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第3章 子どもとテレビゲームのより良い関係のために

 テレビゲームが子どもに与える影響については、暴力性、視力、体力など様々な面で懸念されており、これに対する対処が大きな課題となっている。他方、テレビゲームは今や子どもの主要な娯楽であり、さらには教育等に活用することによる有用性があることも指摘されている
 したがって、子どもへの悪影響の懸念のみを強調して、単純にテレビゲームを子どもから遠ざければ良いものではなく、また、現実的ではない。子どもがテレビゲームとうまく付き合っていけるよう、幅広い取組を社会全体で進める必要がある。
 このためには、社会を構成する一人一人が、この問題について認識を持ち、それぞれの立場において取り組むことが重要である。
 本協力者会議では、子どもとテレビゲームの現状、米国での調査結果を踏まえ、我が国において、子どもとテレビゲームのより良い関係を構築するために取り組むことが必要とされる事項について議論を重ね、協力者会議としての提言をまとめた。提言の項目は、次の事項である。

   1  テレビゲームに関する教育・啓発の充実
(1)  メディア・リテラシー教育の充実
(2)  保護者の認識の向上と取組の促進
(3)  啓発活動の実施
2  自主規制システムの充実
(1)  業界の取組の充実
(2)  業界への働きかけ
(3)  評価の実施
(4)  法規制
3  テレビゲームに関する研究・開発の促進
(1)  子どもとテレビゲームに関する研究の推進
(2)  有益なテレビゲームの開発の推進
4  家庭・学校・業界・NPO等が連携した取組
(1)  家庭・学校・業界・NPO等の連携
(2)  NPO等の活動の促進

 以下、提言の具体的内容について記述する。(なお、提言とともに、米国調査で得られた事例のうち同提言に関連するものを、参考として併せて記述した。)

1 テレビゲームに関する教育・啓発の充実

(1)    メディア・リテラシー教育の充実

   青少年育成の観点から、悪影響の緩和を中心とした、テレビゲームに関するメディア・リテラシー教育を充実する必要がある。

 青少年育成の観点から、悪影響の緩和を中心とした、テレビゲームに関するメディア・リテラシ-教育の充実が必要である。具体的には、テレビゲーム上のバーチャルな世界と現実世界とを区別できる力を育成すること、テレビゲーム上の情報を批判的に読み解く力を育成すること、テレビゲームの功罪を自ら認識し、適切にテレビゲームを選択し、利用する時間を自制できる力を育成することなどである。このようなメディア・リテラシー教育を推進するため、教材の開発、指導者の育成、家庭・学校・地域における教育の機会の充実などが必要である。特に、メディア・リテラシー教育に関わる学校の教員の指導力の向上の問題や、保護者や教材の開発者などがその内容に不案内であるという問題があり、それを克服する工夫が必要である。
 テレビゲームは魅力度が高く、子どもは容易にテレビゲームの虜になってしまう可能性があることや、小さい子どもほど無防備で影響を受けやすいことなどを考慮すると、テレビゲームに関してはできるだけ年齢の早い時期からのメディア・リテラシ-教育を充実する必要があると考えられる。
 なお、このメディア・リテラシー教育は、テレビゲームの悪影響の緩和にとどまらず、テレビゲームを通じた現代社会の理解、科学技術への関心、子どもが「人間」と「人間」との生身のコミュニケーションを大切にしたり、相手の立場に立って考えたり、共感したり、子ども自身が主体性をもって物事を判断したりする能力の育成などの観点を重視することも重要である。

【参考】米国の事例
NIMF】
ウェブサイトなどを通じ、子どものメディア使用の影響等に関する学術研究の知見を、保護者や教育者などに情報提供している。(40ページ参照)
ウェブサイトなどを通じ、子どもや親がメディアにどのように接触したらよいかについて、具体的なガイドラインを示している。(40ページ参照)
メディアの影響に関する研究知見、悪影響に対する取組の仕方、メディアに対する意識や知識を自己診断するテストなどをまとめた本、ビデオテープ、オーディオテープ、リーフレット、学校用の教材、教員用のガイドブックなどの多くの教育ツールを開発している。(41ページ参照)

MAVIA】
子どもや保護者に対し、様々な教育プログラムを提供している。(49ページ参照)子どもや保護者に対し、様々な教育プログラムを提供している。(49ページ参照)

メディアスコープ】
テレビゲームに関する200以上の調査データを紹介する出版物を作成している。(55~59ページ参照)

(2)    保護者の認識の向上と取組の促進

   保護者は、子どもが楽しんでいるテレビゲームの内容を十分に把握していない。
   保護者に対し、テレビゲームの現状についての情報提供を行い、認識を高め、取組を促す必要がある。
   また、保護者の相談窓口を設けるなどの支援を行う必要がある。

 テレビゲームの最大の問題は、保護者がその実状を知らないという点である。テレビゲームは魅力度が高いので、子どもは容易にテレビゲームの虜になってしまう可能性が高く、子どもをテレビゲームの悪影響から守るためには、保護者の協力が必要である。したがって、保護者がテレビゲームの現状を認識し、問題意識を持つとともに、テレビゲームが子どもに与える影響についての学術研究成果についてもある程度の知識を持つべきである。
 このため、保護者に対して、テレビゲームの現状やテレビゲームが子どもに与える影響等について情報提供を行い、保護者の認識を高め、取組を促す必要がある。例えば、暴力的な表現のあるテレビゲームの内容を紹介しその危険性に警鐘を鳴らすビデオを制作・配付し、保護者たちの啓発に努めているMAVIA(Mothers Against Violence in America)のようなNPOの活動は極めて重要である。
 ゲームの購入も低年齢化しており、母親学級での啓発活動など、幼少期のころから、保護者に対する啓発活動を実施する必要がある。
 保護者がテレビゲームに関して不満を持ったとしても、保護者だけでそれを解決するには非力であり、その問題を相談できる窓口が必要である。したがって、業界団体をはじめとする関係機関においては、保護者がゲームソフトに関して不安を感じたときに、適切な指導・助言を行えるような相談窓口を設けることが望まれる。
 また、テレビゲームの特殊性として、その内容を容易には確認できないという点がある。このため、保護者がテレビゲームの内容を把握することができるよう、業界団体と保護者団体が協力して、保護者がテレビゲームの内容を容易に確認できるような仕組みづくりをすることが望まれる。例えば、業界団体又は第三者機関が、ホームページ上でテレビゲームの内容を検証・確認できるサイトを作り、全国の保護者が確認できるようにするとともに、生の意見を集め公表をすることが考えられる。また、コンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)の審査委員に保護者を積極的に登用することも有益である。

【参考】米国の事例
NIMF】
ウェブサイトなどを通じ、子どものメディア使用の影響等に関する学術研究の知見を、保護者や教育者などに情報提供している。(40ページ参照)
ウェブサイトなどを通じ、子どもや親がメディアにどのように接触したらよいかについて、具体的なガイドラインを示している。(40ページ参照)
主要なテレビゲーム、テレビ番組、映画作品のそれぞれについて、NIMF独自のレーティングを提示している。また、NIMFによる評価以外にも、ウェブサイトの閲覧者や、評価者のうち特にNIMFが資格を認めた者(SuperRaters)による評価もウェブサイトに掲載している。(40ページ参照)
ウェブサイトのほか、eNewseAlertという電子メールニュースを出し、新しい社会的動きや研究知見について情報提供をしている。(41ページ参照)

MAVIA】
「M」に格付けされたテレビゲームの内容を紹介しその危険性に警鐘を鳴らすビデオを制作し、配付している。さらに、このようなゲームが子どもの手に渡ることを保護者やPTAが中心となって止めさせるための活動を、ワシントン州からスタートして全米に広げようとしている。(49~50ページ参照)
テレビゲームについて保護者がほとんど理解していないことが問題である。また、保護者は、レーティングだけでなくコンテンツも知る必要がある。(50ページ参照)

メディアスコープ】
テレビゲームに関する200以上の調査データを紹介する出版物を作成している。(55~59ページ参照)

エンターテインメントソフトウェア協会】
保護者にレーティングを理解してもらうよう、PTAに働きかけたり、広報活動のための資金を投入している。(69ページ参照)

米国任天堂】
ホームページを通じ、レーティングに関する教育・啓発活動を実施している。保護者を対象としたページを独立して設け、子どもとテレビゲームに関する様々な情報提供及びアドバイスを行っている。(76ページ参照)
ゲーム業界では、数百万ドルを投入して、「Please Read the Label(ラベルを読もう)運動」を行っている。(78ページ参照)
保護者がレーティングを有効なツールとして利用できるよう、消費者の教育に力を入れている。(78ページ参照)

ジョゼフ・リーバマン上院議員事務所】
保護者は、メディアと子どもの関係、特に善悪的な価値観の形成過程を含めた直接的な影響を理解する必要がある。保護者は、子どもを守る最初で最後の砦である。政府や業界がどんな努力をするよりも効果的に子どもを守れるはずだ。(89ページ参照)

連邦取引委員会】
保護者に対する広報啓発を実施している。保護者に対しては、業界のレーティングのほか、NIMF等のNPOのレーティング情報も参考とするよう薦めている。(97ページ参照)

(3)    啓発活動の実施

   テレビゲームが子どもに与える影響についての社会的意識を高めるため、幅広い啓発活動を行う必要がある。

 テレビゲームが子どもに与える影響についての社会的意識を高めるため、全国的なキャンペーンなど、幅広い啓発活動を行う必要がある。
 例えば、テレビゲームについて親子が話し合う場を持つ運動などをNPOなどが中心にして広く展開することや、「子どもとテレビゲーム」についてのシンポジウムを開催し、この問題の重要性について市民の意識を喚起することなどが考えられる。

【参考】米国の事例
NIMF】
コミュニティの指導者などに対して、講演会やワークショップを行っている。(41ページ参照)
子どもとメディアを巡る問題について意識や関心を高めるためのキャンペーンを行っている。例えば、コピーを作成して、出版物、テレビの広告、ウェブサイトにおいてキャンペーンを行っている。(41~42ページ参照)

MAVIA】
エンターテインメントソフトウェア協会と協力して、保護者の教育キャンペーンを行っている。(50ページ参照)

米国任天堂】
ゲーム業界では、数百万ドルを投入して、「Please Read the Label(ラベルを読もう)運動」を行っている。(78ページ参照)

ジョゼフ・リーバマン上院議員事務所】
リーバマン議員は、5人の研究者を招いてフォーラムを行った。(91ページ参照)