スポーツ立国戦略 5つの重点戦略の目標と主な施策 2.世界で競い合うトップアスリートの育成・強化

5つの重点戦略の目標と主な施策 2.世界で競い合うトップアスリートの育成・強化

【目標】

○世界の強豪国に伍する競技力向上を図るため、ジュニア期からトップレベルに至る体系的な強化体制を構築する。

○今後の夏季・冬季オリンピック競技大会について、それぞれ過去最多(夏季37(アテネ)、冬季10(長野))を超えるメダル数の獲得を目指す。また、オリンピック競技大会及び各世界選手権大会において、過去最多(オリンピック競技大会では、夏季52(北京)、冬季25(ソルトレークシティー))を超える入賞者数を目指す。さらに、将来を見据えた中・長期的な強化・育成戦略を推進する観点から、各ジュニア選手権大会のメダル獲得数の大幅増を目指す。

○トップアスリートがジュニア期から引退後まで安心して競技に専念することができる環境を整備する。

○国際競技大会等を積極的に招致・開催し、競技力向上を含めたスポーツの振興、地域の活性化等を図る。

 

(1)トップアスリート・指導者等の多様な活躍の支援

1)ジュニア期からトップレベルに至る戦略的支援の強化

 今後の夏季・冬季オリンピック競技大会等を目指して、a)スポーツ医・科学サポート、競技用具の開発等による多方面からの高度な支援(マルチ・サポート)の戦略的な実施、b)ナショナルコーチ等の配置、c)各都道府県や競技団体による才能あるジュニアアスリートの発掘(タレント発掘)をはじめとする競技者育成プログラムに基づく一貫指導体制の促進等により、ジュニア期からの中・長期的な強化・育成戦略の実施を推進する。
 国民体育大会については、ジュニアアスリートからトップアスリートまで、国際レベルを目指すアスリートが競う国内トップレベルの総合競技大会として、将来性豊かなアスリートの発掘・育成の場となるよう充実する。

2)トップアスリート・指導者・審判員等の海外研さん支援の充実

 国際スポーツ界における我が国の貢献度や存在感を高めるため、トップアスリート、指導者の海外研さんに対する支援を充実するとともに、国際競技大会や国際競技連盟での活躍が期待される審判員、医師、専門スタッフ等についても海外研さんの機会を設ける。

 

(2)トップアスリートのための強化・研究活動等の拠点構築

1)大学を活用した分散型強化・研究活動拠点ネットワークの構築

 高度な練習施設や研究活動を通じてトップアスリートの競技力向上に貢献している大学を「分散型強化・研究活動拠点」と位置づけ、ナショナルトレーニングセンター、国立スポーツ科学センター(JISS:Japan Institute of Sports Sciences)、中央競技団体(NF:National Sports Federation)等とのネットワーク化を図ることなどにより、国全体として戦略的にトップアスリートのための強化・研究活動を行う体制を構築する。
 また、競技力向上の取組のみならず、大学による総合型クラブの運営や地元のジュニア育成活動などの地域貢献活動も支援する。

2)国立スポーツ科学センター(JISS)の機能強化

 独立行政法人日本スポーツ振興センター(NAASH:National Agency for the Advancement of Sports and Health)に、外部有識者等からなる委員会を設け、JISSの活動状況の点検・評価を行い、国際競技力向上、生涯スポーツ、産学連携、国際戦略等の必要な機能強化について検討する。
 また、今後、JISSによる高度なスポーツ医・科学の研究成果をスポーツ障害防止などに活用し、人々の日常のスポーツ活動に広く還元できる方策を検討する。

3)ナショナルトレーニングセンターの在り方の検討

 今後のナショナルトレーニングセンターの在り方(競技別強化拠点の集約化及び活用促進、海外拠点の設置、新たなセンターの設置、冬季競技等に関する国民体育大会施設の拠点化、パラリンピアンの利用等)について、それぞれのメリット、デメリット、実現可能性等について、日体協、財団法人日本オリンピック委員会(JOC:Japanese Olympic Committee)、NF等の意向も踏まえながら検討する。 

 

(3)トップアスリートが安心して競技に専念できる環境の整備

1)ジュニア期から引退後までのキャリア形成支援と社会貢献の推進

 引退後のトップアスリートの能力を社会全体で有効に活用できるよう、キャリア形成奨励金を一定期間支給し、大学院進学等を支援する。受給者には、総合型クラブ・学校等における社会貢献活動や、自らの活動内容及び成果を直接人々に訴えかける活動の実施を義務づける。
 また、ジュニアアスリートに対するキャリアデザインの重要性等についての啓発活動を支援するとともに、大学院の機能を活用したキャリア形成のためのプログラム開発を支援する。

2)女性アスリートが活躍しやすい環境の整備

 女性アスリートについて、出産・育児後に競技活動を継続するための円滑な現役復帰トレーニング方法の開発、女性アスリート特有のニーズを踏まえた医・科学サポート等を実施できる女性スタッフ等の積極的登用などを行い、出産・育児等と競技活動の両立を支援する。

3)強化活動に貢献した企業への表彰等の実施

 トップアスリートの強化活動に多大な貢献をしている企業スポーツを側面的に支援するため、新たに、オリンピックメダリストの輩出等に貢献した企業に対する表彰等を行うとともに、企業チームに対する経営・広報等の専門的なサポートを実施する。

4)障害者スポーツとの連携強化

 パラリンピックなどの競技性の高い障害者スポーツについて、将来的なオリンピックなどのトップスポーツとの一体的支援を見据え、厚生労働省と連携しつつ、障害者スポーツに関するスポーツ医・科学研究を推進するとともに、強化拠点の在り方についても検討を行う。

 

(4)その他の国際競技力向上策

1)国際競技大会の招致・開催支援、スポーツ・ツーリズムの促進

 関係省庁、地方公共団体、JOC、NF等と連携し、国際競技大会の招致・開催や各国の代表選手等の合宿の誘致への支援を積極的に行い、競技力向上を含めたスポーツの振興や地域の活性化等を図る。
 また、訪日外国人による稽古見学・武道体験等の機会を設けるなど、観光庁等と連携しつつ、スポーツ・ツーリズムを促進する。

2)ドーピング検査体制・防止活動の充実 

 我が国の国内ドーピング防止機関である財団法人日本アンチ・ドーピング機構との連携を図りつつ、国際的な水準のドーピングに関する検査・調査体制の充実を図るとともに、血液ドーピング等のドーピング検査技術・機器の研究開発を促進する。
 また、教育・研修、普及啓発等のドーピング防止活動についても充実を図る。

お問合せ先

スポーツ・青少年局企画・体育課

(スポーツ・青少年局企画・体育課)

-- 登録:平成22年09月 --