「スポーツ立国戦略」(文部科学省 平成22年8月)抜粋

 はじめに

 スポーツは、世界の人々に大きな感動や楽しみ、活力をもたらすものであり、言語や生活習慣の違いを超え、人類が共同して発展させてきた世界共通の文化の一つである。
 また、スポーツは、人格の形成、体力の向上、健康長寿の礎であるとともに、地域の活性化や、スポーツ産業の広がりによる経済的効果など、明るく豊かで活力に満ちた社会を形成する上で欠かすことのできない存在である。
 文部科学省では、現在の「スポーツ振興法」を見直し、新たにこれに代わる「スポーツ基本法」の検討を視野に入れ、今後の我が国のスポーツ政策の基本的な方向性を示す「スポーツ立国戦略」の策定に向けた検討を進めてきた。(後略)

基本的な考え方

1.人(する人、観る人、支える(育てる)人)の重視

○ スポーツを通じて幸福で豊かな生活を実現することは、すべての人々に保障されるべき権利の一つである。各人の自発性のもと、各々の興味・関心、適性等に応じて安全かつ公正な環境のもとで、日常的にスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、スポーツを支え、スポーツを育てる活動に参画する機会が確保されなければならない。

○ こうした観点から、スポーツを実際に「する人」だけではなく、トップレベルの競技大会やプロスポーツの観戦など、スポーツを「観る人」、そして指導者やスポーツボランティアといったスポーツを「支える(育てる)人」に着目し、人々が生涯にわたってスポーツに親しむことができる環境をハード(施設等)、ソフト(プログラム・指導者等)の両面から整備する。

○ 具体的には、地域における人々のスポーツ機会の確保・充実を図るとともに、豊かなスポーツライフを実現する基礎となる学校体育・運動部活動の充実に取り組む。また、世界で活躍するトップアスリートが安心して競技に専念できる環境の整備や、トップアスリート・指導者・審判員等に対し、必要なサポートを提供する。さらに、国際競技大会の招致・開催を積極的に支援する。

○ 我が国のスポーツの普及及び競技水準の向上において重要な役割を担うスポーツ団体の運営は、スポーツを行うアスリートや指導者等の個人にとって大きな影響がある。また、スポーツ界には、国費はもとより、スポーツ振興基金・スポーツ振興くじ助成など多額の公的な資金が投入されている。スポーツ界にはこれら財源をアスリート等の育成・強化やスポーツの普及のために効果的・効率的に活用する責任と、公的な資金を受給するのにふさわしい団体のガバナンスが求められる。

○ このため、国はスポーツ団体等と連携・協力し、団体のガバナンス強化、紛争解決システムの整備、ドーピング防止活動等を通じて、透明性の高い公平・公正なスポーツ界を実現する。

4.スポーツ立国戦略実現のための国の体制整備と今後の進め方

2.国の総合的なスポーツ行政推進のための組織の在り方

(1)総合的なスポーツ行政体制の検討
 1)現場の視点に立った総合的なスポーツ振興施策を実行するため、関係省庁が相互連携する連絡会議を新設する。
 2)政府の行政組織の検討の中で、「スポーツ庁」等の在り方について検討する。

3.スポーツ基本法などの関連法制の整備

(1)スポーツ基本法の検討
   スポーツ振興法を半世紀ぶりに見直し、新しい政策の拠り所となる「スポーツ基本法」を検討する。

(2)関連法制の見直しの検討
   スポーツ基本法の検討や振興財源の見直し等に伴い、独立行政法人日本スポーツ振興センター法、スポーツ振興投票の実施等に関する法律等についても必要な見直しを行う。 

4.今後の進め方

 今後、本戦略を踏まえ、「スポーツ基本法」等の検討に取り組むとともに、短期的に実現すべき施策については、財政運営戦略を踏まえた平成23年度の概算要求や、スポーツ振興くじ・スポーツ振興基金の助成内容に反映させる。

 また、中長期的に取り組むべき施策については、今後新たに策定するスポーツ振興基本計画において具体的な実施計画を示すこととする。

お問合せ先

スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課

(スポーツ・青少年局スポーツ・青少年企画課)

-- 登録:平成23年07月 --