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「子どもとテレビゲーム」に関するNPO等についての調査研究-米国を中心に-
> 第3章 子どもとテレビゲームのより良い関係のために 2 自主規制システムの充実
第3章 子どもとテレビゲームのより良い関係のために 2 自主規制システムの充実
2 自主規制システムの充実
(1)
業界の取組の充実
テレビゲームのレーティングの周知徹底や、販売店等においてはレーティングに基づいた販売等を行うなど、テレビゲーム業界は自主規制の取組を一層充実する必要がある。
また、ソフトウェア制作者等に対し、テレビゲームが子どもに与える影響について教育を行い、子どもにとってより有益なソフトウェアの提供を心がけるべきである。
○
我が国のレーティング・システムがうまく機能し、かつ信頼性のあるものとなるよう、テレビゲーム業界においては、自主規制の取組を一層充実する必要がある。具体的には、レーティングについて、保護者をはじめとする消費者への周知を徹底し、それが十分に活用されるようにすること、さらに、販売店やレンタル店においてはレーティングに配慮した販売や賃貸が行われることが重要である。
○
テレビゲームは子どもの娯楽として今後もかなりの地位を占めることが予想される。したがって、テレビゲーム業界は、子どもを消費者としてのみ考えるのではなく、子どもの成長発達に責任があることを自覚し、子どもとテレビゲームのより良い関係を構築するための取組を積極的に推進する必要がある。テレビゲーム業界は、ソフトウェア制作者に対して、子どもへのテレビゲームの影響について教育を行い、子どもにとってより有益なソフトウェアの提供を心がける必要がある。また、産業界では「エンターテインメント・コンテンツ産業の振興」をテーマに提言をまとめたところであるが、業界としてコンテンツ産業の振興に当たっての課題として、「青少年に対する影響」も取り上げることが望まれる。さらに、子どもを取り巻くあらゆるエンターテインメント業界が、商売の話ではなく子どもを育てるという観点から、情報交換する場も必要である。
【参考】米国の事例
【
エンターテインメントソフトウェア協会】
・
保護者にレーティングを理解してもらうよう、PTAに働きかけたり、広報活動のための資金を投入している。(69ページ参照)
・
小売店に対する教育啓発キャンペーンを行っている。例えば、30秒のパブリックサービス・アナウンスメントを著名人を起用して制作し、ゲーム店にゲームデモを送付する際に添付している。(78ページ参照)
【
米国任天堂】
・
ホームページを通じ、レーティングに関する教育・啓発活動を実施している。親を対象としたページを独立して設け、子どもとテレビゲームに関する様々な情報提供及びアドバイスを行っている。(76ページ参照)
・
ゲーム業界では、数百万ドルを投入して、「
Please Read the Label
(ラベルを読もう)運動」を行っている。(78ページ参照)
(2)
業界への働きかけ
テレビゲームの問題点・改善すべき点などについて、テレビゲーム業界への働きかけを積極的に行う必要がある。
○
暴力的な表現のあるテレビゲームの内容を紹介しその危険性に警鐘を鳴らすビデオを制作・配付し、保護者たちの啓発に努めているMAVIAのようなNPOの活動は極めて重要である。これらの活動によって保護者の認識を高め、問題が大きい場合には、これらの組織が中心となって、一つの世論として社会に働きかけ、テレビゲーム業界に販売自粛を求めるようなシステムを作り上げることが重要である。
○
米国においては、子どもが大人用のゲームソフトを実際に買うことができるというデータを示しながら、ソフトを販売する時点での問題を指摘し、テレビゲーム業界に対応を迫っている。日本においても同様の問題があるので、具体的な対応が必要だと考えられる。また、子どもたちがどのようなテレビゲームで遊んでいるか、それについて保護者がどのような認識を有しているかについて、全国的なアンケート調査等を実施することも重要である。
○
メディアがテレビゲームを中心に動いており、人気のある漫画や映画をゲーム化することが多い。したがって、テレビゲーム業界だけに自主規制を働きかけても効果が上がりにくい。テレビゲームに限らず、広く業界に自主規制について働きかけをする必要がある。
【参考】米国の事例
【
NIMF】
・
他の機関とともに、テレビゲームでの女性に対する暴力に反対する社会運動を行っている。(42~43ページ参照)
【
MAVIA】
・
「M」に格付けされたテレビゲームの内容を紹介しその危険性に警鐘を鳴らすビデオを制作し、配付している。さらに、このようなゲームが子どもの手に渡ることを保護者やPTAが中心となって止めさせるための活動を、ワシントン州からスタートして全米に広げようとしている。(49~50ページ参照)
【
連邦取引委員会】
・
暴力的な内容を含むテレビゲーム等が未成年にどのように販売されているかマーケティング調査を実施し、その調査をもとに、各業界に対し、自主規制を改善するよう提案した。(95~97ページ参照)
【
米国議会】
・
米国議会は、テレビゲームを制作することの社会的責任について業界の意識を高めるため、過去数回公聴会を開催している。(90ページ参照)
(3)
評価の実施
コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)のレーティングの評価や、独自のテレビゲームの評価を、NPO等の第三者が行うことが重要である。
○
テレビゲーム業界における自主規制の充実を促進するためには、自主規制が効果的に機能しているかどうか第三者が評価することが重要である。このため、例えば、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)が行うレーティングの評価や、販売店における販売実態など自主規制が効果的に機能しているかどうかの評価を、NPO等の第三者がすることも望まれる。
○
米国においては、NIMF(
National Institute on Media and the Family
)が独自に行っているテレビゲームのレーティングが好評で機能していた。CEROが行うレーティング以外にも、NPO等の第三者が独自にテレビゲームの評価を行うことも有益である。
【参考】米国の事例
【
NIMF】
・
主要なテレビゲーム、テレビ番組、映画作品のそれぞれについて、NIMF独自のレーティングを提示している。また、NIMFによる評価以外にも、ウェブサイトの閲覧者や、評価者のうち特にNIMFが資格を認めた者(
SuperRaters
)による評価もウェブサイトに掲載している。(40ページ参照)
・
NIMFは、テレビゲーム業界の取組について、レーティングの正確性・教育・遵守の観点から評価する、テレビゲーム成績表(
Media Wise Video Game Report Card
)を毎年公表している。(42ページ参照)
【
連邦取引委員会】
・
保護者に対し、業界のレーティングのほか、NIMF等のNPOのレーティング情報も参考とするよう薦めている。(97ページ参照)
(4)
法規制
自主規制の効果如何によっては法規制が検討される可能性についても視野に入れた対応を行うことが必要である。
○
米国のいくつかの州では、暴力的な描写を含むテレビゲームが17歳未満の子どもに販売されているという状況を改善するため、販売に関する規制を法制化しているところがある。表現の自由との関係で施行されてはいないが、自主規制の不十分さが法規制を導くことを念頭においておく必要がある。
○
我が国における自主規制はまだ開始されたところであり、法規制が必要であると断言できる段階にはないが、自主規制が十分に機能しなければ法規制の必要性についても検討されるので、業界においては、良質な自主規制システムの充実に一層努める必要がある。
【参考】米国の事例
【
ジョー・バーカ下院議員事務所】
・
バーカ議員は、2002年5月、性や暴力の内容を含むゲームを未成年に販売・賃貸する者を罰する「テレビゲームの性や暴力から子どもを守る法案」を下院に提出。同法案は、憲法修正第一条の表現の自由との関連で通らなかったため、2003年2月に内容を一部見直した法案を再提出している。(82~83ページ参照)
【
ワシントン州】
・
ワシントン州においては、17歳未満の年少者に暴力的な描写を含むゲームを販売・賃貸した業者に対し、最高500ドルの罰金を科すことができるという州法が成立している。同法に対しては、米国のゲームメーカーや小売業者などの団体が、憲法修正第一条で保障された表現の自由を侵害するとして違憲訴訟を起こし、連邦地裁が同法の施行差し止めを命じている。(36~37ページ参照)
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