資料5 財団法人日本武道館資料

 『昨日の我に今日は勝つべし―武道は人間を強くする―』 
―武道の総合的な振興普及を―  

 平成22年4月6日
財団法人 日本武道館
理事・事務局長 三藤芳生

1、武道は指導者を必要とする
 ○武道には相手がある→「礼」の精神→指導者が大事
 ○指導者の質量が武道の質量を決める→指導者の養成を

2、武道は道場を必要とする
 ○柔道場、剣道場、弓道場、相撲場がそれぞれ必要
 ○欧米には「教会」が、日本には「道場」がある→武道場の設置を

3、武道は用具を必要とする
 ○柔道衣、剣道防具、弓・矢、まわしがそれぞれ必要
 ○武道の用具は文化そのもの→武道用具の整備を

4、世界に5000万人を超す武道愛好者
 ○「JAPAN ORIGINの武道」は世界をつなぐネットワーク
 ○「武道」も「サムライ」も「柔道」も世界が認める共通語
 ○武道は日本の評価を高めている→武道国際交流事業に支援を

5、武道の総合的な振興普及を図り、国民皆武道を
 ○子どもから高齢者まで国内に300万人を超す武道愛好者
 ○日本の歴史と伝統に立つ武道は知恵の宝庫→武道は人生に応用が効く
 ○富士山は裾野が広いから高くて美しい→武道を振興普及し底辺の拡張を

◎むすび
 武道は人間を強くする
 日本のスポーツはすべて「道」から始まる
 トップアスリートの養成も大事だが「国民皆武道」こそが日本再生の道
 武道の総合的な振興普及を図り、国民に元気を、青少年に活力を

以上

 

武道の理念

 武道は、武士道の伝統に由来する我が国で体系化された武技の修錬による心技一如の運動文化で、柔道、剣道、弓道、相撲、空手道、合気道、少林寺拳法、なぎなた、銃剣道を修錬して心技体を一体として鍛え、人格を磨き、道徳心を高め、礼節を尊重する態度を養う、国家、社会の平和と繁栄に寄与する人間形成の道である。

平成二十年十月十日制定

日本武道協議会

武道憲章

 武道は、日本古来の尚武の精神に由来し、長い歴史と社会の変遷を経て、術から道に発展した伝統文化である。
 かつて武道は、心技一如の教えに則り、礼を修め、技を磨き、身体を鍛え、心胆を錬る修業道・鍛錬法として洗練され発展してきた。このような武道の特性は今日に継承され、旺盛な活力と清新な気風の源泉として日本人の人格形成に少なからざる役割を果たしている。
 いまや武道は、世界各国に普及し、国際的にも強い関心が寄せられている。我々は、単なる技術の修練や勝敗の結果にのみおぼれず、武道の真髄から逸脱することのないよう自省するとともに、このような日本の伝統文化を維持・発展させるよう努力しなければならない。
 ここに、武道の新たな発展を期し、基本的な指針を掲げて武道憲章とする。 

(目的)
第一条 武道は、武技による心身の鍛錬を通じて人格を磨き、識見を高め、有為の人物を育成することを目的とする。

(稽古)
第二条 稽古に当たっては、終始礼法を守り、基本を重視し、技術のみに偏せず、心技体を一体として修練する。

(試合)
第三条 試合や形の演武に臨んでは、平素錬磨の武道精神を発揮し、最善を尽くすとともに、勝っておごらず負けて悔まず、常に節度ある態度を堅持する。

(道場)
第四条 道場は、心身鍛錬の場であり、規律と礼儀作法を守り、静粛・清潔・安全を旨とし、厳粛な環境の維持に努める。

(指導)
第五条 指導に当たっては、常に人格の陶冶に努め、術理の研究・心身の鍛錬に励み、勝敗や技術の巧拙にとらわれることなく、師表にふさわしい態度を堅持する。

(普及)
第六条 普及に当たっては、伝統的な武道の特性を生かし、国際的視野に立って指導の充実と研究の促進を図るとともに武道の発展に努める。

昭和六十二年四月二十三日制定

日本武道協議会

 

財団法人日本武道館平成22年度事業計画概要

 平成22年4月6日

まえがき

 財団は、武道による青少年の健全育成を主眼とする創建の精神に立って、関係諸団体と協力しつつ、以下の3事業を重点に、平成22年度事業計画を次のとおり策定する。

 1、平成24年度完全実施の中学校武道必修化へ向けた事業と取り組み
 2、各都道府県武道協議会設置促進のための活動
 3、「日墨交流400周年記念・日本武道代表団メキシコ合衆国派遣事業」の実施

具体的事業

  1. 武道による青少年の健全育成を目的とする青少年武道錬成大会は、中央錬成大会(8種目)を日本武道館で9日間、小・中学生延べ20,000名の参加を予定し実施する。また、地方錬成大会(8種目)を全国49カ所で小・中・高校生延べ5,550名の参加を予定し実施する。
  2. 武道指導者の資質と指導力の向上を目的とする武道指導者講習会は、中学校武道必修化へ向けた取り組みを中心に、全国規模の講習会(4種目6回)と地方ブロック規模の講習会(1種目5回)を主に中学・高校の保健体育教員並びに部活動指導者約1,000名を対象に実施する。また、地域社会武道指導者研修会(7種目)を全国75カ所で延べ4,270名を対象に実施する。
  3. 平成24年4月完全実施の中学校武道必修化へ向け、授業の役に立つ指導法の研究事業(5種目)を関係諸団体と協力の上、実施する。
  4. 国際関係武道事業として次の2事業を実施する。
    (1)日墨交流400周年記念事業の一環として日本武道代表団(現代武道9道・古武道3流派計75名予定)をメキシコ合衆国へ派遣する。
    (2)在日外国人武道修業者を対象(約100名)にした国際武道文化セミナーを開催する。
  5. 財団が主唱して設立した日本武道学会、日本武道協議会、日本古武道協会、全国都道府県立武道館協議会等諸団体の事業は、年々充実しており、その設立趣旨を生かし、事業目的が達成できるよう関係団体と一致協力して事業を実施していく。
  6.  「武道の理念」「武道憲章」及び「こども武道憲章」の小冊子を国内外に広く配布し、武道の普及発展に活用する。
  7. 全国47都道府県に武道協議会が設置できるよう推進活動を行う。
  8. 武道の学術調査研究として、日本武道学会及び国際武道大学の研究活動、研究誌の発行等を支援・協力する。
  9. 財団のホームページを活用して、財団及び武道界の諸活動を広く紹介し、正確な情報提供に努める。
  10. 教育文化事業は「人間教育」を目的に出版広報事業と書道普及事業の二本柱で事業を行う。
    (1)出版広報事業では、武道指導者を対象とした月刊「武道」(B5判、184頁、定価530円、9,000部)を発行し、全国書店で販売するとともに各都道府県及び市町村教育委員会、全国主要公立図書館等、約4,000団体へ無料配布し、広く武道普及発展の一助とする。
     なお、資料的価値の高い連載物の中から『柔道の国際化―その歴史と課題』『唐手から空手へ』『平法 天真正伝香取神道流』を単行本として出版する。また、財団の開館45周年事業として刊行した英語版『日本の武道』を外国人向け単行本として出版する。
    (2)書道普及事業は、文武一如の観点に立って、新春恒例の全日本書初め大展覧会、我が国唯一の宮杯である夏季の高円宮杯日本武道館書写書道大展覧会を開催するとともに、毛筆、硬筆の競書を主体とした総合誌月刊「書写書道」(A4判、96頁、定価500円、6,300部)を発行する。
  11. 武道学園(7種目生徒数約500名)は、「武道を通じての人間形成」を目的に、年間授業の他に寒稽古、校外交流授業、学園祭等の事業を実施する。
  12. 創建から45年が経過した本館建物は、平成21年度策定の「中期20年修繕計画」に基づき、省エネルギー、CO2削減等の環境対策に配慮しながら、施設利用者の安心・安全・快適を確保するため、施設・設備機能の維持・向上に努める。
  13. 弓道場を改築(平成20年度)した日本武道館研修センター(千葉県勝浦市)は、武道宿泊研修施設(年間約19,000名予定)として広く全国武道愛好者の利用に供するとともに、武道学園、千葉県青少年武道錬成大会等の事業を実施し、地域武道の充実発展に努める。

予算執行

 平成22年度の予算執行に際しては、経費の節約を図りながら、武道普及振興事業、教育文化事業の目的達成に向けて事業を実施するとともに、施設設備機能向上のため、中期20年修繕計画に基づく修繕工事を実施する。また、本館建物建替に向けた中期20年新築積立計画に基づく新築積立預金(特別会計)の上積みに努める。

施設利用

 武道行事を優先して、多目的大規模施設としての公共的使命を果たすため、利用者の安心・安全を図りながら施設設備の維持管理に努め、幅広く一般の利用に供する。

まとめ

 財団の設立目的が達成されるよう、青少年の健全育成を主眼とする本年度武道振興事業、教育文化事業を適正に実施していく。
 また、財団の健全な運営と発展のため、事務局職員の能力向上を図り、経営の合理化と事務の能率化に努め、必要な施設設備の修繕を行うとともに新築積立預金を上積みし、平成24年度予定の新公益法人認定申請に向け準備に万全を期す。

 以上

 

お問合せ先

スポーツ・青少年局企画・体育課

(スポーツ・青少年局企画・体育課)

-- 登録:平成22年05月 --