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資料5

2004年9月1日
平成16年度国際教育推進検討会資料

横浜市における国際教育に関する取組について

  地域の概要及び特色
   横浜市は、神奈川県の東端に位置し、東は東京湾、北は川崎市、西は大和市・藤沢市、南は鎌倉市・横須賀市に隣接し、日本最大の国際港湾である横浜港を抱える人口3,551,230人の国際文化都市である。そのため外国人居住者も多く、平成16年度7月末現在の外国人登録者数は67,791人で年々増加し、この数は横浜市の人口の1.9パーセントに当たる。18行政区の中でも、中区が全市の21.0パーセントを占めて最も多く、鶴見区(11.7パーセント)、南区(9.6パーセント)と続いている。国籍別に見ると中国が23,004人と最も多く、韓国・朝鮮が15,901人、フィリピンが6,997人と続いている。

 平成16年度の小・中学校児童生徒数は255,594人(平成16年5月1日現在)で、そのうち外国人児童生徒数は2,172人であり、その中で日本語指導の必要な児童生徒数は621人である。また、外国人児童生徒の出身国は約50カ国に及んでいる。国籍別に見ると中国(744人)、韓国・朝鮮(563人)、中南米(ブラジル、ペルー等317人)、フィリピン(224人)、インドシナ(ベトナム、カンボジア等191人)が多い。
 中南米出身の児童生徒は、工場の多い鶴見区に集中しており、また、戦後、沖縄からブラジルに移民した日本人の2世や3世である日系人が多く在住している。中国人児童生徒は、帰国者とその家族や親族、出稼ぎ者の子どもであるケースが多い。中華街がある関係で、中区及びその周辺地域に多く在住しているが、近年は在住地域が分散化する傾向がある。
 泉区の上飯田地区には、以前難民受入センターが近くにあったこともあり、地域内にある県営団地にベトナム、カンボジア出身者が多く、市内のベトナム、カンボジア出身の児童生徒のほとんどがこの上飯田地区に集中している状況である。また、最近は中国残留孤児やその子・孫や、中南米出身の外国人もこの団地に多く在住しており、外国人児童生徒の数の多さだけでなく、その出身国が多様なこともあり、地域内の小・中学校は、様々な課題を抱えている。そのため、地域の小・中学校が連携して、積極的に外国人児童生徒の受入や教育活動について協同で研究を実施している。

 近年、外国人児童生徒が在籍する学校は全市域にわたって広がっており、学校が速やか円滑に受入れするための支援システムの一層の構築が本市の課題である。また、学校の課題も、単に言語対応だけの部分から、児童生徒指導上の問題や心理的カウンセリングの領域にまで広がってきている。

  帰国・外国人児童生徒の実態
   外国人児童生徒については、日本で生まれ育った児童生徒もいれば、両親の仕事の関係や親族を頼って突然来日する児童生徒など、その背景に様々な問題をかかえて来日するケースもあり実態も様々である。学校生活へは、はじめは文化習慣などの違いや言葉の壁等戸惑うことも多いようだが、友達や担任のかかわりや学校全体の受入体制などで少しずつ適応が図れてきている。日本語能力については、全く日本語の話せない児童生徒でも、横浜市日本語教室での日本語指導や学校生活の中で、生活言語はほぼ1年程度で身に付いていくが、学習言語の獲得については課題が多い。JSLカリキュラムや母語を活用した学習支援など学習言語の獲得に向けた取組も実践を通して試行している。
 帰国児童生徒については、ここ数年減少傾向にある。青葉区は、平成11年、12年と文部省の帰国子女受入推進地域の指定を受けて研究を進めてきた経過があり、現在でも、帰国児童生徒の数が多い。帰国児童生徒の中には、海外での生活が長期にわたり現地校に通っていたため、日本語があまり身に付いていなかったり、現地での生活習慣や考え方の違いで学校生活に適応するのに時間がかかったりする児童生徒も見られる。保護者の帰国後の学校生活への心配や不安も大きく、学校と家庭が互いに理解、連携し合って帰国児童生徒の指導に当たることが大切である。各学校においては、帰国児童生徒の適応だけでなく、受け入れる側の体制づくりや学級づくりが重要な課題となっている。

  本市の国際教育に係わる施策
     
   
広い視野に立った国際性豊かな児童生徒の育成
他との豊かなかかわり合いを通して、自己と自国の文化を深く見つめるとともに、互いの違いを尊重し合い、共に生きていく態度の育成
相手の立場を尊重しつつ、自分の考えや意思を表現できるコミュニケーション能力の育成
国際平和に対する関心を高め、自分のできることから実践しようとする態度の育成
帰国児童生徒及び外国人児童生徒の指導の充実
     
   
国際理解教育
     
   
(1) 小学校国際理解教室
 小学校全校(354校)に外国人講師を派遣し、英語を通して、異文化を体験的に学び、児童の国際性の育成を図る。
 「英語に親しむ」「異文化に触れる」「コミュニケーションを楽しむ」
 外国人講師の国の子どもレベルの生活、習慣、文化等の紹介
 外国人講師98人(40ヵ国及び地域) 年間1クラス5回程度

(2) 英語指導助手派遣事業
 AET(英語指導助手)を市立の中学校、高等学校、盲・ろう・養護学校、私立学校計168校に派遣し、日本人英語教師とのティームティーチングによって、コミュニケーション能力の育成を図る。

(3) よこはま子ども国際平和プログラム
 国際平和の重要性に対する意識を高め、国際平和のために自分たちができることを実践しようとする態度を育成する。
よこはま子ども国際平和スピーチコンテスト
よこはま子どもピースメッセンジャー国際連合等派遣
よこはま子ども国際平和募金(ユニセフ募金)

(4) 高等教育国際化推進事業
 バンクーバー、サンディアゴからインターンシップの学生の受入
     
   
英語教育推進事業
     
   
(1) 地域人材を活用した英語活動推進校(小学校23校)
 豊富な海外生活体験のある方や留学生、大学生など英語が堪能な地域の人材をボランティアとして活用し、小中学校で子どもが英語にふれる機会を充実させる。

(2) 中学校英語教育推進校(中学校18校AET常駐)
 英語の実践的コミュニケーション能力を効果的に養う指導法等を研究するともに、英語指導助手を有効に活用することで生徒の英語力や英語への意欲が高まることを検証するために設置

(3) 英語教育推進校区(2中学校区)
 小・中学校の連携による英語教育の充実を図るため、地域や児童・生徒の実態を踏まえ、各発達段階に応じた小・中学校の接続を図った英語教育を実施する
     
   
帰国外国人児童生徒教育
     
   
(1) 横浜市日本語教室
 横浜市立の小・中学校に在籍している帰国及び外国人児童生徒等のうち、日本語の初期指導が必要な児童生徒に対して一定期間、基礎的な日本語指導を行うために開設。
 市内4カ所に集中教室(鶴見区、中区、戸塚区、泉区)を設置し、遠距離等の理由で日本語教室に通級できない児童生徒が2名以上在籍する学校には日本語講師を派遣する。

 
 日本語教室入級児童生徒数   165名(平成16年7月末日)
(集中教室64名、派遣指導101名)
 日本語講師数   23名(8カ国語に対応)

(2) 国際教室担当教員配置校
 海外から日本に編入した外国人児童生徒の学校教育への適応を促進するとともに、外国人児童生徒一人ひとりの個性の維持伸長を図るために、日本語指の必要な外国人児童生徒が一校に5名以上在籍すると1名、20名以上在籍すると2名の専任教員が加配される。担当教員は、外国人児童生徒の日本語指導や教科指導、生活適応指導など、取り出しや入り込み等の形態を工夫し、週20時間以上外国人児童生徒の指導に当たる。
 
 国際教室設置校 48校  
小学校32校(2人加配6校)
中学校16校(2人加配3校)
 国際教室担当者会開催(年間6回程度)・・・日本語指導や教科指導などの研修会や国際教室の授業参観、また担当者の抱える課題や悩みなどの解決に向けての情報交換の場としている。
 
(3) 学校用語・通知文対訳集(8カ国語)の発行
 外国人児童生徒等の適応のために必要な学校用語や学校から家庭への通知文等の翻訳

(4) 「きょうからはまっ子」(7カ国語)の発行
 外国人児童生徒保護者を対象とした横浜の学校制度についてのガイドブック

(5) 「横浜市帰国児童生徒教育教育ガイド」の発行
     
    ※ 母語を用いた帰国・外国人児童生徒等教育支援に関する調査研究事業(文科省事業平成16年〜)
     
   
調査研究テーマ:外国人生徒の母語を生かした学習支援に関する調査研究
     
     日本語を母語としない生徒が、学校で自らの母語を生かした学習支援を受けることにより、授業・学習に参加できるようにするとともに、外国人生徒の精神的安定、アイデンティティの保持や個性の伸長を図る。
     
    ※ 学校の余裕教室等を活用した親子参加型の日本語教室の開設事業(文化庁事業平成14年〜)
     
     上飯田地区親子の日本語教室(いちょう小学校、飯田北小学校、かながわ難民定住援助協会)




平成16年度国際理解教育事業概要

1国際理解教育 小学校国際理解教室【昭和62年〜】
(小354校に非常勤の外国人講師を派遣し,国際理解教育を実施)
英語指導助手派遣事業【昭和62年〜】
(中145校,高13校,盲・ろう・養4校,私立5校に外国青年を英語指導助手として派遣:JETプログラムYAETプログラム4人、民間委託52人)
よこはま子ども国際平和プログラム【平成9年〜】
(国際平和スピーチコンテスト,ピースメッセンジャー国連派遣,国際平和募金)
※上記事業は国際平和フェスティバル【昭和61年〜平成8年】を継承
高等教育国際化推進事業【昭和62年】
(インターンシップ:サンディエゴ,バンクーバーの大学生等の受入れ)
2英語教育推進事業 地域人材を活用した英語活動推進校(小学校23校)
中学校英語教育推進校(中学校18校)
英語教育推進校区(2中学校区)
3帰国・外国人児童生徒教育 国際教室担当教員配置校【平成4年〜】
(日本語指導を必要とする外国人児童生徒が多く在籍)(平成16年:小32校,中16校)
日本語教室【昭和56年〜】
(豊岡小,本町小,川上北小,いちょう小の4集中教室での通級指導及び派遣指導)
日本語講師の派遣による特別指導【昭和62年〜】
(個人面談などに各学校の要請により派遣)
一時帰国・外国人児童生徒体験入学
(学校長の判断で受け入れる)
国際理解教育関係校報告集「世界にひらく心」発行
(国際教室担当教員配置校、帰国生徒特別募集校、在県外国人募集校)
各種ガイドブック等発行
  学校用語・通知文対訳集発行【平成14年】8カ国語
(英語,中国語,ハングル,スペイン語,ポルトガル語,タガロク語、ベトナム語,カボジア語)
  「横浜市帰国児童生徒教育ガイド」発行【昭和56年〜】
  「横浜市海外帰国・外国人児童生徒教育の手引き」発行【平成4年】
  「きょうからはまっ子」発行【平成12年】7カ国語
(英語、中国語,ポルトガル語,ハングル,タガロク語,スペイン語,ベトナム語)
※母語を用いた帰国・外国人児童生徒支援に関する調査研究【平成16年〜文科省新規事業】
※学校の余裕教室等を活用した親子参加型日本語教室の開設事業【平成14年〜文化庁事業】
 ☆上飯田地区親子の日本語教室
4その他 国際学生会館の管理運営【平成6年〜】
米加大学連合日本研究センター支援【昭和62年〜】


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