スポーツ立国戦略 5つの重点戦略の目標と主な施策 1.ライフステージに応じたスポーツ機会の創造

5つの重点戦略の目標と主な施策 1.ライフステージに応じたスポーツ機会の創造

【目標】

○国民の誰もが、それぞれの体力や年齢、技術、興味・目的に応じて、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツに親しむことができる生涯スポーツ社会を実現する。

○その目標として、できるかぎり早期に、成人の週1回以上のスポーツ実施率が3人に2人(65パーセント程度)、成人の週3回以上のスポーツ実施率が3人に1人(30パーセント程度)となることを目指す。

○豊かなスポーツライフを実現する基礎となる学校体育・運動部活動の充実を図る。

 

(1)総合型地域スポーツクラブを中心とした地域スポーツ環境の整備

1)トップアスリート等を活用した魅力あるスポーツサービスの提供

 地域住民がトップアスリート等と身近に接することにより、子どもから高齢者までがスポーツに興味関心を持ち、スポーツへの参加意欲を高めるとともに、競技力の向上に資するよう、広域市町村圏(日常社会生活の圏域)を目安として、総合型クラブに引退後のトップアスリートなどの優れた指導者を配置し、複数のクラブや学校の運動部活動等を対象に巡回指導を実施するための拠点化に向けた体制を整備する。
 また、地域のシンボルスポーツを掲げて、トップアスリート等による地域のジュニアアスリートの育成・強化等に積極的に取り組むクラブを支援する。

2)「新しい公共」を担うコミュニティスポーツクラブの推進

 地域のスポーツクラブにおいて、地域の課題(学校・地域連携、健康増進、体力向上、子育て支援など)の解決も視野に入れて、地域住民が主体的に取り組むスポーツ活動を推進することにより、地域のクラブがスポーツを通じて「新しい公共」を担うコミュニティの拠点(コミュニティスポーツクラブ)として充実・発展していくことを促進する。

3)地域スポーツを担う人材の養成・活用の充実

 総合型クラブをはじめとした地域スポーツの推進を担う指導者やクラブマネジャーを確保するため、スポーツ指導者の実態を踏まえつつ、財団法人日本体育協会(日体協)、財団法人日本レクリエーション協会(日レク協)などのスポーツ団体、体育系大学等が行う指導者や総合型クラブの運営を担う人材の養成のための取組をより一層促進する。
 また、養成された指導者を地域スポーツの様々な場で円滑に活用できるよう、広域スポーツセンター等において、個人情報保護に配慮しつつ、指導者に関するデータの整備と提供を一体的に行うワンストップサービス化のための取組を促進するとともに、地域スポーツの総合的な推進に向けて、体育指導委員の企画・立案等のコーディネーターとしての役割の充実を図る。

4)身近なスポーツ活動の場の確保

 総合型クラブの活動場所をはじめ、地域住民が身近にスポーツに親しみ、交流する場を確保するため、学校体育施設等の既存の施設の有効活用や地域のスポーツ施設の整備を支援する。 

5)学校体育施設の有効活用の推進

 学校体育施設の地域との共同利用を促進するため、地域住民が利用しやすい施設づくりの取組を推進するとともに、更衣室を備えたクラブハウスや温水シャワー等必要な施設設備の整備を支援する。
 また、休・廃校となった学校体育施設を有効活用するために必要な施設設備の整備を支援する。

6)グラウンドの芝生化の推進

 緑豊かなグラウンドで楽しく安全にスポーツに親しめる環境を創り出すため、学校や地域の実態に応じてグラウンドの芝生化を支援する。

7)安心してスポーツ活動を行うための環境整備

 安心してスポーツ活動を行うことができる環境を確保するため、地域スポーツ活動におけるスポーツ障害・事故に備え、保険への加入を促進するとともに、スポーツ医・科学を活用し、日常のスポーツ活動におけるスポーツ障害等を防止するため、啓発活動や指導者の資質の向上を図る。

 

(2)ライフステージに応じたスポーツ活動の推進

1)幼児期・学童期の運動・スポーツ指針の策定

 子どもに目安をもって運動やスポーツに取り組む習慣を身に付けさせるために、幼児期・学童期の運動・スポーツ指針を策定し、体力向上のために具体的な運動量などの目標値を示す。

2)子どもの体力向上に向けたスポーツ機会の充実等の取組の推進

 昭和60年頃から長期的に低下傾向にある子どもの体力を上昇傾向に転じさせ、昭和60年頃の水準に回復させることを目指し、教育委員会や学校等における「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」に基づく子どもの体力向上のための取組を支援するとともに、保護者向けの啓発事業等を実施する。
 また、運動・スポーツ指針に則った子どものスポーツ機会を確保するため、総合型クラブやスポーツ少年団と連携し、放課後子ども教室や放課後児童クラブ(「学童保育」)等における活動の中で、子どもに運動やスポーツに親しむ機会を提供する取組を支援する。

3)若者をはじめとした成人のスポーツ参加機会の拡充

 スポーツ実施率の低い世代(20代男性、30代女性等)のスポーツ活動を向上させることを目指し、例えば、総合型クラブにおいて、スポーツを通じて若者が交流する場(「スポーツ婚活」など)を設けたり、親子や高齢者がともに参加できるスポーツ教室や大会を開催するなど、スポーツ参加を促進するための取組やその効果について実態把握を行い、優れた取組を支援する。 

4)高齢者の体力つくり支援

 高齢者が自分の体力の現状を把握できる体力測定の仕組み(体力検定制度)を創設するとともに、高齢者が日常生活において手軽に取り組める運動・スポーツプログラムを開発し、そのプログラムを継続的に実施するよう普及啓発を実施する。

 

(3)学校における体育・運動部活動の充実

1)「小学校体育活動コーディネーター(仮称)」の配置

 小学校では体育の専科教員を置いている学校は少なく、指導体制の充実が求められている。このため、小学校全体の体育授業や体育的活動を計画したり、担任とティームティーチングで体育の授業に取り組んだりするとともに、総合型クラブ等地域との連携を図るため、これらを中心となって行う教員等を、「小学校体育活動コーディネーター(仮称)」として配置する。

2)体育授業・運動部活動における外部指導者の充実

 平成24年度から中学校で必修となる武道・ダンスの指導の充実を図るとともに、少子化に伴う教員数の減や専門的な指導を行うことができる運動部活動等の指導者の不足を補い、体育の授業や運動部活動の充実を図るため、地域のスポーツクラブや関係団体等と連携し、児童・生徒の実態に対応して、地域のスポーツ指導者を外部指導者として学校に受け入れることを推進する。

3)新学習指導要領の円滑な実施による体育授業の充実

 小・中学校の体育・保健体育の授業時数の増加や、小学校低学年からの体つくり運動の実施、中学校における武道・ダンスの必修化など、新学習指導要領を円滑に実施できるよう、必要な条件整備を行う。特に、平成24年度からの中学校における武道・ダンスの必修化に向けて、必要となる施設・用具・指導者の充実を図る。
 また、子どもの体力の低下傾向や、積極的に運動する子どもとそうでない子どもに二極化している傾向を踏まえ、スポーツ医・科学を活用し、心身の発達段階に応じた指導の充実を図る。

4)体育・保健体育のデジタル教材の作成・配布

 体育・保健体育の実技については、現在教科書が作成されていないが、児童生徒に学習内容の着実な定着を図る観点から、教員の実技指導を支援するとともに、児童生徒に模範となる実技をヴィジュアルに示すため、体育・保健体育のデジタル教材を作成し、公表するとともに全国の学校に配布する。

5)中学生・高校生のスポーツ機会の充実

 生徒のスポーツ機会を充実する観点から、全国中学校体育大会や全国高等学校総合体育大会(インターハイ)などの大会について、地域のスポーツクラブで活動する生徒や複数校で組織するチームなどに参加資格を認めたり、地域のクラブの大会との交流を実施したりすることについて、主催する団体における検討を促す。

6)安心して学校におけるスポーツ活動を行うための環境整備

 体育の授業や運動部活動など、学校におけるスポーツ活動を安心して行うことができる環境を確保するため、地域の医療機関などの専門家等との連携により、スポーツ医・科学を活用した安全の確保やスポーツ障害の早期発見・予防に関する参考資料の作成及び教員・指導者等に対する研修の充実を図る。

 

お問合せ先

スポーツ・青少年局企画・体育課

(スポーツ・青少年局企画・体育課)

-- 登録:平成22年09月 --