スポーツ立国戦略の策定に向けたヒアリングの主な意見概要

1.スポーツの価値、スポーツ庁の設置

  • スポーツの「コアバリュー」とは何かというコンセンサスが必要である。スポーツの価値は、子ども達に「やればできる」という達成感を与えること。(有識者) 
  • スポーツに必要なゲームマネジメント、コミュニケーションスキル、リーダーシップなどは他の分野でも十分に通用するポータブルスキル。スポーツ界は、これらのスキルが社会で活かされるよう努力が必要である。(有識者)
  • トップスポーツの公共性や公共資源としての価値をどのように国民にわかりやすく提示していくかという機能も極めて重要であり、スポーツの価値や公共財としての公益性を考えていく機能も重要である。(研究者)
  • スポーツの場で学んだことを生活の場で発揮すべき。体を動かすことの楽しさや、出来なかったことが出来るようになる喜び、フェアプレーなど、見えないものを評価することが大事である。(有識者)
  • スポーツの文化的自立の観点から、成果の面からのみスポーツを捉えるのではなく、体を動かすこと自体の面白さや楽しさ、自己の可能性への挑戦といったスポーツそのものの持つ価値を評価することが重要である。(研究者)
  • 国民のスポーツ要求(「する・みる・支える」)を高め、実際にスポーツをするかどうかにかかわらず、「スポーツ」を大切にする社会にしていくことが今後10年間の課題である。(研究者)
  • スポーツ立国とは、「More people,More places,そしてMore medals」が基本理念。スポーツの社会的・経済的・文化的価値等、多様な価値を高めて実施者を増加することが最も優先すべきミッションである。(研究者)
  • スポーツクラブは、「ネットワーク理論」の見地からすると、人と人とを結び付け、良い生活習慣を伝播し、スポーツをする幸福感を伝播させる「ソーシャル・キャピタル」としての役割が期待される。(研究者)
  • スポーツ庁を設置すべき。これにより、スポーツの価値が再認識され、スポーツの価値の向上につながる。(有識者、研究者、スポーツ団体)
  • プレステージとナショナルプライド、すなわち国家の品格をスポーツを通じて上げることがスポーツ立国戦略につながる。(スポーツ団体)
  • これまでの研究により、運動が寿命を長くすることや、運動の医療費抑制の効果は確認できているが、スポーツの実施が認知症の予防やQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上、労働生産性の上昇にどの程度結び付くかといったスポーツの社会的意義を実証する研究はまだなされていない。(研究者)
  • スポーツがお金で支配されてきた時代があり、なぜかスポーツ選手が尊重されない。スポーツを勝ち負けで教えるから文化的価値が低い。(有識者)
  • スポーツ文化の定着には、(1)生涯スポーツの充実、(2)競技力の向上、(3)生涯スポーツと競技スポーツの連携、の3点が必要である。(スポーツ団体)
  • 競技団体・選手間の横のつながりこそ効果的。スポーツ界の一体感が醸成されるよう、競技や選手の枠を超えたネットワークが重要である。(有識者) 

2.総合型地域スポーツクラブ(総合型クラブ)の現状

  • トップスポーツと地域スポーツとを好循環させるために、総合型クラブを活性化し、クラブでアスリートを雇用できる体制を構築すべき。(スポーツ団体)
  • 今後の在り方として、総合型クラブの上部にトップチームが存在する、もしくは両者が緩やかに連携する形態が考えられる。総合型クラブにとって魅力を高めることにつながり、トップチームにとってもメンバーフィーを増やせるメリットがある。モデル事業として実施できれば、普及するのではないか。(スポーツ団体)
  • ドイツにおいては、スポーツクラブが公共の福祉に大きく貢献。地域住民が世代を超えて集まる極めて公益性の高い場として、地域社会が抱える社会問題や生活課題の解決に大きく寄与する力(「地域課題解決力」)を備えており、我が国の総合型クラブの未来図となるのではないか。(研究者)
  • 総合型クラブと企業チームが連携しづらい状況がある。改善するためには、各企業チームがNPO法人化し、法人の活動として総合型クラブへの指導者派遣等を行うスキームをつくるべき。(総合型クラブ)
  • 運動部活動(部活)とクラブとの関係を整理し、中学校期におけるスポーツ活動を行う子ども達を減少させないために部活とクラブとの役割を考えるべき。(総合型クラブ)
  • 中学校の部活の補完を考え、部活にない種目を中心にプログラムに組んだが、中学生の参加は少ない。中高年層では比較的男性の参加者が少ない。(総合型クラブ)
  • 総合型クラブづくりが文部科学省生涯スポーツ課から出てきた関係上、仲間づくりや健康づくりに特化しているようであるが、総合型クラブも競技力向上の観点を視野に入れて育成する支援をしてほしい。(県担当者)
  • 会費を安い額で設定(大人500円/月、子ども300円/月)しているため、会費収入が少なく、運営費の確保が困難であるため、各種の補助事業に積極的に手を挙げている。(総合型クラブ)
  • 「多種目」、「多世代」はある意味完成型であり、移行するまでの期間として、独自の基準を設ければ、クラブはより一層増えるのではないか。(県担当者)
  • 国として次の10年の新しいキーコンセプトを出さなければならない。新しい公共等のコミュニティ形成につながるスポーツ環境の整備やスポーツ実践の在り方を示さなければ新しい政策としての意味がない。(研究者)
  • 今後、団塊の世代がリタイアするが、その世代の男性を地域社会にデビューさせなければならない。福祉部局も閉じこもり防止のためのプログラムを提供しているが、メニューが貧弱。文部科学省が推進する総合型クラブで、こうした高齢者向けプログラムを提供することは、健康づくりだけでなく、団塊世代の男性を地域社会にデビューさせるきっかけとしても期待され、有意義である。(研究者)

3.スポーツ指導者

  • 県内の体育指導委員は約200名いるが、競技経験のある人は半数しかおらず、平均年齢が高い。いかに活性化させるかが今後の課題である。市体協、地域の自治組織である体育振興会、体指の連携を上手く図らないといけない。(県担当者)
  • 今、体育指導委員制度をなくすと地方のスポーツはたち行かなくなる。しかし、「社会の変化に伴う体育指導委員の在り方・役割」を今一度考え、地方行政でも考え直し、そのための財源等を検討する時期かもしれない。(研究者)
  • スポーツ基本法には、地域スポーツの推進役としての体育指導委員を明確に位置づけて欲しい。(スポーツ団体・総合型クラブ)
  • 体育指導委員は、政策立案にも関われる地域のスポーツコーディネーターと謳っているが、中には、ほとんど専門性を持っていない者もいる。国において、高度な専門性を擁した指導者を養成し、自治体に配置する制度を作る必要がある。(研究者・総合型クラブ) 
  • 体育指導委員に地域住民と行政との「コーディネータ役」を求められる中、設置の趣旨やその任務を正しく理解し、適任者を委嘱できる選任システムづくりが必要である。(スポーツ団体・総合型クラブ)
  • スポーツの専門化を促進することが重要。スポーツボランティアをコーディネートするボランティアコーディネーターやボランティアリーダーといった専門職が必要である。(研究者)

4.学校体育・運動部活動

(学校体育)

  • 日本の学校体育制度は、諸外国と比べても非常に立派。体育の授業時間が確保され、学校体育施設も、どの学校でもグラウンド・体育館・プールがあり、あるいは武道場まである国はまずない。もっと世界にアピールしてよい。日本の体育授業を外国人に見せると、高く評価する。(研究者)
  • 学校体育の課題は、小学校は、極端に教師によって学校間・学級間格差があること。小学校に体育の教科書がないことが大きい。体育で教える内容、学びとるべき知識・技能といった部分を明確に示していくことが必要である。(研究者)
  • スポーツを文化として捉え、スポーツに関わる知識をきちんと教えていく必要がある。技術、態度、社会的規範、フェアプレー精神、自分の身体が運動するとどうなるか等、知っておくべき知識は多くある。(研究者)
  • 小学校に体育専科教員を早期に配置し、小・中・高で一貫した教科体育・保健体育実践プログラムを作成することが必要である。(スポーツ団体)
  • 外部指導者の需要は多いものの、予算の関係でつけられない学校が多い。予算の増額をお願いしたい。(県担当者)
  • 武道の授業では、技を仕掛ける人と受ける人の2名の指導者が必要であり、外部指導者として、武道指導者の派遣を要望する。(スポーツ団体)
  • 大人になってからスポーツを実施するインセンティブは、小学校でスポーツが楽しいと感じるか否かに左右される。子どもの頃からプロ選手に教わる機会があれば楽しいと感じ、スポーツを続けるのではないか。(プロスポーツクラブ)
  • 幼稚園にプロ選手を派遣して、巡回指導を行っている。小学校や中学校などでも行いたいと希望しているが、受け入れてもらえない。学校の年間指導計画の作成時に協議させていただく場を設定してほしい。(プロスポーツクラブ)
  • 学校体育に関心を持っており、特に武道・ダンスの必修化の動きに注目している。例えば、ダンス授業に関して、ポップミュージックを用いて、子ども達を引きつけるプログラムを提供できるし、学校で子ども達が楽しくスポーツを行うお手伝いができる。(民間スポーツクラブ) 

(運動部活動) 

  • 現状の運動部活動は、生涯スポーツの場と競技スポーツの場が混在しており、両方とも成果が上がっていないのではないか。スポーツを楽しみたい子ども達にはハードすぎ、オリンピック選手を目指したい子ども達には、施設が不十分であるとか、指導者が頻繁に変わるなどの不都合がある。(研究者)
  • 行政がリーダーシップをとり拠点校を作り、そこで一級のコーチ・トレーナーをつけて施設を整備し、選手強化を行う体制を制度化し、通常の学校は、生涯スポーツの場としてスポーツを楽しめるようにする。そうした二重の仕組みにしていくべきではないか。(研究者)
  • 運動部活動については、地域のスポーツクラブが多様になっている一方で、少子化に伴い、活動自体が縮小化している現実もある。例えば、ある児童が小学校の時にバドミントンで全国大会に出場したが、中学校にはバドミントン部がなかったために、県の職員が学校と話をし、練習は地域の総合型クラブで行い、試合は学校の教員が引率するという形でなんとか続けている。中体連の試合には学校職員の引率がなければ大会に参加ができない所に限界がある。今後は大会参加についての弾力化が求められる。教育委員会としては、学校側に地域の指導力を活かすように話しかけている。(県担当者)
  • 全国中学校総合体育大会への参加は、各中学校長の責任の下に実施しており、原点は運動部活動にある。平成20年3月に改訂された中学校学習指導要領の総則に部活動が明確に位置づけられ、運動部活動が重要な学校教育活動として定着することを期待する。(スポーツ団体)
  • 外部指導者に運動部活動が学校教育の一環であるとの理解を得ることが課題である。学校管理職は、外部指導者と顧問とのコミュニケーション不足を心配する例が多い。(県担当者)
  • 合同運動部での大会参加は可能であるが、地域の「クラブチーム」での大会参加は、責任の所在が不明確であり、時期尚早である。合同運動部の条件は、都道府県によって異なる。今後、都道府県の状況を調査しながら大会参加の在り方を検討する。(スポーツ団体)
  • 現在、クラブ単位で中体連の活動へは参加ができない。ここを何とかして欲しい。(民間スポーツクラブ)
  • 各学校単位ではなくスポーツクラブに所属している高校生のインターハイへの参加は認めていないが、要望も聞こえており、参加できるような形で検討する予定である。(スポーツ団体)
  • 小・中学校の指導者(教員等)に総合型クラブが十分に浸透していないことから理解を得る必要がある。(県担当者)
  • 部活動の団体スポーツは、少子化に加えて、小規模化が進行し、チーム編成が困難な場合もあり、総合型クラブとの連携が必要である。(スポーツ団体) 

5.競技力の向上

  • クラブ育成を含む早期の一貫指導システムを構築し、タレント発掘・育成を実施すべき。(スポーツ団体)
  • 限られた資源(金、人、モノ、情報、プログラム等)の戦略的集約と有効活用が最も重要。(研究者)
  • エリート選手やエリートスタッフが集中的に活動できるような仕組みが重要。外国人コーチの招聘や、メダル獲得選手に対するチームでの医科学サポート体制などである。(研究者)
  • 学校の部活が十分な育成環境にない。年代に応じたトレーニング指導や施設が不足している。地域でのトレーニング体制を充実させることが重要であり、一貫指導の考え方を具体化する必要がある。(県担当者)
  • メジャー種目は部活で実施できるが、マイナー種目を行える環境が少ない。部活で難しい種目を総合型クラブで実施できるようにし、地域で育った子ども達を、中央競技団体に繋げて行くシステムを確立してほしい。(県担当者)
  • 最新のスポーツ医・科学・情報、トップアスリートの体力データ等の提供など、国立スポーツ科学センター(JISS)と地方との連携システムと、全国のスポーツ医・科学センターを結ぶ情報ネットワークの構築が必要である。(県担当者)
  • 強い競技には優秀なコーチが必要。水泳は、スイミングクラブが地域に根付いており、スイミングクラブには指導者がいるので選手が育つ。スイミングクラブが指導者を雇用しており、指導者の裾野が広いので、優秀な指導者が生まれ、優秀な選手が育つ。(民間スポーツクラブ)
  • 我が国がメダル至上主義になると個人種目のみに偏重する恐れがあり、メダルを獲得する種目と普及する種目を明確化すべき。(スポーツ団体) 

6.競技者のセカンドキャリア

  • 国で公的な「セカンドキャリア支援センター」を作り、(1)引退前の啓発・相談、(2)企業とのマッチング、(3)マッチングが成功するまでの経済支援、をセットで提供できないか。(スポーツ団体)
  • プロ選手やオリンピック選手が学校を訪問し子ども達を指導する取組は、子ども達のスポーツへの関心を高める上で非常に効果が高い。メダリストに、全国の学校や地域スポーツクラブを巡回してもらったらどうか。(民間企業)
  • 金メダリストの生活保障が諸外国と比べ、貧弱な気がする。(民間企業)
  • 競技者がトップレベルの場で学んできたことを活用できるよう、受け皿としての雇用が必要。また、教育支援などセカンドキャリアの形成のための体制整備も必要である。(有識者)
  • 優秀なスポーツ選手のセカンドキャリア支援の一環として、大学における再教育や新たな指導者の資格付与に関する修業期間の設定や柔軟な教育制度の整備・充実が必要である。(スポーツ団体)
  • 選手のセカンドキャリアとして、地域体育館の指導員として雇用できるような体制・制度の整備を行政に望む。(民間スポーツクラブ)
  • スポーツキャリアの観点について、契約選手は営業などの業務において非常に頑張っている。人間関係やコミュニケーションスキルの構築の能力は、チームの一員として活動する中で培われてきたものである。このような能力を活かせる環境づくりを進めるべき。(民間企業)

7.企業スポーツ

  • チームの一社で「保有」から「支援」に変わった後、キャリア教育支援事業、地域の活性化のための事業等などの地域に根ざした活動で、安易にチームがつぶれないクラブづくりを行ってきた。(企業スポーツクラブ)
  • 地域貢献の一環で青少年の健全育成を目的として、地域の子ども主体のチームを定期的に指導している。また、クラブの活動拠点場所はもとより、全国の各地域からの依頼に応え、地域活動に参画している。(企業スポーツクラブ)

8.スポーツ施設

  • 全市町村で学校開放事業を実施しており、利用可能な時間は既に飽和状態である。これまで既存の利用者が占有しており、新規の利用者が利用できない状態である。(県担当者)
  • 学校体育施設は住民の身近なスポーツ施設として非常に有用であるが、少子化による学校の統廃合が始まり、廃校となる学校が出ている。廃校後は、施設の維持管理や改修に要する経費について支援して欲しい。(県担当者)
  • 学校施設の共同利用が認められる範囲について、学校教育法には「学校教育上支障がない」という文言しかなく、学校教育が主、社会教育が従、の位置付けになっている。学校施設が積極的に生涯学習及び生涯スポーツのために利用されるための措置を各自治体で講じるとか、条例において、学校運営・施設運営のための学社共同の組織を置き、自分達でルールを作るという制度上の整備が必要である。(研究者)
  • 休校を利用して様々な活動をしたいと思っているが、施設の管理者の理解が得られていない。(総合型クラブ)
  • 全国各地の公共スポーツ施設を指定管理しているが、指定管理といっても、PFIで整備した新しいスポーツ施設の指定管理となる場合、施設管理面での自由度は高いが、従来、行政が管理してきた施設の場合は、自由度が狭く、両者で実態が大きく異なる。(民間スポーツクラブ)
  • スタジアムで真っ先に拡充すべきものは、売店スペースである。現在、給排水設備もなく、ブレーカーも家庭用のものであり、すぐに落ちる。日本のスポーツ施設は、ピッチの芝生など表舞台にはカネをかけ、立派に造るが、売店などの舞台裏にはカネをかけず、お粗末な状態である。(民間企業)

9.スポーツ観光・まちづくり・経済効果等

  • スポーツ合宿を含めた観光の在り方など、市全体の再生について協議しており、スポーツ大会を誘致したいが、誘致する際の支援制度などがあれば助かる。(市担当者)
  • 「サッカーのまちづくり」は、地域の活性化に大きく貢献しているが、なぜサッカーばかりに力を入れるのか、という批判もあり、住民の理解を得るため、全国優勝した地元女子サッカー部に協力いただき、市内の幼稚園等で巡回サッカー教室を実施している。また、緊急雇用対策の一環として、スポーツ推進指導員を雇用している。(市担当者)
  • ホームスタジアム近隣には、飲食店が増え、開発が進められ、試合後は観客であふれている。また、高齢化の進展に伴い、サポーターの年齢層も上昇しており、アウェイの試合では、サポーターは、試合後に温泉地や観光地を巡ってから帰ってくる人も多い。(プロスポーツクラブ)
  • 市町村合併以前の旧市町の地区対抗駅伝大会は、市としての一体感の醸成に一役買っており、特に高齢者の方は地元チームの応援を非常に楽しみにしている。(市担当者)
  • 高校のスポーツ大会に係る市の持ち出しは、約100万円であるのに対し、弁当・宿泊だけでも約1,000万円と10倍の経済効果があった。(市担当者)

10.国体の在り方

  • 国体のスキー競技会は重要。国体は、みるスポーツとしても意義があり、地域の活性化にもつながる。現在、地元のモチベーションがやや低下しており、国体の存在意義を高めるべき。(有識者)
  • 国体の在り方についての議論があるが、国体がなければ現在の施設整備や選手の養成はなかった。全国に通用するトップアスリート育成の基盤は国体を通じて生まれてきたものであり、地方行政を活性化する上でも大きな役割を果たしている。(県担当者)

11.障害者スポーツ

  • トリノ・北京パラリンピックに参加した選手は、年間1人111万円の強化費を自己負担しており、海外遠征費、強化合宿費の割合が非常に高い。資金面で支援が必要。国庫補助金の補助率の引き上げを要望する。(スポーツ団体)
  • 障害者スポーツをスポーツ庁に一元化することは、諸外国の例を見てもよい し、トップレベル競技者は、福祉レベルで行っていないという意識があるため士気の面でもよいのではないか。(スポーツ団体)
  • 障害者のスポーツといっても、パラリンピックの出場者や地域の障害者のスポーツなど障害の段階によって異なり、全てを一緒にするのは困難である。(有識者)

12.スポーツのガバナンス・コンプライアンス

  • ガバナンスやコンプライアンスの確保、セクハラやパワハラの防止のため、スポーツ界に「法の支配」を行き渡らせることをスポーツ団体全体の自律的な仕組みとして実施すべき。「第三者機関」を作り、立入検査ができるような仕組みが考えられ、事後的な紛争処理だけでは不十分である。(スポーツ団体)
  • スポーツ団体に補助金交付などはしているが、そのベースにレギュレーションがないので、それを作っていくことが必要である。例えば、アメリカの統括団体の要件は、法律で規定されている。(スポーツ団体)
  • スポーツ界の紛争は裁判で解決できないので、第三者機関による公平な紛争処理の仕組みが必要。当事者の合意で持ち込まれて初めて動くという限界があり、第三者機関の維持には相応の費用もかかる。(スポーツ団体)
  • 日本の競技団体(NF)では、国際競技連盟(IF)に出す人を育てていない。(有識者)
  • NFは、組織がアマチュアである。選手を終わった時のことを考えて人材育成をすべき。在外研修に行ったが本制度は本当に良い。本制度を拡充するとともに、帰国してからの研修内容をチェックすべき。(有識者)

13.ドーピング防止活動

  • アンチ・ドーピング活動はスポーツ立国戦略を考える上で非常に重要である。(スポーツ団体)
  • 競技外検査のときの採血をだれが行うのか、未成年者への対応といった課題がある。(スポーツ団体)

14.スポーツ振興財源

  • スポーツに関するNPO法人等へ寄附した場合の税制優遇措置を検討して欲しい。(有識者)
  • 国費、スポーツ振興基金、スポーツ振興くじの窓口を一元化し、その活用の裁量も一任すべき。(スポーツ団体)
  • 国庫補助、基金などの補助率について、100%補助が望ましく、厳しい場合でも90%以上の補助を設定すべき。(スポーツ団体)

15.スポーツ基本法

  • スポーツ基本法を根拠づけるスポーツ政策の根本理念は、人間の身体面からの幸福の追求と、身体活動及びスポーツを通した人間と社会の健全で持続可能な発達に定めるべき。(研究者)
  • スポーツ基本法の理念として、「スポーツ権」の保障、スポーツ団体の権利と義務、スポーツの安全、環境の整備等を規定することが必要である。(研究者)
  • スポーツをする権利をスポーツ基本法に盛り込むことにより、障害者のスポーツも含め、様々な人々に多様なスポーツをすることをカバーできるのではないか。(県担当者)
  • ガバナンスやコンプライアンスの確保、セクハラやパワハラの防止のため、スポーツ界に「人の支配」ではなく「法の支配」を行き渡らせるスポーツ団体全体の自律的な仕組みを法律的に後押しすべき。【再掲】(スポーツ団体)
  • スポーツ界の紛争は裁判で解決できないので、第三者機関による公平な紛争処理の仕組みが必要。【再掲】(スポーツ団体)
  • スポーツ基本法のテーマとしては、身近なスポーツ施設の整備、指導者の養成と活動の場の確保、プログラムの充実が必要である。国民体育大会と総合型地域スポーツクラブへの支援についても言及して欲しい。(スポーツ団体)
  • スポーツ基本法には、地域スポーツの推進役としての体育指導委員を明確に位置づけて欲しい。【再掲】(スポーツ団体・総合型クラブ)
  • スポーツ基本法やスポーツ立国戦略には、行政の財政的な責任にまで踏み込んで盛り込んでいただきたい。(県担当者)

16.その他

  • 子どもから高齢者まで、世界には5,000万人、国内には300万人を超す愛好者があり、武道は日本の評価を高めており、「国民皆武道」こそが日本再生の道である。(スポーツ団体)
  • 自然スポーツ、野外活動の振興、持続可能なスポーツ開発などについて、統一した政策を実施していくべき。(研究者)
  • スポーツを通した国際交流の促進について、積極的に政策を策定すべき。(研究者
  • 我が国においては、スポーツ政策立案の基盤となるスポーツ関係調査が不足。例えばJISSにスポーツ政策部を設立し、様々なスポーツ人口調査や政策評価の調査研究を蓄積することが必要である。(研究者)
  • 健康状態を改善するために運動する人への行政支援は手厚いが、健康保持のため運動している人への支援は少ない。そのことに対し、インセンティブを付与することが必要である。(民間スポーツクラブ)
  • 地域で行われている運動指導は、いまだ経験に基づいて行われている部分が大きく、IT化が進んでいない。継続的に地域で運動を続けていくことにより、医療費にも統計的に差が出てくる。ソフト面も含めたインフラ整備が必要である。(研究者)
  • これまでの健康施策は健康部門単独で行われてきたが、健康とは食育、体力、リテラシー、住環境、教育や収入レベル、あるいは交通網といった様々な要因が関係。総合的な施策が必要である。(研究者)
  • 人間の体力は30歳頃にピークを迎えた後、低下していく。50歳頃までの低下は緩やかであるが、50歳以降は1年間に1%、10年間で10%の勢いで低下する。体力が一定のレベルを下回ると体が健康でも歩行ができなくなるが、そのレベルに早く到達してしまう人が増えることを意味している。高齢社会対策として、日常生活が何歳でも維持でき、社会参加が可能であるという「生活機能の維持」の概念が非常に重要である。(研究者)
  • 会員の年齢層が高くなってきており、5年前は60歳以上の会員は全体の約1割であったが、現在は2割と5年間で倍増。以前は問題にならなかったが、バリアフリー対策に追われている。(民間スポーツクラブ)

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-- 登録:平成22年06月 --