総合型地域スポーツクラブ育成マニュアル 3-8 クラブ何でも相談室

Q12 総合型地域スポーツクラブを育成することは、民間の商業スポーツクラブと競合することになりませんか。

 A スポーツはそもそも各人の自発的意志に基づいて行われる活動です。スポーツクラブは、そうしたスポーツを愛好する人たちが集まり、規約など一定の規範のもとにスポーツ活動を行うとともに、会員相互の親睦を深める社交的な団体と言えます。総合型地域スポーツクラブは、地域の多様な人々が参加し、様々なスポーツ活動を行うことのできるクラブであり、その運営は会費を主要な財源として自主的・主体的に行われるものです。
 一方、民間の商業スポーツクラブは、対価を得て営業としてスポーツサービスを提供するものです。両者の大きな違いは、第1に、前者は地域住民が主体的に組織し運営するものであることに対して、後者は対価を支払いスポーツサービスを顧客として受け取るという関係です。第2に、前者は都市部でも地方でも地域住民の合意が形成されればクラブを創立することができますが、後者は営業として成立するためには、立地が一般的に都市部に限られることがあります。第3に、前者の活動拠点は、学校体育施設や公共スポーツ施設が中心となり屋外、屋内スポーツ両方のスポーツ活動が可能ですが、後者は都市部という立地上の制約から屋内スポーツが中心となることが挙げられます。
 今後、スポーツ振興基本計画に掲げられた成人の週1回以上のスポーツ実施率を2人に1人という目標の達成、このための総合型地域スポーツクラブの全国市区町村への展開によってスポーツ実施人口の飛躍的な増大が見込まれます。こうした中で、総合型地域スポーツクラブと民間の商業スポーツクラブがそれぞれの特色を発揮し、また相互の活動を補完しつつ連携・協力する事が望まれます。例えば、民間の商業スポーツクラブは、総合型地域スポーツクラブに活動の場を提供したり、スポーツ指導者の派遣を行ったりする事が考えられます。また、総合型地域スポーツクラブの活動に参加する人たちの中には、時間的な制約からより柔軟な活動時間やさらにきめ細かいプログラムの提供や指導など高質なスポーツサービスを求める人たちもいるでしょう。こうした場合には、民間の商業スポーツクラブがその活動の場として期待されます。このように、総合型地域スポーツクラブと民間スポーツクラブがそれぞれ特色を発揮し連携・協力して、地域における生涯スポーツの推進に寄与することが期待されます。
 実際に、町内の民間の商業スポーツクラブと以下のような連携をして、町民へ幅広いサービスを提供している総合型地域スポーツクラブもあります。

  • 民間の商業スポーツクラブからの総合型地域スポーツクラブへのスポーツ指導者の派遣
  • 総合型地域スポーツクラブへの入会者には、民間の商業スポーツクラブの年間数回の無料体験を提供
  • 総合型地域スポーツクラブで実施した健康・体力相談に基づき、民間の商業スポーツクラブにおいて運動実践を実施

 また、広域スポーツセンターの職員を民間の商業スポーツクラブから招へいし、民間のノウハウを活かした育成モデル事業に取り組んでいるところもあります。

お問合せ先

スポーツ・青少年局生涯スポーツ課

(スポーツ・青少年局生涯スポーツ課)

-- 登録:平成21年以前 --