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科学技術振興機構(JST)研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)「放射線計測領域」実用化タイプ(中期開発型)および革新技術タイプ(要素技術型・機器開発型)における平成24年度新規開発課題の決定について

平成24年5月10日

独立行政法人科学技術振興機構(JST)が研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)の「放射線計測領域」実用化タイプ(中期開発型)および革新技術タイプ(要素技術型・機器開発型)における平成24年度新規開発課題を決定しましたのでご報告いたします。  

1.放射線計測領域について

先端計測分析技術・機器開発プログラムでは、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴う放射性物質の影響から復興と再生を遂げるため、行政ニーズ、被災地ニーズなどを踏まえ、平成24年度の重点開発領域として「放射線計測領域」を新たに設定しました。本領域は、食品・土壌などに含まれる放射線量および放射能濃度の迅速かつ高精度・高感度な把握などを可能とする計測分析技術・機器およびシステムを、産と学・官が参画したチーム編成により開発していただくものです。

2.決定までの経緯について

平成24年
2月24日(金曜日) 公募受付開始
3月21日(水曜日) 公募受付締切・書類審査開始
4月23日(月曜日) 面接審査・採択候補課題決定(実用化タイプ(中期開発型))
4月24日(火曜日) 面接審査・採択候補課題決定(革新技術タイプ(要素技術型・機器開発型))
5月 開発開始
※実用化タイプ(短期開発型)については既に6件の採択を決定しております。(4月6日プレス発表 研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)「放射線計測領域」実用化タイプ(短期開発型)における平成24年度新規開発課題の決定について (※科学技術振興機構ウェブサイトへリンク)

3.新規開発課題について

応募のあった40件について、外部有識者より構成される先端計測分析技術・機器開発推進委員会(放射線計測領域分科会)において審査を実施し、8件の新規開発課題を決定いたしました。 

(1)食品中の放射性物質の測定に関する開発課題:2件

 

開発課題名

チームリーダー
氏名・
所属機関・
役職

サブリーダー
氏名・
所属機関・
役職

その他
参画機関

開発概要

類型

1

食品放射能
検査システム

実用化開発

山田 宏治
富士電機
株式会社
原子力・
放射線事業部
放射線
システム
統括部
営業技術部
次長

鈴木 敏和
独立行政法人
放射線医学
総合研究所
緊急被ばく
医療研究センター
被ばく線量評価部
室長

京都大学

一般食品中に含まれる放射性セシウム濃度を非破壊で(梱包状態のまま)、高スループットでスクリーニングできるシステムを開発します。一般食品以外の飲料水、牛乳等については、既存のゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーに変わるスクリーニング技術の性能検証を行ないます。一般食品の開発目標は、測定下限値25 Bq/kg以下、スクリーニングレベル(50 Bq/kg)で基準値100 Bq/kg未満の判定精度を99.9%とできるものとします。処理能力としては、米30 kg袋の場合250袋/時間、一般食品の場合100箱/時間を目標とします。本装置の実用化により、福島県等での米全量・全袋測定に利用が想定される他、 肉、野菜、魚等の検査システムとしても活用されることが期待されます。

実用化タイプ
(中期開発型)

2

放射能
環境
標準物質の
開発

藥袋 佳孝
武蔵大学
人文学部
教授

岩本 浩
環境テクノス
株式会社
企画開発部
取締役 部長

埼玉大学
独立行政法人
産業技術
総合研究所
財団法人
日本分析センター
公益社団法人
日本アイソトープ協会
公益社団法人
日本国際問題研究所
公益社団法人
日本分析化学会

標準物質は放射線計測の信頼性確保に用いられるための必須の要素技術ですが、身近な農作物の放射線計測に用いることのできる標準物質が十分開発・供給されていないのが現状です。本開発では緊急の分析ニーズの高い玄米・茶葉・乾燥しいたけについて放射能標準物質の生産技術を確立します。特に緊急性の高い米については、平成24年の収穫期に間に合うよう標準物質を開発します。本開発により、環境放射能分析の信頼性向上、国際標準化、トレーサビリティの確立など、国際的にも重要な貢献が期待されます。

革新技術タイプ
(要素技術型)

(2)土壌などの放射線モニタリングに関する開発課題:4件

 

開発課題名

チームリーダー
氏名・
所属機関・
役職

サブリーダー
氏名・
所属機関・
役職

その他
参画機関

開発概要

類型

1

無人ヘリ搭載用
散乱エネルギー
認識型
高位置分解能
ガンマカメラの
実用化開発

薄 善行
古河機械金属
株式会社
素材総合研究所
副所長

高橋 浩之
東京大学大学院
工学系研究科
教授

東北大学
独立行政法人
日本原子力
研究開発機構

無人ヘリに搭載可能な小型・軽量(装置総重量10kg以下)・高分解能(位置分解能1m2)のエネルギー補正型ガンマカメラを実用化開発します。本装置を無人ヘリに搭載し、10~20m の上空を水平飛行しながら20x20m2あたりの放射線量マップを1分以内に計測可能とすることを目指します。本装置は、既存の農薬散布用無人ヘリへの搭載や地上での利用も可能なため、放射性セシウムの広範囲な挙動観測を実現し、土壌や樹木、構造物を含む地表面での放射性セシウムの経時的な位置・濃度変動や除染前後の線量を低コスト、高速かつ高精度に行うことが可能となります。

実用化タイプ
(中期開発型)

2

高感度広視野
ガンマ線
画像分析装置
の実用化開発

坂東 直人
株式会社
堀場製作所
開発本部先行
開発センター
放射線・企画
担当部長

谷森 達
京都大学
大学院理学
研究科
教授

キヤノン
株式会社

宇宙・医療分野で用いられているカメラ技術を応用することにより、地面や植物に含まれたり、建築物等の表面に沈着した放射性セシウムおよび多様な放射性物質の放射能濃度や分布状況を、広域(画像視野角:100度)かつ高精度(検出感度:0.05μSv/h、角度分解能:6度)に画像で把握できるガンマ線カメラ装置を実用化開発します。本装置は軽量性を有しており(15kg以下)、様々な場所においてホットスポットの探査のみならず、バックグラウンドレベル程度の低レベル放射能濃度や分布を画像化することができます。これにより、復旧復興に大きく貢献するものと期待されます。

実用化タイプ
(中期開発型)

3

革新的超広角
高感度
ガンマ線
可視化装置の
開発

高橋 忠幸
独立行政法人
宇宙航空
研究開発機構
宇宙科学
研究所
教授

黒田 能克
三菱重工業
株式会社
航空宇宙
事業本部
誘導・エンジン
事業部
電子システム
技術部
主席技師

名古屋大学

独自の次世代技術「Si/CdTe半導体コンプトンカメラ」を発展させ、180度の視野を持つ超広角撮像、高精度カラー、核種分離を特徴とする可搬型ガンマ線可視化装置の実現を目指します。この装置により、1~5 μSv/h 程度の環境下で、環境バックグランドの数倍の強度のホットスポットを10分以内で検出でき、屋根などの高所に集積する放射性物質も画像化することが可能となります。また、装置の軽量化(5~10kg程度以下)により、山林や家屋の裏など、車ではアクセスが難しい環境にも導入が可能です。高線量環境(数10 μSv/h)にも対応し、警戒区域での除染作業の効率化や除染作業後の評価等にも活用が期待されます。 

革新技術タイプ
(機器開発型)

4

高線量率環境
に対応する
線量測定方法
の実用化開発

山本 幸佳
株式会社
千代田テクノル
大洗研究所
所長   

飯田 敏行
大阪大学
大学院
工学研究科
教授

金沢工業大学

高線量率および高汚染エリアの復旧作業のために、蛍光ガラス線量計の技術を応用した新しい環境線量測定方法を実用化開発します。本技術では、放射線量に応じて蛍光を発するガラス素子をビーズ化し、道路や壁、水路・トレンチ等に散布・塗布し、紫外線ランプ照射により高線量箇所を可視化することができます。本ガラス素子は1mGy~100Gyの範囲を高温環境下(約300℃)で測定することができ、原発内やその周辺の除染・瓦礫撤去作業に用いることができます。ビーズ化以外の素子の利用方法についても検討し、復旧作業で有用となる技術を開発・実用化します。

実用化タイプ
(中期開発型)

(3)その他開発課題:2件

 

開発課題名

チームリーダー
氏名・
所属機関・
役職

サブリーダー
氏名・
所属機関・
役職

その他
参画機関

開発概要

類型

1

放射性物質の
高分解能
3次元・直接
イメージング
技術の開発

坂本 哲夫
工学院大学
工学部
教授

奥村 丈夫
株式会社
日本中性子
光学
取締役

株式会社
阿藤工務店

「単一微粒子3次元元素分布分析装置」を応用・発展させることにより、細胞・物質レベルでの解明がされていない放射性物質の蓄積状況・態様を明らかにする技術を開発します。この技術により、137Csなど放射性同位元素を含む全元素・同位体の検出が可能となり、魚類・肉類・農作物等の細胞内部、土壌粒子、廃棄物の焼却灰粒子にセシウムが付着している像を1粒子10~20分、最高40nmの分解能でイメージングできます。特に、土壌中の雲母や植物体のケイ酸成分(植物石)にセシウムが取り込まれるという基礎データに基づき、これらの実証と除染対策への応用につなげます。被災現地における汚染材料の収集と先端分析機器の開発を密設に連携させ、震災からの復興を加速することが期待されます。

革新技術タイプ
(要素技術型)

2

耐放射線性
を有する
アクティブ駆動
HEEDの開発

渡辺 温
パイオニア
株式会社
研究開発部
第一研究室
研究3課課長

持木 幸一
東京都市大学
工学部
教授

パイオニア
マイクロ
テクノロジー
株式会社

本開発チーム独自の冷却陰アレイであるHEED(High-efficiency Electron Emission Device)を応用し、耐放射線性に優れた監視カメラ用の撮像素子(アクティブ駆動HEED)を開発します。この耐放射線性に優れた撮像素子は、低電圧(約20V)で駆動するため、消費電力が少なく、作業ロボット等に実装することができます。事故の起きた福島第一原発内のような高放射線領域においても長時間鮮明な画像を得ることができるので(福島第一原発内と同程度の10Gy/hの環境下で1,000時間程度)、震災からの復興を加速することが期待されます。

革新技術タイプ
(要素技術型)

4.今後の予定

採択課題については、5月より開発を開始し、放射線計測に関して、行政ニーズ、被災地ニーズなどの高い高度な技術・機器およびシステムの開発を行います。

5.参考

研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)「放射線計測領域」実用化タイプ(中期開発型)および革新技術タイプ(要素技術型・機器開発型)における平成24年度新規開発課題の決定について(※科学技術振興機構ウェブサイトへリンク)

先端計測分析技術・機器開発推進委員会(放射線計測領域分科会)委員名簿
 

お問合せ先

独立行政法人科学技術振興機構 産学基礎基盤推進部 先端計測室

久保、加藤
電話番号:03-3512-3529
ファクシミリ番号:03-5214-8496
メールアドレス:sentan@jst.go.jp