3. 3.競技力向上方策の充実

 我が国の競技力向上に対する取り組みは、財団法人日本オリンピック委員会(JOC)を中心に財団法人日本体育協会(日体協)及び各競技団体(NF)等が連携を図りながら進めています。
 文部科学省においても、スポーツ振興基本計画(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます(※報道発表へリンク)に基づき、平成15年度から「世界で活躍するトップレベル競技者の育成-ニッポン復活プロジェクト-」として、以下の競技力向上方策を充実し展開しています。

1国際競技力向上のための拠点整備

ナショナルトレーニングセンター(NTC)の整備

  スポーツ振興基本計画(※国立国会図書館ホームページへリンク)別ウィンドウで開きます(※報道発表へリンク)では、我が国におけるトップレベル競技者の国際競技力の総合的な向上を図るため、ナショナルレベルのトレーニング拠点の整備の必要性が示されました。
 文部科学省では、本計画に基づき、ナショナルレベルのトレーニング拠点の整備に向けて外部有識者による協力者会議を設け、検討を行いました。
 NTCの屋外トレーニング施設は、平成18年12月に完成し、平成19年1月からトップレベルの競技者のトレーニングに使用されています。屋内トレーニング施設、室内テニスコート及びアスリートビレッジは、平成20年8月の北京オリンピックの直前合宿などのトレーニングに使用できるように、平成19年12月に竣工し、平成20年1月から供用を開始しました。

ナショナルトレーニングセンター全景

ナショナルトレーニングセンター(NTC)施設概要

 NTCは、トップレベル競技者が同一の活動拠点で、集中的・継続的にトレーニング・強化活動を行うための拠点施設です。
 施設は、各競技毎の専用競技場を備えた屋内トレーニングセンター、陸上競技を中心とした陸上トレーニング場、屋内テニスコート及びアスリートビレッジ(宿泊施設)からなり、隣接する既存施設(国立スポーツ科学センター、西が丘サッカー場等)と連携を図ることにより、スポーツ科学・医学・情報を取り入れた効果的なトレーニングを行うことができ、我が国のナショナルレベルのトレーニング施設としての役割を担うものです。

○屋内トレーニングセンター

 屋内トレーニングセンターは、地下1階、地上3階からなり、国際競技ルールに対応した競技毎の専用の練習場(バレーボール、バスケットボール、ハンドボール、バドミントン、卓球、柔道、体操、レスリング、ウエイトリフティング、ボクシング)、共用で利用できる共用コート、ウエイトトレーニング室、25メートルプール、研修室及びコーチが情報交換を行うコーチ室等の施設で構成されます。
 また、厳しいトレーニングを行うトップレベル競技者のメンタル面への配慮として、安らぎの場としてのリラックス・リフレッシュスペースを十分に確保するなど、トレーニングを行う場としてふさわしい環境を備えた施設です。

○陸上トレーニング場

 陸上トレーニング場は、屋根付きの全天候型400メートルトラック(6コース)、天然芝のインフィールド、傾斜走路、砂場走路、跳躍走路や投てき施設等で構成されます。
 陸上競技各種目や他競技の基礎トレーニング等にも活用されます。
 また、屋根付きの国際規格対応のテニスコートを整備します。
 このことにより、雨天時でも支障のないトレーニングが可能となります。

○アスリートビレッジ(宿泊施設)

 宿泊施設は、ナショナルチームの様々な合宿形態に合わせられるように、シングルルーム、ツインルーム、和室などの宿泊室を有しており、約250名規模の人員が宿泊できます。利用者が十分に休養できるように各室に大型ベッドを備え付けるとともに、バルコニーを設置し開放感を演出しています。
 また、長期滞在も考え、各宿泊室は競技者がゆっくりとくつろげるように十分な広さを保ち、ゆとりある共用リビングを各所に配置することで、快適な居住性を追求したつくりになっています。

NTC競技別強化拠点

 NTC中核拠点の整備とともに、中核拠点では対応できない冬季競技、海洋・水辺系競技、屋外競技及び高地トレーニングについては、既存のトレーニング施設を競技別の競技別強化拠点施設に指定し、施設の状況及び競技特性に応じた、1トレーニング機能、2医科学サポート機能、3情報ネットワーク機能、4マネジメント機能の高機能化により充実を図っています。(図6

■図6 我が国のナショナルトレーニングセンターのイメージ図

2一貫指導システムの構築

  スポーツ振興基本計画(※報道発表へリンク)では、我が国における国際競技力向上方策の1つとして、一貫指導システムの構築を掲げ、優れた素質を有する競技者に対し、ジュニア期から個人の特性や発達段階に応じて一貫した指導理念に基づく指導を行い、世界で活躍できるトップレベル競技者へと組織的・計画的に育成するための競技者育成プログラムを作成するとともに、このプログラムに基づいた一貫指導を実施するための体制を整備することとしています。
 現在、各競技団体(NF)は、競技者育成プログラムの作成に取り組んでおり、平成19年3月時点で、オリンピック実施競技団体32団体において競技者育成プログラムが作成されています。
 文部科学省では、競技者育成プログラムに基づいた一貫指導を実施する体制を整備するため、平成18年度から「競技者育成プログラム普及促進事業」として、学校や地域スポーツクラブの指導者等に対して競技者育成プログラムに関する普及啓発活動を行っています。
 また、平成20年度から、オリンピック競技大会をはじめとする国際大会で活躍できる選手や優れた素質を有するジュニア競技者の育成を目的として、JOCが近郊の教育の機関等と連携し、NTCで行うエリートアカデミー事業に対する支援を行っていくこととしています。

世界体操選手権大会において、団体総合で7位入賞を果たし、北京オリンピック出場権を獲得した日本ナショナル選抜チーム(フェアリージャパンPOLA)2007/ギリシャ(写真提供:アフロスポーツ)

3スポーツ団体が行う事業への支援

 我が国の競技スポーツの振興を推進する上で、スポーツ団体の果たす役割は極めて大きなものがあります。
 文部科学省では、我が国の国際競技力の向上を図るため、スポーツ団体が行う事業に対して国庫補助等の支援を行っています。

4スポーツ科学・医学・情報面のサポート

 2004年(平成16年)に開催されたアテネオリンピックは、平成13年10月に開所した国立スポーツ科学センター(JISS:Japan Institute of Sports Sciences)が、科学、医学、情報面について、計画的・組織的・継続的に支援を行った初めてのオリンピックです。
 金メダルを獲得した競泳の北島康介選手をはじめ、JISSが支援した競技において多くのメダルを獲得することができたことは、科学的な分析に基づく効果的なトレーニング方法の開発やスポーツ障害などに対する医学的なサポート、スポーツに関する各種情報の収集・分析・蓄積・提供などを一体として行うことの重要性が示されたといえます。
 このように、JISSにおいては、我が国のトップレベル競技者への支援のほか、競技者育成プログラムに基づいた競技者の発掘・育成などを側面的に支援し、オリンピックをはじめとする国際競技大会における我が国の国際競技力の向上に寄与しています。

バイオメカニクス実験室における三次元動作解析(JISS)

5指導者の養成・確保

 トップレベル競技者の育成・強化を行うためには、優れた素質を有する競技者に対して適切な指導を行うことができる高度な専門的能力を有する指導者の養成と確保が重要です。

●専任コーチの配置

 文部科学省では、財団法人日本オリンピック委員会(JOC)が競技ごとに配置しているトップレベル競技者の指導者の専任化を支援し、国際競技力の向上を図っています。

●スポーツコーチサミットの開催

 トップレベル競技者の育成・強化に当たるコーチ、スポーツ医・科学研究者及び都道府県のスポーツ行政担当者を対象に、研究協議や情報交換を行い、関係者の相互理解や連携を深めることを目的とし、平成20年度は12月4、5日に開催します。

平成20年度スポーツコーチサミットについて
(※報道発表へリンク)

6競技者が安心して競技に専念できる環境

 我が国のトップレベル競技者における競技生活の環境は、近年の厳しい経済状況の影響等により、企業においては、保有するスポーツチームを休廃部にせざるを得ない状況になるなど、企業所属のトップレベル競技者の活動基盤について深刻な問題が生じてきています。
 文部科学省では、このような状況に対応するため、日本のトップリーグを開催する機構に対する支援を行っています。(表2
 また、平成20年度からは、トップレベル競技者に対して競技生活初期からセカンドキャリアの重要性等について啓発活動を行うセカンドキャリア支援事業を実施するとともに、NTCを活用してトップアスリートの競技引退後のサポート体制を整備するためにJOCがNTCで行うキャリアアカデミー事業に対する支援を行っていくこととしています。

ジャパンラグビートップリーグ/2007-2008リーグチャンピオンに輝いたサントリーサンゴリアンズ(写真提供:APLO)

■表2 平成19年度スポーツ団体トップリーグ運営助成

運営組織・リーグ名
アジアリーグ・アイスホッケー
バスケットボール日本リーグ(男子)
バスケットボール女子日本リーグ
Vリーグ
日本ハンドボールリーグ
ジャパンラグビートップリーグ
日本女子ソフトボールリーグ
ホッケー日本リーグ
日本トップリーグ連携機構

-- 登録:平成21年以前 --