今のストレージ系に求められる高速・大容量性を達成すること。
・垂直磁気記録の実績を踏まえてディスク線密度を向上させるとともに複数トラックの並列読み書きによりストレージ機器自体を高速・高密度化して次世代ハードディスク基盤技術として展開する。同時に、ストレージ機器間の通信経路をソフトウェアで適応的に制御する技術を用いて並列・高速化を達成すること。
・低消費電力化は災害下での電源確保の点からも引き続き必須の技術項目であるため、階層ストレージ技術による消費電力低減や負荷分散による高速化等の実績を活用して、50%の低減を実現すること。
・モバイル系からクラウド基盤系までの情報を系統的にアクセス可能なプログラム機能を開発しビッグデータ等広範な情報価値の利活用に供する情報基盤を構築すること。
 以上の開発技術の有効性を確認するため、学内複数拠点間で構成される高可用情報ストレージシステムをベースにして仙台市内における投薬情報(電子「お薬手帳」)を例示とする実証試験を実施する。また、モバイル機器を端末にし、拠点間冗長化ストレージと遠隔クラウド連携環境のハイブリッドクラウド環境下での耐災害性情報ディペンダビリティを実証する。

村岡 裕明(東北大学 教授)

課題名

課題概要

研究代表者

耐災害性に優れた安心・安全社会のためのスピントロニクス材料・デバイス基盤技術の研究開発

 現代社会を支えているコンピュータシステムは、演算をつかさどるマイクロプロセッサ、高速動作のワーキングメモリ(WM)、低速ながら不揮発性のストレージデバイスと階層化されている。現在のWMは揮発性のため、大きな待機電力を消費するとともに災害時に電源供給が途絶すると処理中のデータが消失してしまい、迅速な復帰に大きな障害となる。また、従来のWMの高性能化は素子の微細化と低電圧化により実現されてきたが、今後必要となる20nm以下の寸法では技術的道筋が見えていない。さらに、微細素子では放射線等によるソフトエラー対策、すなわち耐環境性も必要となる。すなわち、不揮発性機能を有する耐災害性に優れたコンピュータシステムの構築には、耐環境性を有し高速でかつ消費電力を削減できる不揮発な微細WM素子の開発が必須となる。
 そこで、本研究開発では不揮発性WMを有するコンピュータシステムを実現するために、20nm以下の微細な高速、大容量かつ耐環境性に優れた不揮発性スピントロニクス・メモリ素子の材料・素子技術をWMの各階層の素子ごとに開発するとともに、そのコンピュータシステムへの適用法をシミュレーションで明らかにする。
スピントロニクス・メモリ素子は、情報記憶に磁化を用いており耐放射線性能(ソフトエラー)に優れ、スケーリングが進んだ微細素子における耐環境性を実現できる。また、開発された不揮発性WMを用いると、システム全体の消費電力が削減され、停電時のバックアップ電源によるシステムの長時間維持とデータ処理能力の向上が実現する。さらに、処理情報や処理動作のためのデータを不揮発WMに保持していることから、停電復帰時のデータ再ロードを不要とするシステムの構築が可能となる。
 すなわち、本研究開発における不揮発性WMとその適用法の開発により、耐災害性に優れたコンピュータシステムを実現するための基盤技術が構築され、情報通信基盤における耐災害性の強化を図ることができる。これらの技術は、東日本大震災において被災した地域はもとより、世界的な貢献ができるものである。
 本研究開発は、東日本大震災で被災した東北大学や地元企業を含むチームで遂行する。このチームは本研究開発を成功裏に実施する能力と十分な実績を備えており、本研究を実施することで被災地域におけるこの分野の国際的研究開発力及び産業力の底上げ・増強が図られる。

 

大野 英男(東北大学 教授)

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研究振興局情報課

-- 登録:平成24年12月 --