-ゲ―ム・ビデオ等への対応-
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| ○ | 岡部 昌樹 (金沢星稜大学教授) 金沢星稜大学経済学部ビジネス・コミュニケーション学科教授。 主にメディアやこんピュータ教育に関する研究を行っている。 日本教育メディア学会理事、日本教育工学協会理事、石川県教育工学研究会会長等を務めるとともに、メディアに関する教育書の執筆、講演など幅広い活動を行っている。 |
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| ○ | 飯尾 保富 (石川県レンタルビデオ商業組合理事長) 有限会社太陽インテリア、テープショップアイ代表取締役社長。 石川県青少年健全育成審議会の委員として、県の青少年健全育成施策及び、優良図書等の推奨や有害図書等の指定など調査審議を行っている。 |
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| ○ | 坂谷 由架里 (みらい子育てネット石川役員) 地域における児童福祉の向上を図るため、親子の交流、文化活動や児童の非行防止活動、犯罪の被害から守る活動等を行っている。 |
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| ○ | 竹内 裕之 (金沢市立浅野川中学校教諭) 金沢市教育相談センターの指導主事の頃には、主に不登校等の相談業務や適応指導教室にて、悩みを抱える多くの子どもたちと関わってきた。 現在、その経験を生かし、生徒指導主事として、学校全体の生徒指導計画立案や組織づくり、問題行動への対応等を行っている。 |
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| ○ | 坂元 章 (お茶の水女子大学教授) (略歴は「基調講演」に掲載) |
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| ○ 岡部(コーディネーター) |
| ここにお集まりの皆様だけではなくて、青少年が本当に心身ともに健全に育っていってくれることを願わない人は、誰もいません。しかし、ネット社会では非常に変化の激しい社会現象を伴い、価値が変動し、非常に統一的な見解が出しにくくなっています。そういう中にあって、大人社会がそれぞれの立場を理解して、十分な合意の形成のもとに青少年の育成対応ができている、とは必ずしも言えないのではないでしょうか。現に色々な問題が生じています。今、基調講演の中にも幾つかの事例を紹介していただきました。しかし、私は、ここ1~2年で一番ショッキングだったのは、例えば長崎で起きた、小学校6年生の女の子が引き起こしたと言われている「佐世保事件」です。悲惨な事件で、皆さんも大きなショックを受けられたのではないかと思います。 私の主観ですけれども、やはりインターネット、ネット社会は無秩序なんですね。誰も責任を取ってくれません。どこか中心があるわけでもありません。すぐ目の前に「世界」が存在するという、今まで私たちが経験したことのない社会が日本では、もう10年も前からスタートしています。そういう中で、あの少女は加害者ではありますけれども、私に言わせれば、この無秩序なネット社会の1人の可哀想な犠牲者であると思います。 本日は、副題にあえてゲーム、ビデオを取り上げています。これらは、もう既に1980年代にかなり多くの問題が提起されています。かといって、その問題が時代の変化に十分に対応しながら、適切な規範なり、ルールなり、マナーなり、エチケットなりを確立してきたかというと、必ずしも満足できるものではない、ということは皆さんご存じの通りです。このような新しいメディアに対して、私たちが、どう知的につき合っていけばいいのか、ということについては、まだまだ答えは出ていない、というのが、今の坂元先生の基調講演でも一番主張されたことではないかと思います。 坂元先生の基調講演での事例にもありましたように、今年の春、5月30日に、日本で初めてテレビゲームが有害図書に指定されました。これは、先ほどご紹介ありましたが、神奈川県ですかね。恐らく、条例でテレビゲームが有害図書に指定されたのは、日本で最初ではないかなと。今、次々と各県でそういう動きが出ております。こういうことについても、やはり石川県民として、こういう動向をどう考えていくのか、ということも、非常に差し迫った問題-時を得た話題ではないかな、と思っております。 そこで今日は、パネリストとして立場の異なる方々に登壇していただきます。それぞれお立場が異なりますが、まず保護者の方。次に第一線で教員としてご活躍されている方。それからコンテンツ、つまり内容を提供している業界を代表されるお立場の方。そして、研究者という立場から坂元先生にもパネリストに加わっていただいて、先ほどの講演では十分言い尽くせなかった部分をお話いただければ、と思います。 パネルディスカッションは、大きく2つの内容に分けて進めたいと思います。 前半は、今、このゲームやビデオというものに対して、それぞれのお立場からどういう認識をお持ちなのかということを、先ずお話をしていただきます。 後半は、それに対して、どういう対応をなされているのか、またはしようとされているのか、できれば提義に近いようなものをお話しいただきたいと思います。さらに坂元先生には、それぞれのお立場の方に「さらにこういう方法があるのではないか。」、「もっとこうしてほしい。」というようなことを、研究知見を踏まえてご助言いただければと思いますので、ひとつご協力のほどをよろしくお願いいたします。 最初に、「みらい子育てネット石川」という組織の役員として、また保護者という視点から、坂谷さんに、ひとつ現状をどう認識されておられるのか、ご発言をいただきたいと思います。 |
| ○坂谷 |
| 家、自分の子どもとか友達とか、私の見える範囲内のことですけれども、少しお話しします。 子どもは、やはり家でゲームができないときは、友達の家でゲームをしている、というのが現状だと思います。今の多くの親は忙しくて日中家にいることがほとんどありません。子どもたちは一体どれ位ゲームをしているとか、何をしているということは、ほとんど把握できていないのではないかと思います。もちろん、自分もそうですけれども。我が家では、ほとんどゲームとソフトは買わないようにしています。それでも、どうしてもゲームソフトを買うときには、親が一緒に行って、子どもの選んだものがどういうものかを一度見て、「殺したりとか、そういう危なそうな内容になっているゲームはできるだけ避けて、友達の家でもしないように。」ということだけを、子どもたちに伝えています。 反対にビデオは、「ちょっと危ないかな、怖いところもあるかな。」というものは家族で一緒に見ます。一緒に見て、反対に「これはこうだよね。」ということを小さい下の子どもたちには話をしています。上の子どもたちは、やはり結構大きいので、それぞれ考えて思ったことを述べますし、そうでない場合はもう観ないで行ってしまいます。「親子で観る」ということ位しか家では取り組んでいません。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 坂谷さんは「みらい子育てネット石川」の役員もされているとお聞きしています。その視点からはどうでしょうか。 |
| ○ 坂谷 |
| 「子育てネット」は全国組織で、6年前にメディアチェックを3年間しました。一体、子どもたちがどういうものを観ているのか、ゲームはどういうものがあるのか、雑誌ではどういうものが出ているのか、というものを調べて冊子にして、それを全国の会員に配りました。それで、結構、判ったことは、やはり有害なものが子どもたちの周り、すぐそこにあるということです。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 私は今朝、家を出てくるときに「子育てネット」のことをインターネットでちょっと観てきました。皆さんもこのホームページを機会があったら見ていただければ、と思います。 続きまして、今、学校の現場で悪戦苦闘しておられる、金沢市立浅野川中学校の竹内先生にご発言をお願いします。パネリストの皆さんは、「先生」ですけれども、「さん」という敬称を使わせていただきますのでご了解ください。 竹内さん、ひとつよろしくお願いします。 |
| ○ 竹内 |
| 浅野川中学校の竹内です。私は今、中学校の教員をしています。「よくゲームをしている子、よくビデオを観る子」をどういうふうに捉えているのかと聞かれます。けれども、率直に言いまして、子どもたちがテレビゲームをしているとか、そういったことを状況としては掴んだりはしますけれども、ゲームの中身までは、正直なところ把握していません。把握できていないというのが現状かな、と思っています。 中学校という現場では、日々色々な変化があります。我々教員は、まず一番は、心の教育を大事にしよう。それから、学力をつけようと考えています。そういった中で、一生懸命子どもたちと生活をしています、大勢の中ではいじめ問題もやはりありますし、また不登校の問題も大きく、さらに問題行動に対処もしなければなりません。日々、子どもたちとも一緒に色々な問題を考えていくということが大きなウェイトを占めています。したがって、最初に申し上げましたように、ゲームについては、なかなか本当の様子を掴んでいません。例えば、家庭訪問をして、保護者の方と懇談をするとか、または通知表渡しの際の保護者との懇談の折に、「うちの子はテレビゲームばっかりして困るんです。」とか、それから「子どもがインターネットのネットゲーム、オンラインゲームをやり始めたら、もう親がどれだけ止めなさいと言っても止めない。もう何時間もする、寝る時間も惜しんでやっている、どうしたらいいでしょうか。」というような率直な相談を受けることがあります。 そういうときに、教師は初めて「ああそうか、子どもたちは家ではこういう状況なのか。」というふうに考えて、実際には次の日に、そういう話題について本人と少しは話しをします。しかし、結局は、我々としては「頑張って勉強しよう。」といった単純な言い方で終わってしまう場合が多いかもしれないですね。日々、子どもたちは勉強も一生懸命頑張っていますし、大概の生徒は部活動も頑張っています。だから、平日の話ですけれども、かなり疲れて帰ります。夜7時、遅くなれば7時過ぎになることもあります。家に帰って、学校の勉強もしています。しかし生徒の生活記録を見ると、寝るまでの間にどこか時間を見つけて、例えば男の子だったら、こまめにテレビゲームとかしている、ようです。一方、女の子ではテレビゲームというよりもインターネット、チャットとか、先ほどのオンラインゲームとか、それから掲示板、そういうところで自分の存在感とかというものを求めている子もいる、という話を聞きます。子どもたちも忙しいという現実ではゲームやビデオ等を大きな問題として捉えていない、というのが現実かなと思います。それから、子どもたちの忙しさと言いましたけれども、学校で5月に実施した生活調査、悩み調査の結果をみますと、1年生は、4割の子どもたちが、週に2回ほど「塾にかようか家庭教師がつくと答えています。だから、部活動もして、家庭学習もして、本当に忙しい生活をしているという認識をしています。 それから、ちょっと話し違うかもしれませんけれども、もう1つ、携帯電話について。これは今年の調査ではありませんが、2~3年前で4割の子どもが携帯電話を持っている、と聞いています。従って、最初の話になってしまいますけれども、学校では生徒の日々の生活に対処することに重点を置いています。というか、または問題行動とか、不登校とか、いじめとか、そういったことの未然防止とかが、主に先にきてしまいまして、ゲームに関する調査等は本当に遅れているというのが、現状と捉えていただければいいと思います。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 学校現場が抱えている問題というのは、今日のテーマ、それ以上という表現は失言かもしれませんが山積しているというのが現状だというお話だと思います。 では、今度はいわゆるコンテンツを提供する側ということで、石川県レンタルビデオ商業組合理事長の飯尾さんから、現状認識をお願いいたします。 |
| ○ 飯尾 |
| 今、日本全国のビデオレンタル店で、CDもレンタルしているお店が全店加盟しております「日本コンパクトディスクビデオレンタル商業組合」という団体があります。この組合には、日本全国の有名チェーン店でありますツタヤさんや、他の業者も全て加盟しております。今、私は北陸地区の総代をさせていただいております。 今、ビデオをレンタルするときには、まず身分証明により年齢の確認をしています。そして、コンピューターによる管理が徹底されております。また、商品におきましては、アダルト作品に関しては、区分陳列の徹底がなされています。そして、暴力行為の激しいものでしたら、一部の商品におきましては、18歳未満禁止、15歳未満禁止のシールを張りまして、管理しています。 また、近年は条例によりまして、3分間以上、性的描写のある作品に関しましては、これもアダルトに準ずる、ということが義務づけられてます。 一方、ゲームにおきましては、3年前より業界の自主規制といたしまして、18歳以上対象の商品、15歳以上対象の商品、12歳以上対象の商品、それから全年齢対象の商品という4段階に表示がなされています。ただ、近年、ゲームの内容が非常にエスカレートしていることが問題視されています。これには、理由が2つ挙げられます。 まず初めに、ゲームの売れ行きが近年落ちてきています。そのために、より刺激の強いゲームが創られているんではないかと思います。 もう一つは、初期の頃、「スーパーマリオブラザース」が流行した頃は、ゲームの対象は小学生でありましたけれども、今、その年代が20代、30代に差しかかってきています。そのために、そういった大人向けの刺激の強い商品が創られるようになりました。そして、そういったゲームが子どもたちの手に渡る弊害が、今、指摘されています。こういった現状があります。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 坂元先生には、先ほどの講演で、大変幅の広い視点で貴重な提言をいただきました。それで、もしそれでもまだ説明が不足している部分がありましたら、つけ加えていただく、ということも含めて…。先ほどから今日はビデオとか、ゲームというような切り方ですけれども、それと極めて近いところにあるメディアがいっぱいあるわけで、少しメディアの範囲を広めて、また、そのメディアを通じても、実はそういうコンテンツが流通していますので、そういう視点から、坂元さんにひとつ、付け加えていただければ、と思います。 |
| ○ 坂元 |
| ゲームとビデオの話をずっとさせていただきましたので、もう少し違うことをお話したいんですけれども。ゲームとビデオの問題というのは、基本的に悪影響の問題ですね。要するに、人格を変化させてしまう、子どもの人格を悪い方に変化させていく、そのあたりの懸念なんだと思うんです。 ところが、携帯電話の危険性というのは、ビデオとか、ゲーム以上に、ずっと大きいと思うんですね。それは、人格の悪影響という問題だけではなくて、それ以上の危険があるからですね。ビデオやゲームのようにコンテンツによる影響ということではなくて、携帯電話の場合、相手が人ですので、悪い人は悪いコンテンツよりも怖い。 例えば、「セクシャル・プレデター」(性的搾取者)なんて言われていますけれども、変質的な小児性愛者のような人がいるわけです。そういった人からすると、携帯電話と言うのはすごく便利なツールでして、日本全国から、孤独であったり落ち込んでいる子どもを探せるわけですね。そういう子どもは「落し易い」ので、見つければメールを出すと。従来でしたら、そういう子どもにアクセスしようと思っても、家の固定電話に掛けるしかなかった。掛けても、親が出る。変なおじさんから電話がかかってきて、お宅の娘に取り次いでくれ、なんて言われても、親は絶対に取り次がない、ということが出来たわけですね。しかし今、子どもに直接、携帯電話から連絡が行ってしまうわけですね。まず、この問題が大きい。 それから、ネットでは情報が限られていることから、相手を理想化する、相手のことを良く解釈してしまったりする傾向があるとも言われています。それからネットであれば、他人の目が無いですから、本音で語れる。だから、子どもが本音で語ったとき、それが肯定されてしまうと、その子どもは「この人は本当に自分を支えてくれる人だ。」と思い易いようなことがありまして、他の手段なら絶対に誘い出されないような場合でも、ネットを使うと、子どもは誘い出される、ということがあるんですね。 これは、諸外国ではすごい社会問題化しているわけです。日本では余り表面化していなくて、報道されてきませんでしたけれども、最近、そういうものも出てくるようになっています。こういう話になりますと、子どもの命にまで関わりますので、大変危険なものと言えます。勿論、ゲームやビデオといったものへの対策も必要ですけれども、携帯電話への対策も非常に重要だ、と思います。 最近の携帯電話にはGPS機能があって子ども居場所が判るというので、親が子どもに携帯電話を与えたりとか、また、塾とか、そういうものの連絡用でどんどん携帯電話を与えるわけです。しかし、それには危険がある。携帯電話を与えられたばかりのビギナーがすごく引っかかります。とくに携帯電話を与えるときの教育をきちんとしないといけないですね。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 実は、この話を広めていきますと、ネット社会そのものに根幹的な問題が含まれているということを、段々とご理解いただけると思います。 最近、こういうチャットの事件、あとブログですね。この会場の中にも、非常にたくさんの方がチャットとか、ブログをされていると思います。ですから、そういうものがイコール悪だという、そういう単純な時代ではないといいますか、むしろその中身及びメディア自体が持っている危険性というのは、それは時代とともに減ることはない。そういうことを坂元さんの場合、強調されているんだろうと思います。 ここまでで発言が一巡しまして、それぞれのお立場から、どういうふうにゲーム及びビデオというものを捉えているのか、というお話を伺いました。 次の2巡目は「日々どう諸問題に対して、対応をしているのか。または、これからしようとしているのか、またはしたいと思っているのか。」というあたりの、いわゆる対応について、またお1人ずつからご提議いただきたいと思います。 坂谷さんには、やはり地域活動とか、家庭内といいますか、そういう面での対応として、どういうふうにしていきたいとか、または逆に皆さんに投げかけることでも結構でございますから、ひとつ提言をいただければと思います。 |
| ○ 坂谷 |
| さっき先生のお話の中にジレンマというのがありましたけれども、私の子どもが通っている山代小学校は児童数が850人位の大人数の学校なので、とてもジレンマが大きいです。もうそれを何とか親同士の情報交換で、少しずつでも工夫していって、何とか子どもたちのことをもっと考えていけるような親関係ができれば、また違ってくるのかな、とも思います。 それと、さっき私、知らなかったんですけれども、CEROというシール、確かに何かシールが張ってあるのを見たことはありますが、そういうものだということは全く知りませんでした。早速、「ゲームを購入する場合にはこういうシールを参考にしたらどうか。」ということも、情報提供していきたいと思います。 それと、やはりこれからも親たちが、「みらい子育てネット」だけではなくて、学校、地域で、もっとメディアチェックというものをしっかりしていく必要性があるのではないかな、と思いました。やはり、親とか地域、周りが目を光らせていれば、多少なりとは抑えられていくんではないかな、と思います。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 続きまして竹内さんには、やはり「学校で今後どういうふうな対応がより望まれるのか。」というあたりについて、お話しいただければと思います。 |
| ○ 竹内 |
| 学校での対応、非常に難しい内容だなと思っています、先ほど坂元先生のお話の中で携帯電話の話が少し出てきましたが、我々、学校の教師の内輪での話の中でも、もう「携帯電話を持たせるか、持たせないか。」の論議ではなくて、「どう子どもたちに使い方を指導していくか。」と、そういう時代にもう既になっているんだ、と言って久しくなるんです。けれども、学校現場でそういうことが具体的に形として、携帯電話の使い方とか、インターネットの使い方とか、ゲームにも一貫しているわけですけれども、使い方をどう指導するか具体的に何か知恵を絞って工夫をして方策を、もう出していかないといけない。緊急に迫った課題だ、という認識が必要なんだと、今、考えています。 従って、自分たちの地域の現状の把握、それから、地域だけでなくて、一般的にこういう問題がそこまで来ていない地域であったとしても、今後、子どもたちが巻き込まれるような、どういう危ない可能性があるのか、ということを、あらかじめしっかり勉強して、危険性の認識を高めて、そして今言ったような対処の方法を具体的に考えていかなければならない、と思っています。 そのためにも、今までお話もありましたけれども、子ども、それから保護者、家庭、それと業者または関係団体、関係機関、ちょうど、学校はその中間的な位置にも存在しますし、また直接、子どもとの関わりの場でもあるということですから、その責任もやはり重いなと考えています。従って、相互の家庭、それから業者なり、関係機関との連携や情報交換、そういうことも定期的に行う。そういうことをしながら、一緒に方策を考えていく、ということが大事だなと。いずれにしても、我々大人もそうなんだと思うんですけれども、本当に子どもたちに、色々な情報の中で取捨選択していく力をどうやって身に付けていくか。本当に、それを是非、学校現場としても考えていかなければならないし、考えていきたいと思っています。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 教育に課せられる課題が、もう減ることはないんですね。どんどん増える一方。今のこの課題もまた、学校へ、学校へという期待が高まっています。そういう意味で、もちろん学校が逃げているわけではありませんけれども、先生の限界というものもありますよね。すべてのことに対して、すべてスペシャリスト的に対応できるという、それはなかなか難しいことです。 坂元先生のご講演の中にも、メディア教育が最終的には一番良い方法なんだと。それだけ良い方法と判っているならば、なぜ学校教育はそれに一生懸命に取り組まないのか、というご不満は、当然あろうかと思います。でも、学校は、メディア教育も、それはたくさん要求されている内の1つなわけです。そのままで良いとは決して言っていません。それも含めてやりましょうという力強いご提言なわけですけれども、学校はそれを疎かにしているわけではない、ということのご理解もまたいただきたいと思います。 では、今度は飯尾さんからは、業界として、さらなる対応を今どうしようとされているのか、そういうことについて、またお話を伺いたいと思います。 |
| ○ 飯尾 |
| 私どもの業界では、丁度、明日11月24日に、日本コンパクトディスクビデオレンタル商業組合によります「第6回ホームエンターテインメント産業展」が、東京の青山で開催されます。「青少年問題とショップの対応」ということでシンポジウムが開かれます。パネリストとして、警察庁生活安全局少年課の代表の方、東京都青少年総合対策推進本部の代表の方、社団法人全国少年補導員協会の代表の方を交えまして、ショップの対応が話し合われることとなってます。 今、ビデオの業界としましては、アダルト作品の18歳未満禁止に関しては、かなり守られていると思います。お店によっては、そういった商品を扱わないという自主規制をしているところもあります。これからは、ゲームについても、より一層の対応が求められています。 先月、10月に放映されましたNHKの「クローズアップ現代」でも、丁度、この問題が取り上げられていました。その中で、問題点として、3点が取り上げられました。 1つ目は、ゲームで相手を倒すと褒められる、つまりクリアして、より高いステージに進むことができる。 2番目は、暴力行為に慣れてしまう。 3番目は、そういった暴力行為が日常生活に出やすくなるのではないか。 こういった問題が上げられました。 そして解決策として、やはり3点が取り上げられました。 1番目は、ゲーム機を子どもの部屋に置かない。 2番目は、ゲームソフトの年齢制限を確認する。 3番目は、子どもと一緒に遊ぶ。 であります。 私たち業界におきましても、「損得より先に善悪を考える。」という、昔からの有名な戒めがあります。商業の世界におきましては「損得より先に善悪を考えよ。」であります。これからは、より倫理、道徳に徹した品揃えをしていき、そして自主規制をしっかり守っていくことが重要だと思います。 学校におきましても、家庭におきましても、業界におきましても、より倫理、道徳というものを、これからは重要視していくことが、素晴らしい未来社会をつくっていく上で大切なことだと思います。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 最後に、坂元さんには大変難しい質問をさせていただきます。今、保護者という立場を踏まえて地域でご活躍されている方が大勢おいでです。また、学校は子どもさんをお預かりして教育していくという、非常に大きな比重を占めています。 そして、コンテンツと言われるものですが、情報機器には必ず内容があり、内容のないメディアというのは世の中には存在しません。逆に言うと、メディアがあるということは、そこにコンテンツがある、というわけです。ですから、コンテンツを創られ、販売されている業界の方も重要です。 例えば、以上の三者を想定した場合に、坂元さんには、いわゆる研究者として「この方面にはやはりこういうことを、是非、今後、期待したい。是非お願いしたい。」というものは、必ずあると思うんですね。大変難しい課題を一言で、と言うのは、逆に、非常に大変、失礼な問いかけかもしれませんけれども、皆さんはそれを期待していますので、坂元さんから是非、三者それぞれの立場の方にご注文といいますか、期待といいますか、そういうものを少し語っていただければな、と思います。 |
| ○ 坂元 |
| まず家庭に対してです。ジレンマの話というのをさせていただきました。今、ご指摘もありましたけれども、やはりそれがすごく重要でして、活動を広げていただくといいましょうか、知識の流通といいましょうか、そういう社会教育的なものを広げていただく、ということが非常に重要だと思います。 今回、実際にCEROについて認識していただいたということで、このフォーラムの意味はすごくあったかと思うんですけれども、例えばそういった認識が広がっていくということが重要だと思うんですね。 ちなみに、私、CEROの役員ですけれども、やはり「CEROの活動が知られていないというのは、すごく問題だ。」というのが内部的にすごく言われています。「東京ゲームショー」という、年に1回、多くのゲームマニアが参加する大規模なイベントがあるのですが、そこにやってくる参加者に調査をしても、その3割位しかCEROのことを知らなかった。東京ゲームショーに参加するような人でも、その位しか知らなかったということは、大変問題がある、ということで、もっと広報のための努力をしないといけない、ということが、すごく言われています。こういったことが、広がっていくということが、すごく重要だと思います。 それから、メディアに関する知識や認識を広げる手段ですが、やはり社会教育の場面ですと、それぞれの皆さんが、お仕事や何かで忙しいので、時間がなかなか取れないということがあります。やはりネットの活用は重要だ、と言われています。 それから学校との連携ですね。これが効果的ではないか、とも言われています。例えば、授業や何かでリテラシー教育をやる。それについて、子どもにその資料を持ち帰ってもらって親御さんにコメントを書いてもらって戻してもらう、なんていうことを通じて、全てのご家庭で、そのあたりの知識や認識を持っていただくと効果的ではないか、という議論があります。 それから学校ですけれども、大変困難なことではあるとは思うんですけれども、今、お話もありましたように、やはりリテラシー教育や情報モラル教育というのは、学校の授業があって大いに進んでいくものだ、と思います。ビデオとかテレビゲームとかマスメディアについてのリテラシー教育は、指導要領等で公的に位置付けられているものではありません。かなり努力をしないとできない話だと思いますが、それを色々な工夫で進めていただいて、さらには家庭への啓蒙もしていただきたい。さらには業者とかNPOと連携をして、専門性を持った授業を提供していただきたい。家庭でも、専門性のあるリテラシー教育は、どうしても難しいわけですね。やはり家庭では「これはいけません、あれはいけません。」とか、そういう御法度的なものにしかなかなかなり得ないわけですね。学校では、さらに一歩進んで「なぜそれがいけないのか。どういうメディアの性質から、そういう問題が生じてくるのか。」という理論まで、やはり教育することが必要だろうと思うんです。そのためには、かなり踏み込んだ取り組みが必要なんだと思うんですけれども。大変なことだとは思いますけれども、望まれることではあろうか、と思うわけです。 それから、業界ということで。自主的な取り組みで、ビデオはもとよりゲームまでやっていかれるということで、それは大変心強い話だ、と思うんですね。自主規制、自主的な取り組みで済めば、法規制ということにならずに済んで、それでいければ、それが一番良いわけだ、と思うんですね。テレビゲーム業界の方では、実はこれまで区分陳列など販売業者にお願いをしても、テレビゲーム業界の努力も足りなかった面もあろうかとは思うのですが、なかなか受け入れられなかった面もありまして、むしろ販売業界の方が積極的に取り組んでくださるというのは、大変心強くて、それをぜひ進めていただければ、と思うんですね。あとは、教育活動に専門性を発揮していただいて、そのための連携をとっていただければ、それも大変望まれるところなのかな、と思うわけです。 テレビやテレビゲーム、携帯電話、全てのメディアについて言えることですけれども、今後、ますますメディアが強くなるんですね。弱くなることはあり得ない。ですから、その取組も、より真剣に、より本格的に考えなければいけない、ということになるわけです。今回の石川フォーラムもそうした契機として役に立つものであるとすれば、大変にそれは素晴らしいことである、と思います。 それから、最後に1つだけ申し上げたいんですが、今回はこういうメディアの影の部分ですね、悪影響問題を扱っていますから、メディアの悪いところばかりを問題にしてまいりました。しかし、当然ですけれどもメディアには良い面があるわけです。だからこそ、メディアは普及もしているわけでして、そちらを忘れてはいけないと思うんですね。単に問題があるからといって、それに背を向けてしまう、単純にそれを遠ざけてしまうと、そのメリットも活かせない、ということになりますから、メリットを活かしながら、悪影響にも対応しなければいけないと、この視点を忘れてはいけないんだと思います。単純な解決というはあり得ないと思います。 |
| ○ 岡部(コーディネーター) |
| 今の坂元さんのお話は、まさに今日のフォーラムのまとめのようなものです。もう、改めて私がまとめる理由はないように思います。一言、私の感想を言って、このパネルディスカッションを締めたいと思います。 カナダの有名な社会学者で、マクルハンという人が、こういう格言を言っています。「メディアは身体の拡張である。」と。皆さん、ほとんどの方、ここで携帯電話をお持ちだと思います。なぜ、携帯電話をお持ちなんですか。それは、人間の飽くなき身体の拡張の結果です。固定電話だけでは満足できないんです。いつでも人とおしゃべりがしたい、いつでも人とコンタクトを取りたい、色々な人間の要求が、人間自身が本来持っている身体を拡張したわけです。 技術は決して滞まることはありません。そして、その技術は必ず新しいコンテンツを、その技術にふさわしいコンテンツを乗せなければ、その技術を活かしたことにはなりません。そのコンテンツの中に、今、問題になっている暴力の問題であるとか、残虐なシーンとか、こういうものが付随していく。これも、私たちが持っている「身体を拡張したい。」という極めて動物的な欲求から根源的には発生しているといえます。 従来、私たちはステレオタイプという、ちょっと難しい言葉ですけれども、いわゆるお決まり文句ともいいますけれども、それでもって子どもを指導することができたんです。例えば「ゲームばかりしていたら!」という台詞をきっと使ったことあると思うんです。「いつまでテレビ観ているの!」、「いつまでだらだらビデオ観ているの!」、そしてその後、また決まり文句で「そんな時間あったら勉強しなさい!」。このパターンは長らく続いてきました。少なくとも、日本にテレビというものが昭和28年に導入されて以来、メディアの接触時間というのは、実は長い調査結果が出ておりますけれども、ほとんど変わっていません。 例えば、昭和60年代、高度経済成長期、やはりメディア接触は、今の中学生も大人も、一日当たり、ほぼ2.5時間と言うのが日本人の平均です。今も、新しい調査でも2.5時間です。だけれども、接触している内容や刺激度は、少なくとも私たちのような50代と、今の10代の子どもたちとは違います。すから、従来の決まり文句、いわゆるステレオタイプだけでは通用しない多様な価値、世代間ギャップが生まれています。大人同士でも価値が多様化しています。そういう中で、少なくともステレオタイプというのは、教育的には何の役にも立たない。非常に変化の激しい時代の中にあって、坂元先生は「メディアリテラシー」という言葉を使われました。これは教育専門用語です。私は、メディアと知的につき合うことだと思います。メディアを避けて、この世の中でどこかの小島で1人で暮らす、そんなことはほとんどの人は望んでいないと思います。 ですから、メディアと知的につき合うという方法を、これは大人も子どもも、そして両者を交えてお互いに学び合う時代が来たと。少なくとも日本は、私の見る限り、ヨーロッパやアメリカと比較して、そのことを大人も子どもも相互に学習する機会が遥かに少ないようです。間違いなく、欧米の方がこの分野に関しては大人も真剣に取り組んでいますし、子どもたちも取り組んでいます。両者でも取り組んでいます。そういう意味で、私は、新しい教育の時代に入ったと感じています。今回のフォーラムを通して、私たち自身がどうしたらメディアを知的につき合えるのか、ということを、色々な立場の人の意見を聞きながら、自らにもその判断が迫られているんだと、つくづく感じました。 これでパネルディスカッションを閉じたいと思います。 |
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