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第3章 子どもとテレビゲームのより良い関係のために 5 各委員からの提言

5 各委員からの提言

赤堀委員(座長)】
 テレビゲームを含めたメディアが、子どもの成長に多大な影響を与えている時代は、これまで経験していない。家庭での人間関係、学校や地域での人間関係など、コミュニケーションの希薄さが、このようなバーチャル環境に埋没する背景と考えられる。豊かなコミュニケーションを復活する、コミュニティの在り方についての調査研究会を設置する必要がある。また、地域住民が、これまで他人の子どもには遠慮していた傾向があるが、今後は積極的に声をかけるなど、人と人のふれあいを大切にする、コミュニケーション運動を展開する必要がある。さらに、家庭においては、親子の会話、挨拶などを奨励するような家庭教育の推進を展開する必要がある。

石川委員】
 これからの時代、テレビゲームを避けて通る事はできない。テレビゲームが子どもの身体にどのような影響があるのか科学的な研究をして信頼性のあるレーティング・システムの確立をする必要がある。また、その運用のための中立的な第三者機関の設置が重要と考える。保護者も積極的に家庭・地域・学校・NPO等の活動に参加をして取り組む必要がある。その上で、業界がレーティング・システムに準じてテレビゲームの制作・販売・レンタルを実施すれば、保護者として疑似体験に目を向けがちな子どもとのコミュニケーションを取り戻すことができるのではないかと考える。

猪股委員】
 「法規制」や「自主規制」などルールに基づく環境づくりはもちろん不可欠だが、「自ら学び、考え、問題を解決する」そんな力強い子どもを育てる人間づくり(教育)はそれ以上に重要である。情報化社会に生きる子どもたちにとって、メディア・リテラシーは自らの主体性やアイデンティティを確立し、豊かな心を育むためのコミュニケーション技能とも言える。「子どもを有害情報から守る」という視点のみならず「子どもの健やかな成長を支援する」という視点をも含めて社会全体で幅広く議論し、子どもを中心とした様々な取組を展開していくことが必要である。その大きな原動力となるのが家庭だと信じている。

後藤委員】
 テレビゲームは、コンテンツに関しては、作り手とテレビゲームを行う子どもだけが情報を持っているという他のメディアとは異なる特徴を有している。親はコンテンツの確認を自ら行うことができず、レーティングに代表される第3者が提供する情報に頼らざるを得ない。そのため、レーティングの適正が重要となってくる。しかし、それだけでは不十分である。コンテンツ情報を共有しているのが、子どもであるという点をテレビゲーム制作者は十分留意しなければならない。大人は、子どもの成長発達を保障する責任がある。子どもの成長発達にとって、自らが制作しているゲームがどのような影響を与えるのかについて、常に自問しなければならない。また、テレビゲーム業界も、子どもを単なる消費者として見るのではなく、業界として子どもの成長発達を保障するための最大限の努力を常に怠ることがないようにしなければならない。ただ、これらの点については、市場原理が支配する業界に自主規制を期待することはかなり困難であるから、子どもが夢中になるエンターテインメントを提供する場合に、その制作者に十分な教育・研修の実施を雇用者に義務づけるといった形の法整備も必要であろう。

坂元委員】
 今後、テレビゲームは技術的にますます高度化し、強力になり、そのため、子どもとテレビゲームの問題は、社会問題としてさらに重要なものになっていくと考えられる。これはもはや誰もが当事者であって、多くの人がこの問題に関心を持ち、その構造や本質を深く理解して、問題に関する議論や、それに対する取組に参加していくことが望まれよう。現在、こうした議論や取組を促すための方策が強く求められているように思う。

佐々木委員】
 メディアは我々を未知の世界に導き、様々な可能性を広げてくれるという点では大変優れているが、疑似(バーチャル)体験だけで終わらせてはならない。メディアを通して疑似体験をさせることで子どもたちを惹きつけたら、さらに子どもたちを本物の世界に導き、実体験に基づいた判断能力を育てる教育を行う必要があると考えられる。また、メディアを利用したコミュニケーションは、魅力的な方法で、多量の情報を即時的に伝えることができるが、例えば、じっくりとお互いの意見を調整するなど、質の高いコミュニケーションの訓練が必要なことも忘れてはならない。学校や家庭、そして地域で、生身の人間同士のコミュニケーション能力を育てる教育が必要である。

橋元委員】
 親や学校の先生は、子どものメディア環境の現状について知らなさすぎる。子どもが、日々どのようなテレビゲームをしているのか、携帯やインターネットでどのようなサイトを見ているのか、その概要は把握しておく必要がある。そのために、親自身がメディアにもっと関心を抱き、子どもとの会話でも積極的に話題に取り上げるべきだ。メディアの影響云々以前に、どのような情報でも分かち合えるような家庭環境を構成すべきだ。

渡邊委員】
 青少年を有害環境から守るためには情報の「送り手」と「受け手」双方を勘案する必要がある。しかし、これまでの対策は主に「送り手」についてであり「受け手」側への対策はあまりされていなかったようである。昨今これだけ情報が氾濫していると「送り手」のコントロールには限りがあり、それだけに頼ることは片手落ちと言えよう。「受け手」側の対策が重要な所以である。そのポイントは「受け手に対するある種の免疫の付与」と「情報を取捨選択する能力の涵養」であろう。これらの対策なしには大きな成果は望めないものと認識し、その推進を図ることにつき提言するものである。